無限円軌道
バーが街を半周する時刻。
黒い列車がバーの下で停車した。

白髪の男が乗りこみ、
別の影がいくつか降りてきた。
ホームにはかすかに
バラの香りの風が吹いていた。

列車の姿をまともに見た者はいない。
列車には窓がなく、
光を吸いこむ塗料で
全身が包まれていた。

少年があの横顔をして
路線図を手渡すと
闇に消えた。

 

路線図