松任谷由実選集五七五
(Update 99.4.18 23:13)
1998年10月5日(月)〜1999年4月2日(金)の採用作品
この週の題目「出発(たびだち)」
4月2日(金)
*優秀作品発表
青空に 白くVの字 北向かう (加賀谷 施以子 37才 団体職員)
*選評
何もその人の状況とか、心とかは書いてないんですけれど、青と白のコントラストからくる
寂寥感というのか、それがブイの字と合わさってですね、旅立ちを見事に
ビジュアルに心理的に言い表せてて、素晴らしい作品だったと思います。以上。
*挿入曲 「彼から手をひいて」
4月1日(木)
涙に色をつけて 君のシャツに残す (西村真美 16才 高校生)
「元気でね」 電車を追いかけ 叫ぶ母 (丸山やす子 37才 主婦)
「いってきます」 かきねをおれて 空あおぐ (岩波和子 37才 主婦)
*挿入曲 「消息」
3月31日(水)
出社するように家出て娘(こ)は稼ぎ (増田正 47才 靴小売業)
いつまでも 出発せずに 同居する (小木曽愛 32才 家事手伝い)
終止符を 打つため出発日(たつび)を告げず去る (島崎公恵 28才 主婦)
*挿入曲 「甘い予感」
3月30日(火)
乗り慣れた 列車の音も 新しく (安田稔 63才 無職)
「トゥモロー」という 職安の喫茶店 (水野タケシ 33才 コピーライター)
ランドセル 見送る母も 決意する (白鳥香苗 36才 主婦)
*挿入曲 「ANNIVERASARY」
3月29日(月)
表情が 判らぬ距離で 振り返り (滝澤朋子 28才 エンジニア)
初出勤 慣れぬ敬語に 焦る朝 (木村柴萌 38才 主婦)
青空に 白くVの字 北向かう (加賀谷 施以子 37才 団体職員)
*挿入曲 「一緒に暮らそう」
この週の題目「春」
3月26日(金)
*優秀作品発表
金色(きん)の綿 ひろげて種子(たね)は 旅に出る (島本雅己 28才 建設業)
*選評
もう惜しいところでですね、
微熱に似た 陽気をまとい 蝶と舞う (太田郁代 53才 保育園職員)
これはすごくカッコいいと思ったんですけどね、春とか桜とかの典型的な言葉を入れずに
春、温度感や旅立ちのそこはかとない哀しさが出てて、これにいたしました。どうも。
*挿入曲 「彼から手をひいて」
3月25日(木)
縁側で 子の白髪抜く 乳母桜(うばざくら)(上原フジ 88才 無職)
夜桜を 愛(め)でると 息の白さかな (宝城潤子 39才 通信機器メーカー事務)
微熱に似た 陽気をまとい 蝶と舞う (太田郁代 53才 保育園職員)
*挿入曲 「春よ、来い」
3月24日(水)
教科書を きれいに使う 一週間 (菅野可苗 15才 中学生)
梅をみて 桜みるまえ おわる恋 (松田真実 18才 高校生)
誘われて 降る・散る・舞うに 風を見る (平嶋冬実花 30才 OL)
*挿入曲 「ホームワーク」
3月23日(火)
二分咲きを 選んで座る 初デート (伊吹舞 33才 弁護士秘書)
母が来て 怒ると全部 桜散る (和田督也 11才 小学生)
よその庭 みながらさんぽ 春がくる (森崎眞理子 48才 主婦)
*挿入曲 「冬の終り」
3月22日(月)
ニューフェイス 視線のシャワー 浴びて春 (西野洋子 33才 主婦)
爛漫の 春なのに何故か 孤独なり (井上幸彦 50才 製造業)
金色(きん)の綿 ひろげて種子(たね)は 旅に出る (島本雅己 28才 建設業)
*挿入曲 「心ほどいて」
この週の題目「距離」
3月19日(金)
*優秀作品発表
人混みで 半年ぶりの 携帯鳴る (大木裕子 37才 元予備校教師)
*選評(苗プリにて)
なんか全て相手との距離や、ずれた時間が封じ込められていて、そこはかとなく
あとぎきもしますし、とても好きな作品でした。
*挿入曲 「彼から手をひいて」
3月18日(木)
「これから帰る」 子供達と待つ 明日の朝 (今井知美 31才 主婦)
キス重ね 日頃の距離を 埋める夜 (大日川雅宣 27才 医療商社)
立ちこぎで 彼に近付け 緑の自転車 (新田泰子 24才 卸売業)
*挿入曲 「生まれた街で」
3月17日(水)
二十年 広げずちぢめず ずーっと友達 (羽根佳子 44才 自営業)
あいずちの 「はい」を聞く度 かなしくて (伊藤智子 28才 OL)
人混みで 半年ぶりの 携帯鳴る (大木裕子 37才 元予備校教師)
*挿入曲 「あの日に帰りたい」
3月16日(火)
湘南の 砂残したる ブーツかな (三浦和日子 26才 OL)
寄るほどに 遠ざかる人 追う地獄 (村山真弓 40才 主婦)
老夫婦 ひとつの呼吸で 歩く朝かな (中原由紀子 35才 教諭)
*挿入曲 「たとえあなたが去って行っても」
3月15日(月)
「ここを右!」 小さなウソで 遠まわり (中武千佳 26才 事務)
1回も 同居しないで 離婚する (水野タケシ 33才 コピーライター)
つい見やる 君住む街の 空模様 (吉川育代 28才 書店事務)
*挿入曲 「届かないセレナーデ」
この週の題目「卒業」
3月12日(金)
*優秀作品発表!
