2021年の日本の予測 ~ 大六壬による測局


■ はじめに

 測局とは、世の中の情勢を予測するということで、中国占術の独特の用語です。
 本来、大六壬は個別の事件に対して占うために使われるものですし、そもそも期間の長い占いには向きません。しかし、大六壬の可能性を追求するのもまた私のテーマのひとつであり、ここに大六壬測局占法へのチャレンジとしてあげるものです。
 ここでは、2021年の予測をあげています。過去の予測(と反省)は別のページとしました。

- 目 次 -

■ 2021年の日本の予測の反省その2

 中国占術の大半は立春から翌年節分までを1年としています。よって予測はあと1か月ほど残っているわけですが。毎年年末年始の休みを利用して反省と予測を書いていますので、例年どおりまずは反省から行いたいと思います。

 すでに年前半の予測の反省は8月にしましたが、以下は前半も含め例によって2021年の予測を箇条書きにまとめてみました。

(1)変動がないようでいて変動が結構ある1年。玄武は空亡。
 キーワードは陰険、陰謀、偸盗、看護、秘密、消極、潔白、引退、同僚など。
(2)天候は全体には曇りではっきりしない。前半は晴れ、後半は雨の傾向。全般に温かい。
 気象は水害か、どちらかといえば暴風、竜巻?ただし大風は単なる勘。
(3)大地震はなさそう。あっても10月ごろ。東南ー西北ライン、南海トラフ周辺は注意。
(4)前半は首相が強権を発動しようとしても四面楚歌。
 後半は首相が変わるか政治環境が変わるかにより上手く立ち回る。
(5)オリパラは開催されるが限定的な開催。経済的負担大。
(6)外交的には苦労する。下手すると孤立化。
(7)女性の活躍は期待できない。むしろ女性問題、スキャンダルが起きる。
(8)殺伐として思いやりのない、気の滅入るような社会となる。
(9)年の中盤、オリパラの頃コロナが蔓延、対策が厳格化される。
(10)経済対策(バラまきに近い)は効果を発揮しない。
 株価は年の中盤(前半に近い)にバブルがはじける。
 為替は円安傾向。狭いレンジで推移する可能性もある。
(11)好調な業界はあまりない。
 巳の示す衣料、台所用品、陶磁器、楽器、薬などは売れる。
 非鉄金属、銅、アルミ、亜鉛、チタンなどは価格上昇。

 以下に各項目の結果と反省を記します。その1で書いたことははしょります。

(1)について
 新型コロナの変異株がいろいろ出てきたりオリパラがあったり選挙があったりで、世の中目まぐるしく変化しました。ししかし、コロナに振り回されましたが、結局年の初めと状況はたいして変わっていないようにも思えます。キーワードの中の看護とか引退とかは思い当たることもありました。

(2)について
 先日気象庁から2021年の天候のまとめ(速報)が発表されました。それによると、年平均気温は1898年以降最高水準となる見込みです。まあ近年の温暖化は、原因は何にしても進行しているのは明らかなので、これはさして驚くことではありません。降水量のデータをみると、東日本や北日本は年の後半が雨という傾向がみられるのですが、西日本は後半の雨量は少なく、西日本に関してはハズレれています。
 大雨については、7月8月に豪雨がありこれは予測のとおりでした。すでに予測の反省その1で述べたとおりです。白虎の凶意が出たという感じです。
 暴風や竜巻ですが、ここ数年増えており、2021年も5月の牧之原市を中心とした(おそらく竜巻)風害、12月の藤沢市や志摩市で起きた暴風被害が起きています。台風自体は少なかったのですが、台風9、10号のダブル台風で一部地域で暴風被害が出ています。まあこれも当たった感じです。悪いことは当たらない方がいいに決まっていますが。

(3)について
 結論から言えば今のところは大地震は来ておらず、まあこれは当たったとまではいえないでしょう。大地震はないものの地震活動は比較的活発で福島沖や茨城などはそれなりの規模の地震が発生しています。10月ごろ東南ー西北、南海トラフが危ないと予想していたのですが、9月から11月に東南方向では東海道沖や和歌山沖、鳥島付近、西北方向では日本海でM6クラスの地震が発生しています。南海トラフということでは宮古島や台湾近海でも比較的規模の大きな地震が起きています。これは注意が必要かもしれません。

