その家には
そこには、たくさんのビンがあった。
壁のたなというたな、
床のあちこちに、
ベットの下も、机の上も、
窓辺にも。
深海のような色、
かがやく海の浅瀬、
ムラサキツユクサにおりたつゆ、
彼方の彗星のあわい光、
幻の色、夢の色。
そのどれもが、
女の所有する世界だった。