角松敏生  CONCERT TOUR 2000 "Flow" '00.8.13(Sun)
 府中の森芸術劇場 どりーむホール (Update '00.8.17)


何か、とても良かった!と思えるコンサートでした。本当に良かったです。

何の飾りもなく、ライトだけがバックに吊るされたシンプルなステージに
角松さん登場の場面からファンの声援はスゴかったです。
昨日の大宮ソニックシティの初日に続いての、"Flow"ツアー2日目。
「ほとんど地元です。早く帰ってテレビ見なきゃ」と最初から盛り上げます。
この夜、23時からの「ミュージック・フェア」にご出演なのです。
新作「存在の証明」をメインとしたツアーで、1曲目もアルバムと同じく「生足の駝鳥」。
ビート感あふれ、歌詞が結構キツいんだけど、スタートにはふさわしいノれる曲。

新作アルバムについて「19年目で一番気に入っている」とご紹介。
「ツアーらしいツアーは最後かもしれない。一本一本大事にやって行きたい」
とも話していました。
それにしても、ガラッと変わってしまったと思えるライブだなァ。
いままで何回か観ましたが、聴いたことがない曲もあったりして、
それでも盛り上がれたのですが、今回の"Flow"ツアーは全くスタイルが
変わったのでした。新作がメインで聴き馴染みのある曲が多かったし、
従来はバラード風の曲はマイク一本持ってギターを手にしないことも
あったのですが、それは丸で自分の分身のように今回はほとんど
ギターを抱えていました。
「人生相談コーナー」なんぞやめて、その代わりに「小人数編成で昔の曲を」と
ギター3本のアンプラグド風スタイルもイケてました。
インターミッション的なサックスの本田雅人さんをメインとした演奏も
とても気が利いてると思います。

氏のライブはCDで聴けないスペシャルセッション企画があるのですが、
今回も自分の音楽の関わりの原点へ帰るかのように、ポール・サイモンの2曲、
ボブ・ディランの1曲が、その前日のツアー初日とは別バージョンとして
演奏されました。
これより前には"Folk Song Respect コーナー"も。
「昨日はアリスでしたが、受けなかったようなので、今夜は多大な影響を
与え、寄らば"Kinki"の陰(笑)という方の曲を」と吉田拓郎さんの曲も。
こだわりのMCでも「暗いとか毛嫌いする人もいる”フォークソング”ですが
当時のミュージシャンはやはりスゴくて、真剣に音楽をやっていたんです。
時代的な背景もありました。バックのメンバーだって今にして見ればスゴい
メンバーばかりでした。この方(ギタリストをさして)だって、今でも
『22歳の別れ』なんか平気で弾けちゃうくらい」。

フォークだと思うからフォークなんであって、角松サンがフォークをやるという
イメージはないのだけれど、それらしいシンプルな編成の曲も今度のアルバムには
収められていて、要はやりたい音楽をやっていきたい、
という角松氏の生き方、考え方が随所に感じられました。

今夜のテレビ出演に関しても、「テレビの音楽番組は、もう情報提供の場」と
割り切っての出演とのこと。「インターネットやメールで流さないでよ」という
マル秘トークも。はい、ここでは書きませんです。(汗)

トークも最後の方(アンコール)になると氏の本領発揮。
「好きなことを仕事にしちゃダメですよ。。」
「700万枚売れて、その中で何割の人がついて行くだろう。」
「17年前と同じ事を言います。ついてこれる人だけついてきて下さい。」
大胆な発言に少し心配しながら、
「ファンとのツアーで何もできなくて、、10分で作った曲を」と「NO END SUMMER」。
懐かしいイイ曲です。
確か「なるほど!ザ・ワールド」のエンディングテーマでしたっけ。
「旭化成グループ各社」の名前が流れていくシーンを思い出しました。
おなじみの紙飛行機が飛び交う「TAKE YOU TO THE SKY HIGH」をもう
止めてしまったのは、惜しいような、でもこれでいいような気もしました。
そして最後の最後は大声援の中、「これ聴くと暗くなっちゃうよ」と
紹介して、新作アルバムの最後の曲「存在への不安と欲望の十二ヶ月」。
物にあふれ、流されていくだけのような今の世の中にドキリと一発。
「あれもいい これもいい 幼稚な声が聞こえる
 でもいつになったら捨てきれるのかな」
内省的で、今の気持ちに素直な曲。アコースティックギター一本で
その伝えたいメッセージが自分自身にも強烈に響くものがありました。

まもなくデビュー20周年を迎える角松敏生の心意気とか決意を
感じることができました。
正にあふれる気骨を感じるコンサートでした。