(4)について
 前半についてはすでに予測その1で書きましたので省略します。
 後半についてですが、「私の六壬実占記」にも書いたとおり首相の交代はある程度予想していました。さらに調整型というか周囲との軋轢の少ない人が首相に就くだろうとも思っていました。そして菅前首相が辞任、後継は岸田首相と聞いたときに、衆院選も自民党が過半数をとって年の後半は岸田首相で決まりだなと確信しました。
 以前から、とくに個人的なことに関しては、あらかじめ予想していても固有名詞を出して断言することを控えているのですが、今回も予想していたことがその通りになりました。

(5)について
 オリパラについては反省その1で書いたとおりです。

(6)について
 外交上は大きな失態はなかったと思います。COP26では批判も浴びましたが、まあいつものことですので日本だけ浮いたということはないと思います。この点は今のところ予想は外れです。22年1月にどうなるかはわかりませんが。

(7)について
 自民党や立民党の党首選に女性候補が出ましたが、これをもって女性の活躍とはいえないでしょう。連合会長に芳野氏が就任したものの、逆に小池都知事は過労で入院したり辻元氏が落選したりなど2020年までに活躍していた女性の政治家や論客も姿をあまりみなくなった気がします。SDGsで多様性をうたわれている割には現実には女性の活躍はみられていません。また女性についてのトラブルといえば森元首相でしょうか。
 まあこの項も当たった方でしょう。

(8)について
 これはとくにコメントは必要ないでしょう。もう言わずもがなで、私はネット、とくにいろいろな人のコメントをみるたび結構気が滅入ります。

(9)について
 これもほぼ的中でしょう。今年ほど白虎の象意がはっきり出たことはないと思います。とくに戌白虎は今後も注意しようと思います。

(10)について
 これは当たると自信をもっていたのですが、為替はまあまあとして、株価はちょっとハズレてしまいましたね。確かに日経平均で8月に2万7千円を割り込んだのですが、私が予想したほど下がる(バブルがはじける)ことはありませんでした。まあ株が下がらなかったことは日本経済にとっては(私にとっても)よかったと思うのですが、予想が外れたのはちょっぴり残念です。

(11)について
 この項もまずまずという感じです。調理家電や薬でもジェネリックなどは好調のようです。陶磁器や楽器はよくわかりませんが、巣籠もり需要と高齢化で堅調だと思われます。非鉄金属はすでに前半の予想で書きましたので省略。
 しかしよく考えると六壬でなくても予想はできたことかもしれませんね。

 以上でそれぞれの予測に対する評価を終わります。全体的には合格点を与えてもいいのではないか、と我ながら思います。もっともここ最近は、悲観的な予測をしておけば半分以上は当たりそうな気もしますが…。
 上で予測しなかったことは、経済面では世界的な半導体不足と物流の混乱、スポーツ芸能では大谷翔平選手や藤井聡太棋士の活躍(大谷選手はアメリカの話なので範囲外です)やオリパラでのメダルラッシュ、その他真子様と小室圭氏の結婚がありました。とくに半導体不足や物流の混乱について予測できなかったことは、経済予測に力を入れてきた者としては残念です。2022年はそういう現象もきちんと予測できるようにしたいものです。
 ということで、性懲りもなく六壬による予測は続けていきます。

(以上 2021年12月31日に記す)

■ 2021年の日本の予測の反省その1 ~ 半年たったところで

 今日は2021年8月1日(日)です。六壬というか中国占術の1年の始まりは立春ですから、ほぼ半年が過ぎたことになります。半年たってみて、私の年初の予測がどの程度当たっているかを検証してみようと思います。
 2021年1月に立てた予測ですが、今年は珍しくかなり的中している(もしくは的中しつつある)と思います。まあ自慢はともかく、今年の前半を振り返ってみましょう。

