四柱推命の実占 ~ 六親


はじめに

 四柱推命でいう六親とは、親、兄弟姉妹、祖父母、子女等を言いますが、ここではいわゆる親族全般について取り上げています。
 ただ、六親を看るのは大変難しいです。本人の事象ではなく、他人を推測するわけですから…。したがって、その範囲も親兄弟および子女までで、例えば祖父母や孫などはまずわかりません。せいぜい先祖の徳を受けているかどうかまで。子孫がどうなるかなどは皆目わかりません。

- 内 容 -



例1 両親別離、孤児の命

『子平命学弁証』

1947年1月3日戌時生 女命

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偏財忌而且偏印又被剋、三歳失父、其父因遭白色恐怖留於大陸、此乃偏財是忌神之因、八歳離開母親、因其母精神分裂、此乃命造印星喜神被剋也。此造於九歳入基督教孤児院長大。


【"hiroto"的審査】
 五行強弱:火水金水土、木はなし
 月刃格  喜神:水金  忌神:火土木
 子午冲、午戌半会


【訳文】
 偏財は忌神でかつ偏印は剋される。3歳で父を失う。父は反革命テロに遭い大陸に留まる。これは偏財が忌神であるからである。8歳で母親と別れる。母親は精神分裂である。これは印星が喜神で剋されているからである。この造は9歳で基督教の孤児院に入り大きくなった人である。

【命式】
 壬は冬生まれで庚金の生をうけているとはいえ、月支子は午と冲であり、通根の作用は極めて弱いといえます。丙は午戌に通根しており、午戌は火の半会であります。庚金は2干あって戌に通根していて強いとはいえますが、戌にはもともと火を含んでおり、さらに月干の庚は丙の剋を受けますから、力強くはありません。
 日主が弱いので比劫と印が喜神といえます。火土木は忌神です。

【判断】
 月支と日支の冲は往々にして家庭運が悪いものです。とくに、子は非常に重要な支ですから、それを冲されるのは、とくに母親と縁が薄いといえます。
 子供時代の行運の見方は難しいのですが、流年でみてみますと、数え年2歳は丁亥で、日干は強くなるのですが、喜神の印が弱く忌神の財が強いのですから、これは両親にとってよくありません。本人は大丈夫です。次の年は戊子年でやはり忌神運です。数え8歳とは癸巳で、癸は庚を洩らし、巳は庚金の根となるとはいえ、丙の禄ですから火が強くなります。よって母親は病に倒れることが考えられます。ただ精神分裂かどうかを判断するのは難しいですね。
 9歳から大運己亥に入りますが、土運が続きますので、若いうちはあまりよくないといえます。


例2 時干七殺無力の命

『八字応用学宝典』

1938年3月3日午時生 男命

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行午運会火、転為燥熱、45歳壬戌年、寅午戌三会傷官、二子発生車禍皆亡、結果仍無子。


【"hiroto"的審査】
 五行強弱:木(火)土金、水はなし
 財帛格  喜神:金土  忌神:火木(水)
 巳申合


【訳文】
 午の行運にいけば、燥熱に転じる。45歳壬戌年は寅午戌が三会して傷官とない、二人の子が交通事故でみな亡くなった。それで子がいない。

【命式】
 これは原文の大運から男命と判断されます。立運は書かれていないのですが、生年月日を確認すると立運は1年運となります。
 甲日主で春生まれで、さらに比肩もありますから、強い日主です。庚は地支に根がなく午に坐しており弱いです。戊は寅午の火の生を受けますが、甲木に剋されますから弱いです。火は天干にはありませんが、寅午の半会もあり、火の行運では強くなります。水はこの命式にはまったくありません。
 格局は内格の建禄格で、原則としては喜神は金土、忌神は木火水となりますが、この命式では水が全くなく、調候的には水が必要です。
 原文では午の行運で子供が亡くなったように書いてありますが、立運1年ですから、壬戌年は己運となります。午運ではありません。

【判断】
 さて、男性にとって子供は官殺です。食傷とか用神とかの説もあります。この場合は、時柱にあることもあわせて考え、庚七殺を子どもとします。喜神で弱いので、子供とは縁があまりありません。またこの命式には水がなく、そもそも子供はできにくい命式であります。(体質的にも)
 おそらく巳運(20代後半)か戊運(30代前半)にできた子供だと思います。午運もあまりよくないでしょう。己運に入り、己が庚を生じそうですが、己は甲と合するため作用がありません。壬戌年では、壬は庚を洩らして弱めますし、戌は寅午戌の三合火局となり、庚を傷めます。時柱の喜神庚七殺が極端に弱くなるため、子どもを失うことになります。
 ただ、水は五行的には必ずしも本人にとっては忌神とは言い切れないところもあるので、本人への害よりはむしろ子どもにあらわれたということでしょうか。