駆け寄れば 第二ボタンは 既に無く (石畑由紀子 27才 家事手伝い)
*選評(苗プリにて)
もうなくなっていく、こう過ぎていく時の流れも含めて、
まあ読めば読む程、卒業の味が出てくるなと思って、選ばせていただきました。
*挿入曲 「彼から手をひいて」
3月11日(木)
卒業の 矢絣(やがすり)しのばす ラブレター (曽宮則子 57才 自由業)
上履きを 持って帰って 履いてみる (西川文彦 34才 銀行員)
最後の日 溶けきらぬ雪に 言葉なく (幸福志保里 15才 中学生)
*挿入曲 「忘れないでね」
3月10日(水)
想い出に 浸る間もなく 明日は受験 (石橋知恵 15才 中学生)
制服を 脱いで貴方と 朝帰り (遠藤ひとみ 40才 会社員)
「さようなら」 夕暮れ校庭 フリースロー (中西真枝 31才 在宅オペレーター)
*挿入曲 「卒業写真」
3月9日(火)
巣立ちゆく 子の卒業で 羽根のばし (小松房子 47才 主婦)
過ぎし日を 振り返る間もなし 来る電車 (野崎晶子 39才 主婦)
ほたるの光 練習したのに 涙があふれ (宮崎直人 15才 中学生)
*挿入曲 「水の影」
3月8日(月)
「またあした」 いつもの挨拶しちゃったね (浅見直美 26才 幼稚園教諭)
次の番 「ハイ!」がうらがえり 苦笑い (實川麻貴 45才 主婦)
駆け寄れば 第二ボタンは 既に無く (石畑由紀子 27才 家事手伝い)
*挿入曲 「最後の春休み」
この週の題目「運」
3月5日(金)
*優秀作品発表
わからへん 今までいいんか 悪いんか (南村芳美 販売員)
*選評
東の言語感覚でいくとですね、この「わからへん」というやはり関西の感じが
すごくおとぼけをね、醸し出していて運に対して楽観的かなあ、という雰囲気を
出してくれるのがいいなあと思いました。味のある作品だと思います。
*挿入曲 「彼から手をひいて」
3月4日(木)
運のない 蚊が叩かれる 猫だまし (井上ひろき 35才 印刷会社勤務)
運命の赤糸 君の指から二本 (小林裕子 37才 主婦)
お互いに ツイてないよと ジジとババ (志水信彦 36才 高校教諭)
*挿入曲 「GET AWAY」
3月3日(水)
手相見て 生命線だけ ほめられる (中村理子 20才 学生)
逆境の こぶしが刻む 運命線(みちしるべ) (志野瑠伊 23才 Gデザイナー)
くるくると 彼は待つ彼 予告する (大和田かこ 50才 塾経営)
*挿入曲 「SALAAM MOUSSON SALLAM AFRIQUE」
3月2日(火)
ラッキーデー 「身近な彼」は オヤジなり (吉川育代 28才 書店事務)
出会えたと 運命に感謝 されど不倫 (宮田譜未 21才 コンピュータ会社)
わからへん 今までいいんか 悪いんか (南村芳美 販売員)
*挿入曲 「REINCARNATION」
3月1日(月)
運命と 思わせ実は 狙い撃ち (柳沢良隆 17才 高校生)
幸運も不運も 無さ過ぎ あくび出る (片田里志 57才 自動車会社事務)
花びらの 数を確かめ 花占い (滝澤朋子 27才 エンジニア)
*挿入曲 「恋はNo-return」
この週の題目「試験」
2月26日(金)
*優秀作品発表!
「ガンバレ!」の 海苔文字 蓋に持ってかれ (南村香里 34才 フリーライター)
*選評
うまいですね〜。この試験という題目ならではの海苔文字なんていう言葉は
普通ありませんから、これをリズムにもカタチにもはめて全体の流れ、もう
素晴らしかったと思います。
*挿入曲 「彼から手をひいて」
2月25日(木)
コンビニで ホッと一息 受験生 (安井悦子 35才 コンビニ経営)
面接の 時は立派に 見えた人 (水野タケシ 33才 コピーライター)
超難関 アナタの心 合格祈願 (坂口夕希子 11才 小学生)
*挿入曲 「ずっとそばに」
2月24日(水)
一夜漬け 浅漬けすぎて 日保(ひも)ちせず (大貫綾子 26才 メーカー勤務)
四十路(よそじ)にて 試験解けない 悪夢見る (あそあつこ 39才 主婦)
片恋の 行方もかかる 受験かな (石畑由紀子 27才 家事手伝い)
*挿入曲「サンドキャッスル」
2月23日(火)
「あと五分!」 シャーペン詰まり 息詰まる (澤山誠 34才 ホームページデザイナー)
夜食よと すすめる母の 二重あご (衣川絵美里 15才 中学生)
はや帰り 制服の群れで 季節知る (柴坂紀美江 35才 主婦)
*挿入曲 「KATHMANDU」
2月22日(月)
「ガンバレ!」の 海苔文字 蓋に持ってかれ (南村香里 34才 フリーライター)
雰囲気は 出てた感じがする解答 (水野タケシ 33才 コピーライター)
あなただけ 解いてしまった 私の心 (山戸めぐみ 25才 主婦)
*挿入曲「無限の中の一度」
この週の題目「笑う」
2月19日(金)
*優秀作品発表
から笑い 気持ち安めの つなぎかな (寺田由里穂 25才 フリーター)
*選評
これが表現しにくい、今どきのその笑いの質というのを端的に表していたんじゃないかと
思います。これを今週の優秀作品にさせていただきます。
*挿入曲 「彼から手をひいて」
2月18日(木)
笑顔笑顔 小さな生命(いのち) 囲む幸(さち)(大日川雅宣 27才 医療商社勤務)
その笑顔 信じていいの お姑(かあ)さん? (川崎久美子 33才 主婦)
嬉しくて泣き 哀しくて 笑う母 (三崎伴子 56才 主婦)
*挿入曲 「悲しいほどお天気」
2月17日(水)
やっぱりね 同じ笑顔を あの娘(こ)にも (三吉明美 28才 主婦)
顔よりも 笑う時間が 長い脂肪(にく) (水野タケシ 33才 コピーライター)
から笑い 気持ち安めの つなぎかな (寺田由里穂 25才 フリーター)
*挿入曲 「緑の町に舞い降りて」
2月16日(火)
スパルタを アスパラと読む 子に笑う (岩崎麻美 38才 主婦)
「ダメだった。」と 笑う彼見て 笑えなかった (宗田友美 26才 自動車販売員)
満面の 笑みで迎える 午前様 (あそあつこ 39才 主婦)
*挿入曲 「Walk on,Walk on by」
2月15日(月)
いたずらの 眉毛知らずに 笑う柴犬(いぬ) (島本雅己 28才 建築業)
生徒らの ヤマを外して ほくそ笑む (志水信彦 36才 高校教諭)
旅だちて 君の笑顔を 母は待つ (竹内和美 50才 主婦)
*挿入曲 「ガールフレンズ」
この週の題目「バレンタインデー」
2月12日(金)
優秀作品発表!
