遺伝子(核酸)栄養学最新レポート#1

1.“ヒトゲノム”(遺伝子)とは
最近、新聞や雑誌、テレビなどで“ゲノム”、"DNA”、“遺伝子”という言葉を良く見かけるようになってきましたので、これらについてまず簡単に触れておきたいと思います。ゲノム(genome)というのは[gene(遺伝子)とome(ラテン語で集合体の意)]を組み合わせた言葉で、生物のもつ遺伝情報の全体をさす言葉です。“ヒトゲノム”は人間の細胞核の中にある23対の染色体に組み込まれたDNAの全遺伝情報をさす言葉で、ヒトゲノムの解読によって、DNAは約30億個の塩基で構成されていることが明らかにされています。DNAの中で、ある情報(例えばタンパク質の合成などに関与する情報)をもった部分を遺伝子と言い、人間には約3万個の遺伝子があることが明らかになりました。(どの部分の遺伝子がどんなタンパク質合成の情報を担っているのかはまだ明確になっていません。) もっと簡単に言いますとDNAは人が生きるための設計図で(車を例にするとボディやエンジンなどのそれぞれの部品をつくる設計図があって、最終的に車ができあがる)、人の場合その設計図が約3万個あり、その一つひとつを遺伝子と言います。

2.遺伝子栄養学とは
“遺伝子栄養学”が提唱しはじめられたのは平成5年(1993年)のことです。翌年にはアメリカで“genetic nutrition(遺伝子栄養学)という言葉が生まれました。遺伝子栄養学とは[病気のセントラルドグマ(中心原理)につながった学問]のことです。 病気のセントラルドグマ(中心原理)と言うと難しく感じられるかもしれませんが、病気が「遺伝因子」に「環境因子」が作用して発症することは既に多くの研究によって明らかになっています。遺伝因子というのは、例えば両親が癌の場合、その子供も癌になりやすいというような遺伝的な体質のことをいいますが、遺伝因子があるからといって必ずしもその病気が発症するというものではありません。生活習慣病に限って言いますと、遺伝因子だけで生活習慣病に罹ることは少なく、そこに生活習慣などの環境因子が関与しています。つまり、生活習慣病の発症は遺伝因子に環境因子(活性酸素など)が作用して、遺伝子が酸化などの影響を受けることによって起こっているのです。これらの遺伝因子に環境因子(活性酸素)が作用して発症する病気を[病気のセントラルドグマ]と言いますが、遺伝子栄養学とは環境因子の中の栄養因子に関する学問のことです。もっと解りやすく言いますと、遺伝子栄養学とは遺伝体質(遺伝因子)を知って上手に栄養因子を摂ることで、病気を予防・改善する栄養学のことを言います。 しかし、私たちは遺伝子そのものを変えることはできませんので、栄養学の主体は環境因子を変えることで、病気の発症を防いでいくことに尽きると思います。したがって、遺伝子栄養学は (1)遺伝子に損傷を起こす環境因子の代表的なものである「活性酵素」を栄兼学的に阻止することによって病気の発症を抑える。 (2)運悪く傷ついた遺伝子を持った細胞を免疫やアポトーシス(細胞の自殺)によって除去することによって病気の発症や悪化を抑える。という2つのポイントからなり、これらを食べもの、つまり栄養因子によって達成していこうとする考え方です。

3.遺伝子栄養学と従来の栄養学は何処が違うか
これまでの栄養学は食糧不足という時代背景の中で発展してきました。したがって、生きていくために必要な栄養素の所要量(最低必要量)を決めた、ある意味「平均値栄養学」と、必須栄養素という概念が中心になっています。そのため体内では作られないものだけを主体的に研究してきた学問だといえるかもしれません。一方遺伝子栄養学は体の機能や栄養素をミクロのレベルで見ていく学問だといえます。私たちが接種した食物は生体内で代謝されて色々な化合物に変わり、変わったそのものが生理的に大きな意味を持っています。例えばビタミンCを例にとると、ビタミンCは体内に入ると17の化合物に代謝され、その中には油に溶ける性質のものもあります。(従来の栄養学では、ビタミンCは水溶性で油には溶けないというのが常識であり、まさに食べる前のことを議論しているわけです。)食べて代謝されたビタミンは一部がOH基が外れた油溶性の代謝物になり、ビタミンEと共に大切な働きをしていることもわかってきました。また栄養素は食べ方、いつ食べるか、体調などによって働きは異なると同時に、個体差もありますので、そういうことまで考えてミクロのレベルで栄養素を考えていくのが遺伝子栄養学で、これまでの栄養学と大きく異なるところです。

核酸の基礎知識を得たい方はここをクリック



ホームページに戻る