白髪の男が乗りこみ、 別の影がいくつか降りてきた。 ホームにはかすかに バラの香りの風が吹いていた。
列車の姿をまともに見た者はいない。 列車には窓がなく、 光を吸いこむ塗料で 全身が包まれていた。
少年があの横顔をして 路線図を手渡すと 闇に消えた。