そして今週の優秀作品なんですれけど、もうこれは「恐れ入りました!」という
夜の街 檀家廻りの 和尚かな (照井茂人 73才 無職)
*選評
ひとつもバレンタインデーを描いていないのに、和尚と夜の街、檀家ま巡り、
あ〜全部ほめてしまいますけれども、すごいです、この五七五。
やはり洗練を追求したいというのがね、こちらのポリシーなので、
まあ良く研ぎ澄まされてるさすがの年齢、さすがのテクニック、さすがの感性。
73才の無職の方だそうですけど、こういう人と交際してみたいなという気持ちにも
なりました。これで大決まり!
*挿入曲 「彼から手をひいて」
2月11日(木)
チョコレート 送れぬ恋に 気がついて (林実千代 40才 主婦)
みんなから 離れるあいつ 待ってるな (堀内利晃 17才 高校生)
急展開! 告白直前 人事異動 (竹内みや子 32才 主婦)
*挿入曲 「Valentine's RADIO」
2月10日(水)
バレンタイン 亭主のカバンを そっと開け (村上慶子 31才 主婦)
キムタクに 本命チョコを 作る母 (あそあつこ 39才 主婦)
義理チョコを 一生懸命 食べる妻 (太田弘子 38才 主婦)
*挿入曲 「風の中の栗毛」
2月9日(火)
義理チョコの リストリストラ 強化する (水野タケシ 33才 コピーライター)
夜の街 檀家廻りの 和尚かな (照井茂人 73才 無職)
配達日 逆算して送る 遠距離恋愛 (野村宮子 31才 学校事務)
*挿入曲 「そのまま」
2月8日(月)
引き出しに 眠る去年の 片想い (滝澤朋子 27才 エンジニア)
朝早く 登校したら みんないる (戸金来香 20才 OL)
義理チョコと 言って渡す手 ふるえてる (栗田和美 31才 会計事務所勤務)
*挿入曲 「WANDERERS」
この週の題目「月・星」
2月5日(金)
優秀作品発表!
うさぎつく おもちを祖母が 月で食べ (中村知代 14才 中学生)
*選評
亡くなった方のことを託してるヘビーな句とかも多〜かったんですが、
これはポップに、でも心暖まる、映像的で本当にあの見た瞬間
ちょっと涙まで出そうになってしまった、これが今週の最優秀作品です。
どうも。
*挿入曲 「彼から手をひいて」
2月4日(木)
「月キレイ」 口実にして 電話する (内山志保 19才 大学生)
口論に 逃げて輪を出た 昼の月 (重見美代 69才 主婦)
うさぎつく おもちを祖母が 月で食べ (中村知代 14才 中学生)
*挿入曲 「Man In the Moon」
2月3日(水)
十五夜の 風に吹かれる 塾帰り (中村知代 14才 中学生)
六分の一の軽さで誘う恋 (城名景琳 39才 研究室秘書)
まだ来ない 君を下弦の月と待つ (林房代 30才 主婦)
*挿入曲 「満月のフォーチュン」
2月2日(火)
夜勤明け さかさの月に 見守られ (松本織絵 32才 ワープロオペレータ)
三日月が 別れた男の 口に見え (後藤ゆかり 35才 主婦)
ラッシュアワー ネオンの隣りに 月宿る (大木裕子 37才 元予備校講師)
*挿入曲 「ジャコビニ彗星の日」
2月1日(月)
外泊を 戸惑ううちに 朝の月 (渡辺裕三子 34才 主婦)
戯れに 星座作って 君を待つ (志水信彦 35才 教諭)
魔女が翔ぶ あやしき光 十三夜 (北山紀美 33才 主婦)
*挿入曲 「14番目の月」
この週の題目「料理」
1月29日(金)
優秀作品発表!
君とキス 踊る野菜と やかんの音 (森田美和 25才 OL)
*選評
季節感もなんかワクワクしたお料理を作っている雰囲気も出てて
すごくいい作品だったと思います。以上。
*挿入曲 「彼から手をひいて」
1月28日(木)
いつの間に 義母(はは)の味付け 近付いて (松田千鶴子 45才 主婦)
腹を立て 一心不乱の ハンバーグ (舟崎尚子 31才 システムエンジニア)
春を待つ 日記代わりの レシピ帳 (南村香里 34才 フリーライター)
*挿入曲 「告白」
1月27日(水)
手料理を 食べて抜き差し ならぬ仲 (藤林正則 44才 教諭)
ガラムマサラ いつものカレーに 呪文とく (大木 裕子 37才 元予備校講師)
君とキス 踊る野菜と やかんの音 (森田美和 25才 OL)
*挿入曲 「チャイニーズ・スープ」
1月26日(火)
冷蔵庫 ラップのパセリに 疑念抱く (市丸由美子 24才 人材派遣事務)
はじめての メニューやめろと いう夫 (松田千代 35才 主婦)
はしり書き レシピに残る 遠き母 (森田典子 38才 主婦)
*挿入曲 「まちぶせ」
1月25日(月)
君めざし 頭だすねぎ ゆれるバス (森田美和 25才 OL)
焦る嫁 父母の入れ歯に かたい肉 (山崎比奈子 31才 主婦)
ご飯食べる ぼくの顔を 見つめる母 (武倫太郎 13才 中学生)
*挿入曲 「昔の彼に会うのなら」
この週の題目「化粧」
1月22日(金)
優秀作品発表!
