1999年10月・鈴鹿F1
F1に行ってきました。しかもよせばいいのに、東京からバイクで。
金曜日、会社が終わってからのナイトラン、400キロ。
F1レポートと言うより、X4のナイトランレポートです。


本当は、金曜日会社を午前中で切り上げ、昼飯を食べたら家に戻り、2時頃には出発しているはずでした。しかし、仕事が次から次に発生して、結局定時。家について準備をして、出発できたのは6時半。おやおや、今日中に着けるのかいな、と言った感じです。道はいたって簡単。東名に乗って、名古屋から東名阪です。鈴鹿へは何度も行っているので、不安はゼロ。ただただ走るだけです。初めて鈴鹿に行ったのは、8耐だったと思います。もう10年以上も前。電車で行きました。それからF1にも何度か行ってます。初めての鈴鹿日本GP。中島が引退した日本GP。セナとプロストがシュケインの僕らの目の前でクラッシュした年。鈴鹿には思い出がいっぱいです。たまたま巡り合わせで8耐のスポンサーの手伝いをさせてもらい、2年連続でチームの一員として参加させてもらったこともありました。ピットから体験する鈴鹿は、全く別物でした。そんなことで、鈴鹿は遠くてもあまり距離を感じない場所です。よし、走ってみようと思ったのは、帰りの渋滞、混雑を考えたからです。クルマで行っても渋滞の地獄。駐車場をでるだけで何時間もかかってしまいます。電車で行っても帰りのバスが何時間もかかる。ならば機動力の優れたバイクで、と言うわけです。結果的には、まあ、成功と言った感じでした。一人でいられる分、気楽というのが最も感じられたことです。
●トラックが多いぞ。
家は世田谷。東名までは10分程度。なのに夜の東名は、バイクで走ることはあまりない。だいたいツーリングばかりだから昼間走ることがほとんど。だからちょっとした体験となったのです。こんなにトラックが多いとは思わなかった。しかももコンボイ風に団体で走っている。着いて行くには遅すぎる。追い越すにはなかなか危険。それでもどんどん追い越すわけだけど、リズムをつかむまで気分が相当疲れました。要するに自分のスピードを維持するること。3車線ある車線をいつでも変えられるように準備しながら走る。遠くでトラック軍団が見えてきたら、まず早めに追い越せる車線にチェンジしておく。スピードは自分のペース。馬鹿に早いクルマが後ろに着いても気にしないこと。もう一車線あるのだからそちらを走っていただこう。トラックと並んだら、スピードを少し上げる感覚で素早く追い越そう。フラッとでてくるトラックが結構多い。さらに遅いトラックを抜くためで、彼らも一定ペースのまま走っているので、追い越し直前で車線を変える。だから並んで走る時間はできるだけ短くが鉄則だ。ただし、夜は安全確認が昼間の10分の1程度だと思っていなくては行けない。ミラーでの後ろのクルマの距離感など、神にも祈るような不確かさだ。そして確認に時間がかかる。昼間なら一目、コンマ1秒程度なのに、なにを確認するにも暗いために時間がかかる。例えば、積んだ荷物がちゃんとしてるかなど、ミラーで確認したくても、ほとんど見えない。よくよく見てる時間、前を見ていないことになる。夜なんて平気と思っている人も、このあたりは自覚していた方がいい。それだけで安全性が100倍くらい高くなる。
●名古屋の道に感謝
