街道へ
街道の先は、
逃げ水の中から立ち上がる街。
蛤のため息。
砂の作り物。
ガジュマロの木陰で、
女が立っている。
意識と意識の間からこぼれ落ちていく、
形のない記憶のサラサラ。
輪郭が溶けていくような心細さ。