四柱推命の見方概説


■ はじめに

 四柱推命の見方とひとくちに言っても、これについて述べれば、何十冊の本になってしまいます。というか、世の中の四柱推命の本の大半は、命式の見方について書かれているわけで、ホームページでその全容を紹介することは、当然できません。私が勉強した入門者用の四柱推命に関する参考書をあげます。とはいっても、私が入門者の時に読んだ本ではなく、だいぶたってから参考までに読んでみた本もあります。

   「四柱推命活用秘儀」(佐藤六龍著 香草社)
   「泰山流四柱推命学入門」(緒方泰州著 三一書房)
   「最新四柱推命理論」(陽史明著 遊タイム出版)
   「改訂四柱推命学入門」(武田孝玄著 秀央社)

 四柱推命に関する書籍はそれこそ汗牛充棟で、私自身も何冊持っているかわからないぐらいですが、初心者向けに整理されて書かれた本で、これはという本にはなかなかお目にかかれません。新書版などでも結構いろいろな本が出ていますが、本格的に勉強しようという人には進められません。上に挙げた本は、本格的に学ぼうとする人の入門書としては良いと思います。ただし、あくまで入門書であり、実占をやるためには、さらに上の本を読まなくてはいけませんが。

 ここでは、私の見方やポイント、見方の順番といったものに限定して、例をあげながら紹介したいと思います。
 したがって、格局や用神、喜忌の詳しい解説はしていません。それらについては、本を読むとかとか、師につくとか、通信教育で学ぶとか、してください。四柱推命で身を立てている人は多く、その方々の(商売の)邪魔をする気はないので…。
 さらに、私独自の方法もありますので、四柱推命の一般的な方法と違うところもあります。その辺はご容赦、ご理解をお願いしたいと思います。
 個々の項目については、四柱推命の見方各論で論じたいと思います。


― 目 次 ―

1.命式を立てる

 年月日時の干支は、「万年暦」というものがありますので、それを使います。
 私の場合、1年の始まりは立春、1日の始まりは子刻(午後11時)とします。
 なお、1年の始まりを冬至、1日の始まりの正子刻(午前零時)とする考え方もあります。近世の中国の推命家は、午前零時をもって1日の境としていることが多いようです。前日の子刻を夜子時と呼んでいます。ちなみに、1日の境をどこにおくかというのは、こと私にとっては重大な問題で、自分が午後11時20分頃の生まれであるので、日の境をどこにおくかは、結構切実な問題なのです。私自身の命式から判断した場合、夜子時は合ってないように思っています。
 それはさておき、私の命式を用いるのも何ですので、公刊されている本からの命式を例にとることにします。
 なお、次の点をお断りしておきます。
  (1)十二運は五行からとる方法をとっており、「陽生陰死」を採用していません。
    よくある四柱推命の本と違っています。
  (2)月令は透派や一部の四柱推命書で上げられている方法でとっています。

 例題として、次の命式を考えていきましょう。

1917年12月29日寅時生 男命 (『星命術語宝鑑』張琦平著王家出版社刊より)


時柱日柱月柱年柱-
正財-印綬食神変通星
沐浴十二運
--偏印月令

58483828188大運

2.天干の強弱、相互関係を看る

 さて、次に行うことは、天干の強弱を測ります。
 実際に、1で出した命式の例で説明することにします。
 まずは、日干の強さからみます。そのポイントは次のとおりです。

  (1)地支に通根しているか?
  (2)生まれた季節が日干を強めるか弱めるか?
  (3)月支蔵干が日干を強めるかどうか?
  (4)他の干との合、剋、生などの関係はどうか?
  注)以上の順序には術者によって異論があると思います。

 日干は乙で陰の木です。まず、通根しているかどうかをみてみますと、時支に寅があり、木の根となっています。その他には木の根はありません。

 生まれた季節をみると、子月であり冬です。子の五行は水ですから、通根しているわけではないですが、日干を生ずる(強める)関係になっています。(旺相休囚死という分類では、相にあたります)

 次に月干をみてみましょう。よくみると月干壬と年干丁は干合の関係です。干合は、原則として、干どうしが相互に作用を及ぼすもので、干合している干以外にはほとんど作用を及ぼさない というのが、私の見方です。この例の場合、日干には影響を与えないわけで、日干との強弱の比較をしてもしかたがありません。

