土亭秘訣「勉強ノート」


はじめに

 これは、私の個人的な勉強のためのノートであり、メモ書きです。
 土亭秘訣については、韓国に来るまで存在を知りませんでした。しかし、25年以上前、韓国焼肉屋のおばさんに占ってもらったことがあり、その結果は詩文でもらったのですが、今思えば、それらは、唐四柱であり、土亭秘訣だったのだと思います。土亭秘訣については、今後文献を収集していくつもりです。
 とりあえず基本テキスト。
   四十八句原本土亭秘訣   大韓暦法研究所編   南山堂
   四十五句原本土亭秘訣   金赫済注解   明文堂
 いずれも安い本なので、解説は一切ありません。
注)以下、韓国語を直訳しているので、日本語としては練れていません。あしからず。

     2006年10月8日    補 2007年 7月1日



土亭秘訣に対する小考

 以下は「周易身数秘法」(許充著)からの抜粋である。

 土亭秘訣は、李之函先生が書いたものである。李之函先生は字は馨仲、雅号は土亭である。公は孝道にすぐれて、友との交際においては善と和で教化した。公は気宇が非凡で、名利声色には無欲であり、静かな性格で、欲心というものはちりほどもなかった。言行はすべて人の手本となり、博識で異端をきらった。幼いときから徐花潭をとって(?)易学に精通し、栗谷と深く知って交際していたとき、栗谷もまた公を尊敬して重んじ、彼の卓行を推薦して、六品の官位へ就くこととした。
 公は老後、俗世を離れ、山で一人で住んでいたところ、兄が主張した天経地奥をもはや力なしと見抜き理解して、兄の没後心制(服喪)三年を費やした。(この文意味不明)公は牙山の街中で逝去したとき、世間では伝えられた、ムカデ汁を飲んで逝去したという話は、誤って伝えられたものである。公は数理に明るく、精通したときに、どうしてここで死ぬであろうか、ああ、と書かれている。(保寧に祠堂がある)
 古老の伝説にしたがえば、公が山間斗屋で数理研究に専念していたとき、彼の姪婿になる人が科挙に落ちて、家産を落尽した後、公に会いにきて、生計を話した。すると、公は八字による秘訣を示したとき、この説文は掌に入る小さな本だったという。彼が作卦した数理表を開いて、年月日をとって作卦した後、一人でこの掌の中の秘本をみると、文章を読み与えたところ、その知は神の如く、百発百中の神人訣で、万人を驚嘆させた。
 ある日のこと、この人が、どこかの島で時折風浪に見舞われて溺死すると、この秘訣をも水中で消え去ってしまったということだ。この死前に鑑定をうけた周易数理に通じた人が数表までを作りあげてここに周易の卦辞をつけて作ったが、土亭のように的中することはなかったとさえる。これによって増えたものが今日の土亭秘訣である。このあとにも、易学者によって何度も増やしたものが、8月15日解放前には、24句が最高であったが、今や64句が載っている。
 土亭秘訣の数表は認定して活用するも、秘訣説文は数十分の一も的中できないと断定するものである。例えば、土亭秘訣の説文には、863が吉運とされているが、筆者が総合して卦辞とその他のことおよび経験訣に土亭数表863に合わせてみた結果では、とんでもない説文が出ることである。土亭数表を多く活用してみれば、自ずから是非が区別され、的中率は総合すると五十分の一程度しかないので、諸賢には、なおいっそう研究を重ねるようにお願いしたい。

 以上が韓国語からの翻訳で、ところどころわからないところもあるが、てっとりばやく言えば、オリジナルの土亭秘訣は残っておらず、現存するものを総合しても当たらない、したがって、どれが正しいかを吟味、研究しなければならない、ということである。これだけ流行っている土亭秘訣に対してはかなり厳しい意見である。
 また、別の伝説では、あまりに土亭秘訣が当たりすぎるので、当の李之函が半分しか当たらないようにした、という話も残っている。このような話から、今の土亭秘訣に対する的中率への疑念が(潜在的に)あるということができるだろう。


土亭秘訣の占い方

 土亭秘訣はその年の1年、1ヶ月の吉凶象意を求めるものである。
 まず、上中下の卦を作り、その3つの卦数から、卦象を求め、そこにかかれている句で占うものである。よって、非常にお手軽な占いといえる。
 その理論構成については、今のところわからない。今後解明する予定。
 なお、土亭とは明宗の時代の思想家、政治家(本人は政治にはあまり興味はなかったらしいが)であった李之函の号であり、「土亭秘訣」は彼が書いたものである。


