Yuming spectacle SHANGRILAU 〜氷の惑星〜





Review  (Update '03.11.01)       ◎戻る


 電子的な信号音のピッチが早くなり、場内が暗くなり、
 風が吹き荒れる効果音が流れ出し・・・

 *クラウンアクト1
  氷の惑星に不時着したタイムマシンをアピールする構成。
  中をくぐるとビキニ姿の美女に、赤ちゃんに、原始人に変わるクラウン達。
  分かるといえば分かるのですが、やはり長いと思います。
  「シャンI」のようにストレートに始まっても何ら問題ないと。
  最初のMCでユーミンが舞台設定の解説もしてくれてますし。。

  そもそもファンタジーとして「夢の世界」とか「タイムマシン」とかを使うのは、
  しばしばありがちなだけに、ガッチリ作ってもらわないとガタガタになる事も
  あるわけです。不安というか、いぶかしさを感じる開幕ではあります。

画像=4K  1. LOVE WARS
  ちょっとレトロな感じの戦闘服に身を包んで
  タイムマシンよりユーミン登場。
  トラス上部から煙が噴出し、ビーム状に拡散する
  ライトが回り、リンク後方の照明が流れます。
  オ〜!ユーミンライブが帰ってきたと思わせ二重丸
  後奏部が始まるとスタッフにロープを引かれ
  タイムマシンは舞台左へ。
 MC
 「コンサートような、サーカスのような、アイスショウのような」
 4年かけて制作してきたことをアピール。
 「消息をたったシャングリラ号を追って〜」と簡単な説明が
 加わったのはいつ頃だったでしょうか。
 「本当のストーリーはみなさん一人一人の心の中に…」
 最初のMCですからこんな感じになるのでしょうね〜。

 2. Delphine
  シンプルで好きです。ステージ後方からの照明も加わり
  スケーターの持つ巨大な布が様々な波を作り出し、
  ユーミンが波に包まれるような、波に乗っているような
  感覚を覚えました。照明は青のイメージ。
  ユーミンは中央から移動せず、スタンド席の人には
  物足りないかも。随分と地味な「始まり始まり」かと。

 3. 砂の惑星
  リンク両サイドよりゾンビ達がノッソリ現われ、照明は緑の世界へ。
  摩訶不思議な世界観のある曲にふさわしい、舞台的な演出。
  今までのライブでも聖なるものの伝承といった趣きでしたが
  今回のそれはキューブの枠組み。ユーミンも中に入り上空へ。
  キューブを回す場面はCADで描いたCG動画のように見えてきます。
  ハイヒールスケート(?)を履いた鳥人がゾンビの回りを滑り
  倒立したスケーターの腰には顔が。
  ゾンビによってキューブが運ばれる頃、バランスマンを乗せた
  丸いステージが登場します。
  この一曲だけでも自分で物語を作れそうな気がしました。

 ここまでの流れはなかなか良いと思いました。

 *バランス芸
  丸いステージがロープで吊り上げられ、円筒の上に載せた板に
  スケートを履いた(!)(ユラユラ)ユーリー・アブローシモフさんが登場。
  円筒の上に箱を置いて倒立、更に円筒と箱を置いて立ち上がり
  重心を操作して一回転。「どうしてこんな事ができちゃうの!」と思うなか
  ステージ右、悲嘆にくれるユーミンに元気オーラをおくります。
  時間が限られていて失敗は許されないアクトはいつもバッチリでした。
  映像に見えてしまうウォーターカーテンの効果はいまひとつか。

 4. Glory Birdland
  ステージがパッと明るくなり、お手玉二人組みのスケーターが登場。
  ユーミンに更に元気のオーラを与え、続いてジャグリング隊が加わります。
  間奏部では腕をクルクルさせる振りもシンクロ、華やいだ雰囲気に。
  「ほら先へ先へ誘う〜」のあとユーミンが固まると、
  ミラーボールに載り輪を腰で回すアクターが登場。
  投げられた輪を受ける部分は名古屋からなくなりました。
  最後にユーミンは座ってお手玉をしていた人から
  一つもらって客席に投げます。
  あれはもらえるモノなのでしょうか??
  特別に奇をてらうアクトはありませんが、
  アイスショウっぽくて好きなシーン。
画像=5K

