相性の見方


 私自身はとうの昔に結婚して、すでに相性問題には興味があまりありませんが(苦笑)、相性については、非常に多くの方が興味があるようで、市販の本には必ずといっていいほどその見方が載っています。もちろん日本だけでなく、中国や台湾、韓国においても、相性についての解説があります。ですから、何もここで解説しなくてもいいような気がします。
 ただ、ここのところ「相性に関するお前の考えはどうなんだ」(もちろんこんな乱暴な口調ではありませんが)というような問い合わせがいくつか来ており、それに対して、うっかりと、近々公開します、などと回答してしまったので、今回このようなページを作ることになりました。(ちょっと軽率だったかな)
 私自身は恋愛経験もごく少なく(というかほとんどない)、また結婚も1回しかしていませんから(まあ1回やれば十分ですが)、他人に語れるような経験はありません。また恋愛や結婚の相談も受けたことが(ゼロではないが)あまりないので、ここでの解説にはあまり自信がありません。はっきりいって私のオリジナルの見方というものはほとんどありません。しいていえば、相性の見方のための発想法に少しばかり私なりの考え方が入っているというところでしょうか。
 正直いって、人付き合いが決して上手いとはいえない私には、相性問題は苦手です(再度苦笑)。




1.相性とは何か

 はじめに得意でないと言った割には、ここで大上段にふりかぶったタイトルをあげました。まあ中身はたいしたことはありません(笑)。ごくあたりまえのことを確認するだけのことです。
 相性とは「相手との性格の合い口」などと辞書には解説してますが、かえってわかりにくいように思います。また、相性という言葉自体は占いからきているようですが、その真偽はわかりません。最近は、人間以外の場合でも相性の良し悪しをいう場合があります。そういうのもひっくるめて、相性とは、ある二つあるいは複数のものの組み合わせの状態の評価をさす、と私は解釈します。かえって難しくなりましたか?
 あえて、良し悪しと言わない理由は、相性というのは単純に二分法で評価できるものではないと考えるからです。

 以降は、とくに人間関係の場合のみに限定します。人間関係とは、男女の仲に限らず、親子、兄弟姉妹、友人、上司、部下なども含みます。もっとも占いでもっとも比重が大きいのは男女の仲、とくに配偶者との関係です。いわゆる合婚法と呼ばれるものがそれで、私もエッセイの中で書いていますが、この配偶者の選択が占術における開運法の重要なものの一つであるからです。
 さて、前に、相性とは単純に二分法で評価できない、と書きました。というのは、気は合わないが必要な組み合わせ、とか、気は合うが最終的に破綻する組み合わせ、というような関係が存在するからです。このことは直感的に理解できると思います。
 気が合わないが必要な組み合わせというのはよく見かけます。とくにスポーツの世界ではままあることです。スポーツの世界には勝利というはっきりとした目的がありますから、こういう組み合わせが現れやすいといえるでしょう。
 逆に、気は合うが最終的に破綻する組み合わせというのはあるのでしょうか。実例は私はあまり知りませんが、昔流行った新聞小説「失楽園」などはその例でしょう。現実にも心中(無理心中にあらず)したというような報道をみかけますが・・・。こういう場合は、相性がよいというべきなのでしょうか?おそらく気があって互いの弱点を補う関係であっても、私は、こういう関係、組み合わせは凶だと判断すべきだと思います。
 少し整理すると、相性に関しては、最低でも次の2点、すなわち、@気が合うか合わないか、A関係が吉か凶か、を問題とせねばならないと考えます。
 また、人間関係においては、特有の相性、関係性というものがあります。具体的には、恋人関係、夫婦関係は男女関係で共通のものがありますが、厳密にいえば違いがあります。また男女関係と親子関係は異なりますし、職場の人間関係と家庭の中の人間関係も違います。このように、特有の関係性を踏まえて相性という問題を考えていく必要があります。
 さらに時期や年齢、生活環境といった、占いを離れたところも当然考慮に入れる必要があるでしょう。
 なお、言わずもがなですが、男女関係は選択可能でも、親子関係や上司部下というのは一般的には選べません(縁を切るとか転職するとかいう選択肢はあるにはあるが)。しかし、親疎をつけることは可能です。無用なストレスをためないようにうまく立ち回らなければなりません。

