「命理正宗格局解説」においては命式例を省略してきましたが、ここではまとめて紹介することにします。ただし、全例は紹介せず、そのうちの一部となります。
命式についての張楠の見解を訳しますが、青字で私の見解を付すという極めて挑戦的な試みであります。
『命理正宗』は万暦帝年間の1590年以降にまとめられたと思われますので(2007年に読んでいて初めて気がつきました)、生年月日についてはそれに近い年数で推定しています。ただし、旧暦ではなく簡便なためグレゴリオ暦で計算しています。当時の西暦はユリウス暦からグレゴリオ暦に変わる時でありますが、簡便法で計算しましたのでご了承ください。
乙 | 壬 | 丁 | 甲 | : | 48 | 38 | 28 | 18 |
巳 | 辰 | 丑 | 午 | 壬 | 辛 | 庚 | 己 | |
- | - | 癸 | - | 午 | 巳 | 辰 | 卯 |
【"hiroto的"審査】
五行強弱:水火木土金
月刃格 喜神:火木(土) 忌神:金水
壬丁干合
見るのが難しいと張楠は言っていますが、比較的見やすい命式だと思います。言うとおり、水生木、木生火、火生土(辰丑)、土生金(巳)、金生水という形の命式のようです。ただ五行周流というにはちょっと苦しい。
月令ですが、1月13日と推定しています。すると、土用の前の生まれですから、月令は癸としています。冬生まれの壬日ですから、日主は季節的には強いといえます。また日支の辰にも通根しています。
他の干をみてみますと、月干丁は壬と合しており、壬との相互作用は大きいといえます。また年支、時支に通根しており、強い干だといえます。さらに食神生財で、年干の甲から生じられています。
なお、壬と丁は、地支の木が強くないので、木化はしません。(というのが私の考え)
甲乙木は二干ありますが、辰にしか通根しておらず、強さとしては丁にややおとります。
この命式の五行の強さをはかると、壬と丁の強さが拮抗しています。壬がやや強いか。木は弱くはないがそれらに劣ります。
喜神は木火と判断していいと思います。 寒暖、いわゆる調候的に考えますと、冬の木は凍木となりやすいのですが、幸い丁が解凍の作用を果たしているとみることができます。解凍の作用は丙が最も強く良いのですが、丁も丙ほどはないにしろその作用があります。したがって、丁はこの命式で非常に重要な干だといえます。
日主が強く用神で喜神の財が強いのですから、これは富命です。食神生財でもありますので、富命といってもそんじょそこらの金持ちではなく、大富豪といっていいかと思います。滴天髄でいうところの「財気門戸に通じる」の典型的な例です。
官殺は一応忌神ですので、非常な貴命とは言いがたいですが、日主が強いので賎命ではなく、まあ人品いやしからぬ人と言っていいでしょう。
行運で極端に悪くなる命式ではないのですが、壬癸運はあまりよくないでしょう。壬運は丁と争合となりますし、癸運は沖天奔地となりやすいですので、財が相対的に弱くなるからです。
癸 | 乙 | 甲 | 癸 | : | 49 | 39 | 29 | 19 |
未 | 巳 | 子 | 卯 | 己 | 戊 | 丁 | 丙 | |
- | - | 癸 | - | 巳 | 辰 | 卯 | 寅 |
【"hiroto的"審査】
五行強弱:木水火土金
従旺格 喜神:木水 忌神:火土金
子卯刑
「命理正宗」の正官格に挙げられている命ですが、正官は表立って表れません。巳の蔵干である庚が正官だと言っているわけです。しかし正官格の例としてはふさわしくないと思います。
木が強く水も強いので、従旺格といえます。夫星は地支正官の庚(巳の蔵干)といえますが、巳自体はこの命式にとってはほとんど作用がありません。ただ、いくぶん乙の寒すぎを救う作用はあるかもしれませんが、それほどのことはありません。よって、夫は可もなく不可もなくという関係になります。私の判断では、この命式においては、夫を剋すという意味はあまり感じられません。
生年月日を検討すると、丙寅運は19歳からとなります。丙は非常に強くなりますから忌神です。流年をみると、23歳、24歳が丙寅、丁卯、27歳、28歳が庚午、辛未です。庚午年は月柱と天剋地冲ですし、大運丙は太歳辛未を剋します。丙運において午年の場合、午が子を冲して癸は根を失い、水が弱くなるため、木は焼き尽くされることになり、非常に悪いといえます。若いので必死とまで言えるかどうかは判断できませんが、病を患う可能性は高いと思います。
庚 | 戊 | 乙 | 辛 | : | 48 | 38 | 28 | 18 | 8 |
申 | 戌 | 未 | 丑 | 庚 | 己 | 戊 | 丁 | 丙 | |
- | - | 丁 | - | 子 | 亥 | 戌 | 酉 | 申 |
【"hiroto的"審査】
五行強弱:金土木火水
印綬格 喜神:木水 忌神:火土金
丑未冲、丑未戌刑
いわゆる傷官見官の命式であり、一見してあまりよくない命式だと思います。土支は3支あるのですが、丑未戌は三刑であり、また丑未は冲ですから、戊の根としてはそれほど強いわけではありません。正官が弱く食傷が強すぎるのでむしろ子どもはできにくいでしょう。いわゆる洩気太過の命式であり、酉運では申酉戌と方局をなしますので金がますます強くなります。乙丑年24歳には乙庚が金化するので災厄は免れないでしょう。
