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MOMENT TO MOMENT
紅い飛行機雲
2006年2月10日17時26分 葛西

黄昏の荒川リバーサイドに佇み、ふと頭上を仰ぐと西へ向かう一筋の飛行機雲が視界に入った。 ジェット機から伸びる飛行機雲は地上10,000m近い高空で夕日を浴び、鮮やかな紅色に染まっていた。 空は雲一つない快晴。 背景の紫がかったブルーとの色彩コントラストが印象的だ。 カメラのファインダーを通して小さな機体を注視すると、飛行機雲を噴き出す2基のエンジンも夕日を反射し輝いている。 地上では日没後すでに15分以上経ち、地平線に近い西空の色彩からはシアンが失われオレンジイエローに変わり始めていた。

飛行機雲の原理は、冬の朝など冷たい空気中で吐く息が白く見えることと同じだ。 水蒸気を大量に含む排気ガスがジェットエンジンから噴き出すと、透明な水蒸気は低温の大気中で急に冷却され小さな水滴となる。 このとき塵などが核となって水滴がさらに成長すると、白い飛行機雲として目に見えるようになる。 飛行機雲が紅く染まるのは夕焼け雲と同じ。 すでに地平線下にある太陽の光が浅い角度で大気中の長い距離を通過すると、短波長の青色が極端に吸収される。 残った長波長の赤い光で高空にある雲を照らしているからだ。

この日の最高気温は12.0度と3月上旬並の暖かさだったが、日が沈むと一転して寒さが戻った。 地表の放射冷却に加え、リバーサイドに吹きつける北風が体感温度を下げている。 紅い飛行機雲はゆっくりと遠ざかり、太陽の動きに追いつけなかったのだろうか、気づくとまだ明るさの残る背景に溶けていた。 日没40〜50分後、北風の影響で透明度を増した西空には見事な薄明が見られた。 上空のブルーからシアン、イエローと滑らかに変化し、濃いオレンジの地平線間際まで続く色彩グラディエーションがしばらく目に残った。



data
camera : Minolta alpha-7
lens : Minolta AF zoom
         100-300mm F4.5-5.6
exposure : F11 , 1/8 sec.
film sensitivity : ISO 100

V字踏切 富士山が見えなくなった
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updated : June 4, 2006
released : March 8, 2006

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