「抗がん剤で延命」は患者の一部

気になる記事を読みましたので抜粋紹介します。(読売新聞 h19/3/9)

乳がんと診断されたら、手術する前に抗がん剤を投与する方法があります。手術後の投与に比べて、薬を使うのが数週間から数か月早い分だけ、身体に潜む微小な転移の消滅に有効だろう、とされていました。 米国の臨床試験で、よく使われる2剤を手術前に投与したところ、大半の患者で、乳がんが縮小しました。 

@触診でも顕微鏡検査でも、がんが消失していた「超著効」が13%。

A触診ではがん消失と判断されたが、顕微鏡で調べたら残存していた「著効」が23%。

Bがんのサイズが明らかに縮小した「縮小」が43%。

Cサイズ不変ないし増大の「無反応」が20%。

それらの患者さんに手術をして、10年近く経過をみています。生存率を見ると「超著効」の13%の患者だけが抜きんでて良く、それ以外の「著効」や「縮小」は、「無反応」と大差ないようなのです。 「無反応」で延命効果があるとは考えにくいので、結果に差がない「縮小」も「著効」も延命しないと考えられます。

この後に行われた試験では、生存率の高かった「超著効」を増やすべく、手術前の抗がん剤を2剤から3剤に増やしました。すると「超著効」が13%から26%に倍増しました。狙い通り「超著効」が増えたにもかかわらず、生存率は向上せず、2剤、3剤ともほぼ同様でした。

 理解しにくい結果ですから、私(植松稔医師、慶応大学)の解釈をお示しします。

「乳がんには、もともと驚くほど抗がん剤が効くタイプのがんが13%くらいある。そのタイプなら、通常の抗がん剤で十分に延命効果がある。さらに抗がん剤の数や量を増やすと、一時的に『超著効』は増えるが、それは『見かけ上の反応』にすぎない。結局、明らかな延命効果があるのは、もともと驚くほど抗がん剤が効くタイプのがんだった患者さんに限られているようです。」

 本質は、以前紹介した大量の抗がん剤投与が無効だった話と同じです。驚くほど抗がん剤が効くタイプなら普通の抗がん剤で十分ですが、そこまで効かない乳がんには超大量投与でも及ばないのでしょう。免疫力が低下すると、むしろ逆効果です。30年ほど前から「リンパ節転移のある乳がんの生存率が、抗がん剤で向上した」という報告がたくさんあります。それらの生存率が一様に、10〜15%上がっていることも、今回の推測を支持していると思います。

 乳がんの抗がん剤はよく研究されています。それでもまだ、「万人に広く」ではなく、「一部の人」の延命に貢献しているのが現状と思われます。だから、治療のガイドラインに万人を当てはめたくありません。個々人にとって最善の治療は、副作用などに無理のない方法の範囲にしかないはずです。

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あの人に効いたから私にもと思いがちですががんにもタイプがあるようです。逆に言えばあの人には効かなくても私には効くということもあるわけで、あきらめずに粘り強く治療していくことが必要です。

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