◆◇ "YUMING Love The Earth Final" Live Report (Update:'05.10.09)◇◆
   (2005年9月23日(金)愛・地球博 EXPOドーム)



■□ Before Live □■


 コンサートのチケット入手はとうてい無理だろうと思いつつ、 開催決定とほぼ同時にパックツアーを取っていたところ、 直前に関係者ルートで入場できることになりました。

 2005年9月23日、金曜日。
 12時半頃、新幹線で名古屋到着。
 「28ちゃん」オススメ、ホーム上のきしめん屋で立ち食いの昼食。
 宿にインして速攻で会場へ。
 意外とスムーズにゆき、エキスポシャトル、リニモを乗り継いで14時半頃会場到着。
 統一感のあるような、ないような、パビリオン群が見えてくると 1970年の万博に行った記憶が蘇ります。 何かがありそうで、やたらと混雑している雰囲気が同じなのです。


 さっそく日本館へ。
 一般の方の長蛇の列を脇に見て、別口より関係者様に同行していただき入場。
 全コースを解説して下さいました。
 テーマを絞った、スケール感があり分かり易い展示がなかなか良かったです。


↑ 長久手日本館外観
→ 森の一日を体験する館内ゾーン3
(*フラッシュ無しなら撮影OK)

 ビールを飲みつつ休憩タイムを過ごし(本当は足腰を休めたい)、 続いてグローバルハウス(オレンジ)&冷凍マンモス館へ。 少々待ちましたが、それでも入場手続きをしていただいていたおかげで 楽をさせていただきました。
 マンモスは頭部と牙、左足の一部のみでしたが何しろ1万6千年前の姿が いま目の前に展示されているという現実に驚くしかありませんでした。 天然記念物レベルの展示品がキャラクタグッズになっているのには驚きと 商魂を感じました。
 これは私の万博唯一のおみやげ「メモパッド」。

 夕食の時間がなくなり、美味しいという評判のメロンパンを買っていただき、バッグに入れ EXPOドームへ駆け込んだのは開演10分前。入場の際に「Smile again」のピン・バッヂをもらいました。 地球広場でも配られたそうです。
 関係者の皆様、どうもありがとうございました!



■□  Live  □■


◇例によってメモと記憶を元に書いています。◇

 EXPOドームの外観はUFOが着陸したような、お皿を逆さにしたようなデザイン。
 内部は横に広い感じです。
 ステージに向かって左側の一部は壁がなく、外気が流れ込んできます。 両脇の壁にはPanasonicのモニターが鎮座しています。 舞台上にはピアノが6台。3段階の段差のあるステージに2台ずつ。
 中央に映写スクリーン、その両側に白い布地が幾重にも下がり、いたってシンプル。

← キッコロ・ゴンドラより9月24日に撮影

 ほぼ定刻19時、このモニターが明るくなります。
 順にアンディ・ラウ、カレン・モク、レオン・ライ、エミー(友人)各氏の ビデオメッセージが流れます。 「今夜は行けませんが、ユーミン頑張って下さい」というメッセージが多く、 いよいよスタートです。

 何の前触れもなくユーミンがステージ左より登場。ピアノに向かいます。
 白いロングドレス、髪の毛はバサッとした爆発頭(汗)。

(1) ひこうき雲
 イントロが流れ出すと共に、拍手が静かに巻き起こります。
 自分の原点を探してでもいるような選曲。
 ステージも客席も少し緊張気味でしょうか。

「こんばんは。
 普通なら「愛・地球博、Love The Earth Final へようこそ」というところなんですが、 今日は違う感じがします。 万博というイベントのとてつもなく大きなものが沈んでいくような。 今日はいつものショウとは違う、おごそかな感じでお送りしたいと思います。
 それではまず最初に6人のピアニスト達を紹介します。」

 妹尾武、矢島マキ、中西康晴、新川博、武部聡志、と各氏の紹介が続き ステージ左右から次々と登場。 6人目に「松任谷正隆」と紹介されると、ウォーというどよめきと一段と大きな拍手が巻き起こります。

