骨粗鬆症の予防

骨粗鬆症は骨密度(一定の容積当たりのミネラル量)が減少し、ヘチマのタワシのように、骨の内部がスカスカになる状態をいいます。そうなると骨がもろく、骨折しやすくなり、脊椎(背骨)が潰れて背が縮んだり、腰が曲がって痛みを感じたり、転んだだけで骨折したりするようになります。中でも、脊椎骨や前腕、手首、股関節の骨折が多く見られます。骨粗鬆症は、新しい病気ではなく古くから知られていた病気です。お年寄りというと腰が曲がった人を思い浮かべると思いますが、この腰の曲がりは骨粗鬆症のためです。これまでは、老化現象だから仕方ないとの考えからあまり重要視されてこなかったのですが、先進国での寿命が延び、お年寄りが増えるにつれてこの病気に罹る人が多くなったこと、骨折することでの弊害が深刻なものであることなどから注目されるようになりました。日本における骨粗鬆症の患者は1100万人以上で、特に女性が多く、50歳以降急激に増加しています。60歳代の女性の半数、70歳代の女性の約6割が骨粗鬆症で骨折しやすい状態にあるといわれています。女性は、もともと男性より骨量が少ないのに加え、閉経後、急に骨量が減ります。今は病院などで骨密度を調べ、骨粗鬆症のリスクを知ることができます。一度、骨密度を測ってみてはいかがでしょうか。

 骨は、一定の成長を遂げてしまうとその後何の変化もないように思われがちですが、古い骨を破壊し(骨吸収)、新しい骨を形成する(骨形成)というふうに、絶えず新陳代謝を繰り返しています。骨粗鬆症とは骨を壊す細胞(破骨細胞)と骨をつくる細胞(骨芽細胞)のバランスが崩れ、吸収が形成を上まわって骨の量が減り、骨折しやすくなる疾患です。男女とも30歳を過ぎるころから破骨細胞の方が優勢になってきますが、40歳代半ば位まで骨量はそれほど変わりません。そして、女性の場合は更年期を迎える頃からゆっくりと骨量が減少し始め、閉経に伴い女性ホルモン(エストロゲン)が激減すると同時に急速に減ってしまいます。その量は閉経直後の10年間で骨量の1520%!その後は加齢と共に年1%程度減少します。エストロゲンは、カルシウムの骨への沈着を促し、骨を作る骨芽細胞の働きを促す、破骨細胞の働きを抑制する、カルシウムを骨に繋ぎとめるコラーゲンの生成を支える、副甲状腺ホルモンの骨吸収作用を抑制する、など骨を保護する働きを持っています。そのエストロゲンの分泌量が著しく減少するために骨量の減少が起こるのです。ですから、卵巣を取った女性もエストロゲンを分泌しなくなるので骨粗鬆症のリスクが高まります。このようにエストロゲンの減少による骨粗鬆症には、エストロゲン補充治療が有効で骨量低下がかなり抑えられるそうです。ただし、エストロゲン補充治療には副作用のリスクもありますので、リスクとメリットを比べて治療を選ぶと良いでしょう。加齢による骨粗鬆症は骨芽細胞と破骨細胞の機能が両方とも低下するために起こるので別の治療法となります。(※予防・改善のための食事や生活習慣の注意は同じです。)
 お年寄りの寝たきりになる原因の第
2位とも3位ともいわれているのが骨粗鬆症による骨折です。大腿部骨折で歩行困難になり、寝たきりから痴呆症がすすむケースや、肺炎や膀胱炎を併発する場合、床ずれ(褥瘡)ができたり、寿命が縮んでしまうこともあります。床ずれというとそんなに大変なものではないと思う方もいるかもしれませんが、皮膚の組織が壊死してしまうことでできる傷なので皮膚が再生できなくなる深刻なものです。

 骨粗鬆症の原因にはエストロゲンの減少、加齢の他にも、骨を形成するカルシウムや蛋白質、カルシウムの吸収を良くし骨の再構築を調整するビタミンDの摂取不足もあげられます。ビタミンDは食事から摂取するだけでなく、日光に当たると皮膚で作られますので適度な日光浴も骨粗鬆症予防に欠かせません。その他、甲状腺機能亢進症などの内分泌疾患や長期のステロイド剤による治療、大量のアルコール摂取、栄養失調、痩せすぎ、運動不足、喫煙・飲酒、遺伝、胃腸虚弱、ストレスも骨粗鬆症を引き起こす原因となります。