さんかん日 いつもとちがう 母のかお (大元彩実 7才 小学生)
*選評
もうこれもまはってしまいました。7才、小学生ですけれど。
「いつもよりきれい」とか言うより、「いつもと違う」、単に違うって
考えているところがとてもポップで良かったです。
ということで、どうも。
*挿入曲 「彼から手をひいて」
1月21日(木)
ストローに 口紅ついた 七五三 (片岡亜由美 21才 大学生)
薄紅に 君との偶然 願い込め (前川春奈 27才 主婦)
美しく 老い度(た)き日々の 薄化粧 (前中佐代 78才 主婦)
*挿入曲 「ハルジョオン ヒメジョオン」
1月20日(水)
ペディキュアをして つまらなき夜もあり (岩田暁子 29才 主婦)
さんかん日 いつもとちがう 母のかお (大元彩実 7才 小学生)
紅をさす 娘の背中は 恋の色 (上田美織 31才 主婦)
*挿入曲 「魔法の鏡」
1月19日(火)
化粧終え 視線そらした 友に笑(え)み (市川りな 22才 化粧品会社事務)
右側で まゆげ無いよと 彼が言ふ (山内尚子 19才 大学生)
夜の客 聞こえぬふりして ラインひく (西浦一枝 42才 主婦)
*挿入曲 「私を忘れる頃」」
1月18日(月)
携帯の メロディ合図に 口紅(べに)をひき (松本織絵 32才 ワープロオペレーター)
久々の 夫は気づかず うす化粧 (島田里美 47才 主婦)
素顔(スッピン)で 貴方に会える 私好き (濱屋ルミ子 33才 OL)
*挿入曲 「Sunny day Holiday」
この週の題目「オトナ」
1月15日(金)
優秀作品発表!
愛犬が 娘より早く 女になる (小林ゆり 42才 主婦)
*選評
これはもう大受けしました。ポップでいいですね〜。
動物の一生に比べ人の一生は長いなあと、大人になってからの時間も
長いなあと思いました。というわけでどうも。
*挿入曲 「彼から手をひいて」
1月14日(木)
後れ毛を かき上げる娘(こ)に はっとする (ありむらたかこ 38才 主婦)
ブラックに 顔をしかめる 徹夜あけ (水野タケシ 33才 コピーライター)
振り袖の すこし疲れて 幼顔 (滝澤朋子 27才 エンジニア)
*挿入曲 「5cmの向こう岸」
1月13日(水)
いっこうに 縮まらぬ距離 楽しみて (林実千代 40才 主婦)
あと七年 だれもがふりむく 振り袖姿 (古屋千夏 13才 中校生)
衝動を 見すごす自分に 安堵して (吉村奈保子 28才 自営業)
*挿入曲 「ノーサイド」
1月12日(火)
君のこと 思い出になり 大人かな (松浦真紀 29才 OL)
パソコンと 書類の山みて リラックス (盛晋作 18才 高校生)
48才(しじゅうはち)大人になれず 子は4人 (丸谷和子 48才 主婦)
*挿入曲 「何もきかないで」
1月11日(月)
無理をせず 幸せ見つける 癖がつき (吉村奈保子 28才 自営業)
愛犬が 娘より早く 女になる (小林ゆり 42才 主婦)
振袖に 合鍵しのばせ 見合い写真 (中原由紀子 35才 教諭)
*挿入曲「"VOYAGER" 日付のない墓標」
この週の題目「お正月」
1月8日(金)
あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしく。
お年玉、初詣、おみくじ、年賀状、といったならではの名詞を使って
美しくまとめるという作品が多かったです。
優秀作品発表!
煩悩(ぼんのう)の 鐘の音(ね)のなか おめでとう (高橋結花 36才 主婦)
*選評
いろんな事があっても、いろんな欲があっても、何だかこうお正月は毎年巡ってきて
なしくずし的に過ぎていくなあ、というすごく日本的な気がしたので、
解釈によっては深いなあと思って選ばせていただきました。
というわけで、重ね重ね今年もどうぞよろしくお願いします。
*挿入曲 「彼から手をひいて」
1月7日(木)
初もうで 寒さこらえて 見栄晴着 (木村柴萠 38才 主婦)
おとしだま いつのまにやら ママのもの (くどうゆみな 7才 小学生)
きみからの 賀状最初の 宝物 (大野裕美 20才 大学生)
*挿入曲 「情熱に届かない〜Don't Let Me Go」
1月6日(水)
一夜にて おみくじの花 満開に (水野タケシ 33才 コピーライター)
声飛び交い 足場満席 炬燵(こたつ)部屋 (大日川雅宣 27才 医療商社)
煩悩(ぼんのう)の 鐘の音(ね)のなか おめでとう (高橋結花 36才 主婦)
*挿入曲 「春よ、来い」
1月5日(火)
お年玉 不景気影響 下がり気味 (水上加奈子 14才 中学生)
よそ行きの カマボコ義母(ママ)と 箱の隅 (城名景琳 39才 研究室秘書)
みかん食べ 我が身不倫を かみしめる (木下あつこ 25才 公務員)
*挿入曲 「ホライズンを追いかけて」
1月4日(月)
「旧姓」と うれしはずかし かっこ書き (西野洋子 33才 主婦)
初詣で 手をあわす君 ぬすみみる (丹下純 30才 主婦)
まぶしくて 晴着の娘を 避ける父 (竹越陽子 42才主婦)
*挿入曲 「A HAPPY NEW YEAR」
特別編(年末企画)
12月29日(火)
*今期最優秀作品発表!