 時干はどうでしょう。時干戊は陽の土であります。一般的には、巳の蔵干に己があり、通根していると考える術者の方が多いと思います。私は通根していないという説を採っていますが、巳の五行は火であり土を生ずる関係にあるため戊を強めているとします。ただし、五行の生の場合は、通根の強さより劣ると考えます。

 日干乙と時干戊の関係は、乙の方が強く、さらに戊が剋される関係で財ということになります。
 なお、この例にはありませんでしたが、地支どうしの関係(冲、合、刑など)も重要で、それにより天干の強弱も変わってきます。これに関しては、別の命式例で説明します。

3.格局、用神、喜忌を知る

 私は、格局を分け用神を知ること自体が重要だとは考えていません。重要なのは、格局や用神を出すための考え方やプロセスであると思っています。
 ただし、命式の見方の手法として、いったん命式を格局に分類してから、貴賎貧富を見るという方法は否定するものではありません。阿藤秀夫氏が発掘した『子平管見』はこのような方法ですし、『淵海子平』もそういう見方といえば言えるでしょう。

 例をみながら、話を進めていきます。

 まず、一つの五行が強すぎるかどうかをみます。この命式の場合、乙木が強いのですが、通根している地支は1つだけです。対する戊は乙ほど強くないですが、乙との差は通根している地支が1個あるかないかだけですので、乙が著しく強いとは言えません。
 このように、一つの五行が強すぎるわけではない命式においては、五行の均衡を図る ことが原則となります。
 ちなみに、一つの五行が強すぎる場合は外格といって、その強すぎる五行をさらに強める方法をとります。これについては別途説明したいと思います。
 例の命式に戻ると、格局でいえば、この命式は内格といえるわけです。一般的に、内格の場合は月支蔵干を格局の名称とする のが普通で、月支蔵干癸は偏印ですので、偏印格ということになります。

 用神のとり方は術者によってさまざまで、ほんとにいろいろなとり方があるのですが、「用神というのは命式のキーポイントである」という考え方に立てば、この命式の用神は戊といえるでしょう。年干と月干は干合ですから他に影響を及ぼさないわけで、命式における存在価値はあまりないといえます。通常、地支は用神にはとりません。(とる術者もいる)
 初心の頃は(私も含めて)この用神でつまづくことが多く、それを脱却するにはやはりよい師についた方がいいと思います。ま、私はそれでずいぶん遠回りをしたわけですが。

 そして喜忌ですが、この命式は五行の均衡を図ることを目指すわけですので、まずは天干にあらわれている、乙木を弱め、戊土を強めるのが基本的考え方といえます。そして、その他の火、金、水をどうからめて五行の均衡を図るかが問題となってきます。
 五行的に考えますと、木は木を助け土を弱めるので忌神、火は木を弱め土を強めるので喜神、土は土を助けるので喜神、 金は木を弱め土も弱めますので吉凶相半ばというところでしょうか、水は木を生じ土を弱めますので忌神 ということになります。
 個別の干支についてみるときは、単なる五行だけでは判断しません。干支どうしの関係が重要で注意が必要です。

 以上で命式自体の審査は終了です。次から本題に入ります。

4.本人の性格傾向を看る

 占う上で、本人の性格傾向がわからないと、個々の判断において誤りを生じやすいものですので、まずは本人の性格傾向をみます。
 性格傾向は、原則として、日干と月支蔵干と用神となる干の六親でみます。
 次のような考え方をします。

  (1)日干は自己であり、もって生まれた基本的性格を示す。
  (2)月干支は両親、家を、とくに月支は母親を表し、育った環境で形成される性格を示す。
  (3)用神は本人の命式のポイントであり、人生を左右するもの、興味の対象を示す。
  (4)その他干支の相互作用や神殺を合わせて考え、性格を推理していく。

