Tateyokology SPIEGEL編

Tateyokology


1.履物の揃え方を変えてみる

入船型と出船型は「タテの揃え方」。それでは「ヨコの揃え方」とは?




●履物と船の関係
入船型
私たちが知っている履物の揃え方には二つの方法があります。一つは「入船(いりふね)型」といって、身体の進む方向に沿って履物を脱いだままの状態で揃えるもの。もう一つは「出船(でふね)型」といい、身体が進む向きとは180度変えて履物を揃えるものです。これらの呼び方は、履物の向きを港に出入りする船に例えています。

「入船型」の揃え方はせっかちな性格の人に向いているようですが、次に履くときは身体を後ろ向きにするか履物の向きを揃え直す必要があり、脱いだときのツケが回ってきます。「出船型」の揃え方では履物を脱いだあとに続いて揃え直す必要があり、神経のよくいきとどく人に向いています。この場合、始めに気を使うおかげで次に履くときは楽になりますね。

床上で履物を脱ぐという日本独特の文化では、「入船型」で脱いで床に上がった後、その場で履物の向きを「出船型」に揃えることが礼儀正しいとされています。しかし、近ごろでは「入船型」のままで済ましてしまうことが多く、それも左右が乱れた荒船型(?)になっていることが多いようです。
出船型


●船が岸壁に横づけすると...
身体の進む方向を「タテ」にとると、今までの二つの履物の揃え方はいずれも『タテの揃え方』になります。「タテ」があるなら「ヨコ」の方法も考えられ、自然に『ヨコの揃え方』の発想が生まれてきます。それは「横船(よこふね)型」とも呼べる揃え方で、身体の進む方向に対して90度向きを変えた横向き状態で脱ぎ揃えるという方法です。ちょうど、船が岸壁に横づけした形になります。

『タテの揃え方』である従来の「入船型」と「出船型」は、脱ぐときまたは履くときのどちらかに負担がかかります。ところが「横船型」では脱いだあと揃え直す必要がなく、身体を半身に構えるだけで脱いだり履いたりできる特徴があります。ひねりを加えた身体の動きはリズミカルなダンスのステップにも似ていますね。



●「横船型」は脳の老化防止に役立つ
横船型
「横船型」の第一の利点は、玄関のスペースが広く使えることです。「横船型」では玄関の壁ぎわで履物を脱いで履くことができます。壁面に身体を向けながらそのまま壁ぎわで履物が揃えられるのです。『タテの揃え方』では肩幅の半分がじゃまになって、壁から少し離れないと脱いだり履いたりする動作はやりにくいのです。

第二の利点は、腰を痛めている人にとってやさしいことです。ふつう、玄関では床より一段低い高さに履物が揃えられているために、「出船型」の履物を履くときは床上にある軸足のつま先に全体重をかけます。そして利き足のつま先から着地します。体重移動する距離が長く、姿勢のバランスは不安定になりがちです。

このとき「横船型」に揃えてあれば、身体をヨコ向きにして床の境目ぎりぎりまで軸足を持っていくことができます。つま先でなく軸足全体で身体を支えることができて、姿勢のバランスを取りやすく体重移動がスムーズに行えるのです。また履物を脱ぐときは、姿勢を低くして揃え直す必要がなく腰に負担をかけません。お年寄りにピッタリの揃え方です。

そして第三の利点は、脳の老化防止に役立つことです。履物を「横船型」に揃える場合、身体を一方向へ進める途中で、足のつま先の方向を90度変えて脱いだり履くためには瞬発的なタイミングが必要になります。普段あまり行わない行動を意識することで脳神経の未使用部分に刺激を与え、脳細胞が活性化するのです。

さあ、あなたも「横船型」の揃え方を試してみませんか。その前に、ちょっと気をつけてください。新方式の『ヨコの揃え方』を訪問先などで実行するときは、相手の人にあらかじめ伝えておく必要がありそうです。そうしないと、履物の向きを「出船型」に揃え直されてしまうかも知れません。




updated : January 1, 2003
released : July 22, 1996

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