甲 | 壬 | 丁 | 甲 | : | 58 | 48 | 38 | 28 |
辰 | 辰 | 丑 | 午 | 癸 | 壬 | 辛 | 庚 | |
- | - | 癸 | - | 未 | 午 | 巳 | 辰 |
【"hiroto的"審査】
五行強弱:水木火土金
月刃格 喜神:木火 忌神:土金水
壬丁干合、辰自刑、丑午害
”正官格その1”とほとんど同じ命式ですが、時干支だけ違っています。おそらく同日生まれだと思われます。
日干壬は3支に通根し、しかも冬生まれですので強いといえます。甲は今度は日支と時支に通根しており、二干ありますからやはり強いといえます。強さからいえば、甲と壬の強さは五分五分といえるでしょう。丁は午にしか通根していませんから、他の二干に比べるとずっと弱くなります。
食神が強く財もあるので従児格になりそうです。従児格にしては日主が強すぎるし、財が弱すぎです。財は前例と同様喜神と考えていいと思いますが、弱い喜神ですから貧命とまではいえませんが、富命でないことは確かです。さらに比劫運が巡ってくれば、貧命に転落してしまいます。また、火として弱すぎで、解凍の作用も期待しにくいです。
五行的には木火が喜神、土金水が忌神といっていいでしょう。
巳運、午運はさほど悪くないと思いますが、癸運はさらに日主を強め、未運は年支午と合、月支丑と冲で、丁にとってはあまりよくありません。通根の作用はやや弱くなるからです。このときに土の年が巡ってくると、今度は土が極端に強くなるため、食神、財とも弱くなるため、非常に悪いということがいえるでしょう。
私の意見ですが、貧命というのはまあわかります。しかし、張楠がいう殺重身軽の命という判定には疑問を持っています。少なくとも身軽とはいえないと思います。
甲 | 辛 | 丁 | 壬 | : | 51 | 41 | 31 | 21 |
午 | 丑 | 未 | 辰 | 癸 | 壬 | 辛 | 庚 | |
- | - | 己 | - | 丑 | 子 | 亥 | 戌 |
【"hiroto的"審査】
五行強弱:木金火水土
仮従財格 喜神:水木 忌神:金火土
壬丁干合、丑未冲、丑午害
時上偏官格であると張楠は言っているようです。
この命式をみてみると、年干と月干は干合で丁が日主に及ぼす影響は低減されますし、月支と日支は冲でこれまた通根の作用が減じられ、また蔵干の作用も少ないと私はみます。すると、日主の強さは丑に座しているものの弱く、甲が辰に通根している分、それ自体はたいして強くはないのですが、日干よりは強いとみます。辛は弱いですから弱い従財格とします。
従財格だとすると、水木喜神です。
亥運はまさに水木ですので喜神です。ただ、どちらかというと壬運の方がいいと思います。というのは、一応壬は甲を生じますし、さらに壬は辛と非常によい関係ですので、辛の強さを調整する作用があるからです。
従財格での喜神は通常富命になりますが、私の経験では壬と辛の関係の良命は貴命のことが多いように思います。傷官というのは才能の意味もありますから、職業的に成功するということなのかもしれません。ただし、壬は月干の丁と争合するため、全てOKというわけにはいかないでしょうが。
なお、もし丁が壬に合されていなければ、丁は七殺で非常に強く辛を傷つけますから貴命というわけにはいきません。張楠もいうように、壬の合去があるから貴命となるわけです。いわゆる去殺であります。
壬 | 辛 | 丁 | 壬 | : | 51 | 41 | 31 | 21 |
辰 | 丑 | 未 | 辰 | 癸 | 壬 | 辛 | 庚 | |
- | - | 己 | - | 丑 | 子 | 亥 | 戌 |
【"hiroto的"審査】
五行強弱:水金土火木
偏印格 喜神:金土 忌神:水火木
壬丁干合、丑未冲
”偏官格その2”の命式と時柱が違うだけですが、非常に違う命式となります。それは年月干が合であるのと、日月支が冲だからです。すなわち、時柱の日干に対する作用がそれだけ大きいことになるからです。
丁は壬に合されて力がありませんし、未は丑に冲されてやはり作用が弱くなります。辛はかろうじて丑に根があり、地支は全部土で印です。壬は通根しているといっても土支ですから非常に強いというわけでもありません。ですからこれは内格です。五行的には水が最も強く、日主は弱いです。したがって水の洩を恐れます。ほとんど金寒水冷の命ですが、夏生まれなのでかろうじてそれを免れています。壬は辛を淘洗するのですが、あまりに強すぎるのは水に沈む金となりよくありません。こういう命はあまりいい死に方はしないような気がします。
甲 | 辛 | 乙 | 乙 | : | 44 | 34 | 24 | 14 |
午 | 巳 | 酉 | 丑 | 庚 | 辛 | 壬 | 癸 | |
- | - | 辛 | - | 辰 | 巳 | 午 | 未 |
【"hiroto的"審査】
五行強弱:金木火土水
建禄格 喜神:木火水 忌神:土金
巳酉丑三合金局、巳午南方
