食文化は食べる人が創るもの、いつもフランスへ行く度にそう感じていましたが、今回はその思いを一層強くした金沢旅行でした。
てら喜屋
確かにここは安くて旨い。魚屋さんの上にあるだけあって、特に魚介類は味、量ともに十分な上に、価格は結構安い。それだけではない。そのたたずまいがとっても金沢。犀川べりに建つ木造三階建て。古い窓ガラス越しに古都を一望する眺めはちょっとしたもの。ただし、昔、屋台で見かけたアルミ製の澗付け器ごと出てくる日本酒をコップ酒なので調子に乗って飲みすぎたら頭が痛くなった。日本酒に弱い人は要注意。
近江町市場
フランスのマルシェと相通じるものがある。当然金沢にだって大手スーパーもコンビニもあるのだが、それでも地元の人もこれだけの人数がわざわざここまで今夜のおかずの素材を買いに来ている。近所のスーパーで加工済み食材や冷凍食品を買ってくればどんなに楽だろう。フランス人もスーパーですでに切り身になってプラスチックトレイに入った魚で済まさずに、マルシェの魚屋さんまで買いに行く人が今だにたくさんいる。一方、東京にもかつては住宅街のそこここに「市場(いちば)」があり、そこには客の注文に応じて魚を捌く威勢のいい魚屋さんがいた。しかし東京の人々はおいしさよりもプラスチックトレイを選択した。
で、市場内の「近江町食堂」の薪で炊いたかまどのご飯も良かったが、それよりもその横の「刺身屋」の方がコストパフォーマンスが良かったように思う。こちらは夜も8時までやっていて、酒の魚のメニューも豊富。さらに今回は行かなかったが、市場内の「廻る元禄寿司」は同じチェーン店でも東京などのほかの店とは全くの別ものと考えたほうが良いとか。すなわち東京のチェーン店は「安いけどそれなりにおいしくない」だけど、ここは「安くてもおいしい」だそう。
だいだい寿司 (片町2丁目犀川寄り)
寿司屋というよりも飲み屋。寿司以外のメニューも充実している。結構いい素材を手をかけて調理している。一通り食べて飲んで1万1千円は内容からして、東京と比べれば十分に安いといえる。「杯を選んでください」が良かった。
常 (片町1丁目一番館4階)
和服のママが一人でやっている一見ありふれたスタンドバーだが、古都の夜をとにかく静かに過ごしたい人にお勧め。何がすごいといって、店に入ったとき、すでに地元の人らしき3人組の先客がいて、歌を歌うのおまえが歌えだの、大いに盛り上がっていたのだが、一見の客である私が店に入ったとたん、ほかのお客さんに迷惑、うちはカラオケは置かない主義、歌いたきゃよそへ行きな、といってさっさと追い出してしまった。そのあとはもの静かな常連の客が来ただけで、静かに杯を傾けることができた。値段は表示されていないが、一品千円弱のもよう。そんなに高くない。