(2) 14番目の月
 連弾の迫力のイントロでスタート。
 誰も立たないのが不思議というか新鮮というか。 手拍子もちょっと少ない感じ。
 クラシカルなジャズソングのようにメロディーが響きます。
 思わずジャンプしてしまいそう。。
(3) 恋の一時間は孤独の千年
 ピアノの不協和音がしばらく続き、何の曲かなと思っているうちに、 あのイントロが響き始めます。何やらラテンっぽく聞こえました。 ダンサーがいるのが普通ですが、今夜は一人のユーミン。 一生懸命な振りで、会場を盛り上げます。 間奏部のピアノ競演はなかなかの聴かせどころ。

(4) Hello,my friend
 イントロだけでスグに分かりますね。
 シンプルなアレンジが、曲の清々しさをいっそう引き立てます。 このアコースティック・バージョンもなかなか良かったです。
(5) 航海日誌
 ユーミンはそれぞれのピアノのそばに足を進め、 ピアノにもたれるように歌ってゆく趣向です。
 ジャズ・バーでスローバラードを聴いているような気分にさせる一曲。

 そしてMC。
「このお話しがあった時、会場へ下見にやって来ました。 下見というより、万博に来てみたかったこともあって(笑、拍手)。 私が来た時にはクラシックのようなポップスのようなコンサートをやっていて、 それを観ていて「大勢のピアニスト」というコンセプトが出来ました。 ユニークでしょ?(拍手) ゾワ〜ッとした派手さがありませんか? さてこれからはバンドを入れてお送りします。」
 村石雅行、田中章弘、鳥山雄司、浜口茂外也各氏を紹介、ステージに登場。

「楽しい曲をお送りします。」と言って始まる
(6) HOZHO GOH (ホジョンゴ)
 世界各地の民族舞踊の数々が、ステージ後方のスクリーンに投影され、 万博ムードをいっそう引き立てるようです。 かけ声の時にこぶしを振り上げるユーミン。
 だんだん調子が乗ってきたようです。

「ここでピアニスト達には休んでいただいて、小編成でおおくりします。」

(7) Northern Lights
 鳥山さんのギターのイントロが静謐な印象を会場に満たして行きます。
 スクリーンにはオーロラはもちろん、世界各地の空撮映像が流れます。

(8) 水の影
 左側のピアノのそばにユーミンは座り、歌い始めます。 後方スクリーンは暗くなっていますが、中盤になり人影が。 間奏部になり照明が当たると、そこには金糸織りのジャケットを着たシェイ・クーさんの姿が。 オリジナルにはないメロディーも加え、二胡の響きが切なくやさしく、響きます。 後奏もバンドと違和感なく演奏され、本当に素晴らしいアレンジで、涙が流れてきました。
(9) ベルベット・イースター
 おもむろにピアノに向かい、いきなり歌い始めました。
 自分にとってはユーミンとの出会いの曲。
 いつ、どんなライブでも「あの日にかえる」ことができる曲。
 ここで、後半へつなぐ一種の場面転換をしていたのですね。

 そしてMC。
「私が書く曲はパーソナルなもので政治的なメッセージを表立って 発することはありません。  でも新聞を見たりして何とかならないかなと思うのは皆さんと同じ。
 世界中で色々な問題があります。
 愛だけでは世界は救えません。 かといって憎しみだけが覆うこともないでしょう。
 これから紹介するイム君は19歳。韓国の若きヴォーカリストです。 拍手でお迎え下さい。」

 イム君「コンバンハ、イム・ヒョンジュデス」と一言。ユーミンはピアノへ向かいます。

(10) 春よ、来い(song by Lim Hyung Joo)
 のびやかな素直な歌声で聞くおなじみの曲は、自分なりに消化している感じで、 つくずく「歌唱力は大事」だと思わせます。 韓国語の歌詞そのものは分かりませんが、説得力を持って響いてきます。

 歌唱が終わってユーミン。
「感激しました。まだ一度も韓国に行ったことはないのですけれど。 花が散るのが見えるようでした。」
 メッセージをどうぞと言われ、イム君が韓国語で述べた後、ユーミンが迷訳。
「早く正隆さんと別れて、私と結婚して下さい。 二人でスマイル・アゲイン。」(笑)
「本当は、、Smile againに参加できてうれしいです。 アジア人に共通の感情が描かれています。」