甲乙木が3つも透干していますが根がありません。日主辛は地支が巳酉丑と三合金局をなしています。よって五行的には金が最強で木はその次となります。甲乙木に根がないのであれば金の強い従旺格となりそうですが、だいたい木が3干もありますし、甲は潜在的に辛を剋す力があります。また辛は巳に坐しており、また巳午の火もありますから、従旺格にはなりにくいと判断します。したがって金を弱めるのが喜神となります。甲午年は財生殺の関係であり、喜神年となります。
財が強いのは現実的でありあまり学問を好まないのですが、行運が天干は水で食傷運、地支は南方運で官殺運ですから、この早い時期は頭のよさを発揮できます。
また甲は潜在的に辛を剋すと言いましたが(逆剋という言い方をしますが)、私の感じでは、甲辛の組み合わせは貴命になることがままあるように思います。
丁 | 辛 | 壬 | 丁 | : | 61 | 51 | 41 | 31 | 21 |
酉 | 巳 | 子 | 亥 | 乙 | 丙 | 丁 | 戊 | 己 | |
- | - | 壬 | - | 巳 | 午 | 未 | 申 | 酉 |
【"hiroto的"審査】
五行強弱:金火水金、土はなし
傷官格 喜神:木火 忌神:金土水
壬丁干合、巳酉半会、亥子北方
冬生まれで壬が丁を合しているので、丁はそれほど強くありません。巳酉は金の半会であり、辛金は命中で最も強いといえます。丁が辛を焼き尽くすということはなく、丁は解凍の役割を果たしている命式です。水についてみると、壬は干合ですから、その力は適当に弱くなっています。木火喜神ですから40歳代以降南方運に入り発展する命式です。
私思うに、これは時上に一位の七殺だからではなく、丁壬の合により金寒水冷を免れたことが大きいと考えます。
丁 | 丙 | 丁 | 辛 | : | 61 | 51 | 41 | 31 | 21 |
酉 | 寅 | 酉 | 巳 | 庚 | 辛 | 壬 | 癸 | 甲 | |
- | - | 庚 | - | 寅 | 卯 | 辰 | 巳 | 午 |
【"hiroto的"審査】
五行強弱:火金木、土水なし
偏財格 喜神:水金土 忌神:木火
巳酉西方
財は月令に旺じ巳酉の半会もあって強いのですが、火も3干2支もあり、財と日干の強さは拮抗しています。いわゆる身強財旺の命で典型的な富命です。私はむしろ辛を剋する丁を抑える方がむしろ富になると思います。癸運からは、辰運や卯運はやや足踏みしますが、基本的に喜神運であり発財するでしょう。
庚 | 丙 | 乙 | 戊 | : | 63 | 53 | 43 | 33 | 23 |
寅 | 申 | 丑 | 寅 | 壬 | 辛 | 庚 | 己 | 戊 | |
- | - | 己 | - | 申 | 未 | 午 | 巳 | 辰 |
【"hiroto的"審査】
五行強弱:土火木金水
傷官格 喜神:火木 忌神:土(金水)
寅申冲
時支寅は日支申と冲ですから、丙長生の作用は減じられます。冬土用生まれですから、丙がそれほど強いわけではありません。庚や戊は丑に通根していますから、相対的にみれば弱いということもありません。むしろ戊が強いのですが、乙木もあるのでたいした強さではありません。五行的にみると、土火木金の強さは比較的拮抗しており、喜神は火木としましたが、微妙なところです。そこで行運をみてみると、幸いあと一つの寅を冲する申は晩年にしかきませんし、その間は火は十分な強さがあります。したがって、火を弱める水や金に負けることはありません。また丑は金の墓庫ですから、未運(丙乙の根ともなる)で冲開して大発財する可能性があります。その他の運も身財両停でありますから、富命です。
張楠の火金の身財両停は富になりやすいという指摘は、九割方はどうかは別として、私も同じように感じます。
乙 | 丁 | 甲 | 丙 | : | 62 | 52 | 42 | 32 | 22 |
巳 | 酉 | 午 | 寅 | 辛 | 庚 | 己 | 戊 | 丁 | |
- | - | 丁 | - | 丑 | 子 | 亥 | 戌 | 酉 |
【"hiroto的"審査】
五行強弱:火木金、土水はなし
従旺格 喜神:火木(土金) 忌神:水
寅午半会、巳酉半会
天干地支に比劫と印が多く官殺がないのでこれは従旺格です。印があるので通常財は喜ばないのですが、庚が多くても劈甲引丁となります。辛は丙を合するだけで、甲があれば大丈夫です。また戊は有薪有火有炉でよい干ですし、己は甲を合しますが、依然として木火が強いことにはかわりありません。この命はただ水を恐れるだけです。
57歳から子運に入りますが、子は午を冲しますし、この年の癸亥年では、寅が亥に合されます。また癸は丙を剋しますから、この年が最も危険です。それを過ぎれば、壬運まではまずまず安泰です。
壬 | 乙 | 庚 | 丁 | : | 66 | 56 | 46 | 36 | 26 |
午 | 巳 | 戌 | 丑 | 癸 | 甲 | 乙 | 丙 | 丁 | |
- | - | 戊 | - | 卯 | 辰 | 巳 | 午 | 未 |
【"hiroto的"審査】
五行強弱:金火水木土
正財格 喜神:木水 忌神:火土金
丑戌刑、巳午南方
この命式は判断が難しいです。