 以上だらだらと述べてきましたが、実際には、こと男女の仲というのは摩訶不思議というべきで、なかなか占術などで割り切れるものではありません。増永篤彦氏も「新推命学」の中で嘆息しています。


2.命式のポイントと相性

 ここから四柱推命の話に入っていきます。
 命式をみたときに、命式にはどのような情報があるかといえば、

 (1)陰陽、五行およびその強弱、喜忌
 (2)干支およびその強弱、喜忌
 (3)干支の関係、変通星、十二運、神殺など
 (4)体質、寒暖、燥湿、実虚など
 (5)その他

 さらに命式から得られるとくに重要なポイントとして、

 (あ)財帛
 (い)疾病
 (う)夫妻
 (え)六親
 (お)成敗、福徳
 (か)行運

というようなものが挙げられます。相性問題を考えるときに、これらの要素を総合的に判断する必要があります。しかし、それは複雑なプロセスであり、この小論では説明しきれません。したがって以降では、そのような複雑なプロセスがあることを知りながら、あえてポイントをしぼっていきたいと思います。


3.喜忌

 五行、干支の別はともかく、相性における喜忌の原則は、喜神は利を与え、忌神は不利になるということです。例えば、相手の強い五行、干支が自分の喜神であるならば、気が合う合わないは別として、自分に利があります。そして、多くの場合、とくに相手の日干支が喜神ならば、相手に対して好感を持つことになります。
 したがって、喜忌の観点からいえば、互いの喜忌が相補的である場合が、もっともよいということがいえます。
 ただ、原則はそれでいいのですが、喜忌が一致する場合、例えば二人とも従旺格であるとかいう場合は注意が必要です。というのは、喜忌が一致するときは、いい時期は二人ともよく、悪い時期は徹底的に悪くなるからです。その場合二人とも落ち込んでしまい、破綻を招く可能性が高くなるからです。むろん喜忌が一致するからといっても、その強弱には濃淡がありますので、単純に破綻につながるとはいえませんが、可能性としてはより高くなるといえます。


4.相生、相剋、比和

 現代においては、昔のように長幼の序とか男尊女卑などという考えは薄れてきていますから、ここはあまり問題にする必要はないかもしれません。例えば友だちのような親子、親子のような夫婦というのは別に珍しくも何ともありません。ですから、現代においては生剋助の関係はあまり問題にならないかもしれません。古い考え方かもしれませんが、一応ここに述べてみます。
 男女の場合は、男が女を剋すのがよく、逆はよくありません。しかしながら、日干どうしが逆剋の場合でもうまくいっている夫婦はいないことはありません。相生や比和の関係は、前項の喜忌とあわせて考える必要があります。概して女が男を生じるのがよく、男が女を生じるのはあまりよくない、といわれるものですが、この考えは男は結婚して社会で活躍するため、エネルギーを女にさかれるのはよくないという理由でしょう。こういう考えにはこだわる必要がないかもしれません。
 親子の場合は、相剋関係はあまりよくなく、相生関係の方がいいでしょう。助の関係はともすれば競争関係ともなりますので、喜忌の問題を別にすれば、それほどいい関係とはいえません。もっとも友だち関係の親子ならいいかもしれない。
 上司部下の関係なら、相剋関係です。これは利害がからむためであり、利害関係は相剋関係の方がうまくいくからです。もちろん上司が部下を剋する方がいいのですが、逆の場合でも成果を生み出すことがあります。もちろん軋轢を生むことになるでしょう。職場に軋轢はつきもので、逆にその軋轢が利益を生じることもまた有りです。相生関係や助関係でもいい方向にいくこともありますが、ビジネスライクに行くなら相剋関係でしょう。
 ただ、以上は昔の考え方に基づくもので、現代では考え方を変えるべきでしょう。長幼の序とか上下関係というものが重視されなくなった社会では通用しにくいかもしれません。