作卦法

0.年月日は旧暦および干支を元に計算するので、旧暦の入ったこよみを用意する。年齢は数え年である。

1.まず年齢数を置いて、次に当年の太歳数を合わせて、八で割った後その余りを、上卦とする。

2.次は、当年の生月数を置いて、月が高ければ(すなわち大の月)30を置き、月が小さければ(すなわち小の月)29を置いて、次に、月建数を合計して、6で割った後にその余った数を中卦とする。

3.次に、生日数を置き、初一日は1と置き、15日ならば15と置いて、当年の生日の日辰数を合計し、3で割った後その余りを、下卦とする。

注1.もし、割った数の余りがなく、ぴったり合ったときには、割った数とすること。
注2.上の、上中下の三卦を合わせて、一つの卦象をつくるので、144卦となるのである。

 太歳数、月建数、日辰数は、次にある六甲につけて、順番にならべている。順に、太歳数、二番目が月建数、三番目が日辰数である。
以上をまとめると、
  上卦:(年齢数+太歳数)÷8の剰余、0の場合は8
  中卦:(30or29+月建数)÷6の剰余、0の場合は6
  下卦:(生日数+日辰数)÷3の剰余、0の場合は3


太歳数、月建数、日辰数

 太歳数は、天干数と年支の数の合計。
 月建数は、天干数と月支の数の合計。
 日辰数は、天干数と日支の数の合計。

天干数表
甲己乙庚丙辛丁壬戊癸

地支数表
・・
年支1113101013991312121311
月支987654987654
日支911881177111010119

例題

丙戌年の場合の太歳数は、7+13=20
戊戌月の場合の月建数は、5+5=10
庚午日の場合の日辰数は、8+7=15


作卦例題

 例題として、1936年4月30日生まれの男性を考える。
 干支でいえば、丙子年、壬辰月、壬午日である。
 旧暦では閏3月10日で大の月である。数え年は71歳ということになる。
 今年についての卦を出す。今年は丙戌年、3月は壬辰月で大の月、10日は丙寅日である。

上卦:(71+(7+13)) 8の剰余は3
中卦:(30+(6+5)) 6の剰余は5
下卦:(10+(7+8)) 3の剰余は1

 よって卦数は351となる。

 以上が、私の勉強ノートであり、以下は私の勉強のためではなく、皆さんへのご紹介となります。


占断結果

 前項の例で、占断結果をみてみましょう。
 「原本土亭秘訣」で351を見ると次のように書かれています。

鼎之大有 卦象
未嫁閨女、弄珠不当、帳中排裘、両手執餅、
蛍付春草、以失其光、改旧従新、東園回春。

四月
老龍無力、登天可難、木姓可親、金姓遠之、若近是非、口舌可侵。

 結果は、上のような詩句として与えられるので、その解釈は難しいです。どうとでもとれる感じはします。
 卦象の前半は、まだ一人前にならない娘が外に出られない状況でしょうか。後半はまだ時節はめぐってこないという感じですかね。旧を改めて新しきに従うというのは、再生を意味しているわけですが、その前提としての冬の時期があるわけで、どちらかといえば、つらい一年といえるかと思います。
 四月は、年老いた者はもはや活躍できない。口論が絶えない、というふうに解釈できるでしょうか。なお、木姓とか金姓とかは苗字を五行に配当したものですが、日本人の姓の場合どう配当していいかわかりませんので、ここでは無視します。
 さて、この例は、ある男性で、この方は本年5月(旧暦は4月)にすい臓ガンで亡くなりました。年齢が71歳ですから、まさに”老龍”であり、無力であったわけです。
 また、卦象の解釈のなかに、「若無生産、病腫可慮」という句があり、この卦象の解釈はまさにぴったりといえるでしょう。まあ、単なる偶然といえば言えますが。
 ちなみに、この男性を選んだのは、単に私のメモ書きの中にあった人のうち、今年亡くなった人を選んだだけで、特別な意図は全くありません。

 土亭秘訣の卦象、全文について、すぐに知りたい方は韓国で本を買ってください。卦象のみについては、そのうち公開することができるでしょう。