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Panoramic Photography

スイングレンズ式35mmパノラマカメラで撮影(水平画角130度)
Odaiba Seaside Park; Tokyo


1.パノラマ写真とは?

パノラマ切換付きカメラで撮るパノラマ写真は「パノラマ」ではなかったのです。


「パノラマサイズ」とは?
視覚心理を利用したアイデア
APSカメラでは 「Pタイプ」
「パノラマサイズ」でも本格的に写せる
「正統派」のパノラマカメラはスイングする




 「パノラマサイズ」とは?

目の前に広がるワイドな景色をそっくり手に入れようと、山頂や展望台から水平方向に何枚か撮った写真をつないで、合成パノラマ写真を作ったことはありませんか。 広角レンズで写し、その歪みで画面の端がうまくつながらなくてガッカリしたこともあるでしょう。 そんな体験から、もっと手軽にパノラマ写真が撮れるパノラマ切換付きカメラを購入した人もいるのではないでしょうか。 しかし、このパノラマカメラはちょっと違っていました。
35mmフィルム画面の大きさ
35mm Film Size
35mmフィルムを使うパノラマ切換付きカメラは、フィルムの標準画面フルサイズ(タテ24mm×ヨコ36mm)をパノラマサイズ(タテ13mm×ヨコ36mm)にマスクして撮影する構造。 これで写したパノラマ写真はタテヨコ比1:2.85(タテ89mm×ヨコ254mm)のパノラマプリントに仕上げます。 タテヨコ比1:2.78、ビッグパノラマサイズ(タテ127mm×ヨコ353mm)のパノラマプリントもあります。
パノラマサイズの写真はサービスプリントを極端な横長サイズにしたことがアイデアで、パノラマ写真の感覚は誰でも楽しめるようになりましたが、35mmフルサイズ画面の上下をカットしただけで、特に広い範囲が写っているわけではありません。



 視覚心理を利用したアイデア

35mm一眼レフカメラで撮影(35-105mmズームレンズ使用)
Kiyomizuji Temple; Kyoto
普及タイプのパノラマ切換付き35mmコンパクトカメラのレンズ焦点距離は35mm付近が多く、「パノラマ」と呼べるほど広い範囲は写りません。 レンズ焦点距離が35mmの場合、水平画角(フィルム画面の長辺に写し込める角度)は54度。ところがパノラマプリントに仕上げてみると、不思議なことに、首を振って見るパノラマ風景が写し込んであるような錯覚を受けます。 パノラマプリントの「横長効果」は画面の長辺方向へ視線を大きく誘導するのです。 パノラマサイズのパノラマ写真は、視覚心理を巧妙に利用したアイデア写真だったのですね。

初めてパノラマプリントを手にしたとき、そのワイドな大きさに驚いたものです。 パノラマプリントは、普通のサービスプリントと比べると長辺方向がLサイズのちょうど2倍。 このプリントを手に持って観賞する場合、画面全体を一度に見ることが難しくて視線を長辺方向へ動かすことになります。 写真映像のリアルさに加えて、この視線を大きく移動させたり首を振って見る観賞法が、映画のワイドスクリーンを見るような臨場感や迫力を生むのです。





 APSカメラでは 「Pタイプ」

コンパクトなAPSカメラ
Canon IXY
APSフィルム画面の大きさ
APS Film Size
1996年4月にAPS(Advanced Photo System)という新写真システムのカメラが発売されました。 35mmフィルムとは別のカートリッジフィルムを使用するためカメラはひと回り小型になり、3種類の画面サイズに切り換えることができます。 フルサイズ画面の「Hタイプ」(タテ16.7mm×ヨコ30.2mm)、標準画面の「Cタイプ」(タテ16.7mm×ヨコ23.4mm)、そしてタテヨコ比のいちばん大きい画面は「Pタイプ」(タテ9.6mm×ヨコ30.2mm)と呼びます。 この「Pタイプ」が35mmカメラの「パノラマサイズ」に相当します。 フィルム面は磁気コーティングされていて、タイトルや撮影データを記録することもできます。
APSカメラでは、選択した画面サイズに関わらずフィルム面上にはフルサイズの「Hタイプ」で撮影されるので、焼き増しプリントの注文時には他の2サイズに変更することもできます。 APSカメラの「Pタイプ」も35mmカメラの「パノラマサイズ」と同様に、フルサイズ画面の中央部分を使用していることに変わりはなく、パノラマカメラとして使用する場合はやはりフィルム面積がムダになります。