5.干支関係

 ここでの干支関係とは、合冲刑会といった特殊な関係です。
 一般的に日干支どうしで見ますが、年干支でも見ます。月時干支でも見られないことはないとは思いますが、あまり聞きません。月時干支は年日干支に依存するからでしょうか?
 合や会というのは、引き合う関係ですから、一般的には仲がいいと判断します。とくに日干合は引き合う関係です。
 高島正龍氏は支(彼の場合年支)においては、三合(会局)が六合よりも強いと言っています。ただ初対面の場合は六合の方が仲良くなりやすいとも言っています。これは私には正しいかどうかはわかりません。
 逆に、刑冲関係は仲が悪いと考えて構いません。ただし、刑冲というのは相手の支を刺激することで、刑冲だから単純に凶とはいえないところが面白いところです。もちろん大体は凶なのですが、人によっては他人からの刺激が必要な場合もあります。そういう場合は吉と判断すべきでしょう。
 さらに、人間関係においては、害(あるいは穿)が強く作用する場合があります。害というのはあまり命式に影響を与えないとされていますが、こと人間関係(とくに親子)や生理面においては、害を気にする必要があると感じています。


6.体質

 ここでいう体質というのは、陽史明氏が「最新四柱推命理論」の中で述べている「性本能」に近いニュアンスです。とくに男女関係においては水がキーポイントとなります。水は、腎臓、生殖器、泌尿器などを示しますから、水が強い人は概して精力が強いといえます。強すぎると逆になることもありますが。また水のない人は概して性に対しては淡白です。
 陽史明氏も述べているように、精力の強いものどうしは仲が良くなる場合もありますが、危険をはらんでいます。精力の弱いものどうしだとそれよりはましだといえます。ただ子供が生まれない可能性はあります。強いものと弱いもの、あるいは普通と普通が中庸で、おさまりがよいといえます。
 ただ、「性本能」とは別に、疾病に関することでいえば、両方病気がちであるのは、同病相憐れむで気が合う場合も多いのですが、良い関係とは言いにくいと思います。行運をみて病気になる時期がずれればそれでもましでしょうが、両者とも病気になりやすい時期に当たれば、これは生活が破綻することは容易に想像がつきます。すなわち忌神運が重なるわけですが、忌神運であっても健康であれば何とか乗り越えられることもあるものですから、身弱の人には身旺の人の方が良いと考えます。


7.財帛

 「金の切れ目が縁の切れ目」とは人口に膾炙されたことわざですが、全くそのとおりです。実は財帛は相性を考える上で非常に重要だと私は考えているのですが、世の推命本で財帛を相性と結びつけた本は、寡聞にして知りません。ひょっとして触れられている本もあるのかもしれませんが、私は気がついていません。
 そもそもお金は誰にだって必要ですから、相手が富命であってほしいと思うのは皆同じでしょう。そこに相性の問題は入る余地はないのかもしれません。
 しかし、自分が貧命であればあるほど、富命の相手を選ぶことが重要となります。富命ではなくとも、少なくとも破財の時期が重なるような相手とは結婚しない方が無難でしょう。むろん、貧乏など苦にしないという人はいますし、また富命の人は財帛などは気にしなくていいのですが、多くの人はこの辺よく考える必要があります。
 「なくなってわかる金(親)の有り難さ」であります。「金で買えないものはない」とか「金がすべて」だとは思いませんが、大概のことは金で解決できるのですし、金がなければ始まらないわけで、こと結婚相手を考える場合には相手の経済力を十分に考える必要があります。(ちょっとくどいか)


8.行運

 行運の問題については、前項あるいは前々項で指摘したとおりです。こと結婚に関しては、行運の問題が重要です。とくに気をつけなければいけないのは、重大な忌神運が共通する場合です。喜神運が重なるのは喜び多くてそれはそれで結構ですが、別に重なる必要もないものです。しかし重大な忌神運が重なることは避けるべきでしょう。もっとも悲しい結末は死でありますが、その死が重なることは、残された者(すなわち子供、場合によっては親兄弟)に大変な負担を与えます。もちろん、夫婦一緒に死ねればいい、という考えはあるでしょうが、一般的には迷惑です。
 とにかく占いで相性をみるなら、重い忌神運が重なるのだけは避けるべきだというのが、私の考えです。
 行運でもうひとつ言われていることは、その二人がいつ知り合ったかということです。喜神運のときに知り合ったならよい関係、忌神運のときに知り合ったなら悪い関係というふうに一般的には言われています。


9.実例による説明

 実例をとりあげますが、残念ながら夫婦とも四柱がわかっている例は少なく、三柱(時柱不明)がわかっている例もとりあげます。もっとも三柱では確実にはいえないこともありますが、相性においては使えないわけでもありません。もっとも、三柱の方が実用的かもしれません。なかなか人の時柱などわからないですから。