 5. ずっとそばに or 守ってあげたい
  なごみ系の曲で客席との交歓シーンが繰り広げられる数少ない場面。
  メンバーやコーラスにも照明があたるようになったのはいつ頃でしょうか。
  どちらかというと「守ってあげたい」の方が客席は沸いたように思えます。

 MC
  リアルアイスのこと、特殊な靴を履き替える、というような内輪ネタ。
  「T」でもそうでしたが、ファンタジックな世界に似合わないMCだと思います。
  横浜ではライブ盤撮影や香港の話題に変わりました。
  「シャングリラ号を登場させましょう」と次の曲へつなげます。

 6. 輪舞曲(ロンド)
  男女4名の一輪車隊や自転車に二人乗りで一人が倒立といったアクト。
  途中、高さのある一輪車マンのかかげるバーから下がったロープに
  女性が足をかけクルクルと回るシーンがありますが、
  広いステージにユーミンとこの3名では、かなり寂しい場面だと思えました。
  最後は4組のカップルが出来上がり、美術館のフロアーになっている模様。
  立って良いやら悪いやら、判断がいる曲でしょうか。

 *クラウンアクト2
  「早替わり」は白タイツの銅像がブレイクダンスをしたりして
  それなりに楽しめます。初めて見る客の反応を聞くのも面白かったです。
  場内に逃げ込むシーンはもう一ひねりして沸かせて欲しかったかな。。

画像=3K
 (c)読売新聞('03.06.13付け夕刊)
 7. 夢の中で〜We are not alone,forever
  ユーミンの後ろに並んだ女性スケーターが
  イントロに合わせ腕を振りふりして始まり。
  4組の彫像にタッチするとバレエのカップルに
  変身。空中バレエ、綺麗でしたね。

  ステージ横では曲に合わせてワイヤーを上下させるスタッフの姿が見えました。
  高さを実感できる前の席、ワイヤーがハッキリ見えない後ろの席。
  どちらで見ても良かったです。

 8. ダイアモンドの街角
  雪が降り始め、広いリンクに黒のドレスのユーミンただ一人。
  静寂の中に孤独感が漂い、曲感とマッチした寒々とした世界。
  雪をつかもうとする客の手の動きが後ろの席から見えたりしました。

 9. かんらん車
  雪のなごりが照明に光りながら、その静けさは続いています。
  6名のスケーターがユーミンの回りを回っています。
  地味でちょっと面白みがないような、と思っていると終盤にガツンときます。
  歌い終わり後方へ消えるユーミン、輪が下りてきてスケーターがつかみ、
  ドラムの音と共に衣装に電飾が灯り、宙へ舞います。
  輪に足をかけて宙ずりになったり、前後に揺れたり。
  終わった恋の情念でしょうか、悲しみの蒸発でしょうか。
  メリーゴーランドのように回ったらもっと良くなると思いましたが
  泣けてきそうなシーンでありました。
  そういえばカウガールツアーでも素晴らしい演出でしたね。

  たぶんこのあたりが今回で最も好きな部分でしょう。


〜 明報(香港)
 '03.10.12付けより
 10. リフレインが叫んでる
  シャングリラ号の端に突如現われるユーミン。 途中よりバンドメンバーの前へ下りてきます。 少し張り出したステージで市川さんのギタープレイとからむシーンも。 自分的には盛り上げ曲ではなく、手拍子不要、聞き込みたい曲。 「Frozen」の時も盛り上げに使われていましたが、そうはならない自分。

 11. WANDERERS
  イントロが始まると「やっときましたこの時間」という感じで客席は 大盛り上がり。ド〜ン、と炎も上がり一瞬暑い空気が襲ってきます。 冒頭、セイラーがロープを伝わって次々と降りてくるシーンは好きですが、 後が続かないというか、炎や連続バック転を投入しても基本はロープを使ったアクトを見せるため。 ストップ・モーションで動いたり止まったりする乱闘シーンは楽しめましたが、 この曲にしてはどうしても地味に思えて、まるでノレないワタクシメ。

