何だか、何となく決まった朝霧高原ツーリング。
実際、やってみたらえらいことになっちゃった。
ぱっと行って、アイスクリームを食べて、ぱっと帰ってくるはずが、
なんと、なんと、前日からキャンプ。
アイスクリーム食べるのに、前日から来る人って、誰。
しかも、当日は、10人の隊列走行。雨は降るし、お風呂は入るし、
たいして走ってないし、なんだこりゃと言う、いつものまんまです。


6月の末に調布市の野川公園でBBQをしている時、何となく話が持ち上がって、静岡の富士山のふもと朝霧高原にある「道の駅・朝霧高原」に、美味しいアイスクリーム「コケモモアイス」があるので食べに行こうと言うことになった。「コケモモアイス」は、もともとコケモモと言う植物の実を材料に作るアイスで、北海道の阿寒湖あたりが最初じゃなかったろうか。どんなものか食べたことはなかったが、北海道で何度か看板だけは見たことがある。実は、バイクで旅をしている時は、あまり甘いものを食べたりはしない。元来、甘いものをあまり食べないので、「コケモモアイス」の看板にも魅力を感じなかったのだろう。それが、わざわざアイスクリームを食べるために、東京から静岡まで行くなどは、自分一人の発想にはないものだたった。言い始めたのはharuさんで、さすが女性だ。朝霧高原がとても好きで、一人でもフラッと走りに行くという。その時いつもこの「コケモモアイス」を食べるのだそうだ。なるほど、haruさんは、コケモモアイスを食べて、あんなに成長したのだった。やっと秘密が解けたのだ。

言い出したharuさん、riri&KOJIさん、カズやんと私。5人くらいで、ちこっと行って、さっさと帰ってきてしまうミニ・ツーリングのつもりでいた。他に目的も定めずに、各自朝霧高原集合という、何とも(いつも通りだけど)乱暴なツーリングだ。普通、関東のメンバーが朝霧高原までツーリングに行くといったら、朝8時くらいに、中央の石川SAあたりに集合だ。または、どこかのコンビニの駐車場となる。そして、隊列を組んで走り始める。それはそれで楽しいのだが、どうも小学生の遠足ののりだ。不良中年のツーリングで癖がついているのか、どうしても現地集合、現地解散が気楽でいいと思ってしまう。だから、今回も、どこかで集合せず、現地「道の駅・朝霧高原」で集合ということになったのだ。
ところが、・・・ところがである。掲示板にカズやんがキャンプ場で前泊すると言い始めた。「もちやキャンプ場」。最初は冗談のつもりかも知れなかったが、キャンプ興味津々のriri&KOJIさんが、それに乗った。私は、ちょうど当日HMS(ホンダ・モーターサイクル・スクール)のなんと「ナイスミドル・コース」にキャンセル待ち申し込みをしていたので、その結果次第で、キャンプに切り替えるつもりでいた。たまたま、このツーリングの前週が福島・あだたら高原野営場で不良中年のキャンプオフ「ほやオフ」が開かれていて、カズやん、riri&KOJI、私も参加していた。そこで、掲示板から朝霧高原でのキャンプの匂いをかぎつけたNaBeさんが、「持ちやキャンプ場より、いいキャンプ場があるよ。本栖湖か、田貫湖にした方がいい」とのアドバイスを受けた。NaBeさんは、富士宮市に在住のキャンプ好きオヤジである。ゴールデンウィークの四国でも会って、半日一緒に走ったばかりだ。「俺も行くからさ・・」この一言で、ほぼキャンプが田貫湖で行われることが決定した。私の「ナイスミドル」もこの時点でほぼ消えたと感じていた。
ツーリングの日が近づくにつれて、当日の参加者が増え始めた。一体何人になるのか最後はわからなくなった。まあ、いいやと言う感じで、当日(本来の予定からすると前日なのだが)を迎えた。4時くらいには現地入りということで、12時頃、家を出た。もちろんHMSは、キャンセル待ちにOKが出て、スクール参加もできたのだが、HMSからいただいた電話に「いま、ちょうど予定を入れてしまいました。今度必ず・・」と歯切れの悪い言葉で、キャンセル待ちをキャンセルしたのだった。