 今年の話題を3つあげるとすれば、新型コロナとオリパラと気象災害でしょう。さらにあげるなら政治の劣化でしょうか。それぞれについて順に振り返ってみます。

 新型コロナについては、私は次のように書いていました。

残念ながら、年の前半では多少落ち着きを見せていた新型コロナも、年の中盤からは急拡大しそうです。ひょっとすると変異種の蔓延かもしれません。
「変異株」ではなく「変異種」と書いているところがご愛敬ですが(苦笑)、7月31日の新規感染者は全国で1万2千人を超え、東京都は4千人を超えました。まさに「急拡大」の様相を呈しています。もっとも「前半では多少落ち着きを見せていた」かどうかは議論の余地はありますが、今日現在では予測が的中しています。皆さんお忘れかもしれませんが、1月ごろはワクチンの効果が出て、年の半ばから後半にかけてコロナが収束に向かうと予想していた人が結構いたのですが(とくに政府関係者)、残念ながら今のところは私の勝ちですね。まあ勝ち負けの問題ではありませんが。
 とにもかくにも早く収束してほしいものです。私もタイから一時帰国できずたいへん困っています。

 次にオリパラですが、私も開催の予測についてはさんざん迷いました。それは書いてあることをみてもらうとして、で結論としては、

思い切って予測すれば、私は限定的な開催の方向になると思います。いくつかの競技は取りやめになるかもしれません。
と書きました。今のところ取りやめになりそうな競技はなさそうですが、出場できなかった選手はいるようです。台風が近づいたときには競技の取りやめもあるかなと思ってみていましたが、幸いそういうことはなくよかったです。
 まだオリンピックは終わらず、パラリンピックはこれからです。パラリンピックも中止ということはないと思いますが、この感染状況では「いくつかの競技」ではなくパラ自体中止ということもあるかもしれません。私はオリンピックよりもむしろパラリンピックの方を応援したいと思っていて、競技の中止がないことを祈っています。

 3つめは気象災害です。熱海で起こった土砂崩れは記憶に新しいところです。7月はとくに全国的に大雨による災害が多かったですね。
 私は課式からみて大雨と考えたあと、直感的に暴風とか竜巻とかと考え直したのですが、素直に大雨と判断しておけばよかったですね。へたな考え休むに似たり。まあ保険を掛けた感じもしないではないですが。
 あらためて見直すと辰戌が螣蛇白虎であり、これは地震とか土砂崩れの可能性があります。中伝に戌白虎がありますが、これは土砂災害による死者を示しているようにも見えます。ただ、どちらかといえばこれは疫病(新型コロナ)を示していると思います。(実際そう判断しました)
 占いの結果はともかく、悪いことは当たらないに越したことはありません。年の後半は大きな災害が起きないことを祈っています。

 あともう一つの話題、政治の劣化については次のように書いています。

首相が表舞台にあまり出てこない、(中略)少なくとも年の前半は強権を発揮しようとしますが、四面楚歌状態に陥り苦境に陥りそうです
これは、私としてはかなり当たっていると思うのですが、まあ菅首相のキャラクタからすれば、六壬を使わなくても予想できそうなことではあります。

 この他の予想としては経済があります。経済については、最近は的中率が上がってきていると自分では思っています。まあ自分の資産にも影響するので読み解きに真剣になっているというのは確かです。
 で、経済についてはこう書いていました。

2021年にはそれ(株価バブル)がはじける可能性が高い、(中略)年の中盤といっても前半の方でしょう。
これはまだ当たっているとは言い難いですが、今日現在株価は低下傾向で、来週には2万7千円を割り込む可能性もあります。私はこの夏はもっと下がると思っていますが。
 円ドルについては、基本は円安、あるいは狭いレンジでの動き、と予想しましたが、現時点では円安というよりは狭いレンジで推移しています。これもまあ当たっているといえばいえます。
 業界予測で金属価格の上昇を予想しましたが、これも当たっています。というか、これは私の想定を超えた値上がりを示していて、原油高もあいまって商品価格は軒並み上昇している状況です。2年前の商品市況とはだいぶ変わりました。今年はこれがたぶん続くでしょう。来年どうなるかはまた来年の予測で検討します。

 その他にもいろいろな予測を立てていますが、ほとんど的中していると思います。現時点では80点以上つけられるのではないか、学校の成績なら優、確率なら天気予報並み、と自己評価しています。
 全般的な評価は今年が終わってから、来年のお正月に全般の反省をしたいと思います。そのためではありませんが、いくつかの予測には今回触れていません。あしからず。

(以上 2021年8月1日に記す)