仮に1577年生まれだとすると、季節は秋となり、金気が強くなるので、乙庚は金化するのは確実です。それならば火水ともに喜神ということになり、土金が忌神なので旺弱での推命で判断できます。
では、金化しない場合はどうみればいいのか。五行的な旺弱からいえば、木水が喜神、火金土が忌神で、それはそのとおりでいいと思います。しかし、命式上においての作用をみると、庚金が乙木と合してその剋する力が強く、丁火が庚金を制しているという形になっています。したがってこの命式の年柱丁火は(庚金という病を制するので)むしろ喜神といえます。ただし行運の丁は壬を合して取り去り忌神です。この場合は乙を洩らすのではなく印を取り去るので悪いわけです。丙は解寒の作用があり喜神的です。未は丑と冲するので忌神ですが、弱いながらも木の根となります。午は丁を強めて喜神的です。それ以降は木水運に入りますので、巳運(これも喜神的ですが)を除けば喜神運が続きます。
しかしながら、命式中の丁は結構強いので癸運は大して恐れませんが、壬運は丁を合して取り去るので、庚金の力が極めて強くなるため、非常に悪い運といえます。
己 | 丙 | 己 | 戊 | : | 66 | 56 | 46 | 36 | 26 |
亥 | 戌 | 未 | 午 | 丙 | 乙 | 甲 | 癸 | 壬 | |
- | - | 丁 | - | 寅 | 丑 | 子 | 亥 | 戌 |
【"hiroto的"審査】
五行強弱:土火木水金
月刃格 喜神:火木(水) 忌神:土(金)
午未合、未戌刑
原文に「火運来」とありますが、あとの文から「火」は「水」の誤りだと思われます。
蔵干は丁ですから月刃格ですが、午未は合となり傷官、食神が強いため、傷官格といってもよいでしょう。土が最も強く火日主を洩らしますから、土を抑え火を生じる木は喜神となります。通常食傷が強い場合は財は喜神となりやすいのですが、辛は丙と合して弱めるため忌神です。
しかしながら、この命式の大きな特徴は火土が強いということです。水は日主を剋しますが、五行的なバランスからいえば水は是非必要で、この命式にはかろうじて時支に亥があります。
戌運では土が強くなりすぎ、土は亥水(壬偏官)を剋しますから、子を喪うことになりがちです。その後は北方運となりますから、五行のバランスがとれ、比較的順調ということになるでしょう。ところが、寅運となると、寅は亥と合しますから、子どもへの影響というよりは、年が年ですから、むしろ本人自身火炎土燥の命となり、命を落とすことになります。
このようにとくに火土と金水のバランスは非常に重要です。
己 | 丁 | 己 | 己 | : | 43 | 33 | 23 | 13 |
酉 | 丑 | 巳 | 丑 | 甲 | 癸 | 壬 | 辛 | |
- | - | 丙 | - | 戌 | 酉 | 申 | 未 |
【"hiroto的"審査】
五行強弱:土火金水、木はなし
月刃格 喜神:木火 忌神:土金水
巳酉丑金局
日干は夏生まれですから強いはずですが、月支にしか通根していません。己は三干もあり、また二支に通じてますから、丁よりはるかに強いといえます。巳にも土があるという考え方もあります。
地支は金局をなしており、この場合干に金があれば、財が極端に強くなることになります。従児格といえないこともないのかもしれませんが、天干に財があればむしろ財が強すぎることになり、従児格とは言えないでしょう。内格であれば身弱なのはあまりよくありません。
「子多きは子無し」というのは、食神傷官が多いのは子供ができないということで、日主がもう少し強ければ子供もできるのでしょうが、行運は金水と続くため、日主は強くなる時期がありません。金の行運では財多身弱になってしまいますし、水の行運は日主を傷めます。
食神太過で身弱は貧命というのはどの書にも書いてありますし、またとくに女命にとって財多身弱は全くよくありません。
甲運は木運ですが、己と干合しますから丁を生じる作用があまりありません。土が強いため、むしろ土化してしまうのではないでしょうか。戌運は一応火の根となりますが、土を重ねることになりやはりよくありません。
この命式では甲によって丁を生じるのが最もよいと考えますが、己と合化してしまうため甲が働かないということで、結局行運で発福することもなく、貧しいまま生涯を終えることとなります。
壬 | 辛 | 癸 | 丙 | : | 65 | 55 | 45 | 35 |
辰 | 卯 | 巳 | 申 | 庚 | 己 | 戊 | 丁 | |
- | - | 丙 | - | 子 | 亥 | 戌 | 酉 |
【"hiroto的"審査】
五行強弱:水金火木土
正官格 喜神:土金 忌神:木火水
巳申合、卯辰東方
日干は夏生まれの辛ですから、季節的には弱いといえます。巳申は干合で刑ですが、両方ともに蔵干に金があり、とりあえず二支に通じていることになります。時干に壬、月干に癸があり、辰に通根していますから、この命式中では強い方でしょう。年干の丙は夏生まれで強いはずですが、巳申は合、刑ですから、強さも半減といったところでしょう。しかも癸が丙の隣にありますから、丙の働きを抑える形になってます。
日主と食傷がともに強い場合は、その関係をあまり変えない方がいいですし、財があるとよくなることが多いです。まして、壬と辛は干の関係がよく、この命式においては壬が辛を調和している形ですので、壬、辛を極端に傷めないようにしなければなりません。
