今週のフリートーク(97年6月4週)




空馬

先週の競馬は落馬が多かったように思う、いや実際多かったのではないだろうか。
日曜の鳴尾記念のケリソンもそうだったが、落馬があると馬が元気な限り集団に取り付いてまた走り出す。この時点で競争中止とみなされ途端に馬は邪魔物扱いになる。でも馬は騎手がいなくなって軽いものだから多くは先行争いに取り付いてレースを邪魔しまくる。しまいには直線スパートして勝ち馬より先着してしまうケースもしばしばある。何せ背負うものがないからといったらそれまでだが、結構な勝負根性を持ってるといえよう。
しかし競走馬の哀れな宿命なのだろうか。騎手が落ちて故障もしてないのに走るのをやめた馬は見たことがない。障害戦でも騎手無しできちんと障害を飛んでいたほどだ。
一度見てみたいのがレース中に1度馬から落ちた騎手が乗り直してゴールしてしまうシーンだ。というのもレース中の馬への再騎乗は認められているからだ。かつて障害レースで1度騎手が落ちた馬がまた騎手のところで戻ってきたので再び乗り直して入着したことがあるという。だが見てみたいのは馬が偶然元の場所に戻ってきたようなことではなく、騎手が落ちたならばその場で止まって騎手が乗るのを待つような賢い馬を見てみたい。でもわざわざ騎手を乗せるのは大袈裟にしても騎手が落ちたらもう走る必要はないとばかりに走るのをやめてしまう馬がいてもいいような気がするのだが。
騎手が乗っていなくてはいくら走ってもだめだとわかってる馬は見た事ないが、ゴールを過ぎればもう走る必要はないとわかっている馬も意外と多くないように思う。
印象的だったのは昨年の暮れ有馬記念が行われた日の中山競馬場でハッピーエンドカップという1200mのダート戦があった。そこに出ていたスリースポットという馬は人気で的場騎手を背に直線一気に追い込んで勝った。するとゴールを過ぎたところで1コーナーにもかからないうちにUターンして帰っていくではないか。私のやるべき仕事は終わったとでもいいたげな様にみえた。この馬は相当に賢いと思う。
しかしあまり賢すぎると怠ける事をおぼえてうまく行かない事もあるのかもしれない。結局は速く走った馬が優れた馬という事に落ち着くのだ。


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