あなただけ 済んだ瞳は 悪魔の笑顔… (高野 知美 24才 絵本美術館勤務)
*選評
これはもうビジュアルにもですね読んでみた感じでもですね、「嘘」という題目へ
お寄せいただいたものですけれど、本当に素晴らしく奥が深いなあと、ポップでもあり
感心いたしました。これを今期の最優秀集作品とさせていただきます。
というわけで、みなさんからのビビッドで感性豊かな「五七五」をこれからも
「めざましテレビ」までどんどんお寄せ下さい。それでは良いお年を。
*挿入曲 「Good Luck and Good-by」
12月28日(月)
おはようございま〜す。今日と明日の「松任谷由実選集五七五」は特別編です。
(応募総数8393通)
女性からの物がまあ8割がただったんですけれど、最年少は3歳の男の子から81歳の女性の方
まで幅広くお寄せいただいて本当にうれしい限りです。
ドライブ、旅行、時間、嘘、といった働き盛り・恋愛盛りにヒットする題目では30〜40代
の方から充実した作品を数多くいただき、それから写真は意外にも中高生からの応募作品が
とても多かったです。プリクラなんかと連動しているからかもしれませんね。
毎回披講させていただいて目で読むだけでは判断できないというか、音にした時に思わぬ
日常的な言い回しが明快なリズムを持つんだなあとか、職業、年齢、その人の肩書きと言うと
冷たいですけれどその「五七五」が一緒になった時にスゴイ立体感を増して見えまして、
読んだだけで立体的にとらえられるようになれたらいいなって。
これからも毎朝きついボディブローのような番組で攻めて行きたいと思っていますので、
みなさんからのビビッドで感性豊かな「五七五」、これからも募集しています。
「めざましテレビ」までどんどんお寄せ下さい。
そして明日29日は今期の最優秀作品を選ぶことになっています。ご期待下さい。
*挿入曲 「雪だより」
この週の題目「クリスマス」
12月25日(金)
優秀作品発表!
クリスマス 特別な君を 僕は待つ (三浦 友和 14才 中学生)
*選評
ま、原石のようなこの句がですね、実は独特のリズムが伝わってきて
文学の香りも高いというか、「特別な君を僕は待つ」という言い方がね
中学生という肩書きはもう飛び越えて、何かクリスマスの全ての感情をですね
凝縮したようなとても素晴らしい「五七五」だったと思います。
*挿入曲 「Angel Cryin' X'mas」
12月24日(木)
クリスマス 財布の中に 雪が降る (萩原 百合子 49才 主婦)
目が覚めて すり足歩く 親父かな (古澤 正弘 18才 学生)
街路樹の 点滅ごとの 息づかい (式部 稜一郎 40才 警備会社)
*挿入曲 「恋人がサンタクロース」
12月23日(水)
イブまでに 彼女できなきゃ ボウズ決定 (古川 和寛 19才 公務員)
彼として 最後にしたい イヴの夜 (大桑 里美 39才 アミューズメントストア経営)
サンタ待つ 寝顔に遠き 自分いて (関口 郷子 33才 主婦)
*挿入曲 「サーフ天国 スキー天国」
12月22日(火)
シングルの 女友達 キープする (中元 めぐみ 28才 アルバイト)
降り積もる 未処理の書類に キャンドルも無し (堀井 範子 22才 主婦)
「友だちはキスしないんでしょ?」 シャンパンの味 (中村 真由美 18才 高校生)
*挿入曲 「ロッジで待つクリスマス」
12月21日(月)
にやけちゃう ツリーの横で あと5分 (友田 順子 26才 教師)
イブの日を 「課外がある」と 夢こわす (伊藤 あゆみ 16才 高校生)
クリスマス 特別な君を 僕は待つ (三浦 友和 14才 中学生)
*挿入曲 「BLIZZARD」
この週の題目「イブ(前日)」
12月18日(金)
優秀作品発表!
明日のいま 既に承知で 引き返せぬ今夜 (小室 理桜 22才 会社員)
*選評
抽象的なようなんですけれど、うれしくも不安も全部含めてイブというのは
こういう気持ちなんじゃないだろうか、見ているうちに味が出てくる
「五七五」でありました。
*挿入曲 「彼から手をひいて」
12月17日(木)
Congratulations!! 貴方(あなた)とのカウンタリセットす
(菅かおり 29才 電気機器メーカー)
雪降りて あすのドレスと なりにけり (西沢 有里 33才 主婦)
これでいいの? 悩む花嫁 もうひとり (花田 順子 33才 主婦)
*挿入曲 「12月の雨」
12月16日(水)
明日逢える? ひとりの夜は いつもイヴ… (金森 恵美子 36才 主婦)
明日の朝 5年の月日 精算す (志水 信彦 36才 高校教諭)
父ひとり アルバム綴る 結婚(しき)前夜 (佐野 理恵 25才 病院職員)
*挿入曲 「メトロポリスの片隅で」
12月15日(火)
恋文を わたす前夜の 緊張感 (門脇 優里 15才 中学生)
リストライブ 空しさ噛み締め 残業する (市丸 由美子 24才 人材派遣事務)
除夜の鐘 明日が今日に 変わるだけ (横尾 佐和子 34才 建設業)
*挿入曲 「愛は…I can't wait for you,anymore」
12月14日(月)
君の誕生 待たずにかわした 前夜の祝杯 (子安 貴子 32才 家事手伝い)
手あらいの 下着を乾して 前々夜 (吉川 育代 28才 書店事務)
明日のいま 既に承知で 引き返せぬ今夜 (小室 理桜 22才 会社員)
*挿入曲 「LOVE WARS」
この週の題目「カラオケ」
12月11日(金)
優秀作品発表!
