測局とは、世の中の情勢を予測するということで、中国占術の独特の用語です。
本来、大六壬は個別の事件に対して占うために使われるものですし、そもそも期間の長い占いには向きません。しかし、大六壬の可能性を追求するのもまた私のテーマのひとつであり、ここに大六壬測局占法へのチャレンジとしてあげるものです。
ここでは、2025年の予測をあげています。過去の予測(と反省)は別のページとしました。
さて、毎年の恒例であります新しい年の日本を大六壬で予想します。ここでの予想は2025年2月立春から2026年2月の節分までです。
今年の日本の立春の時刻は、国立天文台暦計算室によると2025年2月3日23時10分です。私の六壬では23時を一日の境としますので、この時刻は甲辰日子時ということになります。
初伝 | 亡 | 寅 | 螣蛇 | : | 六合 | 六合 | 螣蛇 | 螣蛇 |
中伝 | 乙 | 巳 | 勾陳 | 辰 | 辰 | 寅 | 寅 | |
末伝 | 戊 | 申 | 白虎 | 辰 | 辰 | 寅 | 甲 |
私は23時を日の境とするといいました。では同時刻(日本標準時23時10分)で地域時間が10分遅れる(すなわち23時)場所はどこかといえば、だいたい広島市にあたります。すなわち広島市より西側はまだ2月3日の夜、癸卯日亥時ということになります。(均時差については考慮していませんが、考慮しても東京は子時になります)
初伝 | 亡 | 辰 | 螣蛇 | : | 朱雀 | 螣蛇 | 貴人 | 天后 |
中伝 | 亡 | 巳 | 朱雀 | 巳 | 辰 | 卯 | 寅 | |
末伝 | 甲 | 午 | 六合 | 辰 | 巳 | 寅 | 癸 |
この課①②を図にすると左のようになります。
課①は広島市を通る経線の東側からカムチャッカ半島のあたりまで、課②は広島市の西側から中国中部、カンボジアのあたりまでとなります。ただし均時差など考慮すれば若干のずれがあることをお断りしておきます。なお、本地図は平凡社地図出版ののミラー図法のウェブサイトの白地図を利用しています。
日本の首都は東京ですので主に課①を使いますが、災害など地域によるものは課②を参照します。なお北京は課②になりますので、中国を占いなら課②を用いることになります。
課①は伏吟課であり、自任課、玄胎課でもあります。この課には次の句が付いています。
「徳禄倶空、昼虎鬼凶、火命解禍、土命畏逢」
この意味は、日禄である寅は空亡であり、昼貴人(新法では夜貴人)での白虎は申で官鬼であり凶である。火の命をもつ人は申を剋して禍を解くが、土の命を持つ人は土生金で申の凶を強める、というような意味です。伏吟というのは動きがなく変化に乏しいといえますが、三伝はお互いに刑の関係となり概ね悪いといえます。
課②は重審課で、進茹課、斬関課でもあります。この課の句は
「前路皆空、凡事無蹤、未免虚動、病訟倶逢」
です。この意味は三伝である辰巳午とも空亡であり(午は落底空亡)、事は結局跡を残さず、干上神寅は病、初伝辰は墓で官鬼螣蛇なので、病気や訴訟にあう、というような意味です。
重審課というのは下剋上の課であり君臣相争う課ですが、重審課ということ自体には吉凶はありません。また進茹課というのは連珠課の一つで三伝が連なっているもので、この場合辰巳午なので進茹課となります。畢法賦に「進茹空亡宜退歩」という句がありますが、まさにそれに当てはまっており、この課は物事を進めても無駄でむしろ退いた方がよい、という意味です。
課①と課②はそれぞれ意味に違いはあるものの、いずれにしてもあまり良くない課であるといえます。
課①の占時子は父母で天后です。課②の場合は亥は兄弟で太常です。天后の象意は女性、柔軟、高貴、耽溺、秘密など、太常の象意は衣食、日常、忍耐、装飾、遊蕩などです。太歳巳は課①では子孫で勾陳、課②では妻財で朱雀です。勾陳の象意は軍隊、警察、遅滞、闘争、小人、農耕など、朱雀の象意は派手、文書、試験、訴訟、占術、神仏、観光などです。これらの象意をみながら2025年の動きを予想していきます。
103年前の立春は、万年暦によると1922年2月4日癸卯日23時11分で2025年と課式は同じです。ただし年干支が壬戌年で今年乙卯年とは異なりますので、同じようなことが起きるわけではありません。ただ社会の雰囲気とか物事の推移とかは似たようなものになるかもしれないと思っています。そのことを検証する意味でこの項を書いています。
さて、以下に1922年前のできごとを書いてみます。できごとの多くはWikipediaに依っています。
まずは世界の出来事です。この年の2月ワシントン軍縮会議があり条約が調印されました。一方でアイルランドの内戦からアイルランドがイギリスから独立、イタリアではムッソリーニが首相となりファシスト党が政権をにぎり、トルコでは革命がおきオスマン帝国が崩壊、ロシアではスターリンが共和党書記長に就任し12月にソビエト連邦が成立します。