/\●  新春恒例!!  2021年の日本についての大胆(?)予測

 あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

 さて、性懲りもなくというか、毎年の恒例であります新しい年の日本を大六壬で予想します。ここでの予想は2021年2月立春から2022年2月の節分までです。
 日本の立春の時刻は、国立天文台暦計算室によると2021年2月3日23時59分です。一日の境という微妙な時刻ですが、私は大六壬では23時で日が変わるとみているので、2月4日と同じ日干支ととります。


日干支 癸未 占時 子 月将 子 太歳 丑  申酉空亡

初伝太陰勾陳勾陳太陰太陰
中伝白虎
末伝勾陳

課 義

 占時月将がともに子であるので伏吟課ということになります。三伝は上剋下である一課丑を初伝として、あとは刑をとります。すなわち三伝が丑戌未の無恩の刑となります。
 通常伏吟課というのは上下の剋がないのですが、日干が癸なので一課のみは剋関係になります。さらに三伝は刑の関係ですから、ほとんどは土支というものの結構変動があると解釈した方がいいでしょう。さらに、刑の関係ということは変動といっても凶意の方が大きいでしょう。
 この課については、次の句が添えられてあります。
 「四丁分布、勾人火庫、僥倖得財、切勿再願」
 この意味は、丑の遁干が丁で未は丁の寄宮であるので四課に丁が並ぶ、戌の陰神は勾陳、僥倖で財を得るかもしれないが、再び得ようとしてはならない、というような意味です。戌は火の墓であり癸にとっては財庫にあたるので、財を求めようとするのですが(貪財)、癸は土の剋を受けて財を継続して得るには弱いということを意味しているのだと思います。

占時・太歳

 占時子は兄弟で玄武です。玄武は陰険、偸盗、陰謀、看護、一網打尽などの象意がありますが、空亡ですので良い意味は出てきにくいでしょう。太歳丑は官鬼、太陰です。太陰は陰私、秘密、消極、引退、潔白、同僚、清潔などを意味します。

気象・自然災害

 三伝四課が土支であり、全体として曇りが多くはっきりしない天候だと思います。三伝の遁干をみると初伝は丁であり、また戌未は火を含む土支ですので、晴れる傾向の方が大きいでしょう。しかし末伝遁干は癸ですので、年の後半は雨が多くなると思われます。
 このところ年平均気温は毎年年平均を上回ってますが、2021年も同様で温かい一年となりそうです。まあ温暖化が進んでいるので、これは六壬でなくとも予想されることではありますが。
 最近は異常気象が異常気象でなくなったので、天災は普通にあると考えた方がよいのでしょう。どちらかといえば水害の方が考えられます。一二課が癸丑で構成されている点、占時が子である点からそう考えるのですが、「四丁分布」という課義にはちょっと結びつきません。迷うところです。私はこの課からは直感的に大雨というよりも暴風や竜巻の害を想像します。しかし本課式では青龍が乗じる申は空亡なので大風という象意は導きにくく、あくまで単なる勘なのですが。

 地震について。螣蛇が辰についています。辰は課式には顕れませんが辰は土支であり注意が必要です。場所は辰が東南であり東南-西北のライン、また三合は西北と北方です。一応南海トラフや九州周辺、北海道西方あるいは青森秋田周辺が注意すべきところかと思いますが、ただ課伝には辰は顕れていないのでそれほど心配する必要はないかもしれません。時期的には辰と冲にあたる中伝戌、すなわち年の中盤あたりから10月ぐらいと思います。毎年書いていますが、地震というのは不思議と忘れたころにやってきます。常に過去の震災を教訓に、備えをおこたらないことが必要なのは言うまでもありません。
 火山の噴火については、2021年は大規模噴火はないと思います。

政 治

 2021年はいずれにしても衆院選があります。任期満了前に解散があるかどうかが政治ウォッチャーたちの焦点のようです。政治ではありませんが、それに非常に影響を与えるのがオリ・パラの開催です。果たしてオリ・パラは開催できるのか?そういうことも含めて、日本の政治や外交について予測しようと思います。