 12. 二人のパイレーツ
  更に追い討ちをかけるような曲で巻き返すと思いきや、いきなり静か目な
  曲で意外な落差に戸惑いつつも、紺色の横ストライプの入った衣装の4人で
  (後半は2人で)あやつるカイトをフィーチャーした演出は好き。
  前の曲から連続している感じはしてきます。

 MC
  シャングリラ号を離れ、左側の階段より降りながら「神々の世界」へと導入するMC。
  サッパリ意味不明、というかおざなりとしか思えず面白みのないもの。
  「シャンI」の時も、こういう夢の世界を描くショウをさえぎり、わざわざ現実に
  引き戻すようなMCは無いほうが良いと思ったものです。
  今回もリアルアイスの話題とか「人間は弱いものです」とか、工夫が足りないと
  思いました。
  (香港公演ではMCは必要不可欠と思う自分の身勝手。)

 13. Nobody Else
  ウォーターカーテン、トランポリン、ポセイドンの巨大なバルーン、空中バンジー、と
  豪華な感じでサーカスっぽいシーンが展開します。
  ついつい目がバンジーの方へ集中してしまいがちですが、トランポリンも色々な
  ワザを見せてくれました。バンジーはアクターが座るブランコ状のバー(棒)を
  上げ下げするタイミングの妙も興味深いです。
  4名が手をつないでスカイダイビングのように編隊を組む場面が一番の盛り上がり。
  最後に思い切りグルングルンと回転するのもスゴく、こちらまで目が回りそうでした。

 *クラウンアクト3
  この決闘シーンはクラウンの仕草も特にコミカルで、かなり好きです。
  今でもあのメロディーが頭の中を流れそうです。
  お尻を向けてバカにしたり、おむつ姿になったりして笑えますが、
  スローモーションで真の勇者(?)が分かるという筋立ては
  一度見て全ての観客に伝わるモノなのでしょうか。
  ツアー終盤は分かり易い演出になったと思いますし、
  拍手合戦で客を巻き込むのも最初からあれば良かったのにと思いました。
  このコーナーは締めが中途半端な気がします。
  コマネチポーズや野球チームの旗を出す所がアンマッチでは??

 14. Happy Birthday to You 〜ヴィーナスの誕生
  サイドステージの出入り口がパカッと開いてユーミン登場。
  サイドの席の客にはうれしい始まり。
  (出てくるのは日によって左だったり右だったり)
  リンクの右側後方へユーミンが消え去ると空中ブランコのはじまり。
  「シャンI」の時より遠くで演じられます。
  やはりこのアクトは顔を上げて、頭の上で演じてこその迫力だと思います。
  ミスのあるなしに関係なく、今だに違和感が大あり。
  何でここで空中ブランコなのでしょう?
  なければ成立しないショウなのでしょうか?

  ティナさんがスキャットで頑張る中、空中アクトは続いて行きます。
  ユーミンはギターのメンバーと共に、リンク奥より再登場。
  「歴史切りひ〜らく」のところで上を向き、アクターを指差すユーミン。
  リンクの中央までヒザをすべらせ進み出ての市川さんのギタープレイも。

 15. 航海日誌
  再びシャングリラ号の舳先に登場のユーミン。
  タイムマシンの残骸のようなゴンドラに乗り込むと、トラスに組まれた
  レールに沿ってゴンドラは客席中央前方に向かってゆっくり進んでまいります。
  時々あちらこちらへと手を振るユーミン(たぶんツアー終盤より)。
  ショウの終わりを予感させる選曲のような気がします。

 16. SHANGRILAをめざせ
  ビート感あふれるイントロ、ステージがパッと明るくなりついに本編フィナーレ。
  「シャンI」と比べてしまうと前回の「オールマイティ」の華やかさには負けるものの、
  途中から登場するアクターのスケーティングに、航海日誌で降りてきたゴンゴラの
  床から登場するクラウンも加わり、ゴージャスな感じがしてきます。
  ステージを左右に走るユーミン。滑ってしまった広島公演も懐かしいです。
  全員が客席に手を振りながら、まずはステージ奥へと退場。

 EC1. SWEET DREAMS

 〜 東方日報(香港)'03.10.12付けより
 白い女王様ふうドレスでシャングリラ号甲板ステージにユーミン再登場。 場内が暗い間に人力で運び込まれた階段を降りて、リンク中央の昇降ステージ (掘りごたつとも言われました)に。 途中より男女ペアのスケーターが加わり、エレガントな雰囲気に。

