署名5

ひきつづきの客が
エントランスから入ってきた。
フロント係は台帳を広げた。

「ご署名を・・・」

男の体は
刺青でおおわれていた。
男はそでをめくり、
呪文めいた文様を
むしり取ると、
かまわず台帳にのせた。

フロント係は辛抱強く待った。

「あのお名前は・・・・」

「これがおれの名だ」
 
署名6