松任谷由實 "acacia" 香港演唱會 Live Report (Update '02.5.17)



 2002年5月10日(金)香港體育館(香港コロシアム)

Part1. Before LIVE

 結構ウマいJALのランチ(鮪のフライ ガーリックトマトソース)を味わいウトウトしているうちに、 だんだん機体が下降していく雰囲気を感じていると、 下界に高層ビル群が見えてきて、無事に香港国際(チェクラプコク)空港に到着しました。 なかなか進まない入国審査にいらだちながらも気分は上々。 外に出ると南国特有のムッとした空気が襲ってきました。

 途中、香港最大の道教寺院「黄大仙」に立ち寄り団体パックツアーのムード万点。 占いショップがアーケード内に並んでおりました。バスに戻り おみやげのパンフの説明なんぞを聞いているうちにお宿に到着。
 この時既に17時頃だったと思います。


 ライブへ向かうバスの集合時刻は予定より遅くなり19時10分。 ホテルから会場までは400〜500メートルしか離れていませんが、 グルッと回っていく感じなのでバスにしたのは良いとして、 一時は他のお客さんに大迷惑となるロビー満員状態に。。 車寄せが狭いうえ、道路が異様に渋滞しておりバスがなかなか 到着しないのです。こりゃグッズのチェックもできないナと思いましたが その通りで、会場到着後はすぐにレッドブロックへ急ぎます。


 会場は日本武道館を小ぶりにした感じで、外観はダイヤモンドをモチーフにしたとか。
 四方を階段状の座席で囲み、今回はアリーナ席はありません。
 G
B□Y
 R
 □をアリーナとするとブロック名はこうなっています。
 (G:Green、B:Blue、R:Red、Y:Yellow)

 ここも冷房がビンビンに効いておりちょっと寒いくらいです。 面白いのは場内でアイスクリームを売る人が歩いていたり、 ステージ真上にあるジャンボトロンに「春よ、来い」のプロモを フィーチャーしたベスト盤のCMやスポンサー(日清食品)のCMが流れたり、 「出前一丁」のタレ幕が場内数箇所に見えたり、 携帯の電源は切って下さい等のアナウンスが日中2か国語で流れたり。

 開演の20時を過ぎても天井に近い席は空席が多く、かなり心配しましたが そこも次第に埋まってきた頃、既にたかれ始めたスモークの中、客席がざわめいてきました。 Gブロック前方のあたりで集中的にカメラのフラッシュ撮影が起きはじめ、 それはまるで雲の中に轟く雷を見ているようでした。 現地の有名人が鑑賞しに入ってきたのでした。 このあたりは12日付けの現地新聞にも写真が載っています。

 この頃にGとBブロックの間の通路を通り、黒くて大きい四角い箱をステージの中へ運ぶスタッフが見えましたが、 この中にユーミンが入っていたのでしょうか。。 このすぐ後に数名のスタッフがステージの下へ入っていきました。 ライブのスタートが近づいていますね。。




Part2. During LIVE

 20時37分頃、場内が暗くなりいよいよライブスタート。
 聴きなじみのあるインストルメンタルのイントロが流れ出すと、 「キャ〜」と叫びだす隣の女性ファン。早くもヒートアップしています。 どうやらJTBパックツアー組みはRとYに一団となって集まっているようです。 そして場内に点々と光りモノが点灯してきます。 日本でのライブではありえない棒ライト(何と言うのでしょうか)。 会場入り口の所で売っていました。

 村石さん、小野さんのドラム合戦も快調に進み、ステージが明るくなり ユーミン登場!大騒ぎなのはもっぱら日本人のような感じ。 ステージ上のメンバー配置は基本は変わらずですが、 コーラス3名の間隔が少し大きめで、Gブロック正面に向かっていました。 ステージ下への出入り口は半円形の目隠しがあって、中が見えないようになっていました。

 「2.ダイヤモンドダストが消えぬまに」が終わり、ユーミンの第一声は広東語。
 「大家好 我係 Yuming(こんばんは。ユーミンです。)」(日本のスポーツ紙より)
 私は「ユーミン」と言ったことしか分かりませんでした(汗)。 ここから「5.夕涼み」までは日本版と同じで今後の成り行きに不安と期待が入り混じります。 今にして思うとこのあたり、香港のお客さんは静か、ちょっと固まっているように思えました。 そんな空気を打ち砕いたのがユーミンの広東語のMC。

 新聞によると「私は1954年の東京生まれ。今年で28歳です。」と言って大爆笑を呼んだとありましたが、 こちら側はサッパリ分からずシーンと静まりかえっていて、その対比の絶妙さが際立ちます。
 「日本語で話してもいいですか」と話した後で、「うれしい、うれしい!」と連呼。 「いま、『日本語で話していいですか?』って聞いてみたんです。通じてました。」と、ここからは日本語。 広東語が通じ、日本語も話せる喜びが素直に伝わってきます。

 「ではあらためて今晩は、ようこそ。お会いできてうれしいです。たぶん学生時代から私の音楽と 一緒に青春を共感してくれた人がほとんどだと思うので、今日は切なく元気になって帰って下さい。 やっぱりね、ずっと音楽やってて良かったと思います。こんな日が来るなんて。。 今日は私にとって大事な日で、生まれて初めてステージに立った時と同じようにドキドキしています。 日本から来て下さったかた、本当にありがとう(大拍手)。子供の運動会を見守るように。しっかりやります。 ではムキになって覚えた広東語で続けたいと思います。」