東名から東名阪に通じる道は、前に来たときはなかった道だ。いちど高速を降りて、まごまご走ったのを覚えている。それが今では、ほとんど高速道路が、いつの間にか東名阪に運んでくれる。これはありがたい。料金所のおっさんも「気をつけてな」となかなか優しい。東名を過ぎてしまえば、なんだかもう着いたような気分になる。鈴鹿は目の前、そんな気持ちだ。でも実際は結構ある。こころなしか鈴鹿へ向かうクルマが多いように思える。バイクはほとんどなし。まあ、金曜日の夜にわざわざバイクで来る奴はいないよな。みんな土曜日の朝着くように来て、一泊キャンプして、レースを見て帰る。こんなことやるのは、常識のないおやじだけだろうな。と考えつつ、鈴鹿へ。インターからの道は、例によってGPSに覚えさせてある。迷うはずがない。ところがである、ナイトランではこのGPS全く役に立たない。暗くて見えないのだ。もちろんバックライトつきだから、なんらか操作すれば明るくなる。でも走りながらは全然無理。かといって止まってみる気はしない。だれでもバイクに乗っていれば経験あるでしょう。もっと早く地図を見とけば良かったって、アレです。降りてからすぐは、いかにも鈴鹿といった感じの乗用車2台について行った。たぶんサーキット付近まで行くだろうという読みだ。ところがこの2台やたらと早い。狭い道をスイスイ走る。えーっと言うような裏道に入ってもスピードが落ちない。着いていくのがやっと。ひょっとしてアレジでものってんじゃなかろうかといった感じ。でもこの勘が当たって、1号線にあっと言う間に着いてしまった。左じゃないかな、と思いつつも2台に釣られて右へ。少し走ると、何だか見たような橋がある。そうだここで左だ。ひとり左折すると、何とも寂しい道だった。
今回のF1は、もともとうちの社員の一人が「F1チケット、ホテル付、一人分のみあるけど行かない」の一言で「うん、いきたい」と軽々しく乗ってしまったのがきっかけだ。後で聞いてみたら「一人で行くのは、あんたくらいだと思った」と言っていた。何だか少し悲しいね。ゆずってくれたのは、その社員の友達クループ。クループの一人が行けなくなって、チケットとホテルが中に浮いてしまい、キャンセルもままならず、正直言えば困っていた状況。俺は人助けしちゃったのだ。だからぜひグループに参加して一緒に見ようよ、と言うことになっている。全然あったこともない人ちょっと不安で、ちょっと安心。そんな事情だから宿も初めての所。平田の駅前。平田の駅前は、何となく知っている。でも正確には知らない。案の定左に曲がってから、勘を頼りに走るばかり。おお、ホンダの工場じゃねえか。すごく近いぞ。近いことはわかってもどっちに行くべきかはわからないぞ。正門の前には、もう12時だと言うのにガードマンがたむろしている。ありがたい。「すいませーん。平田の駅ってどっちですか。」「真っ直ぐ行って、大きなスーパーの角を右に行けば5分くらいです。」なんと親切なんだ。ホンダは偉い。ホンダのバイクでよかった。ヤマハやスズキに乗っていたら、果たしてあのにーちゃん親切に教えてくれただろうか。とくだらないことを考える暇もなく、そうだよ、ここたよ、平田は。分かり易いところじゃねーか。というわけで無事到着。12時を10分ほど過ぎた時間でした。バイクも建物の裏の駐車場にゆっくり駐車。これなら安心。北海道の経験を生かして、止まったら、まず荷物を下ろして軽くして、駐車場に押してはいる。でも押してバックでUターンしていたら、歩道を塞いじゃって、自転車に突っ込まれそうになっちゃった。乗っていたオッサンは怒りもせず、「そのバイク重いだろ」って言ってくれた。やっぱ、ホンダの人かな。ひょっとしてX4作ってる人じゃないのかな、なんて感じたのでした。とりあえず部屋に入り、シャワーを浴びて、ホテルの自動販売機でビールを買って、「グビッッッ」。この一瞬のために、6時間走ってきたのでした。

●さて予選の日。久々のあの音です。
