「ほやオフ」この名前を聞いたとたんに、「何それ」と言いたくなるだろう。
「ほや」とは、もちろんあの食べる「ほや」だ。海のパイナップだそうだ。
もともと4年前、仙台のぼんちゃんの呼びかけで、始まったオフ会である。
食べたことのなかった「ほや」を食べてみよう、が事の始まりだったらしい。
最初は、7名。2年目が20名。去年が30名。今年は70名まで膨れ上がった。
不良中年友の会では、屈指の大イベントとなった。
もちろん仲間が集まる理由は、「ほや」の魅力である。
決して、主催者ぼんちゃんの「桃」の魅力ではない。

今年は「あだたら高原野営場」。吟ちゃんの好きだったキャンプ場だ。
吟ちゃんを偲んで、散骨式も行われた。
あいにくの雨も、要所要所では上がり、最高のキャンプとなった。

あだたら高原野営場
東北自動車道の二本松ICを降りて、岳温泉に向かう459号から、すぐに左折し「射撃練習場」の方角。ほんの少し山道を登ると15分ほどでキャンプ場が見えてくる。広々としたグリーンがまぶしいくらいの大きなキャンプ場だ。市営で運営されているので、全くの無料。ただし、炊事場とトイレ以外は何もない。すべて自分で調達してこなくてはいけない。バイク、クルマの乗り入れは禁止らしいが、だれも咎める人はいなさそうだった。今回6人ものバイク乗りが押し掛けたが、広さは充分。逆に人数が少ないと、ちょっと怖そう。
東京から280キロ、3時間半で楽に到着。
http://www.citydo.com/outdoor/fukushima/0488.html

■そもそも「不良中年友の会」とは、何かというと。
ツーリングのレポートで、「不良中年」のオフ会をまともに取り上げるのは初めてかも知れない。それは、一緒にいった人がそれぞれにレポートを作ってくれるので、それを見ればいいやという感じでいたからだ。でも、考えてみれば、自分の視点で、自分の写真や文章での記録がないのも寂しいし、一緒にいってくれた人も増えているので、ここにも記録があっていいと思い始めた。いままで、「不良中年」のイベントはいろいろ参加しているが、これが初めてのレポートなのだ。
そんなわけで、そもそも「不良中年友の会」とは、何か。ここから話が始まる。
「不良中年友の会」は、インターネット上のメーリングリスト(以下ML)の集まりである。MLとは、一斉メールシステムによって、MLのアドレスにメールを書いて送ると、登録者全員にメールが送られる仕組みだ。掲示板のように管理人がいて受け答えするのではなく、一方的にメールが送られてくる。それに応えたければ、メールを書く。するとまた全員に配信される。大概は趣味や仕事で、情報を共有したい場合に使われる。現在この「不良中年友の会」には、300名から400名くらいの登録者がいて、その管理は神戸に住むshinさんがやっている。もともとこのMLを立ち上げた張本人だ。去年の8月に「5周年記念オフ」をやったので、そろそろ6年目迎えるML。ここまでの規模は、日本でも珍しいのだと思う。このMLが実に楽しい。コンスタントに100名くらいはアクティブになっていて、情報のやりとりが毎日行われる。一日に20〜30のメールが届く。バイクの話題が中心だが、そればかりではない雑談も多い。九州、北海道、四国、名古屋、大阪、東京。テンデンバラバラのちいきから、お隣同士のようにメールで会話が交わされる。その中から、ツーリングの話が持ち上がる。どこかに行こうというと、近隣の人間がすぐに応える。年間では、30も、40ものツーリングが行われている。すべてが自由参加、何の強制もない。
そうして自然発生のオフ会が、いつの間にか定例になる。この「ほやオフ」もそうだ。今年で4回目。仙台ぼんちゃんが主催する東北随一のイベントである。今年の参加者は、参加表明ベースで70名。当日の悪天候でも60名が参加した。インターネットがない頃を思うと夢のような話だ。昨日まで、顔も名前も知らない人と、今日はキャンプ場で一緒に飲んでいる。バイクという共通項が、一人一人の心を結んでいる。すごい人間のパワー。人と人との自然の繋がり。いつもの日常にはない特別な関係、時間がそこにある。顔を知ってしまえば、インターネットも情報交換の手段でしかない。リアルな人間関係が、ちゃんとそこに存在する。バイクという距離を超える手段が、インターネットのヴァーチャルを超えてしまうのだ。そう、「不良中年友の会」は、インターネットが生んだバイクオヤジたちの溜まり場だ。