ライト浴び 六十の母 愛唄う (大内 美由紀 35才 主婦)
*選評
いいですね〜。60の母あたりだと、けっこう「サントワマミー」とかを
唄ってほしいものです。これを選ばせていただきました。
*挿入曲 「彼から手をひいて」
12月10日(木)
選曲で 心読まれて なるものか (河合 翔 38才 主婦)
リクエスト 選ぶふりする 羞恥心 (上原 聖 34才 OL)
定年後 夫婦で争う マイクかな (前田 ハルミ 24才 主婦)
*挿入曲 「わき役でいいから」
12月9日(水)
まだあるの 最後のサビ前 拍手の嵐 (大杉 紀子 37才 主婦)
横取った 他人(ひと)の十八番(おはこ)で 非難の眼 (臼井 孝治 20才 大学生)
「そんな声なんだ」 どんな声ならいいの (酒井 美香 28才 電気機器メーカー)
*挿入曲 「最後の嘘」
12月8日(火)
歌聞いて 百年の恋 冷めまくる (谷内 美雪 36才 主婦)
ラブソング 熱唱する君 見ないふり (佐藤 聖子 32才 主婦)
ライト浴び 六十の母 愛唄う (大内 美由紀 35才 主婦)
*挿入曲 「地中海の感傷」
12月7日(月)
「お目当ての」 前だと変わる レパートリー (中村 悦子 18才 大学生)
家人の知らぬ父 喜寿うたい酔ひ (城名 景琳 39才 研究室秘書)
お局(つぼね)に いやみ云われて シャウトする (川橋 佐智子 32才 元OL)
*挿入曲 「真夏の夜の夢」
この週の題目「嘘」
12月4日(金)
優秀作品発表!
あなただけ 澄んだ瞳は 悪魔の笑顔… (高野 知美 24才 絵本美術館勤務)
*選評
嘘というものを、ね〜、良く表現しているじゃありませんか。。
*挿入曲 「彼から手をひいて」
12月3日(木)
「来たばかり…」 ごまかす手先 凍りつく (金子 明香里 35才 主婦)
かまかけて あとあじ悪く 鍋つつき (渡辺 美枝 40才 主婦)
会えなくて 寂しくないよと 寂しい嘘 (神野 仁志 17才 高校生)
*挿入曲 「groove in retro」
12月2日(水)
あなただけ 澄んだ瞳は 悪魔の笑顔… (高野 知美 24才 絵本美術館勤務)
嘘ついて 外泊するも 親孝行 (南波 紫 26才 バス会社勤務)
逃げ道を 用意しつつも 嘘を解く (大石 智美 29才 車リース会社)
*挿入曲 「輪舞曲」
12月1日(火)
おいしいね 小さな嘘は 思いやり (高橋 結花 36才 主婦)
待ち合わせ 時間ずらして 陰で見る (臼井 孝治 20才 大学生)
愛冷めて 言い訳の嘘 腹立たず (あそ あつこ 39才 主婦)
*挿入曲 「ESPER」
11月30日(月)
まばたきも 早口になる 君がスキ (うえの まゆみ 28才 写真展事務)
「まりこんち」 ほんとはいつも 「まなぶんち」 (酒井 美香 28才 電気機器メーカー)
あれは嘘 気付かぬふりして つなぐ指 (福原 さかえ 29才 家事手伝い)
*挿入曲 「埠頭を渡る風」
この週の題目「遊園地」
11月27日(金)
優秀作品発表!
障子破れ 我が家はネコの 遊園地 (高橋 結花 36才 主婦)
*選評
これはツボに入ってしまいまして、何故かと言うと、まあみんな遊園地ということで、
一つのイメージをまず映像的に持つわけですよね。それをくつがえして、遊園地という
言葉に、もう言葉のみをDIGしていった結果、ほんとにあの、猫にとってはね遊園地
なんでしょうけど、飛び跳ねた映像が新鮮だなあと思って、これで今週は決まり!
*挿入曲 「彼から手をひいて」
11月26日(木)
じゃんけんで 別れて秋の ボートかな (高井 美由 37才 販売員)
観覧車 会話途切れて 春の雲 (今井 智子 31才 主婦)
父と手を つないだあの日 宝物 (永井 たかこ 26才 アルバイト)
*挿入曲 「自由への翼」
25日(水)
運命の 時間(とき)をかけた 水しぶき (小松 二千枝 42才 主婦)
星明かり ジャングルジムの 二人かな (古川 裕子 30才 コピーライター)
障子破れ 我が家はネコの 遊園地 (高橋 結花 36才 主婦)
*挿入曲 「DANG DANG」
11月24日(火)
待ち時間 長い分だけ ときめいて (島谷 恵 30才 フリーライター)
初デート お化け屋敷で チャンス来い (菅又 由香 24才 主婦)
今はただ 運転席から 遊園地 (那順 蒔子 25才 会社員)
*挿入曲 「きっと言える」
11月23日(月)
夕暮れて 鼓動高まる 観覧車 (志水 信彦 35才 会社員)
はじめての 回転木馬 パパの背で (村松 和代 32才 主婦)
ブランコの ひとりで揺れる 月夜かな (山崎 明日香 25才 OL)
*挿入曲 「青いエアメイル」
この週の題目「写真」
11月20日(金)
優秀作品発表!