 その前に、1月までは2020年の課式で判断しますので、まずは1月の話を。
 1月から通常国会が始まりますが、予算編成時期でもありますし、コロナの感染の先が見えない状況では、普通は解散はしないでしょうしできないでしょう。では野党から不信任案提出ということがありえるかといえば、それもないでしょう。あるとすれば、通常国会開催直前の内閣改造ですが、コロナ対策の行き詰まりで国民からの批判が高まれば一部閣僚の交替はありえると思います。昨年の課式の末伝は辰でしたので、それは十分に考えられます。しかし常識的に考えれば普通は改造も解散もやらないでしょう。

 さて2月以降どうなるかを予測してみましょう。
 貴人卯は空亡ではありませんが、課伝にはでてきません。これは首相が表舞台にあまり出てこないことを意味していると思います。課伝はすべて土であり卯木は土が強すぎて剋しきれません。すなわち、少なくとも年の前半は強権を発揮しようとしますが、四面楚歌状態に陥り苦境に陥りそうです、しかし中伝戌とは六合、末伝未とは会ですから、実力はともかくとして年の中盤からは上手く立ち回れるでしょう。このことが首相の交替を意味するのか、それとも衆院選で勢力図が変わり、首相周辺の環境が変わるせいなのかははっきりしません。しかし年の中盤に何らかの変化がおきるものと期待したいですね。

 さてオリ・パラですが、これはどう考えればいいでしょうか?まず常識的に考えてみましょう。新型コロナの蔓延が21年前半で全世界で収束しているとはいくら何でも考えられません。ワクチンの効果があったとしても数に限りがありますから世界中に行きわたるとも思えません。そのうえでオリ・パラを開催するためにはどうするか。唯一考えらえるのは無観客ないし観客をごく少数にしぼり、ワクチン接種、PCR検査の上、選手や観客は隔離しての開催です。そのときの医療体制がどうなっているかわかりませんが、各国に医師看護師の派遣を依頼することになるかもしれません。ただ世界各国にその余裕があるかどうか?そうなると、選手はまあいいとしても観客は満足するでしょうか?また経済効果はほとんどなく、出費だけがかさむということになりそうです。
 過去には世界大戦で中止になったことや、モスクワ五輪のように多くの国がボイコットしたまま開催という例もあります。今回の五輪はロシアはもとより参加できないし、ロシアに追随するわけではないにしろ不参加を表明する国は少なからず出てくるでしょう。これは感染症との世界大戦だと考えれば中止ということも考えられますし、さらに不参加を表明する国が多ければ、開催することには象徴的な意味しかなくなり(”世界的なスポーツの祭典”とはいえなくなるという意味)、果たしてそうまでして開催する意味があるのかどうか?そのあたりは五輪の理念の問題になります。五輪に詳しくない私には何ともいえません。

 では六壬的にはどうでしょうか?五輪の示す十二支が思いつきませんが、人が集まることを考えると六合午あたりがそれに当たりそうです。また金銀を争うとか、人の往来、競争ということでは青龍申というのも考えられます。
 午の場合は戌と会、未と六合です。申の場合は特別な関係はなく土生金の関係になります。しかし申は空亡です。これは判断が難しい。午と考えればこれは開催の方向となるでしょう。申と考えれば開催は無いということになります。結論を出さないのはちょっとずるいと思いますので、思い切って予測すれば、私は限定的な開催の方向になると思います。いくつかの競技は取りやめになるかもしれません。また開催後はコロナが一層蔓延する可能性があります。そのあたりは「社会」の項で述べたいと思います。

 オリ・パラの開催が決まり、暖かくなってコロナが一段落することが見えれば、先手を打って春ごろ解散する可能性はありえるとみます。その動きは表に出なくても政権内部ではせめぎ合いがあるはずです。ただここで解散すると与党が大敗する可能性が見えれば、太陰丑には現状維持の象意もあるので、強行はしないでしょうが。

 外交はどうでしょうか?オリ・パラがあってもなくても外交的には苦労しそうです。仮にオリ・パラが成功したとしても、それこそ無恩の刑の象意である、恩を仇で返されるようなことになりそうです。初伝末伝が冲なのですから(一課と三課もそうだが)相反した結果しか得られない可能性があります。同盟国には裏切られ、関係の良くない国には袖にされるというところでしょうか。下手すると孤立しかねません。