一方日本では、ワシントン条約の締結や大学、共産党や農民組合などの団体の設立が相次いだことがあげられます。ただし、いわゆる大正デモクラシーの末期であり、翌1923年の関東大震災以降はこの流れはしぼんでいくことになります。災害についていえば、帝国ホテルが全焼したのが1922年4月のことです。地震については気象庁に記録が残っておらずいろいろな資料から復元作業が行われています。地震災害は4件あり、そのうち被害が大きかったのが2件で、一つは浦賀水道での地震、もう一つが長崎県での地震です。長崎県の地震の規模はM6.9と推定され死者26名と記録されています。1922年も比較的地震が多かったようですが、翌年1923年に関東大震災が発生しています。なお、台湾やチリでも大きな地震が起きています。
災害とは関係ありませんが、この年アインシュタインが来日しています。
以上が1922年の主なできごとです。次項から2025年の予測を試みます。
課①の範囲、すなわち東日本から中国地方にかけては、全般的にはっきりしない天気です。火の長生である一課発用寅が空亡ですので前半は天候がさほどよくありません。中伝は乙巳で夏は暑くなると予想します。まあこのところ日本の夏は猛暑を通り越して酷暑となっていますから、もはや暑い夏という予測は予測に値しないと言うべきでしょうか。秋から冬にかけては、曇りがちではっきりしない天気が続きそうです。冬は結構寒く冷え込みが厳しくなるかもしれません。また末伝申と日支辰、占時子で三合水局となりますので、年の後半は東日本で水害や雪害の恐れがあります。
課②は中国四国九州のエリアですが、初伝中伝とも空亡、末伝午は寅との合で火が強くなります。一課二課は木であり火を生じ、水は日干と辰中にありますが辰は水の墓で、水はあまり強いとはいえません。こうしてみると全体的には雨が少なく、木が強いことから風や雷の恐れがあります。
地震ですが、課①②とも初伝は螣蛇です。私は螣蛇を地震の十二天将だと考えており、例えば2011年東日本大震災の年の課式も初伝が螣蛇でした。2011年の初伝の遁干は戊でまさに地震を示していたと思います。ところが2025年の課式では課①②とも初伝空亡です。私はこれを地震ではなく、2022年と同様な何かの驚き、ショックだとみています。なお2022年はロシアがウクライナに侵攻した年です。それと同様のことで、驚き、ショックが地震やその他の災害ではないことを願っています。
しかしながら、巷(の一部)では25年7月に大災害が起きるという噂が流れており、そのことを示しているのかも、と疑心暗鬼にもなっています。一応地震があるとすればどこかをあげてみます。まず南海トラフの震源域が一番可能性が高く、その他小笠原諸島、秋田県沖、九州全域を予想します。時期としては初春、初夏、初秋、初冬といった季節の変わり目だと思います。被害はさほど大きくないと思っていますが、南海トラフで起きると広範囲の被害になる可能性があります。
火山の噴火については、世界的には活動が活発化しているようですが、課①②を見る限り日本でそれほど大きな噴火は起きないのではないかと思います。ただ日本は火山大国ですから常に警戒は必要です。
地震や天災は避けようがありません。いかに被害を減らすかを国、地方自治体、そして個人それぞれが考え実行していくしかありません。起きた時にいかに被害を少なくするかが大事です。
繰り返しになりますが昨年の年始に起きた羽田空港でのJALの航空機事故も、普段からの訓練のおかげで最小限の被害で済んだと思います。「備えあれば憂いなし」。常日頃の心がけが大事だということでしょう。
2024年に首相が岸田氏から石破氏に替わりました。1月にはトランプ大統領が就任、仕事を始めます。さて2025年の日本の政治はどうなるでしょうか。
課①は伏吟課です。伏吟は動きはとぼしく、しかも一課二課で日禄である寅は空亡でいいところがありません。また貴人丑が課伝に表れていませんから、首相の影は薄いでしょう。政治は停滞し首相はリーダーシップを発揮できず、閉塞感の漂う政治状況になるでしょう。(社会の雰囲気もそうなるでしょう)
今年は夏に参院選があります。内閣不信任案が通り衆院解散して同時選挙というのは(占いではなく常識的には)さすがに考えにくく、同時選ではなくそのまま参院選が実施されるでしょう。(繰り返しますが常識的な判断です)
課①の初伝は空亡、中伝は遁干乙木で日干の兄弟ですから、選挙前の頃から流れが変わるかもしれません。参院選で自民が惨敗すればそれこそ石破おろしとなるでしょうが、ちょっと読めません。今の首相の力があまり強くなくて参院選の結果がそこそこであれば、あえて首相を替えようということにはならないかもしれません。(これまた常識的な判断ですが)
一方、課②をみると二課卯が貴人であり一課寅は天后です。西日本のどこかの地方自治体で女性首長が誕生し話題になるかもしれません。もっとも日本国内ではなく中国や韓国、あるいは北朝鮮かもしれませんが…。ただ、そうであっても政治経済的にあまりいい展望は開けません。
