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1.人 事 −(1) 採用(新卒、中途)

1.(1) a : 人員採用計画を実行するために

最初に、私が思うに至った結論を言います。

新たな社員は採用しない、現在の人員で事業が維持・拡大できる経営の体制を築いた後に、はじめて人を採用する計画を立てる、くらいの意識が経営者や人事部に必要ではないでしょうか。
採用する社員に会社存続のリスクを負担させることになる、と考えて欲しいと思います。


経営と人事は直結しています。
会社全体の経営計画、予算(全社、各部門、売上・経費)、人員計画・採用計画というように、事業の計画がブレークダウンされた結果、社員を一人ずつ採用していくことになります。

人員を採用するに当たっての事務手続きには、稟議の決裁書や採用申請書等の決裁、採用費用・広告費用等経費の申請・決裁、採用通知書の決裁・発行、雇用契約書・秘密事項保持誓約書の決裁等があります。諸々の社内帳票を作成し、決裁を得た上で、一人ひとり面接を実施し、採用〜入社となります。

このほかに、採用と入社に付随した手続きや準備が多数あります。
採用することが部署のミッションとなっている人事部は、血眼になって欲しい人材の獲得に奔走します。
採用計画通りに採用するぞ! という、意気込みです。が、採用したい頭数だけを採用計画にそって揃えさえすればよい、ということは分かっていても、現実は、頭数あわせになりがちです。
優秀な人材は、どの会社でも欲しい。採用したいスペック(人物像)に100%合致する人は、なかなかいない。採用費の予算にも限界がある。この状況が、人材の採否基準を曖昧にしてしまうことになります。


結果として後々退職する/解雇することになる人材が採用されます。会社にとって残念なことですし、また、採用された本人は苦しい辛いことです。

ふりかえってみて、採用のアクションが始まる源は、事業計画です。現時点で在籍する社員(人的資源=ヒューマンリソース、HR)だけで事業が計画通りに遂行できるのであれば、採用ニーズは生れません。事業推進に人が足りないから、新たな採用が行われます。
ベンチャー企業をはじめとする、経営の体制や組織基盤が未整備の会社では、現時点でのマネジメントの力と実績が不足する部分を補うために採用を行うこととなります。

経営計画は未来の願望です。実現するために努力、工夫が求められます。それを担うのが社員です。
欲しい人材が採用できることを前提として作られた計画を推し進める中で、採用が十分に実施できない場合は、計画未達成のしわ寄せが社員へ重くのしかかってきます。


具体例をお話します。

ベンチャーキャピタルからの出資を得るために作成した事業計画書で、独自に開発した新規事業の成功により今期の売上高を前期比の2倍にする、という場合。製造部門と営業部門の人員を新規に数名採用し、受注を獲得することとします。
人が採用できなければ何も始まらない、夢のような話しです。採用できるまでの間は、現存の社員の生産性を上げて頑張ることとなります。
急場しのぎで採用した社員から期待した成果をあげられない場合、採用にかけたコストと時間は大きなロスとなり、営業面でも機会損失の大きな痛手を被ります。
最終的に事業撤退やリストラを実施するに至るまでになってしまったら、人員整理による希望退職を募ることになります。

将来リストラする可能性がある社員の採用を人事部は、とうてい行うことはできません。
実現の可能性が未確定な経営計画を掲げる経営者の「人を採れ」という命令を、人事部は鵜呑みにしてよいのでしょうか。
会社が人を採れというから採用したんだ、とリストラされる社員に面と向かって言えますか?
私は、言えません。

・新たな戦力の採用を期待する前に、自問したいこと

採用したい人に会社を、嘘、偽りなく、正直に話せますか? 会社案内に虚偽はありませんか?
未熟な会社であっても、「社員のハートは素晴らしい」など誇れるものを、採用面接に当たってアピールできるようにしたいです。


事業の実績が思わしくない状態のとき、どこからかやってくるスーパーマンのような新たな人材の参画・投入を期待するのは危険思想です。もし採用できたとしたら、今いる社員の多くは総入替えになりますよ。

今が悪いのは、今現在の経営者が悪い。問題を自分(経営者)の能力から他人(社員)の能力にすりかえています。
また一方で、本物のビジネスを志す社員であれば、自分自身が足りないところがあることに早く気づいて行動すべきです。

優秀な人材を獲得するためには、まず、今会社を動かしている経営者と社員を一流にしたいものです。
素晴らしい会社だから貴方のような素晴らしい人に是非入社して欲しい、と胸を張って説得したいのです。

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