  後半、スモークが濃く漂うステージ後方よりブランコ軍団がヌ〜ッと現われ
  初めての時は「オ〜ッ」と思わせます。
  この軍団は2グループあり、交互にアクトを演じます。
  華やかさはありますが、歌が終わっても延々と続く感じで引っ張りすぎかなと
  思いました。

 EC2. 雪月花 (メンバー紹介)
 制作発表記者会見では「WW,SS」からの曲はやらないと言っていたのに、 結局は選曲されました。 ロシアのメンバー紹介を一人一人行なうのは前回通りで、目新しさはないとはいえ、 フィナーレとしては落ち着いたしみじみ感のあるシーンだったと思います。 ツアー終盤に甲板ステージに勢ぞろいしたメンバーがリンクに降りてきて、 ステージ前に並ぶ時に、一人一人がユーミンとハンドタッチするように変わりました。

 〜 蘋果日報(香港)'03.10.12付けより
 EC3. 瞳を閉じて(大阪:7月31日、横浜9月13日・15日他)

  全員が手を振りながらいったん退場、バンドメンバー、コーラスも加わってもう一度
  全員が再登場。その後に武部さんが持ち場についてユーミンも登場。
  お姫様ルックの下はウワサ通りに白のミニスカートでした。
  Wコールとしては珍しき選曲でしょうか?
  手拍子が起きるのはどうかと思いますが、お客の気持ちも分かります。

 EC4. 卒業写真(横浜9月15日のみ)
  鳴り止まぬ大拍手のなか全員が再登場、
  ナンと客席から見てユーミンの右に正隆氏とリシュコフ氏、
  左にはアクト/空中ブランコの振付・演出の3監督さんも登場。
  更に拍手が高まる中、いったん全員がステージを去って、
  またまたユーミンの登場、シャングリラ号には武部さんの姿が。
  そしてトリプルコールの「卒業写真」!
  大団円というか有終の美というか、ファイナルならではの光景でした。

  クールな横浜という印象があるのですが、この日だけは別でした。
  今日の横アリのお客さんはあたたかな雰囲気に満ちていました。
  本編・アンコールの最後は場内が明るくなり、
  ほぼ全員が立ち上がって拍手をおくるシーンが展開、感動的でした。


☆終わってしまいました

 4か月に渡って51公演行なわれた国内ツアーも終わってしまいました。
 結局、自分の印象は最初の頃から変わらなかったです。
 簡単にまとめるとアイスショウの趣きあふれる前半はかなり「好き」。
 後半、サーカスを見せようとする演出の曲はあまり気に入らなかったです。
 「嫌い」とまでは言いませんが、まあ個人の趣味で書いてます。

 香港公演のページにも関連して書いたことですが、国内の会場はどこも大きすぎ
 ではなかったでしょうか?
 特に空中ブランコや空中アクトは真下で見るほど迫力があるのですが、ほとんどの
 客は遠くで演じているな、と思うだけでインパクトは少なかったと思われます。
 反対に静か目なシーンを遠くから眺めると、ステージの大きさが際立ってまた違った
 趣きがあったのも新鮮に思いました。

 事前に喧伝されていた「50億円、構想4年」という文句に期待感も増すばかり。
 そして迎えたゲネプロ&初日。
 ここで早くも自分の感動ポイントが決まってしまった感じでした。
 ストーリーをイメージさせようにも、そんな余裕もなく気が付けば終わっている。
 後でナンやら言っても仕方ないのですが、代々木初日、横浜ファイナル、香港公演、
 これだけ観れば良かったのかもしれません。
 制作者の言う「シャングリラの世界観」というモノが伝わってきませんでした。
 とはいえ、これだけの物量をかけた大イベントが次にあるか分からないと思うと、
 色々我がままな感想を言いつつも、何回も観ておいて結局は楽しんだ事も確か。
 ユーミンもいちアクトレスとしてお役目を果たしたと思います。
 今度のライブはいつ、どんなテーマで行なわれるのでしょう。
 ユーミン自身がやりたいようなライブというものも観てみたいものです。

(過去のコメントも再録のうえ作成)