●前日行われた「上野オフ」。ツーリング前日なのに20名があつまった。ほとんどが翌日参加メンバー。準備もしないで、どうなってんの。


■実は前日から始まっていた「ホッピー隊」
ここまで、大きな集まりになると、地域、地域でも近隣が集まるようになる。いつしか、地域ごとに集まりが自然発生した。名古屋の仲間たちが毎月一日にオフ会を名古屋市内の手羽先店でやっている。いつの間にか「手羽先隊」。関東は上野の居酒屋に集まる。ホッピーを飲むことから「ホッピー隊」。東北は「ほやほや隊」。大阪は「でんがなまんがな隊」、静岡は「茶柱隊」。いろいろな集まりがあって、すべてが「不良中年友の会」。関東の「ホッピー隊」は、毎月第3金曜が、オフ会の日。たまたま「ほやオフ」の前日となった。上野のホッピーのお店には20人近くが集まって、前夜祭となったのだ。
私のBBSにもよく来てくれるKOJI&riri夫婦も、この日上野オフに初参加。名刺を配り歩いていた。エストレヤ乗りのpuyoさんも初参加。エストレア美女軍団に引っ張り込んだ。明日から、ツーリング、キャンプというのに11頃まで飲んでいる、この人たちって一体何?
私自身、今年初めてのキャンプとなるので、前日から少し興奮気味。一人で気楽にいくキャンプと違って、親しい仲間がたくさんのキャンプだけに、本当に真剣に考えた。KOJI&riri夫婦はもちろん、カズやん、ecozyさん、フミ吉さん、晴さんとBBS仲間がたくさん来る。誰かが何か食べ物持っているから、箸だけ持ってくればいいよ、なんて情報も乱れ飛んでいる。そうなれば、何か持っていかなければと、工夫に工夫を凝らしたつもりだ。みんなが、誰か持ってくると思っていると、誰も何にも持ってこなかったという悲しい結果にならないよう、5人分程度の食材は持っていこうと決心した。しかし、インスタントラーメン5個では悲しすぎる。また、派手にバーベキューをやるにも、バイクの積載は限りがある。悩み抜いた末、ガスコンロでできる焼き物を実現させることにした。ガスコンロも、いつか役立つと思って買ってあった小型のボンベコンロ。家庭で使うボンベ式のコンロの小型のものだ。この上に、魚焼き網をのせれば、何でも焼けるのではと思いついた。早速ドンキホーテで240円のコンロ用網を買ってきて、焼き鳥と餅で実験。見事に成功。ウインナもいける。「これだ」とひとりニヤニヤしたのだった。焼き鳥は、知り合いの美味しい焼き鳥がある。それを注文。正肉30本、つくね20本。前日にウインナーを40本ほど仕入れ、餅はあらかじめ1kg買っておいた。ひょっとすると現地でカレーを作るという噂もあり、お湯ですぐ食べられるごはんも5人分用意。これだけあれば、飢え死にはしないだろうと、自信満々だった。
ところが、荷造りするとえらいことになった。いつものトップケースと、サイドバックではとても入りきらない。食材の他に、テント、マット、シュラフ、グランドシート、ランタン、ガス、懐中電灯。着替え、レインコート、食器、鍋類、調味料、スリッパ、テーブル。次から次に荷物が増えて、全部で80リッターを超えている。以前使っていたツーリングバックを引きずり出し、そこにキャンプ用具を押し込んだ。トップケースには、食材とコンロ、サイドバックには着替えと、レインコート、酒。軽く人間一人分の重量がバイクの背中にのっかった。おまけに、タンクバックには、今回から初登場の「DVDナビ」。デジカメ2台。財布、携帯電話、ラジオ。こちらも満タン状態だ。やれやれ、お節介好きと、心配性が重なると、荷物が増えるよ。だからA型は嫌なんだ。