この命式は、基本的には傷官見官であり濁の命式ですが、癸によってかろうじてその悪さがあまり出ないようになっています。したがって貴命というほどのことはありませんが、まあそこそこの人生でしょう。
申酉運は壬水、辛金の根となりますから喜神といえます。なお、酉は卯と冲ですが、辰酉が合で解冲してしまうので、辰の通根を消すことにはなりません。この間は安楽な生活といえます。
ところが、戊運では癸を取り去るので悪いですし、己運は壬辛の関係を濁らせてしまいます。私の感覚では、己運は非常に悪いと感じます。ただ大運地支の亥運は巳申の合を解き、卯と会して財(木)となるのでいいので、救われている感じです。次の庚金運は辛を弱め、水を生じるのと、また大運地支の子が辰と会してさらに水が強くなるため、日干が極端に弱くなります。若ければそれでも大丈夫でしょうが、齢七十ですので死ぬことになりました。
辛 | 丁 | 乙 | 己 | : | 69 | 59 | 49 | 39 | 29 | 19 |
亥 | 丑 | 亥 | 亥 | 戊 | 己 | 庚 | 辛 | 壬 | 癸 | |
- | - | 壬 | - | 辰 | 巳 | 午 | 未 | 申 | 酉 |
【"hiroto的"審査】
五行強弱:木金土水火
正官格 喜神:木火 忌神:水(土金)
亥自刑、亥丑北方
とくに解説の必要はないと思います。この命式は日主が弱く木の生をうけて助かっています。原則として木火喜神です。土は忌神水を抑えるので喜神とまではいきませんが、木火を助けることにはなります。最後の、印綬がもし~、という部分は木を中心にした見方で、この場合木の印綬である水が多い場合は、木の財である土が必要ということです。
というのが最初に書いた注釈ですが、実はこの命式は難しく改訂にあたり補足、修正します。(2021年5月記載)
基本的には日主が弱いので木火喜神はいいとして、命式中の乙木は実はあまり役に立たず、むしろ害になるという論もあります。甲木は己土と合するので印の作用はありません。また丙火は辛金と合してやはり役に立ちません。この命式で日主を強めるのは丁火と火支(巳午未寅戌)です。土は日主を洩らすよりも水を剋する作用の方が期待できるので、五行的には忌神でも護身(日主を官殺の剋から守る)という観点から喜神的です。この命式は行運で水が来ると極端に水が強くなるので、年干に己土、地支に丑があるのは幸いといえます。また辛金は命式においてはさほど強くなく、庚金は乙木を合するのみ水を生じることはありません。したがって日主を弱めるほど財が強くなることもなく、とくに巳午未運は身財両停に近い状態であり、大富豪とはいえませんが発財するでしょう。
最後の「印綬若多、財要見」というのは、この命式で使うのは適当ではないと私は思います。これの元々の意味は「印綬(偏印を含む)が多い場合には印を剋す財があるのがよい」という意味で、丁火日主であれば甲乙木が多い場合甲乙木を剋す庚辛金で甲乙木を抑えるということです。命式の形としてはそうなっていますが、張楠の説明とは全く合っていません。
壬 | 丙 | 丁 | 壬 | : | 70 | 60 | 50 | 40 | 30 |
辰 | 寅 | 未 | 寅 | 甲 | 癸 | 壬 | 辛 | 庚 | |
- | - | 丁 | - | 寅 | 丑 | 子 | 亥 | 戌 |
【"hiroto的"審査】
五行強弱:火水木土、金はなし
月刃格 喜神:水金 忌神:火木土
壬丁干合、寅辰東方
陽刃格にある夏柱州の命式です。
月令は、1542年生まれだとすれば、丁となり強い日主となります。一方、壬も辰に通根していますから、従旺格とはとれません。したがって水によって抑えるか、財によって水を強めるかが必要です。幸いにして、大運はすぐに西方運で、ほどなく金水運となりますから喜神運が続きます。身旺で七殺が強いのはもちろん福ですが、丙壬の組み合わせの場合はさらに貴命といえます。
張楠は、丁について、「陽刃が透出し、壬殺を合去し」ているので、「刃殺相助け、権威は万里にとどく」働きをしていると述べています。ここでいう陽刃とは陽干の劫財のことです。ところが甲運になると、甲は火気を強め、すなわち「火有余って水がまた不足する」ということで、丁火陽刃が出てきて、いわゆる「陽刃は戈を倒し、必ず無頭の鬼となす」ということで、甲運に死ぬのは当然だ、と述べています。
このことを私なりに考えてみますと、喜神の七殺が権力の源泉となっている場合、さらなる陽刃は、透干している七殺を合去し弱める、すなわち干頭をとってしまう、命式における決定的な喜神をとってしまう、という意味ではないかと考えます。「命式における決定的な喜神を取り去るということは命を危うくする」というのは、別に私の考えではなく、多くの書で言われていることです。
なお、最初の句の江湖というのは壬であり、済ますというのは易経でいう水火既済で、完成するというふうに解釈できます。
壬 | 丙 | 丁 | 壬 | : | 61 | 51 | 41 | 31 | 21 |
