DAYTONA製のX4用カスタムシートをノーマルと交換した。
このシートの存在を知らず、交換していなかったのが悔やまれた。
カタログ数値では、ノーマルより5cmシート高が低くなると言う。
使ってみて、それは実感できた。
今日から、私の足は5cm長くなったのだ。

■げ、げ。本当かよ。5cmも低くなるの・・目が点。
インターネットを何となく見ていた。ノーマルのマフラーを交換すれば、もっと車重が軽くなるだろうなあ、などと考えながら新しい物は出ていないかを検索していたのだ。もう、X4は発売中止だから、カスタムメーカーもこれ以上新しい商品は出してこないだろうし、ひょっとするとどんどん生産中止になるだろうから、もし、交換するなら今のうちだよなあ、と考えていたのだ。するとどういう訳か、X4用のカスタムシートが画面に出てきた。通販のページだったと思う。
「ヘーっ、X4にもこんなカスタムシートがあるんだ。」最初はその程度の反応だった。今のオリジナルシートに何の不満もなかっただけに、別に気にも留めなかった。しかし次の瞬間、目が釘付けになった。
商品説明
ノーマル比最大約50mmダウン。サイド部をカット、足つき性とホールド感を向上。
げ、げっ。ほっ、本当かよ。シートが50mmも低くなる。50mmといえば、5cmだぞ。10cmの半分、2.5cmの倍だぞ。本当なら、凄いことだ。本当なら、神の恵みだ。本当なら、バイクがもっと楽しくなるぞ。もう、目が点。新たなるバイクの世界が、突然開けてきたのだ。
思えば、いままで、どれほど苦労してきたことか。もちろん足の短い、私の短足にすべての原因があり、バイクや、バイクメーカーの責にはしたくないけれど、本当に今日までバイクの足つきにどれほど悩み、苦しみ、もがき、不安を抱いてきたことか。無理矢理伸ばした足のために、足がつり、膝が痛くなり、信号待ちでは、足がワナワナ震え、しかも片足しか着かないので、風が吹くたびに怯え、路面の傾きにいつも神経質になっていた。上り坂では、止まることがないよう神に祈り、渋滞で足を着く度に圧迫される股間の痛みに耐え、今日まで走り続けてきたのだ。それが、シートを交換するだけで、50mmダウンだ。50mmといえば、5cmだ。10cmの半分、2.5cmの倍だ。何度計算しても5cmなのだ。でも、本当なのだろうか。信じていいのだろうか。今すぐDAYTONAに飛んでいって、試乗してみたいと思った。でも、そんな試乗車あるわけないし、だいたいDAYTONAがどこにあるのかも知らないじゃないか。
今度は、インターネットでこのシートについてできる限り調べてみた。まあまあ出てくるじゃないか。読んでみるとそれほどインチキでもなさそうで、50mmを少し信じはじめた。よく「この靴を履けば、7cm身長が高くなる」というシークレットブーツが広告されているが、あれは、ちっともシークレットじゃない。脱いだらその場でバレてしまう。かかとばかりが高いので、足が疲れてしまう。でも、このシートは、何だかそんな商品でもなさそうで、「いいなぁーー」と惚れてしまったのだ。で、値段は、プレーンとメッシュが37,800円。ロールタイプが39,900円(税込み)。ノーマルのシートが25,700円(税別)に比べれば、ずいぶん高い。値段は高いが、シート高は、低い。5cmで、約4万円。1cmあたり8,000円。こんな計算しても何の意味もないが、少しずつ納得するための過程である。うーーーん、と悩んでいる頭の中で、悪魔が囁き始める。
「ほら、想像してごらん。両足がべったり着いて、駐輪場から出るとき跨ったままペタペタと足だけでバックしている君の姿を。」
「冬の寒い日、スタンドで止まったとたん両足がつったときがあったね。痛かったよねーーー。」
「4万円。お前は一晩でそれくらい飲んじゃったことだってあるだろー。無駄はそっちだぞ。」
「バイクは君にとってかけがえのないものだろ。その楽しさはお金じゃ買えないよ。」
「6月は、ボーナスの月だよ。夏のスーツやめちゃえよ。去年のまだ着られるよ。」
悪魔の誘惑は、鋭い。心がグラグラ動いているのが分かる。崩れ落ちていく自分が分かる。
「通販で、クレジットで、この場で買えるんだ。便利ーーー。」
こうなるともういけない。バイク用品インターネット通販の「SEED DIRECT」の「カートに入れる」ボタンを押してしまったのである。

