Last up date: 07/05/00



from Boulder

MARTHA GRAHAM DANCE COMPANYがやって来た 03/05/00

 あなたはマーサ・グレアムをご存じですか?

 世界最大級のメディア・TIME誌発行の「20世紀の100人」には、パブロ・ピカソ(芸術)やストラビン・スキー(音楽)、フランク・ロイド・ライト(建築)など各界を代表する偉人たちが紹介されていますが、そこにマーサ・グレアム女史の名前も挙がっています。彼女は今世紀において、モダンダンスを総合芸術として完成させたダンス界の第1人者なのです。

 マーサ女史は1991年に永眠についたのですが、生前に彼女がつくりあげた181ものバレイ作品と独自のテクニックはダンサー達に引き継がれ、今なお斬新なステージは世界各地で喝采を浴び続けています。
 そのマーサ・グレアム・ダンスカンパニーが3月9日ボルダーにやって来ました。ボールダー講演の前に、一般ダンサーのためのクラスが催されるとこのとで、ムーブメントの秘密にふれるべくさっそく見学へGoです。

 コロラド大学ボールダー校内にあるリハーサル室には、アマチュアからプロまで50人程のダンサーが既に集まっていました。思い思いにストレッチをしながら、始まりを待っています。そこに登場したのは、チャーミングな日本人女性! ミキさんとおっしゃるその方は、13年前からマーサ・グラハム・ダンスカンパニーに所属し、公演ではソロ作品に出演する実力派トップダンサーのお一人です。世界で活躍する日本人女性を見つけると、同じ日本人としてちょっと誇らしい気持ちです。
 ミキさんのハキハキとした口調とユーモアーは、あっという間に参加者のハートを掴み、ぐいぐいクラスをリードしていきました。

 この日のトレーニングは、柔軟体操のような基本的なムーブメントからスタートしました。まるでひとつ一つの筋肉がどんな風に動くことができるか、味わいながら確かめるような、ゆったりと優美な動きです。

 マーサ女史の特長をひとことで言うなら、自己を表現するダンステクニックとして「収縮と開放」をテーマにした点にあります。
 たとえばゴムひもの両端をそれぞれ手でつかんでいたとしましょう。両手が近づくとゴムが縮まって「収縮」、両手が離れるとゴムが伸びて「開放」という具合です。でも、もし右手が遠のいても、左手が同じぶんだけ追っかけて動いたら、あいだのゴムにはなんの変化もありません。単純な動きのなかにも常に動きのベクトルを考えながら、双方向に広がったり、あるいは中心に向けて縮むことで、ダイナミックな躍動感をダンスに表現する。それがマーサ流なのだと感じました。

 面白いことに、マーサ女史の発想は、いま私が学んでいるロルフィングの開発者・アイダ博士の考え方*と非常に相通じているのです。実際、身体について意識革命をとなえた同世代の女性同士、交流があったのかもしれません。私はすっかりこのダンスが気に入ってしまいました。
*
アイダ博士は、重力に対してバランスのとれた状態を理想とし、身体の中心線に対して大地に向かって伸びるベクトルと天に向かって伸びるベクトル、この双方向のパワーをカラダの中に見いだしていました
 
 同夜のダンス公演はSOLD OUT! 私はなんとか3階席の最後列で鑑賞することができましたが、その素晴らしさといったら!! 
 ぜひ機会があればマーサ・グレアム・ダンスカンパニーの公演に足を運ばれることをお勧めします。

" There is a vitality, a life force, an energy, a quickening, that is translated through you into action. And because there is only one of you in all time, this expression is unique and if you block it, it will never exist through any other medium and be lost. The world will not have it. It is not your business to determine how good it is, nor how valuable, nor how it compares to other expressions. It is your business to keep the channel open. You do not even have to believe in yourself or your work. You have to keep open and aware directly to the urges that activate you. Keep the channel opem."
                      Martha Graham

<<go back to Index

▼2000年ツアー公演パンフレット
▼クラス風景:指先の向こうへ、床の深部へ。双方向への動きの広がりをイメージすると、身体の表現力が違ってくる。

「1・2・3・4で息を吸いながらグーッと上体をそらして〜、5・6・7・8で息を吐きながらアゴを胸に引いて戻ります。両手は身体の両脇に伸ばしたまま〜。分かった? 簡単よね。One and Two and Ready to Go.」
 ミキさんの声に続いて、即興で音楽が奏でられ、それに合わせてダンサー達は上体を前後に、曲げたり伸ばしたり。と突然、ミキさんが
  "What's your name?" 
と叫びました。ダンサー達は一瞬なにが起こったか分からず呆然。
「上体をそらして顔を上に向ける時、首の後ろ側が収縮しています。そのとき首の前面のノドはリラックスして、しなやかに伸びていなければなりません。皆さんの中には、上体をそらせようとするあまり、ノドにチカラが入っている人が多いようです。私が次に『あなたのお名前は?』と聞いたら、大きな声で思いっきり名前を叫んでみてください。声を出せないというのは、無駄なチカラがノドを締め付けている証拠ですよ。自分でどんな声が出るかチェックしてね。では。One and Two and Ready to Go!」
 彼女のアドバイスを受けて、ダンサー達の動きが、一瞬にして、もっとしなやかに確かなものに変化しました。「お名前は?」との問いに、こんどはとてつもなく大きな声で返事が帰ってきました。

This site is written in Japanese only.

Please write your message.
もしよろしければご感想など
e-mail