'00.8.22(Tue) ミュージカル「エリザベート」
  帝国劇場
(Update '00.8.27)

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ミュージカル「エリザベート」。
1992年に音楽の都ウィーンで初演、宝塚でも1996年から今までに3度上演され
200万人を動員したヒット作品。
宝塚版では星組のを観ております。その時はエリザベートが白城あやかさん、
トート(死の帝王)が麻路さきさんでした。
今回は「東宝ミュージカル」となっての再登場。
主演は、エリザベートに一路真輝さん。
宝塚ではトートを演じており(退団公演)、今回は立場を代えての主役というわけ。
トート(ダブルキャスト)は山口祐一郎さん、「劇団四季」出身のベテランです。
会場は宝塚状態で、感覚的に97%くらいが女性客、独特のムンムン状態(?)です。

それにしても良く出来た、完成されたミュージカルだと思います。
ヒットするだけの理由があると思います。
まずストーリーが共感できるモノです。

宮廷の人間関係や歴史の流れの中で、やはり嫁と姑、親と子、夫と妻のしがらみがあり、
「女の一生」的に観客として素直にストーリーに入れる、身近な感じなのです。
歴史的な流れはあえて意識しなくても構わないという作り方。
更に、トートというキャラクターをかませることで、ドラマ性が強くなります。
エリザベートがトートとキスをする、それが「死の瞬間」となるのが、
初めから暗示されていて、最後のその瞬間が迫ると緊張感さえ漂います。

役者もなかなか素晴らしかったですね。
一路真輝さん、チラシよりお痩せになった感じですが、音域に無理ない歌声で、
ドレス衣装もピッタリ決まり、ハマリ役に決定でしょう。
トートの山口祐一郎さん。安定した包み込むような声量で、この怪しい存在を
スラッとした長身も活かして堂々たるモノでございました。
意外な発見と言っては失礼ですが、ストーリーの語りべ・高嶋政宏(兄弟の兄のほうです)。
最後はエリザベートを暗殺してしまう役でもあり、親しみやすいキャラと伸びのある歌声が
なかなか良かったです。
エリザベートが自分の考えを押し通すこと、それは宮廷の中ではエゴイスティックな
ことでもあり、当時の社会情勢なんかも歌で言葉で、うまく解説されておりました。
成長した息子の役の井上芳雄クン。1000人の中から選ばれてこれがデビューの20歳。
安定感はもう少しながら、今後が楽しみな力量を持っておりました。

楽曲も日本語のあて方に無理がなく、状況説明も判り易く、とにかく良く練られています。
息子(子役のほう)が母への気持ちを歌う、地球儀に乗っての場面は、
出番が少ない割りには印象的な場面でした。
日本のミュージカルって群舞が不安なのですが、挿入場面もダンシングもほど良い感じ。
美術もあえて華美なムードを抑えながら、現代的なセンスも随所に。
ミラーをステージ周囲に配し、ステージ中央の人物が万華鏡状にミラーに映るのが
なかなかファンタジックでもありました。
帝劇の特色である、回り舞台や"せり"もうまく使われていました。

カード会社の貸し切り公演ということで、めでたくF列(6列目)中央という良席でした。
高嶋さんが客席に下りて来て、当時の「エリザベートグッズ(!)」を説明するシーンがあり、
間近で見るメーク顔はかなりスゴみがありました。
最後のカーテンコールでは前の席のオバサマ連が、「一路さん!!、山口さん!!」と両手を振って
叫ぶのにはおそれいりました。(笑)
一路、山口の二人になった時は、それはそれはスゴい声援で、立って拍手の方もチラホラと。
宝塚ファン、劇団四季のファンの支持を得て、このミュージカルで東宝も「金のなる木」が
また増えたと喜んでいるでしょう。早くも来年4月の再演が決まっています。