逆光の 君が微笑む 花芒(はなすすき) (菅野 奈都子 27才 会社員)
*選評
無条件に美しいなあと。写真がこうとらえる光のハレーションみたいなもの、
すすきは特に逆光で見るのが本当に美しいという感じで、その秋の弱い光が
あちこちで、写真のそこここでハレーションを弱く写し出しているような
空気感が伝わってきて本当に好きな五七五でした。
*挿入曲「彼から手をひいて」
11月19日(木)
着ぶくれて シャッターチャンスに 映されり (玉石 早苗 31才 OL)
彼と撮る 写真はいつも ひとりづつ (井手口 朋子 27才 主婦)
写真立て 早く入れたい 次の恋 (中川 今日子 19才 学生)
*挿入曲「Broken Barricade」
11月18日(水)
幽霊の 覗いてゆきし ファインダー (安藤 久美 39才 ピアノ教師)
いつまでも ピントの合わない 淋しい恋 (加藤江伊子 29才 会社員)
逆光の 君が微笑む 花芒(はなすすき) (菅野 奈都子 27才 会社員)
*挿入曲「カンナ8号線」
11月17日(火)
放課後の 彼とカノジョを 隠し撮り (鈴木 まりも 18才 高校生)
捨ててなお 心にあるネガ 写しだす (工藤 美智代 39才 会社員)
はじめまして 5mmの君は エコー写真 (森 早苗 29才 主婦)
*挿入曲 「少しだけ片想い」
11月16日(月)
切り取った 集合写真の ツーショット (小堀 葉子 32才 OL)
新しき 家族のふえて 初写真 (古川 裕子 30才 コピーライター)
前カレを 写真立てごと 処分する (水野 ユミ 31才 看護婦)
*挿入曲「リフレインが叫んでる」
この週の題目「時間」
優秀作品発表!
11月13日(金)
15年 過ぎてまだなお 時期(とき)を待つ (斉藤 百恵 40才 パッチワーク講師)
*選評
これは深いですね。パッチワーク講師の方。
時間をものともしない、え〜15年のね、重さというんでしょうか、
軽さというんでしょうか、速さ遅さがこのひとつの五七五に封じ込められてるような
感じがしました。今週も楽しませていただきました。
*挿入曲「彼から手をひいて」
11月12日(木)
彼と彼 揃いの時計に 疑惑あり (市丸 由美子 24才 OL)
アイスティ つつき続けて 一時間 (酒井 美帆 21才 大学生)
一時間 待たされてゐる 浴衣かな (北嶋 正子 29才 教師)
*挿入曲 「残暑」
11月11日(水)
枯葉散る 数秒間の 舞踏会 (塩野 このみ 31才 公務員)
あと十分 待って浴衣を 脱ぐつもり (塚本ゆうな 40才 公務員)
昔は母 今はわたしが 目覚まし時計 (太田 里歌 29才 主婦)
*挿入曲「時をかける少女」
11月10日(火)
5分過ぎ 秋の新色 息切らし (小堀 葉子 32才 OL)
”ずっと”という 言葉に魔法を かけられて (宗田 友美 26才 OL)
15年 過ぎてまだなお 時期(とき)を待つ (斉藤 百恵 40才 パッチワーク講師)
*挿入曲「ダイアモンドダストが消えぬまに」
11月9日(月)
待ちすぎて 最後の5分が 待てなくて (桑原 愛子 19才 大学生)
初デート 時が止まったまま過ぎる (藤林 郁甫 44才 主婦)
五年後の プラン語りて 春立ちぬ (池田良子 49才 主婦)
*挿入曲 「DESITNY」
この週の題目「旅(ドライブ)」
11月6日(金)
優秀作品発表!
しゃがみこみ 萩に隠れて 名まえ呼ぶ (ちだ みどり 36才 主婦)
*選評
これも夫婦でね、けんちゃんとか言いながら(笑)、季節感ありの
お茶目な感じもあり、今週、優秀作品に選ばせていただきました。
*挿入曲「彼から手をひいて」
11月5日(木)
しゃがみこみ 萩に隠れて 名まえ呼ぶ (ちだ みどり 36才 主婦)
もう一度 燃え上がりたい 紅葉狩り (水野 ユミ 31才 看護婦)
奥さんと 呼ばれとまどう 旅路かな (犬塚 悦子 38才 主婦)
*挿入曲「Holiday in Acapulco」
11月 4日(水)
はじめてが 最後にかわる 二人旅 (大木 裕子 37才 元予備校教講師)
街遠く 青葉若葉の 中にゐる (川上 朝子 24才 商社勤務)
トンネルで 車窓(まど)にナイショの ツーショット (吉田まどか 26才 兼業主婦)
*挿入曲「きみなき世界」
11月3日(火)
私より 車気遣う バカ野郎 (大木 裕子 37才 元予備校講師)
素っぴんを 見られる旅の 恥ずかしさ (犬塚 悦子 38才 主婦)
紅葉の ドライブ 何も聞けなくて (出口 寛(とう)子 24才 アナウンサー)
*挿入曲「守ってあげたい」
11月2日(月)
確信犯 お泊まりセット 置き忘れ (川口 真子 18才 短大生)
あじさい路 あなたの肩に もたれかけ (多田 多美子 48才 公務員)
月ひとつ 目印として ドライブす (中村 かずえ 30才 OL)
*挿入曲「Valentine's RADIO」
この週の題目「通勤(学)電車」
10月30日(金)
優秀作品発表!
爽やかに 母校の制服 駆け込めり (清家 明日香 26才 雑貨店販売員)
*選評
青春物に弱いワタクシ。あたかも自分も制服を着てそこに乗っていたような
フラッシュバックしちゃう切なさが、とても良かったと思います。
*挿入曲「彼から手をひいて」
10月29日(木)
吊り皮の のんびり揺れて 春隣 (倉橋 みどり 32才 印刷会社)
三両目 君をみつめて 夏始め (服部 泰美 35才 主婦)
改札に 君を待ちたる 秋灯(あきともし) (伊勢友機 26才 銀行員)
*挿入曲「DOWNTOWN BOY」
28日(水)
ラッシュアワー 頭の中で 鶴を折る (水野 タケシ 33才 フリーライター)
途中下車といふ 冒険や 秋うらら (横山 元美 29才 会社員)
ロッカールーム 香水の 立ち話 (小出 さつき 25才 化粧品会社)
*挿入曲「ふってあげる」
27日(火)
名も知らぬ 君と揺られし ラッシュアワー (武田 健 30才 フリーライター)
シクラメンの 首筋撫でる 視線発見 (柏木 彩里 14才 中学生)
勤め終え 主婦にもどりて 大根買ふ (安藤 美和子 50才 主婦)
*挿入曲「朝陽の中で微笑んで」
26日(月)
網棚に 愛を忘れる 倦怠期 (水野 タケシ 33才 コピーライター)
爽やかに 母校の制服 駆け込めり (清家 明日香 26才 雑貨店販売員)
電車から 明かり見つける 彼の部屋 (手島 絹代 34才 OL)
*挿入曲「シンデレラ・エクスプレス」
この週の題目「手紙」
10月23日(金)
優秀作品発表!