 上のような原則から、例であげた人の性格を想像してみます。
 まず、日干が強いことから、自我が強いことが想像されます。さらに、乙の象意から、神経がこまやかとか想像力があるとか利己的とかというところが基底にあると仮定します。ただし日干の象意は表面にはっきりと出ることはあまりなく、 表への出方は変通星で判断することになります。
 月支蔵干は偏印です。印は他人の助力をうけることですが、印は忌神ですので悪い意味が強くなります。すなわち、親の助力を受けたため依頼心が強いということが想像されます。
 自我が強く依頼心が強いということは、一言で言えばわがままということができるでしょう。乙木の象意に利己的ということがありますが、それが表面に出やすいと想像します。
 用神は戊で財です。財はお金、あるいは男性にとっての女性ですから、本人の興味はもっぱらお金や女性に向かうことになります。ただし、戊は喜神ですから、いい意味にとるべきで、倹約家で女性にやさしいといえるでしょう。
 おぼろげながら、例の人の性格というか”感じ”がわかってくるようですね。

5.本人の行運を看る

 人生航路の大きな流れは大運でみます。命式の下の表が大運です。
 大運の出し方には、異説もあるのですが、多くの本には、月干支を始めとして、陽男陰女は順に、陰男陽女は逆に、10年区切りで配するのが一般的でしょう。ここでは、具体的に書きませんが、大運の出し方は、市販の本を参考にしてください。

 大運の見方には、干支を5年ずつに分けて看る方法と、干支ひとまとまりで10年とみる方法があります。私は、「天戦地冲」など特殊な見方のときだけ干支のまとまりでみて、通常は干と支を5年ずつに分ける方法をとっています。
 例の人の場合、18歳以降について、3.で得られた吉凶をあてはめると、
  庚(18~22歳)は金ですので吉凶相半ば
  戌(23~27歳)は土ですので喜神
  己(28~32歳)は土ですので喜神
  酉(33~37歳)は金ですので吉凶相半ば
  戊(38~42歳)は土ですので喜神
  申(43~47歳)は金ですが、年支の巳を合して土を弱める作用があり忌神
  丁(48~52歳)は火ですので喜神(ただし壬との争合であまりよくはありません)
  未(53~57歳)は土ですが、木の根ともなり木を強めますので忌神
  丙(58~62歳)は火ですので喜神
  午(63~67歳)は火ですが、この場合は子を冲し、忌神と考えた方がよいでしょう。
 ざっとみると、42歳ぐらいまでは良さそうですが、それ以降は良い時と悪い時が5年おきに来るということになります。

6.あとは個別にテーマを決めて看る

 およその性格と行運がわかれば、あとはテーマを決めて見ることを薦めます。逆にテーマを決めないと、ポイントが絞りにくいからです。(説明もしにくい)
 前と同様、細かい語句の解説はしませんので、それは四柱推命辞典を参照してください。

6-1.病気と寿命

 しょっぱなからかなり重いテーマを選びました。というのは、私が四柱推命で最も役立つ分野だと思っているのが健康に関する分野だと考えているからです。はっきりいって、死んでしまえば財産や名誉があってもしょうがないし、重い病気を患えば自分の努力で運を変えることも難しくなるでしょう。

 四柱推命は宿命を見る占術だと思っています。宿命は根本的には変わらないでしょうが、その人の人生の過ごし方によっては重くも軽くもなるはずです。そして、その過ごし方の方法や時期を教えてくれるの四柱推命だと考えています。

 哲学的なことはここではやめときましょう。そういう話は「四柱推命そぞろ歩き」に書くとして、とりあえず例の人を考えてみましょう。

 この人は、47歳癸卯年のときに中風を患い、57歳癸丑年に肛門ガンで亡くなりました。(年齢は数え年です)すぐ気づくと思いますが、いずれも癸年に病気を患っています。癸はこの人にとって非常に悪い干だったのです。
 というのは、癸は戊と干合します。干合というのは、原則として互いの作用のみとなることは前に述べました。すなわち戊は日干には作用を与えず、命式中では意味のない存在となってしまうわけです。ところが、戊は用神の財として、命式中では非常に重要な干でありました。そのような干が命式から消えてしまうことは、人生の拠り所を失う、場合によっては死につながるということです。