例1 「当代八字実務編」より

夫 1958年7月7日申時生
妻 1965年12月23日寅時生

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時柱日柱月柱年柱. 時柱日柱月柱年柱
劫財-正財正財. 劫財-正印偏財
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-食神月令. -食神月令
...
51413121. 45352515
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 夫の方は日主乙木が弱く、財が強い命式です。甲の劫財がありますから、基本的には従財格とはとらず、喜神は木水、忌神は火金土となります。なお、この本(当代八字実務編)では従財格ととり、喜忌は逆になっています。
 妻の方は日主辛金は季節には旺じていませんが、劫財と印があるので、相対的に強く、財は弱いですから、水木が喜神、金土火が忌神となります。すなわちこの夫婦の喜忌は同じです。
 日干を見ますと、妻が金で夫が木であり、妻の方が夫を剋す形となっています。これは夫婦としては逆です。夫の日主が妻の喜神の木ですから、妻の方が夫に対して好意をいだきますし、利がありますが、夫の方はメリットは少ないです。しかし、妻の日支や時支には木の根があります。しかし寅亥の合でその根の作用が通常は発揮されません。ただ喜忌が一致しますから、気が合うときはすごく合うはずです。
 私ならば、この二人の相性は悪いと判断します。
 二人は己巳年に結婚しています。夫31歳で大運は喜神運に入ります。ただ年干己は甲と合するのでよい年とは単純にいえません。しかし劫財を合して取り除くということは、正財が強くなるため、色情的な気分になっていたでしょう。一方妻にとっては巳年は寅亥の合を解き喜神年で、こういう年に結婚することは多いものです。
 結婚後しばらくは夫は壬運、妻は卯運で、いずれも喜神ですから、仲がよく問題はなかったでしょう。しかし、結婚して5、6年がたつと、夫は戌運で忌神運、妻は卯運で喜神運となります。夫は妻の剋に堪えられなくなってきます。こうなると離婚は時間の問題です。
 夫は癸運に入りますが、残念ながら癸は戊と合して化火してしまい、日主をますます弱めます。また財も失いますので事業は失敗。庚辰年には夫が不倫。結局辛巳年に二人は離婚することになりました。


例2

夫 1972年9月14日生
妻 1980年4月1日生

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時柱日柱月柱年柱. 時柱日柱月柱年柱
-劫財偏財. -正財七殺
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-傷官月令. -劫財月令
...
48382818. 49392919
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 生時不明の夫婦を取り上げてみました。有名人ですが、あえて名前は伏せておきます。
 さて、生時不明ですので正確な喜忌はわかりませんが、三柱だけで傾向だけでも見てみましょう。夫の方は劫財はありますが、地支に通根している壬水の方が強いと判断できます。ですから、喜神は火土、忌神は木水金と一応判断されます。妻の方は、甲木日主が季節に旺じており、己の合は受けるものの、辰に坐していますから強い日主です。したがって、喜神は金土、忌神は木水火となります。
 この関係は例1と同じで、妻が夫を剋す形であり、妻の忌神が夫にあって強く、夫の喜神は妻にありませんから、妻に利があり夫に利がありません。したがって、妻側からのアプローチで結婚したものと想像されます。
 例1と同じで、このようなカップルは早晩別れると判断します。おそらく原因は、男性側の浮気です。年支に紅艶、月支に咸池桃花がありますので、女性にもてるし、浮名を流しやすいでしょう。また、七殺の強い妻はそれが許せなくなるでしょう。
 二人は2005年乙酉年に結婚しています。夫33歳子運、妻25歳丑運です。妻にとっては喜神運でしたが、夫にとっては忌神運です。果たしてうまくいくのかな、と私は疑問だったのですが、2008年戊子年の春、協議離婚しました。忌神年に結婚して喜神年に別れることになったわけです。人によって評価はさまざまでしょうが、私はこのまま結婚生活を続けてもいずれ破綻すると思ってましたから、早めの離婚で再出発する方が幸せだろうと判断します。ただ、生まれた子供は気の毒な気がします。


