迷宮宮
回廊に影がちらばっている。
途方もない時間を歩いてきた者たちの影だ。
本来の目的をなくし、
衝動もかすれ、ただ佇んでいるうち、
そのまま影となってこびりついてしまったのだ。
見下ろす自分の足元も、
どうやら輪郭があやしくなってきたようだ。
影だらけの迷宮の、とても静かな午後。
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