 癸の年は10年おきに来るわけですが、なぜ47歳、あるいは57歳なのでしょう。
 一つの理由は、大運が悪くなかったということ、もう一つは常識的な話で、病気や死亡する年齢に達していなかったこと、だろうと思います。
 私の見立てでは、57歳はちょっと早すぎですが、この人の寿命は67歳を越えることはないと思います。というのは、大運が午のときは、月支の子を合して作用を取り去るため、命式に水がなくなるからです。水は生命の源であり、命式から水がなくなるのは健康の面からはよくありません。(外格でもあてはまる)さらに癸が戊を合すれば、命式の五行は木火のみとなり五行均衡からははるかに遠のいてしまいます。
 この人が、57歳でなくなったのは、中風になってからも、節制せず結構無茶したのかもしれません。

 次に病気ですが、『滴天髄』の疾病論には、
 「五行和やかなる者は、一世災いなし。血気乱れる者は、平生多疾なり。」
とあります。血気とは諸説ありますが、ここでは水と火を指すと思います。要するに、この文では、五行が均衡していれば健康だが、五行がかたよると病気になる、ということを述べているわけです。病気の原因、部位は、五行に着目するのが基本です。。
 さて、例の人についてですが、土は消化器官を表しますので、肛門ガンで亡くなったことはまあわかるのですが、(といっても肛門と特定することは困難ですが)中風というのは私の力量では見抜けません。癸未年は土が弱くなり木が強くなるわけですから、しいていえば、神経が興奮しすぎて、結果血管の破裂等の障害を引き起こしたともいえなくはないでしょうが、何か「風が吹けば云々」の類の説明ですので、ここは正直に、私には力不足でわかりません、と言います。

 以上が、病気や寿命の見方の例です。
 実際に病気になったら、これは医者に見てもらう方が四柱推命で見るよりも正確なのは言うまでもありません。(ときどき誤診や医者のわからない病気もありますが四柱推命でみるよりはずっとましです)
 病気の治療は占術ではなく医術の守備範囲です。
 ゆめゆめ勘違いをなさらぬよう。

6-2.財産

 財というのは、とくに中国人にとっては関心の高い問題のようです。背景はいろいろあるでしょうが、そのような国民性の問題はおいといて、財について看てみましょう。

 『滴天髄』には、
 「何ぞ知るその人の富、財神が門戸に通ず」
とあります。この意味は、正財や偏財が命式や行運にあれば、財をなすことができる、ということでしょう。
 先の例でみると、例の人の用神は財で喜神ですので、財をなす可能性があるといえます。 実際、40~42歳のときに財をなしたということです。この期間は戊の大運であり、まさしく「財神門戸に通ず」状態にあったといえるでしょう。
 この例は、実に簡単明瞭であり、わかりやすいです。こういうわかりやすい例ばかりではありません。

 ただ、財を見るだけなら簡単ですが、どうやって財を得るかが問題です。しかしこれは四柱推命以外の方法を使わねばいけません。(例えば、奇門遁甲とか択日とか。それらは私は得意ではありません)ただし、四柱推命的に見るとすれば、その人の財が労働の対価なのか、投機的なものか、苦労して得るのか、楽に手にできるのか、などは判断できるので、それに沿ったアドバイスはできるでしょう。逆に財に縁のなさそうな時期であれば、生活を見直して浪費を慎みなさいというようなアドバイスはできますね。

6-3.恋愛、結婚

 先の例では、恋愛、結婚の事実がわかりませんので、別の例を挙げて説明したいと思います。
(同じ人ではそろそろ飽きてきたでしょうし)

1950年8月12日子時生 女命 (『星命術語宝鑑』より)

正官-正官傷官
沐浴
--傷官

51413121111

 まず命式を分析してみましょう。
 日干は通根していません。火もないので、生じられることもありません。月干と時干は甲で、寅、卯に通根しています。寅の方は申と冲しており、根としての働きはあまり期待できませんが、卯は根となっています。年干の庚は申に通根していますが、やはり寅と冲の関係で庚の根となるには力量が足りません。
 日干と月干時干の関係は干合であります。この場合は、一つの干に対して二つの干が干合するわけで、とくに争合などと言われます。 日干は自分ですから、この干合の作用は自分に直接影響します。前の例のように干がないのと同じとは言ってられません。日干と干合する場合の作用は非常に大きいということです。
 干の強弱としては甲が強いといえますが、庚が甲を剋して弱め甲の独走を抑えています。この命式は格局としては内格の傷官格であり、五行均衡を喜ぶ命式です。用神はこの場合、日干に非常に影響の大きい甲ととらえるべきでしょう。