 「パノラマサイズ」でも本格的に写せる

パノラマサイズのパノラマプリントで本格的なパノラマ写真を楽しむには、超広角レンズの付いた35mmカメラが必要です。 パノラマ切換付き35mmコンパクトカメラで最も広角なものは、レンズ焦点距離が24mmで水平画角(長辺画角)は74度。 このくらいの水平画角から「パノラマ」らしい感覚が味わえるようになります。
24mmレンズの付いた
パノラマ切換付き
35mmコンパクトカメラ
RICHO R1s

12mmレンズで撮影できる
35mmレンズ交換式カメラ
Voigtl
änder BESSA-L
35mmレンズ交換式カメラで撮影(15mm超広角レンズ使用)
Shanghai, China
パノラマ切換付き35mm一眼レフカメラでは、15mm超広角レンズを使用すると水平画角100度の本格的なパノラマ写真が撮れます。 1999年2月に発売された35mmレンズ交換式広角専用カメラには、12mm(水平画角113度)と15mmの超広角レンズが用意されています。 このカメラにはパノラマ切換はありませんが、アマチュア写真家にも求めやすい価格でパノラマ写真が楽しめます。

超広角レンズによる撮影では画面周辺に特有の歪みが出るので、パノラマ撮影に限らずレンズの性質をよく理解しておくことが大切です。




 「正統派」のパノラマカメラはスイングする

ワイドビュー式
中判パノラマカメラ
Linhof TECHNORAMA
617 SV
フィルム画面を長辺方向に伸ばした横長サイズに写す「正統派」のパノラマ専用カメラは100年以上前からすでにありました。 これは「スキャニング式パノラマカメラ」と言い、パノラマ館のようにフィルムを円筒状の面にセットして、撮影レンズやカメラ全体を回転させながらスリットシャッターで露光するという独特な構造になっています。

比較的新しい「正統派」には、大きなイメージサークル(フィルム画面をカバーできる円形結像面)を持った超広角レンズで写す「ワイドビュー式パノラマカメラ」があります。 この「ワイドビュー式」はレンズ交換のできる機種がほとんどで、望遠レンズを取り付けると「パノラマ」でないパノラマ写真(?)も写せてしまいます。

「ワイドビュー式」はブローニーフィルムを使用する中判パノラマカメラに多い方式ですが、1998年9月には35mmパノラマカメラも発売されました。 このタイプは水平画角90度くらいの機種がいちばん多く、116度の超広角レンズが付けられる中判パノラマカメラもあります。 水平画角が90度を超えると画面周辺での歪みが大きく目立ち始め、撮影には高度なテクニックが必要になります。
ワイドビュー式
35mmパノラマカメラ
FUJIFILM TX-1

スイングレンズ式
35mmパノラマカメラ
NOBLEX 135
「スキャニング式パノラマカメラ」には水平画角360度の撮影ができる機種もあり、人の視野を遥かに超えてしまいます。 その中で、撮影レンズとスリットシャッターが一体となって回転しながら露光するポピュラーなパノラマカメラは「スイングレンズ式」(首振り式)と呼ばれ、水平画角120〜140度のパノラマ撮影ができます。 人の眼に相当する撮影レンズがジーと音を出しながら回転するメカニズムは何とも親しみを感じます。35mmパノラマカメラはほとんどこの方式です。



updated : December 22, 2000
released : December 23, 1996

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2.パノラマカメラの撮り方