四柱推命の実占 ~ 災禍


はじめに

 ここでは、事故とか災害について取り上げます。最初は死亡しなかった場合のみにしようかと思いましたが、災禍で死亡した例の方が圧倒的に多いので、死亡した例もとりあげることにします。
 四柱推命で事故や災害がわかるかどうかは異論のあるところですが、飛行機事故とかならともかく、自動車事故等は自分の不注意が招くことが多く、四柱推命で見ることができるとされます。

- 内 容 -



例1 事故で両肢切断の命

『星命術語宝鑑』

1946年9月16日午時生 男命

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己運不好学、輟学而成群相闘呈強。亥運大改変、善於営商。己亥與日柱、天冲地剋、26歳辛亥年梟神入破財、夏天、因商心急、騎機車不小心與[カ]車相撞、入院治療、切断両下半肢、成残廃。用傷官極聡明、雖然残而不廃、到底、戊癸化合不逢時、反為凶徴。


【"hiroto"的審査】
 五行強弱:火土水金、木はなし
 化火格  喜神:火木(金)  忌神:水土
 巳酉半会、巳午火方、酉戌金方


【訳文】
 己運は学問が好きでなく、学校をやめてけんかばかりしていた。亥運に大きく変わり、商売を営み上手くいっていたが、己亥運は日柱と天冲地剋であり、26歳辛亥年、偏印が財を破り、夏に商売であせっており、バイクで不注意にもトラックに衝突、入院治療の結果、両足を切断し、障害者となった。傷官が用神なので極めて聡明であり、障害者となっても腐らずに商売はやめていない。戊癸が合して時に旺じていないのはかえって凶徴である。

【命式】
 この命式は判断が難しいです。巳午戌が地支にあり天干にも丙丁がありますから化火格とも考えられますし、月令は辛ですから火は旺じておらず、単なる偏印格とも考えられます。もし化火しなくても従財格といえるぐらい火が強く、私はこれは化火格と判断します。すると、日干は丁のような振る舞いをすることになります。

【判断】
 化火格だとすれば、己運は癸転じて丁にとっては食神運であり火を弱めます。忌神の食神ですから、他人にちょっかいを出すことになります。また私は、己運は火を弱めると同時に土を強めるため化火を破るとも考えています。本来の日干である癸が顕れ、己が七殺となり、性格がアンバランスというかアンビバレントというか、そういう状況になっているとみます。
 亥運でまじめになった理由がよくわかりませんが、数えの23歳から流年は西方金運に入り、25歳も庚戌ですから化火格の財の年といえます。化火格は財を恐れませんから商売にいいといえます。
 辛亥年はまさに日主の天剋地冲です。化火してますから癸は丁に変化すると考え、また巳亥は冲です。太歳を天剋地冲するのは凶意がありますから、事故を起こしたと考えられます。
 障害者になってもがんばれるというのは、まさに化火格という感じが私にはします。
 最後の「戊癸化合不逢時、反為凶徴」というのは、そういう例が多いのかよく知りません。


例2 交通事故入院9ヶ月の命

『八字応用学宝典』

1962年3月22日午時生 女命

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乙亥年卯月車禍厳重、手脚骨折、臉破相、住院九個月、乙亥年忌神運受傷惨重。


【"hiroto"的審査】
 五行強弱:水土金木火
 七殺格  喜神:火土  忌神:金水木
 午未合、午未火方、寅卯木方


【訳文】
 乙亥年(満33歳)卯月重大な交通事故で、手脚骨折、顔面損傷、入院九ヶ月。乙亥年は忌神運であり、受傷は悲惨で重いものとなった。

【命式】
 己土は未に通根していますが、午未の合で根の作用は弱まり、月令は七殺で弱い日主といえます。水は2干あって庚金もあるので一応強いのですが、地支には水がありません。同様に庚金も地支に通根していません。一応水が最強としましたが日主と水の強弱は微妙です。いずれにしても日主は弱いので強める必要があります。それにしてもこの命式は天干土水金が地支に通根しておらず(未も支合で弱い)、地支は逆に木火が強いという、バランスの悪い命式といえます。すなわち行運で五行強弱が大きく変わるため、変動の多い命といえます。

【判断】
 大運子は午未の合を解き、子自身が水の根となりますから財が極端に強くなります。また流年乙亥は亥が卯未と会して木局を成し、流月も卯ですから殺も極端に強くなります。普通であれば、これだけ忌神運が重なると生命を喪ってもおかしくありません。幸い流年干乙は庚と合するため、傷官の作用はなくなりますし、乙の七殺の作用も日主に及ばなくなります。また流月は己ですし、午未は火根ですから日主を生扶する作用もあります。したがって最悪の事態は免れたといえるかもしれません。ただ、もう少し年齢が上であれば、助からなかったのではないかと思います。