■雨かよ。クルマにするか、いやいや。
前日から予報は雨50%。これは確実に降ると覚悟しなくちゃいけない数字。しかし行かないわけにはいけない。みんな来るから。荷物も多いし、クルマで行こうかとちょっと迷いがでた。しかし、バイクの集まりだ、バイクで行こう。雨が降ったら、濡れればいいさ。
朝起きると、東京はまあまあの天気。降る様子はない。早速、現地の天気予報を見るが、変わりなし。やはり雨。でも、もう迷いはない。バイクに荷物を積み込み、家を出たのはちょうどお昼頃。3時、4時に着けばいいのだから、出発もその頃で十分。かなりの荷物の割には、バイクは軽々動いて、環8、外環、東北と順調にバイクを進めた。来たに向かうに連れて、雲行きは怪しくなる。宇都宮を過ぎて、こりゃ時間の問題だぞ、という感じになる。こういうときの気分は、なかなか複雑。降り始めてすぐにレインコートを着る場所があればいいのだが、ちょうどPAを過ぎたあたりだと、困ってしまう。一度は、高速にかかる橋の下で着替えたこともある。ちょっと怖い。ああ、もうすぐ那須か、と言うところで、パラパラときた。よし、那須でレインコートを着よう、とまでは良かったのだが、次の瞬間、ザーっときた。後、2キロほどだ。本当に駆け込むように那須のSAに飛び込んだ。そこには何台もバイクが雨宿りしていて、その仲間入りだ。ハーレーに乗っていた若いアンちゃんが声を掛けてきた。「降っちゃいましたねーー」、「降っちゃいましたーー」。なんとも清々しい会話だ。隣で、BMWのにいちゃんもレインコートを着ている。「仙台に友達に会いに行くんです」。雨が降らなきゃ、こんな会話もなかっただろうが、こうして偶然の雨宿りが、ほんの少しの会話を生んだ。これもいいじゃないか。
レインコートを着てしまえば、もう怖いものはない。後はこのまま突っ走るだけだ。二本松を降りればすぐの所だから、もう1時間ほど。最も激しく降ったのは那須付近だけで、その後は降ったり止んだりで、目的地「あだたら高原野営場」に着いたときは、ぱらっ・・・ぱらっ、くらいになっていた。すでに不良らしき人間が、キャンプ場でウロウロしており、雨宿りの炊事場の中から「こっち、こっち」と誘導してくれる。そのままキャンプ場にバイクを乗り入れ、雨でぬかるんでいる中でも道の良さそうな通路を進んだ。一度停まろうとしたら、バイクがグラリ。なんとか持ちこたえて、さらに奥へ。ズルズル滑るが、通路の安定した場所を見つけて、「ああ、着いたーー」とひとまず安心。見慣れた顔が近づいてきて、「やあ、やあ」とご挨拶。やっぱりバイクで来て良かった。バイクを止めたら上着を脱いで、先ほどの炊事場にご挨拶。懐かしい顔ばかりだ。「今のうちにテント張った方がいいよ」とアドバイス。ちょっと前まで、ザーザーだったそうだ。そっか、そっか、そんじゃあやっちまうか、と言うわけで、早速テント作り。バイクからバックを降ろさず、そのまま荷物だけを取り出し、設営に取りかかった。

●写真左/到着したマイバイク。広々としたキャンプサイトが分かるでしょう。
●写真右/今夜の我が家。後ろにいるのは東京の狸さん。一緒に寝る訳じゃない。

■次々到着。総勢70名を超える参加者。
もともと30〜40名くらいの参加者にはなるだろうと予想されていた今回の「ほやオフ」。前日までの参加表明が、60名を超えた。雨だから減るだろうなんて、誰も考えない。60名が参加表明なら、「ドタ参」と言って参加表明しないままやってくる連中で増えるのがいつものこと。だから、70名ぐらいになるぞ、とみんなが思っていたのだ。現地集合、現地解散が原則だから、集まってみないと分からないのだ。でも、そのいい加減さ、気軽さが参加しやすい環境を作っていると思う。当日参加できない場合は、感じに電話くらいをするだけ。来なければ、来なかったんだと思うだけだ。大人の集まりだから、すべて自己責任。それでいいと思うし、全体の中は、またいくつにもグループができていて、その中で連絡を取り合っている。そう言う集まりの集合だから、気が合うのかも知れない。
5時、6時になると、続々と集まってきた。まず、ゲールさんが「プレゼント」と日本酒を持ってやってきた。続いて、ririさん&KOJIさん夫婦。上野のホッピー隊オフ出よく会う北沢さん、東北の主催者たち、関東の連中、名古屋の連中。広々としていたキャンプ場も、至る所でテントの花が咲いた。おっと、カズやんが遅れている。またまたトラブルで、修理しているという。でも、来るだろう。ecozyさんも到着していない。フミ吉さんは初対面なので、声を掛けてもらわないと分からない。6時に開会宣言の予定が、7時近くになって、8割方のメンバーが揃い、今回の主催者ぼんちゃんの開会宣言が行われた。「いまからほやオフを始めます。後は勝手にやって」主にはそれだけだ。参加者の名前を読み上げ、その度に本人が手を挙げる。おお、来てる、来てるという感じだ。

