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MOMENT TO MOMENT
富士山が見えなくなった
2006年2月12日17時05分 豊洲

富士山が見えそうなポイントを地図で探し天気の良い日に訪れると、新しい超高層ビルが正面に建ち、山容のほとんどが遮られていた....大規模な再開発が進む東京で、近ごろよく起きる現象だ。 「ダイヤモンド富士」は東京の同地点では冬至を中心に年2回起きるが、天候に左右されなかなか見られない。 この日は何年ぶりかの好天気に恵まれて期待していたが、富士山の真正面に立ちはだかる建設中の超高層ビルはまったくの予想外。 それでも、夕日がビル最上部のクレーンに重なると、山頂のシルエットが薄く見え始めた。 逆光に透ける工事中の骨組みとクレーンのシルエットが何とも無機質で不気味だ。

日本古来の風景観賞法では、建物や庭園など人工物の中・近景に、遠景の山々や海などの自然物を借景として組み込み、奥行きのある構図を楽しむことが多い。 美しい風景は、遠・中・近の景色の適度な配置と配光の両バランスで決まる。 都会のビル風景も江戸浮世絵のように富士山を背景に添えると、不思議と落ち着きのある構図になる。 真っ白に雪化粧した山頂の特徴ある姿と、超高層ビルが連なる幾何学的なスカイラインとの組み合わせは絶妙なコントラストを生む。 しかし、近ごろの東京は富士山を容易に見せてくれない。

21世紀始めから加速する超高層ビルの建設は衰えを見せず、高い建物のなかった臨海部にもタワーマンションが建ち始めスカイラインが年々変わる。 超高層ビルは数km離れた地点から見通す眺望にも影響を及ぼし、地上の富士見ポイントが次々と減っていく。 富士山を眺めるには超高層ビルの上層階が最適な場所だが、人気ビルの最上階は高額の有料展望台や高級レストランが占め、タワーマンション上層部は手の届かない超高級邸宅だ。 将来、東京から富士山を見るにはスーツ着用が必須になるかも知れない。 1960年代の経済高度成長期以来、東京からの富士山眺望はいま最大の危機に直面している。

参考画像: 富士見坂も危ない


data
camera : Minolta alpha-7
lens : TAMRON SP AF
         200-500mm F5-6.3
exposure : F16 , 1/2000 sec.
film sensitivity : ISO 100

紅い飛行機雲 アドバルーンの効果
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released : June 4, 2006

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