辰 | 申 | 未 | 寅 | 甲 | 癸 | 壬 | 辛 | 庚 | |
- | - | 己 | - | 寅 | 丑 | 子 | 亥 | 戌 |
【"hiroto的"審査】
五行強弱:水火木土金
傷官格 喜神:火土木 忌神:金水
申辰半会
丁壬は合して影響力がなく丙と壬の力の差となりますが、前の命式と違い申辰の水の半会があり、一方丙火は月令に旺じていませんから、壬水の方が強くなります。戊己運は壬を抑えるのでよいのですが、その後は金水運であり忌神運が続きます。壬子運は申子辰の水局が成立し水が極めて強くなりますし、癸丑運は丑未の冲で丙の根が取り去られ、癸が丙を抑え壬を強めますので、殺重身軽となり貧もしくは夭となります。
辛 | 辛 | 庚 | 壬 | : | 41 | 31 | 21 | 11 |
卯 | 酉 | 戌 | 辰 | 乙 | 甲 | 癸 | 壬 | |
- | - | 戊 | - | 卯 | 寅 | 丑 | 子 |
【"hiroto的"審査】
五行強弱:金水土火木
従旺格 喜神:金水木(土) 忌神:火
辰戌冲、卯酉冲
辰戌と卯酉が冲であり、地支の作用は極めて薄いといえます。こういう場合に専禄格と言っていいかははなはだ疑問です。
この命式の場合は、地支の根こそ弱いですが、庚辛が三干あり、また土用の生まれなので金は強いといえます。よって従旺格とし、傷官がありますので食傷、財は喜神です。官殺は忌神ということになります。
癸は喜神の食神です。丑は酉と会であり、卯酉の冲を弱めます。よって酉が出てきて日主も強くなりますが、癸丑は北方であり壬を強めます。また卯木は財で力は弱いものの喜神です。もともと傷官があり、喜神の食傷が強くなるのですから、頭脳が冴え、試験に合格することになります。
50歳以降は丙丁の忌神運となるためよくありません。
癸 | 己 | 癸 | 丁 | : | 54 | 44 | 34 | 24 | 14 |
酉 | 未 | 丑 | 亥 | 丁 | 戊 | 己 | 庚 | 辛 | |
- | - | 癸 | - | 未 | 申 | 酉 | 戌 | 亥 |
【"hiroto的"審査】
五行強弱:水土火金木
財帛格 喜神:火土 忌神:水木金
丑未冲
改訂に併せて全面的に修正しました。(2021年5月)
私の考えは張楠の見立てとは全く異なります。以下は私の独自の見方です。(まあ他の例もそうなのですが)
丑未の冲があり水に比べて日主は相対的に弱く癸があり丁火もそう強くありません。仮の従財格といってもよいと思いますが、単なる財の強い内格ととらえることもでき、判断に迷います。こういう命式では、身財両停を目指した方がよいというのが私の独自の見方であり、この命式の場合は日主を強め、財は忌神ですが財を日主に比較して弱くするのは避けるべきだと思います。
行運をみると、庚金は己土を洩らしますが辛金は己土をあまり弱めません。亥は未との半会で冲の作用を緩和して己土を強めることになります。また酉は丑と半会でこれも間接的に己土を強めることになり喜神です。してみると、表に挙げた大運で忌神なのは庚運と申運ぐらいであり、辛運は閑神運、あとは喜神運であり、比較的順調な人生を送ると思われます。
甲 | 庚 | 甲 | 庚 | : | 61 | 51 | 41 | 31 | 21 |
申 | 子 | 申 | 子 | 辛 | 庚 | 己 | 戊 | 丁 | |
- | - | 庚 | - | 卯 | 寅 | 丑 | 子 | 亥 |
【"hiroto的"審査】
五行強弱:金木水、火土はなし
建禄格 喜神:木水 忌神:土金(火)
申子半会
尚書というのは日本でいえば首相のようなものです。
庚は申に通根しており強く、甲は根はないのですが、申子水局に生じられています。ただ浮木のきらいがあります。五行的な喜忌をいえば、木水が喜神で金土が忌神となります。火は微妙です。21歳から北方運に入るのですが、その時期に丁官が巡ってきており、この時期に出世したものと思います。それ以降、大運は干は忌神、支は喜神という運になります。
一応命式は喜神で構成されて、傷も受けにくいので貴命と判断できなくはないのですが、大変な貴命かどうかは五行、干支の関係のみでは判断が難しく、飛天禄馬格(この場合は両干不雑でもある)が時に有効だと『命理正宗』本文中で述べているのは、こういう例があるからなのです。
甲 | 甲 | 乙 | 己 | : | 5? | 4? | 3? | 2? | 1? |
子 | 子 | 亥 | 亥 | 己 | 庚 | 辛 | 壬 | 癸 | |
- | - | 壬 | - | 巳 | 午 | 未 | 申 | 酉 |
【"hiroto的"審査】
五行強弱:木土水、火金はなし
従旺格 喜神:木水(火) 忌神:金(土)
亥自刑、亥子北方