●写真左/開会宣言をするぼんちゃん。「この雨の中、こんなとこまで来るなんて、馬鹿じゃないの。後は、勝手にやって」という責任感に溢れるお言葉。
●写真右/お言葉に拍手する不良たち。水たまりが、何故か寂しいが、それでも笑顔。

■そして、宴会の夜がやってくる。
暗くなる直前にカズやんも到着した。出発しようとしてバイクを見たら一円玉ほどの穴がタイヤに開いていて、修理不能。ニュータイヤに交換してきたそうだ。またまた、みんなにトラブルマンと冷やかされながら、テントを設営していた。そして、フォークと食器だけを持って、サイトにやってきた。
やがて夕暮れが迫る。しだいにあたりは暗くなってゆく。キャンプ場のあちこちに明かりが点りはじめる。その明かりが、いつしかいくつかの固まりになって、広いキャンプ場に宴会場ができあがってゆく。今回は大きい。4つか5つの固まりだ。我々は、関東の仲間「ホッピー隊」を中心に集まった。GONちゃんの大きなタープに自然に集まる。しぶさんが、炭に火を付ける。狸さんがどっしり構え、nonoさんが大きな声を上げる。riri&KOJIもecozyさんも仲間入り。それぞれに持ち込んだ食べ物を出し合って食べる。ともかく始まったとたん、あちこちで笑いが起こる。みんな本当に上機嫌だ。日常から完全に解放されている。この開放感のためにみんな集まってくる。利害のない人間関係が嬉しくてたまらない。ここでは、お金持ちも、偉い人も、歳も何にも左右されない。バイクに乗っていることだけが、共通点だ。どんなに大声を出しても、聞いているのは自然だけ。ちっぽけな人間たちの集まりは、とてもとても小さな存在で、大自然の中に吸収されてしまう。自分もどんどんペースをあげて飲んでしまう。飲んだ後のことは、そう、すっかり忘れている。あとは、騒ぎながら撮った写真だけを並べよう。

●写真左/ようやく到着したカズやん。2時間も押して、解体屋さんを見つけ、部品を調達して、修理してやってきた。それだけでも凄い。私ならとっくに諦めているところだ。しかし、カワサキでは、よくあることだそうで、カズやんは、何だか楽しそうだった。
●写真右/キャンプでの宴会は、たいたいこんな感じ。ヘッドランプと小さな椅子は欠かせない。食べ物よりよっぽど大切。しかし、ホームレスの宴会にも見えるのは、私だけだろうか。

●写真左/九州福岡からやってきた看護主婦のふーさんとのツーショット。二人ともかなり回っている。九州にツーリングしたときと、その後出張で福岡に行ったとき、5周年と3度お会いした。よくまあ、ここまでやってきたという感じだ。最後の日、浅草でもう一度お会いし、どじょうを食べた。
●写真右/カズやんとHATOさんが、ご自宅ご近所であることが判明。なんと娘の学校も同じだとか? (これは間違いであることが後で判明。カズやん娘の学校を間違えていた。)話が弾んでいるところ。KOJIさんも仲間に加わり、まあ、ただの酔っぱらいのオヤジ3人です。

●写真左/ようやく到着したecozyさん。ニューマシンで颯爽と登場。みんなでお出迎えです。しかし、大型まで一直線。もう、見習うべき不良です。
●写真右/涼さん夫婦のサイト。最高の豪華設備。それもそのはず、クルマにキャンプ道具詰め込んで登場でした。バイクじゃなくても全然いいんです。

●写真左/東京の狸さん。W650に乗るたぬきオヤジです。キャンプとなるとどこへでもやってくるスジカネ入りのバイク好き。私とどちらが先にくたばるのか、競争ですな。
●写真右/左が、北沢さん。永遠の野生児です。飄々と生きる生き方は、学ぶべきです。隣がGONさんの友達junjunさん。GONさんを尻に轢いています。左側が、nonoさん。武道家中年です。パンチ力は凄かった。喧嘩はしない方がいいです。

●写真左/黄色いのがhatoさん。飛べるわけではありません。隣が私。手前がしぶさん。顎に手がない写真は貴重品です。
●写真右/同じく黄色いのがhatoさん。その下が支部さんの愛妻、あけみ様。私と支部さんの写真を撮っています。hatoさんにはたくさん写真を撮ってもらっていますが、なかなか手に入りません。全部失敗?