例3 交通事故2度無傷の命

『八字応用学宝典』

1961年5月6日申時生 男命

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甲戌年発生二次車禍、然用神年毫髪無傷。


【"hiroto"的審査】
 五行強弱:水金土火木
 印綬格  喜神:土火  忌神:木水金
 巳亥冲、申亥害、巳丑半会


【訳文】
甲戌年(満33歳)に二度も交通事故があったが、用神(喜神)の年であり全くの無傷であった。

【命式】
 例2と同じ本の同じ項から採りました。財と食神が強いのですが、日主己も丑に通根し、夏生まれで生を受けますから、従財格ではなく通常の印綬格とします。すると喜神は土火であり、忌神は木金水ということになります。

【判断】
 大運己は喜神運ですが、甲戌年は必ずしも喜神とはいえません。甲は己と合して己を強く剋しますから忌神です。戌は己の根となりますから喜神です。
 正官甲が日主を剋すので、判断に迷いが生じやすく、その点は事故に遭いやすいといえるでしょう。ただし巳亥の冲で木の根の作用がうすいので、命を落とすほどのことにはならないでしょう。戌土もありますし。
 ちょっと特殊な見方ですが、大運と流年は干は干合(剋関係)支は刑ですから、このことからも事故に遭いやすいといえそうです。ただし、この見方は術者によっては否定されていますが。
 先の命式との違いは、喜忌の度合いの違いといえそうです。この例は、忌が深くなくても事故を起こす(起される)可能性がある、ただし忌が浅ければ生命に別状はない、ということを示唆しています。


例4 衝動自殺の命

『鵲橋命理3』

1974年6月29日未時生 男命

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練習問題。請在命理上説出破局的原因、及其死因応属於哪一種類型。


【"hiroto"的審査】
 五行強弱:木金火土水
 七殺格  喜神:金土  忌神:火木水
 丑未冲、寅午未火方、丑午害


【訳文】
練習問題。命理上からみて破局の原因を説明してください。そしてその死因がどのタイプに属するかをあげなさい。

【命式】
 辛日主が夏生まれですから弱い日主です。丑に通根しますが丑未の冲で力がなく、庚金も辛の力にはなりません。財である木は寅に通根しており、二干ありますから強いといえます。また地支には寅午未の火方局があるため、行運で火が巡ってくれば火は強くなります。したがって、五行の強弱は木金火の順で、水土は弱い命です。格局は月令の七殺格とし、喜神は金土、忌神は火木水となります。

【判断】
 さてこの命ですが、1993年癸酉年19歳で亡くなりました。原因は痴話げんかによる衝動的な飛び降り自殺です。
 「鵲橋命理3」ではこの命式は練習問題となっていて、死因を当てる問題となっているのですが(練習問題では選択肢がある)、これだけみて死因を当てられる人はかなりの達人でしょう。
 「鵲橋命理3」とは別に、私なりの解釈をしてみましょう。
 選択肢の中身とは別に、私が直感的に考えたのは火災による死亡です。しかし、大運流年とも天干は水で地支は金ですから火災というのは違うでしょう。まあ、辛金日主で火が強ければ火災による死亡、とするのは安直に過ぎます。
 次に思いついたのは、忌神が財で強いことです。財とは金銭に関することですが、金銭を問題にするには少し若すぎます。また財は女性をも指しますから、年齢的に考えられるのは恋愛問題です。神殺をみれば、月支午は金の沐浴であり、日支からみれば咸池となります。また紅艶でもあります。いよいよ女性関係の問題が濃厚になってきます。
 恋愛の問題だとすれば、本人の性格をみる必要があります。
 まず日主が弱いので劫財は基本的に喜神のはずですが、庚辛の関係は互いに傷つけあう関係であり、助力がすんなり助けにならない傾向にあります。変な独立心で助けを受け入れないというようなこともあります。
 財が強すぎるので他人に干渉しようとする性質がありますが、辛乙の関係は必ずしもよくなく、ヒステリックな干渉の仕方をします(以上のことは『四柱推命術密義』に書かれています)。財は木で神経を意味しますからなおさらです。
 月令丁は忌神の七殺であり、家庭的にも抑圧されていたものと思います。
 総じて性格的には不安定、衝動的ということがいえるでしょう。その割りに女好きだし結構モテるところもあるでしょう。
 大運申は寅を冲して木が弱くなるのですが、年運癸酉は金を洩らして木を生じ、また酉が丑と会して丑未の冲を弱め、木の根が出てくるためよくありません。ただ、私には死ぬほどの運だとは思われませんが、性格的なものが災いしたのでしょう。本人はケガで済むぐらいと思ったのでしょうか?流月が夏に入ると確かに悪くなりますので、そこも考慮にいれる必要があるかもしれません。