■ロールタイプ、って何だ。
X4用のカスタムシートには、3種類ある。プレーン、メッシュ、ロール。何だか菓子パンの種類みたいだ。写真で見ても違いはよく分からない。特にプレーンとメッシュは、同じに見える。ロールは、青虫の背中みたいなボコボコが付いていて、おお、なるほどロールだと分かる。ロールパンならよく知っているのだ。おそらく、プレーンはプレーンなのだろう。メッシュは、今のオリジナルのシートに付いている細かいギザギサが付いているタイプなのだろう。ロールタイプだけが、2100円も高い。でも、いままでのとは違うぞ、って感じが一番して、いいなあ、と思ってしまったのだ。こうなるともういけない。「ロールタイプ」で、「購入」まで進んでしまったのだ。
しかし、インターネット通販とは恐ろしいものだ。普通4万円の買い物には、買うに至るまでの経過というものがある。商品があることが分かるとカタログを取り寄せ、カタログをつぶさに見た後に、お店まででかける。バイクか、電車で出かけていくのだ。その上で、実物を見て、もう一度悩み、おもむろに決心して買うわけだ。しかしインターネットは、その場ですべてが終わってしまう。ボタンをクリックしているだけで、4万円が人のものになっているのだ。便利といえば便利だが、癖になると怖いぞと、悪魔にあまり登場いただかないようお願いをしておいた。
ロールタイプを選んで、購入までしてしてまってから、ロールタイプについて調べてみた。なるほど、たくさん出てくる。どうも、アメリカン系、ヨーロッパ・クラシックバイク系では、ロールタイプが格好いいことになっているらしい。カスタムシートの王道らしい。しかしそのどちらでもないX4に似合うのかなあ、には不安が生まれてきた。ちよっと場違いじゃない、なんて言われそうだ。でも、まあいいや。一番高いんだから、一番いいと思おう。またまた調べると、ロールタイプは縫い目から雨水がしみ込み、ズボンはもちろんパンツまで濡れてしまう、という記事が出てきた。げ、げっ、それは困る。ツーリング中に雨はつきものだ。雨が降っているときはいいにしても、雨がやんでレインコートを脱いだ後にもパンツが濡れるのは困る。しかし、もう注文しちまったぞ。縫い目から雨か、まいったなぁ、と思っていたのだ。さらに調べると、ロールタイプも縫ってあるものと、プレスのものとあるらしい。プレスだと濡れないそうだ。おお、プレスだといいなあ、と祈りながら、1週間から10日の配達を待ち望んだのだ。

■ 届いた、届いた。こんなに早く。
まあ、一週間から10日ぐらい配達までにかかると書いてあったので、その週末は乗れないだろうと思っていた。月曜日に注文して、良くても次の週の火曜日か水曜日。次の週の土日に乗れればいいなあと思っていた。ところがその週の土曜日、BBSの友達、keiちゃんの新車の納車に野次馬として立ち合うべく準備していたら、ピンホーンと玄関の呼び出しがなった。すぐにシートだと直感した。「もう、来たのか。ラッキー。すぐに乗れるぞ。」玄関で、荷物を受け取っ「DAYTONA」と書かれたどでかい段ボール箱だった。早速開けて、ノーマルのシートと交換する。取り付けは、いつもシートを外しているように、キーを回せばシートははずれ、新しいシートを同じように付けるだけだ。「カシャツ」としーは収まった。早速乗ってみる。
「うおーーーつ、全然違うぞーー」。何が違うか、走り出す前の感想を整理しよう。
@お尻に付く感じが違う。
ノーマルのシートは、シートの中央部がほんの少し高くなっていた。だから、お尻の中央が少し押される感じがしていた。それがない。全体がフラットで、お尻中央部より、お尻左右部で座っている感じなのだ。全体に体重が分散されて、「これはお尻が痛くならないかも」が予感されるのだ。
A足が着くぞ。
確かに低くなっている。5cmがどうかはよく分からないものの、確かに数段足が着きやすい。いままで、両足を付けると、つま先がわずかに付くだけだった。もし、路面が少しでも右上がりだったりすると、右足は、残念ながら空中のままだった。それが、かろうじて余裕を持ってだが、両足が付いている。これなら、実用圏内である。
B安定感がいい。
低くなって、フラットなためか、どっしり構えても足に余裕がある。体重もバイク全体に自然にかかる感じで、安定感がある。何だか少しアメリカンに乗っている感じがする。
Cロールはプレスで、雨も大丈夫。
心配していたロールタイプの縫い目も、プレスタイプで、縫い目があるわけではない。だから、雨がしみ込み、パンツまで濡れる心配もない。シート全体の張りも美しく、素材も柔らかで、なかなか高級感もある。他のと違うぞ、という主張もかなりある。ただし、「なんだ、アンコ抜きじゃねえか」と言われてしまえば、その通りである。
しかし、ちょっと跨っただけで感じるこの違いは大きい。たとえ誰に何と言われようが、このシートの方が全体の安心感は数段高いように感じる。

ノーマルとの比較。奥に置いてあるノーマルシートは、確かにカスタムシートより高い。ただし、低くなっているのは、主に中央部だけで、サイド部の高さ自体はそれほど変わらない。しかし、座ってみると違いを感じる。サイド部の高さではなく、サイドの角のアールが柔らかくなっているため、足を伸ばすことができる。