例3 食神用神を子とみる例

『八字応用学宝典』

1927年10月21日午時生 男命

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乙巳運丙辰年破用神庚金、喪子之痛。


【"hiroto"的審査】
 五行強弱:土金火木水
 食神格  喜神:金木  忌神:土火(水)
 子午冲、卯戌合


【訳文】
 乙巳運丙辰年に用神庚金が破れ、子供を喪う。

【命式】
 地支をみますと、年支と月支は卯戌の合、日支と時支は子午の冲で、地支の作用はあまり期待できません。
 戊日主で秋生まれですから季節的には弱いです。庚は秋で季節的に強いのですが、丁の剋を受けています。丁は戌午に通根していますが、地支の作用はあまりないので、強くありません。五行的には土金火のうちやや土が強く、木水は弱いです。したがって、金木を喜神とし、土火水を忌神とします。

 以前水は庚金を弱めるので忌神としました。それはそれでいいと思いますが、水は丁火を剋して庚金への作用を和らげ、また戊土→庚金→水→丁火という流通の作用もありますので、喜神的であります。少なくとも水の行運はさして悪くはならないでしょう。

 時干支は忌神であり、官殺喜神なのに命式中にありませんから、子どもとはあまり縁がありません。官殺が命式に明示的にないので、この場合は庚食神を子どもととった方がいいでしょう。

【判断】
 丙辰年は49歳であり、乙運か巳運か微妙なところです。乙運だとすれば、乙庚の合で取り去るのでもちろんよくありませんし、巳運であれば、丁が巳に通根して強くなり庚を剋しますから、やはりよくありません。丙辰年は辰が卯戌の合を解き、戊庚丁の根となりますが、戊が最も強くなりますし、丙の剋もありますから庚は弱くなります。
 この場合は、庚食神は月令に旺じているため、用神ともとれます。この命式の場合は食神用神として子どもと判断するのが妥当でしょう。
 例2は七殺、この例は食神用神を子どもとみなしました。もう一例次に挙げてみます。


例4 七殺忌神で子を喪う例

『八字応用学宝典』

1961年5月6日午時生 男命

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己丑運乙亥年破用神巳火、喪子。


【"hiroto"的審査】
 五行強弱:水金土火木
 印綬格  喜神:火土  忌神:水金木
 巳亥冲、申亥害、巳丑半会


【訳文】
己丑運乙亥年に用神巳火が破れ、子を喪う。

【命式】
 夏生まれの己日主ですから、この日主は季節的には強そうです。しかし壬癸は申亥丑に通根していますから土よりも強く、辛は巳丑の金の半会があり、申にも通根しますので、やはり強いです。よって、己は天干中では最も弱いとします。しかし丑に通根しているので、従財格とはとりにくく、内格とします。印綬格といってもよいのですが、丙が天干に出ていませんから、天干に出ていて強い干である癸を用神とし、偏財格といってもいいでしょう。そうすると、火土が喜神、木水金が忌神となります。
 この命式の場合は官殺が命式中に明示的にはありません。食傷となると辛金ですが、年干にあり、子どもを指すのにはちょっと不適です。むしろ申金が時柱にあり、これを子女と考えた方がよいと思います。また時柱は子どもの位置ですから、時柱壬申自体を子どもと考えた方がよいでしょう。作用としては癸が強いのですが。

【判断】
 本文には用神巳(丙)を破る(冲)ので乙亥年は悪いとあります。しかし、巳亥の冲はすでに命式中にあるので、またさらに亥があると悪いというのはちょっと納得しがたいです。
 乙亥年といえば34歳であり、己運です。己は喜神ですから、この期間は本人によってはいいはずですが、己は壬を剋しまた辛を汚しますから、子どもにとってはいいことはありません。乙木は七殺で日干を剋します、また水の生を受けますから、七殺は強くなります。よって子どもにも害が出ます。
 さらに流年支の亥は時支の申と害(穿)となります。何箇所かで述べているとおり、害というのは一般に力が弱いとされていますが、六親関係では結構障りが出てくることが多いものです。
 以上時柱への影響と、七殺が強くなることがあいまって、子どもを喪うことになったというのが私の考えです。


例5 妻を愛さず子無きの命

『八字命批範例』

1955年4月4日午時生 男命

.605040302010
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【"hiroto"的審査】
 五行強弱:木土金火、水はなし
 財帛格  喜神:金土  忌神:木火(水)
 未卯半会、午暗会



【命式】
 乙木日主で春生まれですから強い日主です。また卯未の半会もあります。己土は未に通根しており比較的強いです。辛金は巳に通根していますが、もとより巳は火支ですから、あまり強くありません。火は巳未にありますが、水は全くない命式です。
 普通に考えれば五行の強弱は木土金火水の順でしょう。ただ乙木には水がなく、己土によって逆に剋を受けることになります。乙木は強いといっても危うい強さです。一応金土を喜神、木火を忌神とします。水は微妙ですが、まずは忌神とします。
 なお、著者の盧清和師は、この命式は己土の強い命式で、日主はそれより弱いとしています。そういう理由はわかりますが、私は乙木の方が強いと考えます。