張楠は官殺運だからよいと言っているのですが、私は全く違う考え方です。形としては子遥巳格となりますが、甲は年月に通根しており、また比劫印が強いので、まずは従旺格というべきでしょう。ですから、結論としては子遥巳格と同じで、身旺運を喜び、官殺運を忌むと判断します。とすると、官殺運の多い行運をどう考えればいいでしょうか?10代から30代までは壬癸運ですからまずは喜神です。酉はあまり作用なしですし、申は印を含みますから喜神ではありませんが、忌神というほどもなく、間神というべきでしょう。辛は忌神ですが、甲を剋する作用はあまり大きくありません。未は甲の根となるから喜神です。庚は乙を合して取り去るので忌神ですが、幸い乙は甲を生ずる力がそれほどありませんから、致命傷ではありません。午は子を冲し一応忌神ですが、子は甲の根ではありませんから、それほどのことはありません。悪いのは己で甲を合しますし、巳は亥を冲しますから50代からは悪いでしょう。
ただ、この命式では一国の宰相にまで昇るとは、私にはどうも思えない命式ではあります。
庚 | 庚 | 庚 | 癸 | : | 74 | 64 | 54 | 44 | 34 |
辰 | 子 | 申 | 卯 | 壬 | 癸 | 甲 | 乙 | 丙 | |
- | - | 庚 | - | 子 | 丑 | 寅 | 卯 | 辰 |
【"hiroto的"審査】
五行強弱:水金木土、火はなし
建禄格 喜神:土金木 忌神:火水
申子辰水局
庚日で秋生まれで官殺がありませんが傷官が非常に強いので、普通の建禄格でしょう。傷官が強いので、この場合は財が喜神といえます。すると、30代から50代は東方運ですから、基調として喜神運です。ところが、60代以降は北方運であり、丑運では丑は子と合して水の働きを少し弱めますが、壬子運では水が強くなりすぎ、いわゆる傷官太過となりますので、非常に悪いです。昔の70代ですから、死ぬことになるでしょう。
これは別に井欄叉格を意識しなくても導き出せることです。
戊 | 甲 | 癸 | 壬 | : | 44 | 34 | 24 | 14 |
辰 | 子 | 卯 | 寅 | 戊 | 丁 | 丙 | 乙 | |
- | - | 乙 | - | 申 | 未 | 午 | 巳 |
【"hiroto的"審査】
五行強弱:水木土火、金はなし
従旺格(曲直格) 喜神:木水 忌神:金土(火)
寅卯東方、子辰半会
曲直格にしては印が強すぎるような気がしますが、官殺は全くなく、寅卯辰がそろっていますから、曲直格としてもいいかと思います。戊運は癸印を合し、また申は寅と冲して、寅卯辰の方を壊しますから、破格となり、悪くすると命を落とすことになります。
一行得気格は、食傷はそれほど恐れませんが、官殺を非常に恐れます。
戊 | 己 | 癸 | 壬 | : | 93 | 83 | 73 | 63 | 53 | 43 |
辰 | 丑 | 丑 | 午 | 癸 | 壬 | 辛 | 庚 | 己 | 戊 | |
- | - | 己 | - | 亥 | 戌 | 酉 | 申 | 未 | 午 |
【"hiroto的"審査】
五行強弱:土水金火木
従旺格 喜神:土火 忌神:木金(水)
この命式は稼穡格というよりも従旺格でいいと思いますが、財がちょっと強すぎで、しかも寒い感じがします。それを救っているのは年支の午ではないかと思います。本文にもあるとおり、木運が第一第二大運に来ており、幸い若いですから影響が少なかったと思われます。亥運で死ぬとありますが、この時代の人にしては長生きしすぎでしょう。確かに、癸亥運は癸が戊を合して取り去り、亥が水の根となり強くなりすぎますから、破格となります。これはこれでいいのですが、年齢からみて酉運も十分危ないと思います。丑酉で金の半会で土を弱め水を強めますので、年運や月運次第では破格の可能性が出てきます。
後に出てくる己巳時生まれの命式は土支が少なく、従旺格まして稼穡格とはいえません。
壬 | 癸 | 丁 | 辛 | : | 74 | 64 | 54 | 44 | 34 |
戌 | 卯 | 酉 | 酉 | 己 | 庚 | 辛 | 壬 | 癸 | |
- | - | 辛 | - | 丑 | 寅 | 卯 | 辰 | 巳 |
【"hiroto的"審査】
五行強弱:金火水土木
偏印格 喜神:木火 忌神:金水土
卯酉冲、卯戌合、酉自刑
張楠がいうには、この命式には時支に戊正官があり、それが非常に重要であるということを言っていますが、はたしてどうでしょうか。この命式を検討してみましょう。
まず、月支酉は卯に冲されますが、戌が卯を合しますので、解冲の作用が生じて酉は作用があります。天干を見てみますと、日主癸は壬に助けられますが、地支には水がありませんから強さはあまり感じません。丁火は戌に根がありますが、酉月なので季節的には弱くなってきます。辛金は季節に旺じて地支も酉ですから五行中もっとも強いといえます。
印が強いのでそれを抑える財は喜神ですが、そのためには日主がもう少し強くあってほしいところです。30代から癸巳の大運になりますし、その間に戊戌年、己亥年がめぐってきて、これは官殺流年ですから、その時期に科挙に合格したと思われます。壬運まではいいでしょうが、辰運以降は地支に合冲入り乱れて悪くなり、寅運では寅戌の合で財が強くなりすぎ、財壊印となって地位も名誉も失うことになります。
実はこの命式は、判断が非常に難しいです。一つは丁と辛の関係、一つは戊のからみ方、さらに合冲入り乱れた地支の作用がなかなか一筋縄ではいきません。みなさんも研究してみてください。
丁 | 庚 | 乙 | 乙 | : | 71 | 61 | 51 | 41 | 31 |
