ホームページ


Panoramic Photography

35mm一眼レフカメラで撮影(35-105mmズームレンズ)
On the Grass


2.パノラマカメラの撮り方

パノラマカメラは超広角な範囲を撮影できますが
注意しないとカメラを構える自分の手まで写ってしまいます。


中央が膨らむパノラマ写真
撮影画面のシミュレーション
自分の指に気をつけて
水平に構えるのが基本
ピントと露出はマニュアル操作
構図にアクセントを
動くものを写すと形が変わる
手持ち撮影は1/60秒まで




 中央が膨らむパノラマ写真

普通のカメラで撮影する場合、カメラの正面にあるビルの壁面など平面的な被写体は、フィルム面に相似形となるように写ります。 ところが、広角レンズを使用して奥行きのある被写体を撮影すると、画面の端にいくほど引き伸ばされたように写り距離感が強調されてしまいます。 超広角レンズを使用するワイドビュー式パノラマカメラでも同様です。

これに対してスイングレンズ式パノラマカメラでは、撮影レンズを中心としてフィルムが円筒状にセットされています。 このカメラで平面の被写体を正面から撮った場合、その画像は画面横方向(長辺方向)全体に渡って、被写体の縦方向(短辺方向)の大きさはほぼ距離に比例して写ります。 作例写真のように、画像は中央が膨らむように写ります。

スイングレンズ式35mmパノラマカメラで撮影(水平画角130度)
Riverside Station; Ochanomizu, Tokyo
これは一見して歪んでいるように見えますが、実は見かけの大きさを正しく写し取っているのです。 平面の写真に広角度な範囲を写し込む場合、スイングレンズ式パノラマカメラでは人の視野に近い自然な距離感を表現できます。 立体的な自然界を平面の写真に同じ比率で広く写し取ることは無理ですが、この「膨らみ」は撮影テクニックで目立たないように写すことができます。

それには、カメラから等しい距離にある横に長く伸びた直線状の被写体(壁やビルなど)を正面から撮ることは避け、なるべく斜め方向から狙います。 カメラを水平に構えて、水平線や地平線が(見えなくても)画面の中央にくるように撮影するのが基本です。




 撮影画面のシミュレーション

右図のいちばん下は、スイングレンズ式35mmパノラマカメラ(レンズ焦点距離29mm)で撮影した画面(タテ24mm×ヨコ65.5mm)の歪曲を計算したものです。 比較のため、右図の上と中に、同じレンズ焦点距離の35mm普通カメラのフルサイズ画面(タテ24mm×ヨコ36mm)とパノラマサイズ画面(タテ13mm×ヨコ36mm)も載せました。

このシミュレーションは、一辺0.3mの正方形の格子が並んだ高さ2.4mの壁を、距離2.9mから撮影したことを想定しています。 普通カメラの画面ヨコ方向は「パノラマサイズ」でも3.6mしか写りませんが、パノラマカメラは水平画角が130度、12.3mまで写ってしまいます。

スイングレンズ式パノラマカメラ独特の中央が膨らむ描写特性が表れており、普通カメラで撮った平面的な画像に比べて、画面の端にいくほど徐々に遠くなって写るようすが解るかと思います。

Simulated Film Images



 自分の指に気をつけて

スイングレンズ式
35mmパノラマカメラ
で撮影
Amusement Park; Korakuen, Tokyo
コンパクトカメラでも、うっかりレンズを手で隠したまま撮影してしまうことがありますね。 水平画角が120度を超えるスイングレンズ式パノラマカメラでは、手持ち撮影のときは特に構え方に注意しなければなりません。 このカメラの外観はボディの厚みに比べてレンズ部がそれほど突き出ていないので、カメラをつかむ指の一部が撮影レンズを遮って画面の端に写り込みやすいのです。