【判断】
 さて、前に指摘したとおりこの命式には水がありません。水は生命の根本であり、水のない命式は、それだけでも好命とは言いがたい面があります。すなわち、忌神とはいえ、水は必要であり、水を欲する命式です。
 水はとくに生殖機能をつかさどりますので、水がないのは、子どもがいない可能性があります。その場合、行運に水が来れば子どもができる可能性がありますが、それでも少ないでしょう。幸いこの命は大運で中年期に北方水運が来ますので、子どものできる可能性はあります。
 日支は、喜神である己偏財に透干しているのですが、己は年干乙木に剋されています。いわゆる比肩争財の形です。また未は蔵干に木があり、これは忌神です。さらに命式には水がないので、いわゆる精力は弱い方です。以上を考えると、夫婦仲はよくなく子どもはいないだろうと判断されます。
 この本に書かれたときは30半ば過ぎで、子運に入ったころです。結婚はしていますが、夫婦仲はあまりかんばしくなく、子どもはいないとのことでした。
 将来、子どもができるかどうかですが、子運に入りましたので、待望の水の大運が巡ってきています。生殖能力が出てくるため子どもができる可能性があります。ただ問題は子が忌神であり、また沐浴桃花であることです。偏財が透干していることを考えると、女性問題を起こしそうな感じがします。結果はこの時点ではわかりませんが、著者の盧清和師も同じような判断(「妾に子どもができる」との占断)を下しています。


例6 父母妻ともに無力の命

『八字命批範例』

1961年10月17日午時生 男命

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【"hiroto"的審査】
 五行強弱:土水金木火
 印綬格  喜神:金水  忌神:木火土
 戊癸合、丑未戌刑、亥未半会



【命式】
 癸日主が秋生まれですので、季節的には強い日主です。亥丑に通根していますので、比較的強いといえます。ただし丑は遠いので根の作用は弱いです。戊は癸と合しており、日主に対して強く作用します。3支に通根していますから強いといえます。辛金は丑にのみ通根していますから、他の干よりは弱いです。木は亥未の半会があります。火は未と戌にあります。
 五行の強弱は土水金木火の順でしょう。喜神は水金、忌神は火木土となります。
 月令は辛であり偏印なのですが、残念ながら辛は癸を生ずる作用はあまり強くありません。また日主は月干の戊と合しており、他の干の作用はほとんど受けません。忌神の正官の剋のみを受け、比肩や偏印の生助は受けられないということです。

【判断】
 月柱に忌神があり、印も無力ですから、父母からの支援はまず受けられないと判断されます。また日支は未で戊が透干していますから、やはり忌神で、妻の助けも得られません。
 なお丑戌未は三刑であり俗に言う無恩の刑です。家のごたごたが懸念されます。なお未は喜神の時支と会ですので、妻と子どもは仲がよく、それにより家庭崩壊は免れているように思えます。


例7 財党殺の命

『最新八字造化真跡』

1962年1月17日辰時生 女命

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 初生不久即父母離異、従小随祖父母長大。



【"hiroto"的審査】
 五行強弱:土水木金火
 正官格  喜神:木水  忌神:金火土
 甲己合、申酉戌方局、辰酉合


【訳文】  生まれてすぐに父母と離れ、小さい頃から祖父母に育てられた。

【命式】
 乙日主で冬生まれで卯辰に通根しています。庚と乙は合していますが、乙が比較的強いので化金にはなりません。しかし庚金の乙の剋は強くまた辛が2干あり、丑は金の根で土も持ちますから、相対的に金が強く木が弱い形です。調候的に丙丁火が欲しいですが、命中に一つもありません。丑辰は湿土ですから、いわゆる凍木となり、これはよくない命式です。

【判断】
 タイトルは「財党殺」(財が集まって殺を生じるというような意味)としましたが、これはこの本のこの項の原題がそうなっていたので書いたまでで、私はそのタイトルとは違ったことを述べます。
 丑中の己土は偏財、丑中の癸は偏印で、この場合印は凍木を助長しますので、年月干支とも忌神といえます。これは家や社会とは縁がないことを示します。とくに初運壬は水ですからなおのことです。
 幸い次の寅運は寅卯辰の方合で寅中に火がありますから、乙木が強くなり悪くはありません。卯運からは木運となり、また中年以降は調候的によい運となりますので、暮らしもよくなります。
 命式自体は凍木なので、あまり健康とはいえません。

[2012年6月30日追加]



作成 2012年 6月30日  例7追加
改訂 2020年 8月10日  HTML5への対応、一部見直し