「続いてシンガポールから、ディック・リー!」
 白いスーツをバッチリ決めて登場。
 デ氏:「コンバンハ」
 ユ:「そんなに長いお付き合いではないのですが、本当の弟のようです」
 デ氏:「Big sister, Ah〜Little sister!」(笑)

(11) 最後の嘘(song and piano by Dick Lee)
 ピアノ弾き語りです。
 基本はオリジナル通りながら、アレンジもテンポも違い、 英語で男性が歌うと別の曲のように聞こえます。 サビの部分の伸びやかな歌声と、 静かに終わってゆく幕切れが印象的。

「さてもうご存知と思いますが、次のEXPOは上海です。
 素敵な方を紹介していただきました。 先ほどのシェイ・クーさんはNYを中心に活躍しているアーティスト。 そしてこれから登場するアミン。 日本にも何年かいて、日本語も上手く 何年にも渡って中国と日本の橋渡しをしています。
 では紹介しましょう、アミン!」

 赤いドレス姿で登場。中国語でメッセージ、そして日本語で。
ア:「素晴らしいステージに呼んでいただいて光栄です」
ユ:「次の万博の時は呼んで下さいね」

(12) 卒業写真(song by amin)
 この曲でもユーミンはピアノを担当。 中国語の歌詞ですが、コーラス部分ではちゃんとハモっていて、 暖かい感じになっていました。 ユーミンの代表的なスタンダードナンバーだと実感しました。

 歌唱が終わってユーミン。
「中国語ってサウンドがフランス語みたいなところがあって、  この曲もおしゃれに聞こえてうれしかったです。
 さて終盤になりました。
 一杯の感謝の気持ちと、ずっとここにいたいという気持ちが 入り混じって複雑な気持ちです。
 ここで観ている方々も、広場で観ているみなさんもありがとう!
 今日のことは一生忘れません。」(大拍手)


(同時刻頃の(?)地球広場 (c) 読売新聞中部支社)


 (c) 中日新聞社
 ピアノメンバーが定位置に戻ってきて・・
(13) 満月のフォーチュン
 最初の山場が過ぎ、ホッとしたのか声の出具合はさらに順調。
 時々スクリーンに映るプロモーションビデオの中の、チャイナ風ドレスに身を包むユーミンは、無表情な人形にように見えますが、 何故かこの場面に合っています。これも良く練られた曲で、いつ聞いても気分が高揚してきます。

(14) スラバヤ通りの妹へ
 新川さんのイントロが既にゴスペル調。
 ステージ後方には、はっきりとは見えませんがコーラス隊の姿が浮かんでいます。 その数30人くらい。
 いつものイントロが流れ出し、スクリーンには子供たちの表情の映像が。 最初の「RASA…RASA SAYANG GEH」でド〜ンとコーラスが加わります。 すごい存在感。 曲の厚みも増し、映像の効果もあって、不覚にも涙がこぼれてきます。
 この曲も引き出しが多く、良く出来ているとあらためて感心しました。 お互いの気持ち、風景から歴史や時代の流れまで、すきがなく埋め込まれています。

(15) SAVE OUR SHIP
「青い船で」と共に「宇宙船地球号」という趣きもある曲。
 宇宙から見た地球や、青空の映像がスクリーンに流れます。 ピアノサウンドが重なり、コーラス隊の歌声も加わり壮大な感じ。
 終盤になり、場内に星空がパッと広がり、まるでプラネタリウムコンサート。 終わった時の拍手は、ここまでで一番大きかったように思います。

 (c) 中日新聞社
(16) Saint of love
 イントロは6人のピアニストが少しずつ弾き継いでゆくというスタイルで、 聞かせる場面でもあります。 ゴスペル隊との共演にふさわしい曲ですね。
 最後にはステージ後方よりモンゴルの(?)民族衣装を着た嵯峨治彦氏が ホーミーを奏でながら登場。 客席をなめるように撮るクレーンカメラの映像が両脇のモニターに映り、いい感じ。
 手拍子が鳴り響き、強力なコーラスの迫力とあいまって大いに盛り上がる会場。
「LEGEND OF THE ZUVUYA」ツアーを思い出します。
 歌い終えた後、嵯峨さんとゴスペル隊(アノインティッド・マス・クワイア)を紹介。