 この二つの言語でのMCで会場に「なごみ感」があふれてきたように思います。

 ここまでの衣装は予定通り日本版と全て同じでした、と書きたいところですが、 チェックの厳しい方々によると2番目の衣装のパンタロンの裾が少し広がっていたとか。 少々お太りになったのか、仲間内では通称の「欽ちゃんジャンプ」をしやすいためか(汗)。

 「6.Summer Junction」〜「8.哀しみを下さい」と続いた後で、 「さすがに緊張します。」「頑張れ!」と客席とのやりとり。 広東語のMCが続く中、しばしば笑いが起こり、思わず「うれしい!」と言ってしまうユーミン。 でも私たちは「?」。

 香港メニューはまだかなと思っているうちにアンプラグドのコーナーに。
 ナンと「9.あの日にかえりたい」と「10.守ってあげたい」。「あの日に」のアンプラグド版は 初めてではないでしょうか。 この時の拍手はそれまでで一番大きかったです。 やはり現地に溶け込んでいる曲は強力だと思います。 会場のあちらこちらから「ユーミン!」の掛け声が聞こえてきます。

 そして引き続いてはメンバー(武部さんと村石さんを除く)とコーラスが広東語でひとことごあいさつ(紙を見てですが)。 この時も香港のお客さんにはかなり受けていました。私たちはやはり「?」(笑)。
ステージ中央に丸く集まってここで始まるアカペラでの「11.冷たい雨」。 さらに拍手が一段と大きくなりました。

 「12.瞳はどしゃ降り」「13.SAVE OUR SHIP」とオリジナル版に戻って、そしてカーテンが上がります。 YAMAHAのピアノを弾きながらの最初の曲は「14.やさしさに包まれたなら」。弾き語りでは初めてではないでしょうか。 ここでも大拍手。続いて「15.卒業写真」。これまた初めてだと思います。日本版ではピアノが載っている ステージが2曲目では回転しなかったと思いますが、今回は1曲目と反対方向に回転しておりました。 同じことをあえて書きますが、やはり現地に溶け込んでいる曲は強力だと思います。

 「16.Age of our innocence」が荘厳な雰囲気で終わり、クライマックスの「17.青い船で」へ。 待ってましたとばかりに拍手が起こる日本の応援団席。リングが動き始め思わずため息が出ました。 香港でこのシーンが見られるとは。。

 「ショウもそろそろ終わりに近づきました。」と日本語で、その次は広東語。
 「18.MIDNIGHT RUN」で総立ちの私たち。この曲となると気になるのは火薬の演出です。 その噴き出し口が見えていましたから大いに期待したそのシーンは、炎というよりほとんど煙の噴出で「アレ〜、物足りな〜い」。 「19.カンナ8号線」ではお決まりの円形ステージ周囲を手を振って行進するシーンの再現。 日本で観たどの公演よりも早く本編が終わってしまった気がします。既に22時26分。

 アンコール1の3曲は日本版と同じに進行していきます。
 「22.acacia」でまたもやしみじみとしてしまいました。海外で聞くとまた味わいが深くなります。 メンバー紹介が終わり、涙ぐむユーミン。拍手は鳴り止まず、ステージを降りずしてWコールへ!
 「23.DESTINY」では香港のお客さんもかなり立っていました。例の振りをするのは日本の応援団席。 現地の方々にはどんな景色に映っていたでしょうか。。 そして「24.春よ、来い」、ベスト盤の最初の曲。終盤では桜の花びらが舞いました。

 トリプルコールもあるかという盛り上がりでしたが、メンバーは次々とステージを2方向へ降りて行き、 最後にユーミンが私の席のあるRとBの間の通路へ手を振りながら消えてゆきました。
 全てが終わったこの時は23時頃。

 帰国してから香港では立って聞く習慣がないと知りました。 空席は少しはあったようですが、9割は香港のお客さんでしょう。 自分でも「新人歌手ですから」と語っていたユーミンですが、これだけ盛り上がったのはすごい事だと思います。 言葉の壁はなくならないとしても「海外のコンサートは楽曲ありき。スタンダードナンバーをまた生み出したい。」 とのコメントをスポーツ紙で読み、本当にその通りだと実感しました。




Part3. After LIVE

 外へ出ると心なしか少し冷んやりとしています。余韻にひたりながらスモーキングタイム。 お知り合いと写真を撮ったりしてしばしの「しゃべり場」状態。グッズをのぞかなくてはと会場外の売り場へ急ぎます。 期待のパンフは他の方のをのぞいてみたり、聞いてみたりして日本版と同じと判明。Tシャツも同じだったようです。 既にベスト盤を買ってチラシを持っている方がおりましたので、「オマケのチラシはありますか?」と聞くと返事は「No」でした(哀)。

 ここからは日本のライブ会場での終演後の風景とあまり変わらないです。「しゃべり場」復活(笑)。
 ポスターの前で写真撮影もしたりして。
 腹ごなしにハーバー沿いを歩きます。
 対岸の香港島の夜景が海に青く映って、実に幻想的でロマンティック。
 ホテルの近くの大衆食堂に入り、ビール&海老ワンタン麺ほかで祝宴(?)。
 ホテルへ戻ったのは25時近く。もう今朝起きてから20時間近く過ぎていました。
 シコシコとHPに曲目をアップして、さあ寝ようとなったのが27時過ぎ。長い一日じゃった。。

 (例によって記憶とメモにより書きました。)