例5 火災による死亡例

『鵲橋命理3』

1974年2月26日巳時生 女命

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1996年11月20日、香港九龍発生大火死者。(注、原文は8年運)


【"hiroto"的審査】
 五行強弱:火木土金、水はなし
 七殺格  喜神:金水(土)  忌神:木火
 寅戌半会



【命式】
 前例の命式で火災による死者?と書き、実際は違ったわけですが、この例では、火災による死者の例です。
 実は、私は、四柱推命で火事によって死ぬかどうかなどわかるとは思っていません。まあ、ですが、ここでは試しにみてみましょう。
 戊日が春生まれですから弱い日主です。しかし戌に坐しており、印が非常に強いので、強い日主です。火は二干あり、地支すべてに通根していますから、極めて強い五行です。木は春生まれでまた寅に通根しており強いです。強い順に書けば、火木土で、金水は極めて弱く、水に至っては命式にありません。七殺があるので、従旺格、従強格とはとらず、一応七殺格としますが、この七殺は戊を抑えるというよりも丙丁を強める作用が大きいように思います。喜神は金水土、忌神は木火となります。ただし土は微妙です。

【判断】
 この命はいわゆる火炎土燥の命であり、夭折、病弱、貧賎の命と言われます。朱鵲橋老師は、この命について、乙丑運で死ななかったのが不思議なぐらいだと言っています。
 1996年は子運丙子年22歳です。甲運と子運のちょうど間ぐらいですが、一応子運に入っているでしょう。ただ、この命式においては、子があったぐらいでは火炎土燥は解消されません。ないよりましではありますが…。流年丙はさらに強く命式を乾かします。天干に二干あるのは火の強すぎであって、この年ははっきりと悪い流年だといえます。
 火炎土燥と火事の関係は全くの偶然であると思いますが、印の強すぎは判断力の低下につながります。火事の際に判断を誤った可能性があります。
 この運を過ぎれば金水運に入るため、もし生きていれば運勢がいくぶん好転しそうな感じがしますが、実をいえば好転するとはいえません。癸は戊と合して丙を弱めることがあまりできず、壬は丁と合して木化しますので喜神にはなりません。辛は丙を合していいのですが、庚は丁に剋されて丁を弱める程度であり、甲を剋する十分な力がありません。すなわち、残念ながらこの命は一生を通じて基本的に苦命です。


例6 刺殺の命

『命理通鑑』

1916年9月19日丑時生 男命

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辛丑運中値丁酉流年(41歳)、丁辛相剋、因宗人求借不遂、致被刺殞命。


【"hiroto"的審査】
 五行強弱:土火木金水
 食神格  喜神:木水  忌神:金火土
 丑未冲、辰酉合


【訳文】
辛丑運丁酉年41歳のとき、丁辛相剋、親戚の借金を断りかえって刺殺された。

【命式】
 己日主で秋生まれですから、季節的にはあまり強いとはいえません。辰丑未の根がありますが、丑未は冲、辰酉は合で、通根の作用は弱いです。しかし、印が多いので、相対的に強い日主です。乙木は辰未に通根していますが、土ほど強くありません。日主と印が強いので、水木を喜神、土火を忌神とします。金は喜神の乙木を弱めるので忌神です。

【判断】
 さて、41歳は辛運です。金は忌神ですが、丙と合して丙を取り去り、喜神的な働きです。しかしこの命式において、丙の忌神としての作用は弱く、むしろ乙を強めるぐらいの働きがありますので、丙を取り去ることは必ずしもよいとはいえません。
 丁酉年ですが、丁は己をそれほど強めるわけではありませんが、乙を弱めます。酉は丑と会して丑未の冲を解きますので、己が極端に強くなります。したがって忌神の流年ということになります。
 ただ、以上の話だけでは単に忌神の流年だというだけで、人に刺殺されるような災禍に遇うかどうかは?です。
 よくみると(よくみなくてもわかるが)丁酉年は月柱の伏吟(同じ干支)になっています。丁も酉も忌神です。また酉は自刑です。このような場合は凶意とくに災いに逢いやすいと言われます。
 また、地支は丑未は冲、辰酉は合、酉酉は刑、酉丑は会、と合冲刑が入り乱れています。このような命式はよくありません。
 人に刺されるかどうかは本人の性格にも依りますが、このような命式、行運の場合は災禍にあいやすいと考えられます。



作成 2008年10月12日
改訂 2020年 9月 2日  HTML5への対応、一部見直し