一人でぶらぶら見ていようと思っていたけど、そうはならなかったのです。今回のチケットを入手した経緯で友人の仲間達と集団行動だったのです。朝も一度に集合し、タクシーでまとまってサーキットに出発です。着いたとたんにビールと串焼き。これはもう決まりだそうで、一緒に来たからには拒否はできないぞと言った感じでした。とても気さくな人ばかりで、それはそれで楽しい思いです。席は、シュケインと直線のちょうど中間。一度最低速度に下がって、いきなりアクセル全開にするところです。ステアリングはまだ少し切れているので、マシンの安定性、旋回性がモロに出るところです。さすがにマクラーレンは超安定。フェラーリままあまあ。あとは、ふらふらでした。フェラーリのあの音はまだ健在で、血が騒ぐ思いも蘇ってきたのでした。
ホテルまでは歩いて帰ります。これも決まりのようで、結構遠い。ホテルで少し休んで、みんなで夕食。これも決まりの焼き肉。一年に一度、こうして会える友達がいることは、なかなか羨ましいことでした。
●いよいよ決勝。そして帰宅。
さすがに決勝の日曜日は、超満員。どこもかしこもサーキットは人だらけです。今回一番感じたのは、若い人ばかりだなあ、と言うこと。本当は自分が歳をとっていて、昔と来ている平均年齢が下がっているわけじゃない。これだけたくさん人がいて、いい歳をしてバイクで東京から来ている最年長かな、なんて考えながらの観戦でした。そもそもF1にしろ、バイクにろ生活には何も関係のないこと、役立つ可能性のないものです。見たくなければ見なくてもいい。乗りたくなければ、乗らなくていい。例えばゴルフなんかは、大人の交際として役立ちそう。バイクは全然意味がない。ただ好きだから乗っている。それだけにその自覚がないと、いつの間にか乗らなくなって、止めてしまう。「乗るぞ。乗り続けるぞ」という意志が結構必要だし、乗る用事を作ることも必要。止める理由なんて100億でも考えられるから、つづける理由を常に自覚する必要がある。そこまで無理して乗ることないじゃん、というのも止めてしまうひとつの理由。人から「どうしてバイクに乗ってるの」と聞かれたら、意地で乗っています、と答えてもいいくらいです。
まあ、そんなことで乗って来たからには、乗って帰るしかない。レースが終わってホテルに着いたのが6時くらい。なるべく早く出たいから、すぐに出発。それでも、鈴鹿のインターまで1時間半もかかっしまった。何故、何故インターまでの道のほとんどが、左側が深い水路なのだ。左側をすり抜けることもできないのです。それでもクルマの半分くらいの時間では高速の上。そこからは、渋滞知らず。淡々と走ることを心に決めて、また暗闇の中のソロツーリング。浜松までは、とても順調。ここから東名は少しづつ山を越えていく。その度に気温が下がる。今回は、着るものはそれを考えて十分な準備をしたつもり。ただひとつだけミスをした。手袋だ。今回の手袋は、真夏用のメッシュ。これが冷たい。結構凍える。せめて普通に使う皮のグローブも持ってくるべきだった。こんなことだけで、ペースは結構乱れる。身体に力が入り、疲れが早くなる。そうそう、準備は万全に。ワンシーズン早めの装備、が鉄則なのです。
静岡を過ぎると、東名のペースは徐々に早くなる。それまで回りも120キロくらいだったのに140位が全体の平均速度。夜と言うこともあって、ビュンビュンいく。それはそれですごくいいのだけど、「大丈夫かな」とスピード取締が心配になっていく。箱根を超えて、足柄で一休み。ここまで来れば、もう東京と言った感じ。気分も楽になる。ここからはまたスピードが上がる。みんな平気で150キロ。波に乗って走るとアッという間に東京。行きよりはずっと楽。これが帰りの印象でした。
●やっぱ、昼間に走りたい。
乗ることを強制しなくてはいけない、と言うこともあって今回のF1は、バイクで行ったけど。やっぱりバイクは昼間は知った方が、100倍楽しい。バイクをただのトラフィック手段としたのは、やはり甘かったのかも知れません。ナイトランというとなんかすごくかっこいい気がするけど、まあ、なるべく楽しくて、安全な昼間に走り、夜は飲んだくれるのがいいのかも知れない。せめて行き帰りのどちらかにしたいものです。