●写真左/こうなると誰が誰だか。ミックさんが押し倒した様子だけがわかります。しかし、こんなことが至る所で繰り広げられ、夜は更けていきます。あれ、右端のぼんちゃんの怪しい動き。名物「桃祭りの」準備でしょうか。
●写真右/スーさんのサイト。SALLYさんとのツーショットです。スーさんは、料理人兼笑い袋で、バイクが来るたびに違います。一体何台持っているのかは誰も知りません。こんど究明します。

こうして夜は更け、眠くなったら自分のテントに戻って寝る。誰に断るでもなく何となくみんな、自然に散会します。そうそうそう言えば、夜の間も雨が降っていました。でも全然気にならなかった。雨が降ったら濡れるだけ。ここは都会ではないので、いつの間にかそんな気持ちになっています。この日もやっぱり飲み過ぎた。いつ寝たのかよく覚えていない。そんななでいいのです。一人一人のキャンプが何となく集まっている感じがとても好きなのです。生きていると人間色々な人間関係を持つ。仕事上の関係が日常的には一番強いし、それ以外がなかなか持てない。仕事上の関係は、利害で成り立っているので、立場をどうしても考える。ここには、そんなものは全くない。そんなの人間関係じゃないと言われるかも知れません。でも、いいんです。一人一人はちゃんと自立しています。そんなことよく分かっています。自分たちがバイクに乗っている特別な人間とも考えても、感じてもいません。たまには一人で飲みたい気持ちの延長線上に、こうしてみんなで飲む気持ちがあるような気がします。自分と同じ気持ちの人間が集まっている。それで十分な人間関係です。雨が降って、濡れることばかり恐れている日常とは、ここは全く別世界です。雨が降れば、自分も濡れるけど、全員が濡れる。濡れたって、傷つくこともないし、揶揄されることもない。みっともなくても、格好悪くても、全員が同じなのです。だから気持ちがいい。そんな時間を持てることが大切だし、貴重です。みんながみんなにありがとうって思っている。この「不良中年友の会」で、誰もが思うことです。

■翌朝、また会おうだけが合い言葉。
起きてみると、もうすでに後片づけが始まり、予定の早い人は帰っている。別にくどくどさよならを言うでもなく、「またね」が挨拶だ。しかし今回だけは、去年のなつ癌で亡くなった吟ちゃんの散骨がある。それを待って帰る人が多い。ここ「あだたら高原野営場」は、吟ちゃんがたびたび訪れた場所だという。そんなこともあって、ここでも散骨をすることになった。吟ちゃんのご両親と親戚の方もお見えになっている。始まる直前、見慣れたバイクがキャンプ場に風のように入ってきた。誰かが、「吟ちゃんだ」と言った。あの吟ちゃんのバイクは、今は吟ちゃんの甥が譲り受け乗っている。今回の散骨にバイクと参加してくれたのだ。胸がジーンと熱くなった。そうだよな、このバイクに乗っていたよな。

●写真左/吟ちゃんが乗っていたバイク。
●写真右/散骨式の様子。70人が少しづつ骨をまいた。尺八の音が高原にこだました。

参加した70人はそれぞれに胸に思いを抱いたに違いない。吟ちゃんを直接知らない人もいる。何度もバイクを走らせた人もいる。私自身、上野で何度も会い、何度か一緒に走り、キャンプもした。でも最後にこうして吟ちゃんの式に参列できて良かった。この集まりと、この仲間が、楽しむだけの集まりではなく、生きていることを確認しあえる集まりだと改めて思った。誰もが言う。吟ちゃんは、いつも俺たちと一緒に走っているのさ。

■いいキャンプだった。いい仲間だった。
わずか300キロほど走り、たった一泊で終わるキャンプだったけど、本当にいいキャンプだった。私自身のHP仲間もきてくれたし、その人たちも不良の仲間と仲良くなってくれた。なんだか、作ってきた輪が、ドカンと広がった思いだ。カズやんは「不良中年は凄い。もっと早く知っていたかった」と言ってくれた。それだけでも、自分のしてきたことが報われた感じがした。もっともっと広がって欲しい。そしてバイクを通じて、今まで知り得なかった世界を知って欲しい。日常の中の日常的な価値にすがりつくことなく、もっと広く、逞しく、強く生きられたとしたら、幸せなことだと信じている。人に無理に薦めることはしないものの、自然にこうして広がってくれれば、私自身もとても幸せだ。すべての人が理解できる世界ではないけれど、こんな世界があり、幸せを感じていることだけは確かだ。バイクだから、キャンプだから、そして、仲間がみんなそうだから、雨が降ったら濡れればいいのさ。俺たちゃぁ、街には住めないから、とは言わないけれど。(完)

●写真左/朝のひととき。カズやん、KOJI&riri夫婦。来てくれてありがとう。ecozyさんもね。
●写真右/晴さん。一関から登場。バイクが保ってくれて、良かった良かった。