例3

夫 1934年1月10日生
妻 1933年3月1日生

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時柱日柱月柱年柱. 時柱日柱月柱年柱
-偏財食神. -偏印正官
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-食神月令. -偏印月令
...
52423222. 52423222
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 例題そのものは陽史明氏の「最新四柱推命理論」からとったものですが、やはり有名人ですので、名前は伏せておきます。
 夫の方は地支が見事に会局をなしており、季節は冬なのですが金が最も強いと判断します。食神も強く財もありますから、好命の部類に入ります。喜神は木水で忌神は土金となります。火は微妙ですが、丙火は調候喜神です。妻の方は印が強く、それにより日主も強いですから、喜神は土金で忌神は木火、水は微妙ですがどちらかといえば喜神でしょう。酉金→癸水→甲木→丙火と五行が生じている形です。やはり好命といえるでしょう。
 二人の命式の特徴は日干が剋関係ですが、干合であるということです。したがって引かれやすく、結びつきやすいといえます。ただし、剋関係が逆ですから、どちらかというとかかあ天下という家庭になりそうです。
 また、互いの日主が喜神に当たっています。こういう関係は理想的に近いといえます。とくに妻の日主の丙は夫の金寒水冷を救っていますので、夫は妻から利を得ますし、ある意味頭があがりません。なお、夫の方は金水が強いので精力旺盛です。
 二人とも身強ですから、比較的身体は丈夫です。その点も夫婦がうまくいくひとつの要因でしょう。


例4 「当代八字実務編」より

母 1958年11月24日戌時生
娘 1983年5月3日未生

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時柱日柱月柱年柱. 時柱日柱月柱年柱
傷官-偏印正財. 偏財-正官食神
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-印綬月令. -印綬月令
...
46362616. 312111
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 ここでは母娘の相性をとりあげてみました。
 母の方は、冬生まれの木ですが、巳亥の冲で印の働きは弱まり、戊癸の合で印の働きはなく、火が強いので、喜神は木水、忌神は火土金となります。この命式は寒木向陽とはなりません。
 娘の方は、木水が強く地支には木局もあって日主が弱いため、従財格ととりたいところですが、土の印があり、また丙辛の合で官の影響が強く、五行が一方的に財に偏っているとはいえず、従財格とはとりにくいです。よって土金を喜神、木水火を忌神ととります。
 まず事実を述べますと、母は28歳丙寅年のときに別居、30歳戊辰年に離婚しています。娘はいったんは夫の方に預けられたのですが、母が40歳のとき、すなわち娘が25歳のときに母娘が一緒に住むようになりました。
 娘は木水が強く、母の喜神となっています。娘の喜神である土は母親が強いというわけではないので、喜忌の関係だけをみると娘にはあまり利はなさそうです。
 ところが娘の命式をみると、印が喜神で、偏財が忌神です。偏財が父親を指すかどうかは議論のあるところですが、偏財を父とみる術者は多いです。こう考えると、娘にとっても母親の方が縁があるといえます。
 母の方の命式を見ますと、忌神の傷官が時干にありますから、決して子供とは縁が深いとはいえません。そのため、いったんは娘が父親の方に預けられたのではないかと思います。ただ、陽干丙は母にとっては男の子の意味が強いですから、単に男の子と縁がないということを示しているにすぎないかもしれません。
 さらに、母の方は官殺が忌神で、月日支の冲がありますから、晩婚の方がよかったはずです。結婚したのは酉運だと思われます。巳亥の冲の効果を減じる七殺運ですから結婚に踏み切ったわけでしょうが、基本的には忌神運でありますので、離婚するのも無理からぬことかと思います。まあこれは軽々しく判断できません。




筆者のあとがき

 例だけみると、相性の見方は簡単のように思われますが、それは結果がわかっているからであることと、わかりやすい例をとりあげたためなのであって、通常は相性を判断することは非常に難しいです。基本はお互いの喜忌をみることなのですが、喜忌が入り乱れることが多く、単純に割り切れないことが多いものです。それだけ人間関係というのは複雑だということなのでしょう。
 この項では三柱で相性を見ている例をあげました。厳密にいえば、時柱を加えることで、相性が大きく変わる可能性があります。しかし三柱でもある程度の傾向はとらえることができるということが例からわかっていただけたのではないかと思います。しかしあくまで傾向であるということには気をつけてください。(このことは陽史明氏も述べています)