 性格をみてみましょう。日干己は甲に抑えられて弱くなりすぎです。このような人は主体性をもつのが難しいです。 さらに正官が強すぎるので引っ込み思案で気弱という感じです。
 月支は寅と冲しており、家の恩恵はあまり受けません。年支と月支が冲の人は故郷を離れることが多いものです。
 この命式の特徴のひとつに「傷官見官」があります。このような命式は”濁”と呼ばれ、品位が高い人とか高潔な人とかはあまりいません。

 本人の性格傾向までみましたので、いよいよ恋愛についてです。
 主体性がないゆえに自分から燃えるような恋愛に飛び込むというようなことはないでしょう。正官というのは女性にとって夫や恋人を示し、しかも争合ですので、三角関係や不倫等が考えられます。さらに、日支は配偶者の場所で時支と刑の関係であり、凶意を含みます。
 恋愛について忘れてならないのが、咸池(桃花殺)です。この命式には日支がまさに沐浴で咸池ですから、淫らとまでは言いませんが、恋愛については比較的奔放でしょう。
 以上から判断すれば、普通の恋愛や結婚は難しいでしょう。
 実際は、22歳のときにある年老いた議員と不倫、25歳のときに同僚と結婚したのですが、1年もたたずに離婚してしまいました。
 はたしてその後どうなったのかはわかりませんが、火土運になるまではよくありませんし、火土運に入るのは40歳以降ですから、恋愛や結婚で幸せになるのは難しい女性です。このような女性は、仕事や趣味で生きがいを探した方がよいと思います。

6-4.才能、職業

 才能、職業と銘打ちましたが、ここでは例を挙げて、いくつかのポイントにそって見方のさわりを述べたいと思います。各論については、別項を設けて説明したいと思います。

1946年10月24日卯時生 男命 (『当代八字実務編』より)

比肩-印綬正官
冠帯
--印綬

55453525155

 才能や職業というのは、本人の性格傾向から離れることができませんから、まずはそれをみましょう。

 日主は比肩と印があり、また戌に通根していますから、強い日主だといえます。しかし、正官丙も未と戌に通根していますから十分強く、辛が強すぎるということはありません。印である戊が未と戌に通根しており、さらに月令に旺じていますから、印も強いです。印と日主が強いので、官は喜神といえます。
 この命式では、月支蔵干戊が月干にありますから、戊が用神であるといえるでしょう。戊は印ですから、父母、年長者、自分を庇護するものを意味します。ただこの命式においては、戊が強すぎ、いわゆる埋金のきらいがあります。してみると、この人は、比肩はあるものの、自己主張するほど自我は強くなく、むしろ年長者の意向にしたがうタイプでありましょう。年長者に従うことこそ人生の発展があると考えているかもしれません。さらに、官も適度にありますから、自己を抑える傾向にあるといえます。この性格はまさに、公務員、会社員向けといえるでしょう。正官、正印は公務員向け、七殺、食傷は特異な才能を発揮、財は自営業向け、とも言われます。(この文言自体はオリジナル)
 こういう命式を、古書では、「官印双全」とよんでおり、高位の官僚に昇進するとあります。
 ただ、この命式は殺印相生で印が強すぎるきらいがあり、印を抑える財があるとなおよいといえるでしょう。幸い時支に財があり、木運がめぐるとよい運に恵まれます。
 この命式を引用した、「当代八字実務編」によると、殺印は勉学に励み、官はまあまあ、食傷は頭がよい、比劫と財はあまり読書とかしない、とあります。この命式では、官印が強く、また若いころは北方運ですから、勉学はまずまずの成績でしょう。このような人は大学まで出て、卒業したら公務員になるのがベストかと思います。官僚としては優秀でしょう。
 実際、この人は台湾大学修士課程を卒業後、国の研究機関に入り、さらに経済部(日本でいうところの経済産業省)に転任、さらに桃園県の財政局局長になりました。まさに官印双全の好例といえるでしょう。
 ちなみに、わざわざ好例を選んだわけではなくて、事跡、職業のわかっている人を適当に選んだだけです。



   作成 2008年10月12日
   改訂 2021年 8月23日  HTML5への対応