左の写真はタテ位置撮影したものですが、上方に指が写ってしまいました。 特にパノラマカメラをタテ位置で構えると、フレーミングに気を取られて失敗しやすいようです。 撮影レンズを通して見えるファインダーの付いた一眼レフカメラと違い、パノラマカメラではファインダーが別になっているため、フィルム画面に写り込む指が見えません。

パノラマ撮影に熱中すると、この「写り込み」の注意をついつい忘れてしまい、カメラの操作に慣れていてもよくミスを犯します。 専用グリップを取りつけるなど「写り込み」を防ぐパノラマカメラの構え方はいろいろありますが、超広角な範囲が写ることを特に意識して撮影しないと、現像してから初めて失敗に気づきガッカリすることになります。




 水平に構えるのが基本

広角レンズ付きの35mmカメラで高層ビルを見上げるような角度で写したとき、画面の上がすぼまって倒れ込むような写真に写ることがよくあります。 水平線や地平線が傾いて不安定な写真になることもありますね。 これらは、カメラを水平に構えて撮影しなかったことが原因です。
視野枠の下に水準器が見える
パノラマカメラのファインダー
横長のパノラマ写真は画面の傾きが目立ちやすいので、パノラマカメラには傾きを水平に調整する水準器(円形気泡管)が組み込まれています。 ファインダーを覗いて構図を決めながら、視野中に見える水準器の気泡を中央に合わせることでカメラの傾きを調整しシャッターを押します。 少し面倒なようですが、実際に撮影してみると思ったほど難しくはありません。
特にスイングレンズ式のパノラマカメラでは、傾きを水平に調整しないと撮影画像に「膨らみ」が目立ってきます。 しかし、カメラを水平に構えると気に入った構図にならないときもあります。 「水平」を優先させるか「構図」を中心に考えるか、撮影時に悩むこともまた楽しいものです。 結局、水準器の気泡の位置を中央から少しずらして、「膨らみ」をやや妥協した構図に落ち着くのですが...



 ピントと露出はマニュアル操作

ほとんどのパノラマカメラには、普通の35mmカメラで当たり前になっているオートフォーカスやAE露出の機能がありません。 自分でピントを合わせ、絞りとシャッター速度を決める完全なマニュアル操作なのです。

スイングレンズ式のパノラマカメラでは、短焦点レンズ特有の深い被写界深度(被写体側でピントの合う深さ)を利用した固定焦点タイプが多く、最短撮影距離さえ気を付ければピントを合わせる必要はありません。 「パンフォーカス」といって、そのままで画面の隅々にピントが合って写ります。

露光値の決定には単独の反射光式露出計(カメラ側から被写体を測る普通のタイプ)があると便利です。 「勘式露出計」は当てになりません。 パノラマ撮影では、狭い範囲を測るスポット露出計より受光角の大きい露出計の方が使いやすく、受光角50〜60度のCdSメーターでも利用できます。 被写体を数カ所に分けて測り、その平均値を基準露光値にします。 多くはこれで適正露光になります。

広角度な範囲を写すパノラマ撮影では被写体の輝度差が大きくなりがちです。 上記の基準露光値を中心にして、オーバー気味とアンダー気味に少しずつ露光値を変えながら、同じシーンを数枚撮っておくと安心です。 これが「ブラケッティング撮影」です。

コンパクトな
反射光式露出計
SEKONIC L-188



 構図にアクセントを

パノラマカメラによる撮影では横長の画面に広角度な範囲から様々なものが写り込み、構図をまとめることが大変難しいものです。 良い写真を撮る必要条件は、構図を決めてシャッターを押す前に、写そうとする被写体に「感動」することでしょう。 そして、テーマに沿ってその「感動」を凝縮させながら撮影に入ります。

パノラマ写真では構図が散漫になりやすいので、建物や人物などの形や色で特徴のある被写体をアクセントに取り入れて、メリハリのある画面構成を狙うことが写すコツになります。 黄金分割が美しい構図の基本といわれますが、撮影した瞬間の「感動」を誰かに伝えようと意識することが良い写真を撮るいちばんのヒントになるでしょう。