◎予防に大切なこと◎
カルシウムを摂り、充分な運動をすれば骨密度は上がる。
 予防策としては、上記のような骨粗髭症になりやすい生活習慣を改めること、カルシウムが豊富に含まれる食品を多く摂ることです。成人に必要なカルシウムは、1600mgとされていますが骨粗鬆症の予防には800mg/日が理想です。なお、妊娠・授乳期の女性の場合は、10001300mg/日位が目安になります。 骨は、例えるなら「コラーゲン」の鉄筋にカルシウムとマグネシウムのコンクリートが付着してできた鉄筋コンクリートのような構造をしているので、蛋白質(「コラーゲン」)を摂ることと、「コラーゲン」を体内で作る働きを持つビタミンCを摂ることが丈夫な骨を維持するために必要になります。実際、コラーゲンを摂ることで骨量が増えるそうです。また、蛋白質、有機酸(お酢)は腸管でのカルシウムの吸収を良くします。カルシウムの補給源と一緒に摂るとより効率的でしょう。その他、適度な運動や日光浴も大切です。「コラーゲン」の基礎知識

◆バランスの良い食事:骨に必要な栄養素はカルシウムだけではありません。(特に大切なのがカルシウムなのです。)多くの食品をバランス良く摂ることによって骨に必要な蛋白質やビタミン・ミネラルを摂ることができます。ビタミンDK、マグネシウム、フッ素、マンガン、銅、亜鉛も良質な骨を作るために必要なことが分かっています。カルシウムは乳製品や魚介類、大豆食品、青菜、海藻に、ビタミンDは干し椎茸、レバー、カツオ、マグロなどに多く含まれます。また、大豆に含まれる「イソフラボン」はエストロゲンに似た働きを持ち、「イソフラボン」を摂ったことで閉経後の女性の骨の密度とミネラル含有量が増加したという実験結果があります。豆乳は「イソフラボン」の含有量が多く手軽に飲めるので摂取には一番良いそうです。
◆適度な運動:運動は骨を鍛え、骨へのカルシウムの沈着を促進し、また、骨からカルシウムが溶け出すのを防ぎます。こまめに体を動かすようにしましょう。
◆日光にあたる:日光にあたると皮膚でビタミンDが作られます。(日光浴:木漏れ日などの日焼けしない程度の光で12030分が目安)
◆充分な睡眠:睡眠時に多く分泌される成長ホルモンは、ミネラル代謝に影響があり骨形成を促進します。

骨粗鬆症は、年をとっていくとともに骨が脆くなって、あちこちに骨折を起こしやすくなっている状態であること、そしてその対策には、気長な予防と治療を必要とすることがお分かり頂けたでしょうか? 骨粗鬆症は極端に寿命を縮めるような病気ではなく、骨折を起こしやすくなることが恐いわけですから、骨粗鬆症の可能性があるなら、日頃から転ばないための工夫をしておくことも大切です。多くの人が長生きをするようになりましたが、元気に動き回れてこその長生きです。骨折すると痛いだけでなく、動くことが不自由になりますから、骨粗鬆症は生き甲斐を損なう病気と考えてもよいでしょう。

若い頃から栄養を摂って運動することで、骨粗鬆症は予防できますし、高齢の女性でも骨密度を高めることは可能です。元気で長生き、健やかに過ごすためにご自身の骨密度を知り、骨粗鬆症対策を実行してみてはいかがでしょうか。



 骨の健康度チェック

以下の項目に「はい」「いいえ」で答え、「はい」の合計数で判断します。

1.からだの具合

□最近背が縮んだ

□最近背中が丸くなったり、腰が曲がってきた

□ちょっとしたことで骨折した

口体格はどちらかといえば細身だ

□家族に骨粗鬆症と診断された人がいる

□糖尿病だったり、胃や腸の手術を受けたことがある

□閉経を迎えた(女性)、70歳以上である(男性)

□若いころから月経が不順だ(女性) 

2.暮らしぶり

□牛乳や乳製品をあまりとらない

□小魚や豆腐をあまりとらない

□たばこをよく吸う

□お酒はよく飲むほうだ

□天気のよい日もあまり外へ出ない

□運動はもちろん体を動かすことが少ない


はい」の数が

2つ以下---現時点では骨は健康と考えてよいでしょう。このまま今の生活を続けましょう。

3つ以上---骨が弱くなる可能性があります。将来のことを考えて食事や生活習慣に気をつけましょう。

6つ以上---骨が弱くなっている可能性があります。骨を強くする食事や生活習慣を取り入れましょう。

10以上----骨が弱くなっていると考えられます。転ばないように食事や生活習慣を見直してください。一度医師の診察を受けてみてください。

※骨量測定ほど正確ではありません。一つの目安にしてください。


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