戸惑ふと 知りつつ君へ 賀状書く (渡辺 千春 31才 企画会社)
*選評
歌というか短編小説というか、もうこれを見るだけでいろんなストーリーが
あるんだなあというのを感じさせてもらえるので、心に残りました。
*挿入曲「彼から手をひいて」
10月22日(木)
旧姓で 届きし文や 梅雨晴間 (北 かをる 43才 主婦)
「逢ひたい」の 文字を送って 四月馬鹿 (青木いずみ 23才 会社員)
戸惑ふと 知りつつ君へ 賀状書く (渡辺 千春 31才 企画会社)
*挿入曲「シーズンオフの心には」
10月21日(水)
デジタルの 恋文来たり フリージア (池田 美樹 31才 編集者)
待ちわびて 便り来ぬ日の 石鹸(シャボン)玉 (高井 美由 38才 販売員)
長き夜や 一行だけの ラブレター (高橋 真由美 36才 農協職員)
*挿入曲「ビュッフェにて」
10月20日(火)
逢ひたいの 一筆足りぬ 夏見舞 (中島 ちなみ 31才 フリーライター)
ラブレター ファクスやめて 速達便 (富樫 岳 50才 ステンドグラス作家)
Eメール 密かに届く 雪の夜 (高尾 早弓 34才 会社員)
*挿入曲「冷たい雨」
10月19日(月)
”会いたい”と紅葉挟んだ エアメール (あそあつこ 39才 主婦)
覚えある 君の筆跡 風光る (堀木 ゆうな 40才 公務員)
友達に 戻った後の かもめーる (小林 奈穂 24才 郵便局勤務)
*挿入曲「ダンデライオン〜遅咲きのたんぽぽ」
この週の題目「ケンカ」
10月16日(金)
優秀作品発表!
ひたすらに キャベツを刻み 頷(うなず)かず (丸山 ひさの 26才 銀行員)
選評
キャベツ独特のツンとさわやかなにおいと、水に流すというか必ず水にさらすわけで
そんなキャベツをとりまく空気感を「頷(うなず)かず」でしめるところが見事
だったと思います。
*挿入曲「彼から手をひいて」
10月15日(木)
会話途切れて レモンティ 渋くなる (横山 元美 30才 OL)
芋煮えて 仲直りする 母娘(ははむすめ) (高嶺 祥子 35才 化粧品会社)
言い過ぎて 夕焼けさえも せつなくて (金子明香里 35才 主婦)
*挿入曲「避暑地の出来事」
10月14日(水)
秋風や とりつくしまも ない背中 (岩田 暁子 29才 予備校教師)
アメリカの 夢がなんなの さくらんぼ (清水 美穂 31才 公務員)
香水纏(まと)ひ 矢面に 立つ覚悟 (伊藤 野津子 38才 公務員)
*挿入曲「恋の一時間は孤独の千年」
10月13日(火)
ケンカにも 飽きてしまひし ナビシート (渡辺 朋美 22才 大学生)
ふくれっ面 なだめてキスして 笑顔かな (相原 健太郎 28才 会社員)
ひたすらに キャベツを刻み 頷(うなず)かず (丸山 ひさの 26才 銀行員)
*挿入曲「真珠のピアス」
10月12日(月)
捨てぜりふ 残してからの 夜長かな (芥 ゆかり 29才 銀行員)
しかへしに 少し多めの 唐辛子 (塩野 このみ 31才 主婦)
ウソ涙 気まずさ残る 日ノ出前 (飯島 裕美 22才 劇団員)
*挿入曲「SWEET DREAMS」
この週の題目「電話」
10月9日(金)
優秀作品発表!
ダサ男から 声かけられて 携帯でかわす (佐藤悦美 17才 高校生)
選評
「携帯でかわす」ここでとめるスピード感。非常にリアルに高校生まわりの使われかたが
伝わってくるような句だと思いました。
*挿入曲「彼から手をひいて」
10月8日(木)
寝入りばな 「早く寝ろよ!」と 父のTEL (あそあつこ 39才 主婦)
長距離の ノイズとぎれて 流れ星 (丸山 ひさの 26才 銀行員)
ココア冷め 携帯電話の 男たち (泉 愛 35才 OL)
*挿入曲「よそゆき顔で」
10月7日(水)
初電話 母と間違へられにけり (中島 ちなみ 33才 フリーライター)
携帯を 持ったら電話 来なくなり (野崎 千恵 29才 ホテル勤務)
留守録の あなたの声が 消さなくて… (山本 麻由 19才 主婦)
*挿入曲「やさしさに包まれたなら」
10月6日(火)
初電話 声の震えを 隠せずに (宮木 彩子 25才 OL)
今の虹 君と見たいと 携帯に (堀田 幸子 28才 OL)
負けられぬ リダイヤルまわす オンナのカン (吉川 亜美 23才 看護婦)
*挿入曲「青春のリグレット」
10月5日(月)
天高し 電波届かぬ ラブコール (山崎 明日香 25才 OL)
ダサ男から 声かけられて 携帯でかわす (佐藤悦美 17才 高校生)
会えぬ日に 鳴らす携帯 帰り道 (近藤 麻美 26才 OL)
*挿入曲「Hello,my friend」