スイングレンズ式35mmパノラマカメラで撮影(水平画角130度)
The Sumida River; Komagata, Tokyo
風景撮影では、はっきりしたテーマが必要です。 パノラマ写真に限らず、風景写真では「光」と「影」の比率を上手く扱うことがキーポイント。 眼の視野を超えて写るパノラマ写真では特に周囲の地形をよく観察し、撮影に向く場所かどうか判断することも大切です。 同じ場所でも、季節と天候によって撮影に適格な角度と時刻は微妙に変わります。 上空の風が強く雲の流れが速いときなどは、シャッターを押すタイミングは意外と難しいものです。 シャッターチャンスをじっと待つ忍耐と、チャンス到来を予想し、すばやく瞬間を捉える判断が必要です。 「釣り」の極意にも似ていますね。
35mm一眼レフカメラで撮影(100-300mmズームレンズ使用)
Being Glad
人物撮影では、その表情と背景とのバランスがすべてです。 気持ちがいい写真からは、その場所の空気感覚さえ伝わってきます。 短焦点レンズのパノラマカメラでは画面の隅々までピントが合うため、背景描写にとらわれすぎると、人物が埋もれてしまいます。 ときには望遠レンズを使用して背景をぼかし、人物の表情を浮き出させたパノラマ写真(?)も良いもの。 パノラマ切換付きの35mm一眼レフカメラやズームレンズが使える35mmコンパクトカメラでは、横長のトリミング効果を積極的に利用して主題を強調することができます。 このテレフォト・パノラマはパノラマ写真の新しい楽しみ方といえます。



 動くものを写すと形が変わる

スイングレンズ式のパノラマカメラでは、円筒状にセットされたフィルム面をスリットシャッターが回転移動して露光するので、画面の両端間では時間差ができます。 静止した風景を撮影する場合は問題ありませんが、露光中の画面に動きの速い被写体が入るとその姿は変形して写ります。

例えば下の写真のように、走行する車を横から撮影した場合、シャッターの回転方向と車の走行方向が同じときは車体の長さが間延びして写ります。 逆方向のときは実際より短く写ることになります。 特にスローシャッターで撮影する場合は、歩行者など動きの遅い被写体にも同じような影響が出ます。

スイングレンズ式35mmパノラマカメラで撮影(水平画角130度)
Sekiguchi, Tokyo
ワイドビュー式パノラマカメラの露光機構は、普通のカメラと同じレンズシャッターや縦走りフォーカルプレーンシャッターを使用していることが多く、上記のような影響はほとんどありません。



 手持ち撮影は1/60秒まで

スイングレンズ式パノラマカメラの場合、設定したシャッター速度よりも実際の露光完了時間はかなり長くなります。 例えば、シャッタースリット幅1.4mm、フィルム画面ヨコサイズが65.5mmのパノラマカメラでは、シャッター速度が1/125秒であっても一画面の露光完了時間は0.4秒近くかかるのです。 この間にカメラが縦方向に揺れると波打つような画像に写ってしまいます。

これは普通カメラの手ブレ写真とは違ってそれほど目立たないものですが、手持ち撮影では1/60秒がほぼ限界になります。 それより高速のシャッター速度で撮っても、画面の一部だけブレることがよくあります。 三脚か一脚(モノポッド)の利用が理想的です。 室内や日陰の撮影では光量が不足することが多く、原理上ストロボの使えないスイングレンズ式パノラマカメラでは高感度フィルムかスローシャッターで対応させることになり、三脚は必須アイテムです。 ミニ三脚でも携帯していると、思わぬときに役立ちます。




updated : July 15, 2001
released : December 23, 1996

無断で転載・複製することを禁じます.


このページのトップ
インデックス・ページ
1.パノラマ写真とは?
3.35mmパノラマカメラ