 政治における女性の活躍はあまり期待できません、というか伏吟課であり、多様性そのものがあまり進展しないでしょう。太陰丑が初伝で一課なので期待したいのですが、この場合の太陰は女性の政治家や役人というよりは女性によるトラブル、スキャンダルの意味の方が強いと思います。

社 会

 課式全体からの印象を書くと、殺伐とした社会というふうに感じられます。新型コロナがなかなか収束せず、社会全体がいら立ち、医療関係者への感謝も吹っ飛んでしまうようなかなり気の滅入るような感じの雰囲気になるのではないかと。 残念ながら仮にオリ・パラが開催されたとして、表面上は歓迎ムードになるにしても、その底流では反発を生じてしまうといった、そういう思いやりのない社会になっていくと思います。ちょっと救いや希望がない予測ですね。
 残念ながら、年の前半では多少落ち着きを見せていた新型コロナも、年の中盤からは急拡大しそうです。ひょっとすると変異種の蔓延かもしれません。おそらくそれまでには特措法の改正が行われ、緊急事態宣言の発令もあるでしょう。それは、もしオリ・パラが開催されればその後、開催が中止になれば早めに出るかもしれません。いずれにしても、2021年の改正後の緊急事態宣言は前回よりも厳格なものになる恐れがあります。罰則も強化されるものとなるでしょう。

 そうなった場合には、警察による取り締まりが強化されるので、犯罪自体は減ってくるかもしれません。それは社会全体が厳しくなっているということで、もろ手をあげて喜ぶようなことではないと思われます。ただ犯罪者はゼロにはなることはないので、また新たな手口での窃盗や詐欺などが起きてくるのかもしれません。

経 済

 申酉空亡の年ですので、経済についても悲観的にならざるを得ません。
 「課義」のところで、かっこを付けてで(貪財)と書きました。おそらく景気回復や経済的支援に対する要請は2020年以上に高まるでしょう。さらにさらなる経済対策予算、金融緩和がなされると思います(バラまきに近いかも)。しかし金銭を示す十二支酉は空亡でしかも天空です。おそらくその効果はないかごく限定的でしょう。

 昨年の予測で、2020年は株高でバブル的な様相を呈してくる、としましたが、2021年にはそれがはじける可能性が高いと予測します。それについての経済理論的な裏付けはないのですが、六壬課式からはそう判断します。それはいつごろかといえば、年の中盤といっても前半の方でしょう。そして「課義」に僥倖で財を得ても再び願ってはならないと書きましたように、一度落ち込んだ株価は、2021年中には戻らないでしょう。

 為替についてはちょっと予想が難しいですが、円安傾向に動くものと思います。もちろん為替というのは相手(外国)のあることですので、日本国内の状況だけで判断できるものではありません。しかし、申酉が貨幣価値を示すものとすれば、空亡あるいは天空で円安方向ということになるのではないかと思います。あるいは空亡は動きが乏しいことも表しますので、昨年同様せまいレンジで推移する可能性もあります。

 最後に恒例の業界予想ですが、2021年は厳しいものになると予想され、好調な業界を見出すのは難しいことを、まずはお断りしておきます。
 課伝に土が多く、土生金で金に関する業界がよさそうですが、申酉空亡でありあまり期待できそうにありません。
 癸水の財庫である戌も白虎が付いていて、一時的には儲かりそうですが後が続きそうにありません。
 財に関係する支はあきらめて三伝と合や会をもつ支をさがしてみましょう。丑であれば子や巳が候補ですが、子は未と六害です。戌であれば寅、午、卯です。未であれば亥、卯、午です。午は癸日主の財ですが丑との六害です。六害を除くと寅、卯、巳、亥が一応残ります。このうち巳は日干癸水の財にあたります。巳は朱雀が付き朱雀は火将です。よって、この中では巳がもっとも有望だと思われます。
 巳が示すものといえば、衣類、台所用品、陶磁器、楽器、薬(煎じたもの)、炉かまどなど火を使うもの、巳は雑金であることから金属、などがあげられます。巣ごもり需要ということ台所用品や楽器はうなずけますし、コロナだけでなく薬の需要はますます高まるでしょう。面白いのは金属です。昨年は金が大幅に値上がりしましたが、巳は雑金を示すので、銅やアルミ、亜鉛、チタンなどの非鉄金属は注目かもしれません。

(以上2021年1月2日午前11時に記す)