キャンプでない旅だと、1週間でも10日でも、40リッターのトップケースと、25リッターずつのサイドバック2つで十分事足りる。トップケースは、半分からの状態がほとんどだ。カッパ、着替え、サンダルくらいが荷物なのだ。ところがキャンプになると愕然と荷物が増える。テント、シュラフ、マット、グランドシート、ストーブ、カンテラ、懐中電灯、食器、鍋、食料、燃料・・・。いつもの3点セットでは足らず、もう一つツーリング用のバックが必要になる。ずいぶん昔に買った40リッターほどのバックがピッタリでこれを使うとほぼ収まるのだ。全部積み込むと凄いことになる。バイクのバランスも明らかに変わる。あまり無茶な走りはできなくなるので、安全運転のためには、ちょうどいいかも知れない。
さて、今回の私のメイン・ディッシュは、焼き鳥である。両国の焼鳥屋さんの焼き鳥である。昨年たまたまBBQで、ある人が持ち込み、そのあまりのおいしさに今度BBQがあったら絶対に持っていこうと心に決めていたものである。火を通してあって、後は軽く焼いて食べるだけ。ただ、要冷蔵のため、アイスボックスに保冷剤と氷を入れ、ビールと一緒にトップケースに収めなければならない。これがかなり大きい。焼き鳥が20本、つくねが20本の計40本。焼くのは、ホータプルのガス・ミニコンロとガスコンロ用の餅焼き網。実験では、かなり美味しく焼けた。これをみんなで食べようというわけだ。その楽しみを考えると、多少の大荷物も我慢できるというわけだ。

下調べとカーナビのおかげで、道に迷わず到着したのが、3時半頃。見慣れたNaBeさんのバイクが駐車場に止まっている。おお、ここだ、ここだ、と思ったとたん、カメラを構えている人が居る。パシャリと取った後で、「やあやあ、おつかれーー」とNaBeさん。「岡田さんも来てるよーー」。岡田さん、岡田さんって兵庫の北の岡田さん。何で来てるのーーーと言った感じ。「ほらそれが岡田さんのFJR。隣を見ると新車ビカビカのFJRがある。前週の「ほやオフ」に来られなかった敵討ちだそうだ。そにしても600キロ以上を走ってきたというわけだ。早速、テントを設営している岡田さんにご挨拶。「青のFJRって、岡田さんだったのかーーー」と久しぶりのご対面を果たした。
田貫湖のキャンプ場は、確かに素晴らしく綺麗。湖の周りの広い敷地に、自由にテントが張れる。トイレも炊事場も比較的綺麗で、なかなかご機嫌だ。バイクを停めたところから直ぐ近くにサイトを確保してくれていたおかけで、とても楽に設営ができた。湖に向かって少し傾斜があるので、傾斜の下の方を足にして寝られるようテントを張る。NaBeさんのテント、岡田さんのテントのちょうど真ん中が、みんなのリビングスペースだ。夜はもちろん宴会場。ririさんから、メールが入り、5時か6時頃に到着予定だそうだ。寄り道で、時間がかかっているらしい。でも、連絡があれば安心。テントを張り終えて、早速ビール。アイスボックスのおかげで、冷たくて気持ちいい。スクールより、こっちの方がやっぱり極楽、極楽なのだ。
しばらくすると、見慣れた顔が近づいてきた。不良中年の仲間、ヨシさんだ。「えーー、今日何かあったのーー。ML流れてたーー」。不良の仲間はいつもこうだ。他の仲間が何をしているのかがとても気になる。自分の知らないところで、集まっていると、何か存した気持ちになるのだ。「今日は、植野さんとこの集まりだよ」とNaBeさんが答える。「えーーー、なんで岡田さんがいるのーー」「ほやオフのかたきうちだよーー」。何だか訳の分からない話が続く。そういうヨシさんも、仲間とキャンプに来ていたのだ。しばし話をして、ヨシさん達は、夕飯を食べに出かけていった。

■これが田貫湖。キャンプサイトは、湖畔に広がる広い芝。

■写真左/今夜のリビング。NaBeさんの炭焼きコンロが、食欲をそそる。後ろは、私のテント。
■写真右/不良中年の3人。左から、兵庫の岡田さん。ヨシさん、毎度のNaBeさん。

こちらも、夕食の準備だ。NaBeさんがでっかい炭焼きコンロを持ち出してきた。どこに積んでたのというくらい大きい。ただし、一度ごとに組み立てる。ねじを何本も通して、足を固定する。出来上がると立派なバーベキューコンロだ。炭も3キロ持ってきている。これがあれば、私のコンロは不要。なーーんだ、持って来なきゃ良かった。着々と準備が整い、火を起こそうかと思い始めた頃、riri&KOJIさんが到着した。キャンプ2度目のキャンパー夫婦だ。みんなで荷物を下ろすのを手伝い、テントの設営も手伝い、アッという間にサイトが完成した。唯一の女性がいると何故か親切になるのである。
そこにhatoさんから電話。いまからこちらに来るという。何か買っていくよと親切な電話なのだ。「んじゃあ、ビール」とNaBeさんが答えて、何時頃着くのかと少し心配する。なのに、30分もしないで到着。なーーんだ。ー、下のコンビニからの電話だったんだ。しかし、hatoさんは、横浜の住人である。なのに最近逢ったのは、四国と福島だ。今日が静岡。一体どうなっちゃてんのかしら。さて、カズやんは、またどっと遅れそうだという。なんと今度は、パンクで、修理もできないほどの大きさの穴のために新品タイヤに交換してから来るという。うひひ、またやったね、とみんなで大笑いなのだ。カズやんのトラブルはもう、みんな慣れっこで、今度はどこ、と冷静に聞いちゃうほど、実は楽しみかも知れないと思うほどだ。多分9時を過ぎるということで、夜の宴は、カズやんぬきで始まった。