■細部を検討してみると
シートのベースは、ホンダのオリジナルをそのまま使っているようだ。ベースだけを使い、シートのウレタン部をすべて交換している。オリジナルより値段が高くなるのは仕方ない。オリジナルでは、中央部が少し高くなっているが、これをフラットにしている。これにより、高さが5cm低くなっていと言えなくもない。しかし、これは足つきにはそれほど影響しないだろう。確かに向上している足つき性の原因は、サイド部の加工にある。オリジナルよりはるかに角が取れ、丸くなっている。ほんの少し細くなっている。このおかげで、ノーマルより足が伸ばしやすい。シート自体の高さより、こちらの方が足つきに貢献している感じがする。

ノーマルとの比較。見た目はほとんど変わらなく見えるが、ノーマルは中央部が高いのがよく見ると分かる。フォルムもカスタムがかなり絞られている。わずかな差だが、1cm、2cmの違いを求める短足族には、大きな違いとなる。

■実際に走ってみる。
わずかな距離だが、50kmほど走ってみた。走り初めから、全く違うことが実感できる。まず、シート地の違いから、お尻の動きが全く違うのだ。オリジナルはむしろ滑らないようにシート表面にメッシュ加工が施されている。その効果は絶大で、シート上をお尻を滑らせるときには意識と力が必要になる。しかしカスタムシートは、表面がツルツルで、どちらかといえば滑りやすくなっている。お尻を動かそうと思った瞬間にスルリとお尻がずれるのだ。どちらがいいのかはよく分からないが、信号待ちなどで、より安定を求め、お尻を少しずらしたくなるときなど、カスタムの方がとても簡単で、抵抗感がない。足をすっと伸ばせば、自然にお尻もずれてくる感じで、足つきが良くなったと感じる原因となっている。
さらに、全体がフラットなシートは、身体全体が安定する。いままでは、シートに持ち上げられていた感じするのだが、このシートは何だか身体が、シートに埋もれていくような感じがするのだ。その分、身体の力が自然にバイクに伝わる感じで、どっしり座っているときはバイクとの一体感が増している。ただ、コーナリングとなると、これが災いして、体重の移動がはっきりしない。ノーマルは、右なら右に体重を掛けると中央部の高くなっている半分にしっかり体重が移動した。カスタムシートの場合は、このたあたりが曖昧だ。かなり意識しないと、シート上の体重は、バイク全体にかかったままになる。意識して、体重を変えることになるので、むしろメリハリがあるのかも知れない。
乗ってみると、足つきははっきりと違っている。ほんの少しでも路面に傾斜があって、右上がりになっている道路では、思い切り伸ばして、お尻をずらさなくても。右足を出すだけでベタッと足が着く。何だか足が長くなったような気持ちになる。これだけでも4万円の価値はある。そして、ほんの少しだけスタンディングするように両足に力を入れるだけで、左右の移動ができるようになった。これは、シート地が滑りやすいので、移動が楽なためだと思う。急発進時や、急制動時などシシートが滑りやすい危険性もあるが、シートの前後が高くなっているためお尻が極端にずれる心配はまずないと思う。むしろカスタムのシート地の方が、全体を軽く操作できる感じだ。
全体的には、極めて高い満足感が得られた。

●写真左 確かにバレリーナだが、両足が付いている。今までこんなことをしたら、動けなくなっていた。風が吹いたらどちらかに倒れていたのだ。
●写真右 片足だけ付けるのであれば、ベタッと付けられる。しかもお尻はほとんどずらしていない。どっしり座ったまま、足を付くことができる。これは、疲れない、安心、楽。

■ニヤニヤ。走りながら嬉しくなった。
立体交差の上り坂での渋滞時の停車。ノロノロ運転のゴーストップ。なんだかその度に足を着けなくてはならないのが、いちいち不安で、面倒だったのが、カスタムシートになったとたんべつに気にならなくなっていた。足を伸ばす意識無く、ステップから外せば、地面がそこにある感じだからだ。おお、足の長い人はこんなに楽にバイクに乗っていたのかと感心するほどだ。
写真をご覧いただきたい。確かにベタッとかかとまで着いているでしょう。いままではこれをするためには、お尻を半分くらいシートからずらす必要があったのだ。それが、ほんの少し足を伸ばそうとするだけで、自然にお尻がずれて、足がベタッと着く。その度にニヤニヤしたくなるのだ。交差点などの小さなコーナーでも、バイクと身体が自然に滑って離れ、バイクを深く倒せるようにもなった感じなのだ。バイクが少し軽くなった感じ。クイックになった感じがするのだ。これは、ニヤニヤせずにはいられない。4万円は、痛い出費だったが、ツーリングの安心感が増し、不安感が減ったことを考えれば、もっともっと早くこのシートの存在を知って、着けていれば良かったと思う。ついこの間の四国だって、もっと楽な気持ちで走れたのではないだろうか。
まずは、成功。DAYTONAカスタムシート。X4のみならず、足つきに悩まれている方は、一度ご検討ください。いい結果が得られると思います。

見た目もなかなかいいでしょう。ロールタイプのX4を見たら、声を掛けてくださいね。