亥 | 午 | 酉 | 巳 | 丁 | 戊 | 己 | 庚 | 辛 | |
- | - | 庚 | - | 丑 | 寅 | 卯 | 辰 | 巳 |
【"hiroto的"審査】
五行強弱:金火木水、土はなし
両神成象格 喜神:木水(火) 忌神:金土
乙庚干合、巳酉半会
改訂にあたり、この部分も書き換えました。(2021年5月)
乙庚の干合は化金すると考えていたのですが、巳酉の半会を重く見過ぎ、丁火の剋を過小評価していました。やはりここは乙庚は化金しないとみたほうがよさそうです。そうすると金火の強さはやや金が強いとはいえ、化金ほどの強さとはなりません。その分財は強く、日主、正官、正財の力は拮抗しています。財官双全であり貴命といえるでしょう。
丁は十分強いので庚辛を恐れません。また庚辛も十分強く火の剋に堪えられます。したがって巳運は亥を冲するので、財的にやや悪いのですが、それ以外はとくに悪くありません。庚運は年干乙木と合するだけで影響は小さいでしょう。辰運は酉と合で若干金を弱めますがたいしたことはありません。己運は丁を洩らすのでやや悪いかもしれません。寅運は財的によいのですが、午と会し亥と合して丁が強くなり、また丁運も火が強くなりすぎ、三干のバランスが崩れます。年齢的にもこのあたりが危ない時期となりそうです。
乙巳年ではなく乙亥年だとすれば、金は確かに弱くなります。木火が多すぎるというほどではないと思いますが…。行運も中年期は東南運ですし、辛運は庚を助けることもなく、また庚運は年干の乙と合しますから、助けになりません。よって喜神運が喜神の働きをしないため苦命といえます。
丙 | 戊 | 癸 | 辛 | : | 57 | 47 | 37 | 27 | 17 |
辰 | 午 | 巳 | 亥 | 丁 | 戊 | 己 | 庚 | 辛 | |
- | - | 丙 | - | 亥 | 子 | 丑 | 寅 | 卯 |
【"hiroto的"審査】
五行強弱:火金水木土
化火格 喜神:木火土 忌神:水(金)
戊癸干合(化火)、巳亥冲、巳午半会
これは比較的見やすい命式だと思います。
月支巳が年支によって冲されますが、季節的には真夏に近く、しかも午に坐していますから、戊癸は化火すると考えます。すると火が極端に強く、辛はほとんど力がありませんから、従旺的な化火格と考えます。すると喜神は木火土、忌神は金水です。木は戊にとっては官殺となりますが、化火格の場合は喜神で、作用はむしろ用神火を生じるため、印に近いといえます。よって貴命となります。
ところが、子運となりますと、午を冲して化火のもととなる根を取り去ります。すると化火の根拠を失いますので、これは破格です。仮に死にまで至らなくても職を辞することになります。
庚 | 乙 | 癸 | 丁 | : | 65 | 55 | 45 | 35 | 25 | 15 |
辰 | 酉 | 丑 | 巳 | 丙 | 丁 | 戊 | 己 | 庚 | 辛 | |
- | - | 己 | - | 午 | 未 | 申 | 酉 | 戌 | 亥 |
【"hiroto的"審査】
五行強弱:金水火土木
化金格 喜神:土金水 忌神:火木
乙庚干合(化金)、巳酉丑金局、辰酉合
巳酉丑で金局を成しており、また辰酉は合して金となるとされます(これは異論あり)から、地支は金が強く乙庚は化金します。丁があるので従格とはなりにくいと思いますが、癸が丁を抑え込んで従格となるとここでは考えられます。ここは微妙ですね。
従化格だとすると土金水がこの場合の喜神となります。ただし戊は癸を合するためよくありません。申運が巳を合して弱めますし、年齢もまだ若いのでからかろうじて助かったのかもしれません。丁運からは火運ですから明らかによくありません。未運は丑を冲しますし、丙午運に入れば火が旺じて非常に悪いです。年齢も年齢ですから、丁運以降はいつ死んでも不思議ではないとおもいます。
乙 | 壬 | 丙 | 戊 | : | 24 | 14 | 4 |
巳 | 午 | 辰 | 申 | 己 | 戊 | 丁 | |
- | - | 戊 | - | 未 | 午 | 巳 |
【"hiroto的"審査】
五行強弱:火土水木金
七殺格 喜神:金水 忌神:火土木
巳午南方、申辰半会
財官双美格は殺を忌むという、まさにそのとおりの命です。なお殺官混雑というのは、戊と午の中の己のことを指しています。
命式をもう少し検討してみましょう。壬は申辰の半会があるので弱いとはいえませんが、丙は巳午に通根しており、戊は月令に旺じ、(考えようでは巳午にも根があり)火によって生を受けますから、火土の方が強く、壬水は相対的に弱いといえます。金水喜神で火土木は忌神です。天干はすべて忌神です。戊午運に入ると、どの年もあまりよくありません。ちなみに庚辛の行運でも庚は乙と、辛は丙と合するため、水を生じることはありません。癸は丙を弱めそうですが、戊と合してしまうので、やはり水を強めることはできません。
改訂にあわせて命式の表記を簡略化(スペースを節約)したのと、私の見解をだいぶ見直しました。張楠の注釈とは異なる見解を示しているところが多々あります。原文は載せていますので、みなさんでも検討してみてください。
続きはまた後日ということで。