手紙

 

少女の文字が読める。

天気と植木と夕べ見た夢について、

短い言葉で書かれている。

最後の方は文字が倒立して、

遠い国の古代文様のように見える。

少女は比岸にふたをして、

逆さまの世界へすべりこんだのだろう。

この家に少女の姿は見えないが、

この家のどこででも少女はみつかる。

 

sortie