■写真左/hatoさんとNaBeさん。いつもご機嫌な二人だ。岡田さんの蕎麦を食べている。
■写真右/私のお薦めメニュー、つくね。美味しそうでしょ。美味しいんです。

■写真左/私と岡田さん。NaBeさんのサイトからパクリました。変な組み合わせなのかなあ。
■写真右/riri&KOJI夫婦。なんとまだ2度目のキャンプ。でも、板に付いてますねぇ。さすが。

岡田さんが、そばを出した。「鍋があれば、作れるんだけど」「あるよ、使って」と私。コンロもあるよ、と持ってきたガスコンロを出す。持ってきた甲斐があった。兵庫の出石の皿そばだそうだ。その時まで知らなかったけれど、かなり有名らしい。出汁にとろろと卵を炒れるのが特徴で、麺も少し堅めということだ。4人前ずつゆでて、水で冷やす。炭に火がつく間、岡田さんのそばがいち早く出来上がり、まずはみんなでうまいうまい。やがて炭にもしっかり火がつき、自慢の焼き鳥を炭火で焼く。あたりに焼き鳥の匂いが漂って、色が少し付いたくらいでもうできあがり、「うまい」とNaBeさん。「でしょ」っと私。ビールあり、日本酒ありで、話が弾む。さて、いよいよNabeさんの「富士宮焼きそば」の登場だ。このために炭火コンロと鉄板、炭をバイクに積んできてくれたのだ。「富士宮焼きそば」はまだ食べたことがない。でも、富士宮に行くと、町中焼きそばやさんだらけだという。うまくて有名なのだ。それをNaBeさんが作ってくれる。岡田さんも兵庫から来たのは、これを食べたかったかららしい。「富士宮焼きそば」は、麺から違う。太くて、やや堅い。そして、油はラードを使う。具はキャベツとこれが秘伝の「肉かす」。「肉かす」とは、ラードを絞った後の豚肉らしい。そして、最後に紅生姜と「削り粉」をかける。「削り粉」とは、イワシの乾燥したものを粉にしたものらしい。出来上がると、かなり美味しそうだ。鉄板いっぱいに広がった「富士宮焼きそば」は、みんなのヘッドライトに照らされ、迫力があって、荘厳な感じだ。食べてみる。うん、確かに腰がある。これを輪ゴムみたいだ、と言った仙台のオヤジがいるそうだが、違う違う、腰があるのだ。そして、感覚はあっさりしている。食べやすい。お代わりまでしてしまった。

■写真右/NaBeさん作「富士宮焼きそば」。本格的、本物、美味かった。また食べたい。
■写真右/タイヤに大きな穴を開けながらも、何とか到着したカズやんと。またやったね。


なんだかんだで3時間くらい食べている、飲んでいる。お腹もいっぱいだ。目の前には、夜の湖が広がり、深閑とした風景の中に、所々テントの明かりと、笑い声が響く。都会とは全く切り離された時間と空間と仲間だ。すっかり上機嫌になっている。と、静かな夜空に、なにやらかすかなバイクの音が聞こえる。対岸をヘットライトが通りすぎる。いったん止まったヘッドライトは、心なし元気なく引き返している。「あれ、カズやんじゃないの」と言う。「ああ、カワサキの音だ」とhatoさんが言う。「よし、道路まで迎えに行こう。暗くて、看板見えないと思うから」。ririさんと表の道路まで行く。真っ暗だ。直ぐにヘッドライトが遠くの道を照らしながら近づいてくる。音も大きくなってくる。バイクが一台。カズやんに違いない。道の真ん中で、懐中電灯を振る。もし、カズやんじゃなかったらどうしようと思う。まあいいや。明かりを見てバイクが止まった。暗くて、しかもバイクのヘッドライトが明るいので、誰だかわからない。「カズやん」と叫ぶ。そして、近づく。カズやんだった。「こっち、こっち。入って左奥のバイクの止まっているとこに停めて」。「いゃー、まいった、まいった」とカズやん。良かった、無事にみんな揃った。ほっと、安心した。
サイトに戻るとNaBeさんたちが、カズやんのために2度目の「富士宮焼きそば」を焼いてくれていた。テントを張り、着替えを済ませて、カズやんは、ビールを煽り、焼きそばにパクついた。いいなあ、と思った。やって来る人も、迎える人も、みんな一体になっている。本当は、当人どおしのことをそんなに深く知らないのに、前にバイクで何度か会っただけにしか過ぎないのに、もう10年も20年も前からの友達のように会いに来て、そして必死で迎える。いいなあ、と思った。バイクが繋ぐ仲間は、やっぱりいいなあ、と思った。