「このイベントのお話しを聞いた時、曲を作りたいと思いました。 次の上海につながればいいなと思いました。 この曲はインターネットの配信のみです。理由はどの国でも同時に聞けるからです。 どの国でどのように受け取られるか分かりませんが、 言葉の端々からメッセージが届くと思っています。
 アジアの友人たちにみんなもう一度出てきてもらいましょう。」
 ゲストが全員勢ぞろいします。


 (c) 産業経済新聞社
(17) Smile again
 ここでも天空のスライドが映り、 スクリーンにはステージの映像と共に4か国語で歌詞が流れます。 終盤、全員が並んで歌う場面は正に今回限りのスペシャルな場面。
 シェイ・クー氏は左端に座って演奏。
 いよいよ今夜のイベントの終わりを実感。

 ユーミンがもう一度ゲストを紹介し、ディックリーがユーミンを紹介。
 本編が終わってしまいました。
 長い長いアンコールの拍手、手拍子、呼び声。
 ふだんのコンサートに比べると、相当長いあいだ何の変化もありません。

(EC1) VOYAGER
 待ちくたびれそうになる頃に、いきなりイントロが流れ出します。 黒いドレスに衣装チェンジ、髪型もエレガントに変身してユーミン再登場。 ここでも誰も立たないのですが、アンコールにふさわしい曲だと思います。

「どうもありがとうございました。 それではここでゲストを呼びたいと思います。」
 ゲストが再登場。
「最後に一曲、みんなで歌いたいと思います」

(EC2) 春よ、来い
 一人一人、自分の国の言葉も交えて歌いつないでゆきます。 スクリーンには時々プロモ映像が流れます。 これでますます「国民的な曲」の位置をキープしそうです。
 終盤、桜吹雪。 ちゃんと花びらふうにカットしてありました。 最後はシェイ・クー氏の二胡のソロが切なく響きます。

 歌唱の後、ひとことづつゲストがメッセージを延べ、 「今日は本当にありがとうございました」とユーミン。 ドラが鳴り場内がピンク色になることはありませんでしたが、 ストリングスの後奏曲が流れるなか、 ついにスペシャルイベントは幕を閉じました。

 (c) 毎日新聞中部本社


■□ After Live □■


 終演は21時10分頃。
 もうパビリオンは閉まっています。
 バッグの中でつぶれてしまったメロンパン(確かに美味しい)と 自動販売機のコーヒーで夕食+喫煙タイム。 帰りは夜景を眺めながら東ゲートへ向かいます。
 場外へ出ると、ものすごい大混雑。 国会の牛歩戦術並みの早さで歩き、クルマを止めた場所へ移動。 ホテルまで送っていただき、24時頃に部屋に戻りました。
 長い一日は、充実感タップリで終了。

 一曲目の声の調子は不安にさせましたが、進行と共に快調に。
 本番に強い人なのか、観客の声援が良かったのか。
 ライブシリーズ「Love The Earth」を意識した選曲とゲスト。
 そして派手さはなくも良く練られた演出。
 前編はピアノ6重奏の見事さでアレンジの面白さを堪能。
 中盤のゲストコーナーでアジアの色に染め上げ、
 後編はゴスペル隊の効果も絶大で、自然と感動が沸いてきました。
 終わってみれば、ゲストでアジア一色感を見せながらも、 ユーミンが前面に出ていて見ごたえのあるコンサートでした。 同じ曲でも見せ方、聞かせ方が色々あるんだなと思わせました。 ヒット曲の連続かと予想していましたが、 知名度の高くないと思われる曲もあり、 ライブのテーマに合わせた選曲でした。 会場にはユーミンファンではなさそうな方や外国人の方もいましたが、 満足されたでしょうか。その点は気になります。

 思いもよらないルートからチケットが回ってきて本当に幸せ者ですね。
 (石を投げられても仕方がないかも・・)