政治状況がよくないので外交もあまり上手くいきません。また課①の初伝は螣蛇で何か驚くことが起きる意味であり、また三伝はいわゆる恃勢之刑で勢いのある相手にいじめられるという意味もあります。それを考えると、諸外国とくにアメリカ(あるいは中国か)からの圧力が強まり、日本政府は追い込まれるのではないかと心配しています。しいて良いところをさがせば、課②の末伝が六合で一課寅との三合ですので、年の後半には西日本の地方自治体の中で海外(地理的には中韓でしょう)との関係改善を模索する動きがあるかもしれません。ただ課②は進むより退く方がよいとされますので、着かず離れずぐらいの付き合いとして、時期を待つのが良いと思われます。
太歳巳は勾陳で戊辰土に属する凶神です。この象意は上にも書きましたが、警察、軍隊、闘争です。課①においては中伝であり、初伝一課二課の寅と刑の関係にあります。伏吟課ということを考えると、閉塞感とそれに抗う庶民と権力の対峙ということを感じます。課①の日支は辰で日干一課二課に剋され三伝は刑ですから、庶民の立場の方が弱いように思えます。日本では長らく大規模なデモとかありませんが、そういうことが起きるかもしれません。103年前の1922年が大正デモクラシーの末期であったことを考えると、今後日本の民主や自由というものは衰えていくことになるような気がします。昨年も書きましたが、警察や検察、自衛隊など実力を持つ公権力の強化が進むと思われます。
課①の末伝は白虎で、昨年と同じく白虎が三伝に顕れています。白虎については、私は災害や感染症を主に示すととらえていて、2年続けて三伝に出てきているので要警戒です。年の後半から来年初めぐらいにインフルエンザあるいは別の感染症の流行が起きるかもしれません。
課②の場合太歳巳は朱雀で、丙午火に属する凶神です。これは主に文書や華美、神仏などの意味があります。しかし巳は課②では空亡であり、あまり意味をなさないかと思います。課②は進茹課ですが初伝空亡なので、後ろ向き(の方が良い)という意味を持ちます。「課義」でも書いたように初伝は官鬼螣蛇ですのでだいたい一年を通じてあまり良くないといえますが、空亡ですので凶意はある程度減じられると思います。社会の雰囲気は西日本の方が東日本よりも多少ましというところでしょう。
女性の活躍については、課①では占時子が天后だけであまり期待できません。課②の場合一課二課が天后と貴人ですから、西日本では女性のリーダーが出てくるのか、あるいは女性的なものが流行るかもしれません。
今年の課式からは経済が読みにくいです。また六壬を離れて客観的にみても、トランプ大統領の政策が日本経済にどう影響するのかは専門家の間でも意見が分かれます。課①②の示すところを私なりに考えてみます。
課①の初伝寅は日禄ですが空亡です。これは一年を通じて損失があることを示しますが、とくに年の前半は経済的な損失を被ることになることを示していると思います。例えば株価の暴落や急激な円安が考えられます。もちろん円高でも損失は出る所もあるでしょうが、円安と予想します。年末から円安は進んでいるようですし。中伝は巳火で日干を洩らすのですが、子孫(火)は財(土)を生じる作用がありますし、初伝空亡寅から中伝乙巳へ移ることでいったん空亡ではなくなりますから、年の中盤には少し持ち直すのではないかと思います。末伝申は三四課の辰財と三合の関係になります。しかし申は白虎で寅との冲であり、申金は日干甲を剋し日支辰を洩らします。さらに三課四課の辰は自刑でもありますから良くありません。まとめると、25年の前半は株価低迷、円安の進行、中盤はやや持ち直しそうだが、年の後半に再び経済は低迷する、という感じでしょうか。
課②は、三課初伝辰、四課中伝巳が空亡で、末伝に至って遁干が甲となります。末伝午は六合財であり一課二課寅卯木の生を受けます。年の終わりごろにようやく経済が持ち直すという感じですが、しかし三課四課は空亡で、庶民は経済回復の恩恵を受けにくいと思われます。課②は西日本および朝鮮半島や中国を含みます。すなわち、西日本のみならず中国や韓国の経済は来年の終わりごろまでは復活は難しいでしょう。
最後に恒例の業界予想ですが、2025年も一年を通じて堅調な業界を探すのは難しいです。
課①では午が青龍で日干から生じられます。子は月将占時で天后です。この2つの支が多少ましな感じがします。課②では寅卯が比較的有望でしょうか。
子は水であり天后です。河海に関係するもの、女性に関係するもの。例えば水産業、女性向けの物(衣類というよりはアクセサリの類)、エステ、温泉など。午は火であり青龍です。火に関するものといえば調理とかあるいはエネルギー関係、青龍というところからは商売や活動、スポーツ関係も含まれます。課②からは寅卯木が有望だと思います。木といえば林業、書籍、かわったところでは交通関係などが挙げられます。また卯は貴人でその示す所は高貴な物、宝飾品などが考えられます。
毎年同じことを書いていますが、私は農業など第一次産業の発展を期待するものです。しかし四課三伝に木火が多く土は弱くなりがちです。DX等で農業は変わっていくと思いますが、力強い発展は2025年も難しそうです。
(以上2025年1月5日13時(タイ時間)に記す)