「バレット・モンク」について
I:インタビュアー ,C:チョウ・ユンファ


I:この話は師匠と弟子の運命的な出会いのお話でしたが、あなたはこのような運命的なまたは生きる上で影響をうけた出会いの経験はありますか?
C:私は母から多くを学んだ。彼女は自らの体験を元に私を導いてくれた。彼女は本当にすばらしい女性であり、まだ幼かった私に人間とは、人生が何たるかを教えてくれた。母に教わったことは多岐に渡る。まず最初は歩き方だった、人としてあるべき姿も教えられた。周囲の人たちとの接し方や礼儀の大切さなども教わりどんな苦しい状況に置かれても前向きでいるよう言われた。私たちは幼い頃非常に貧しい農村に住んでいた。私たち家族は農家だったんだ。毎日みんなで牛を使って畑に出て農作業に精を出した。ニワトリや豚も飼っていたね。つまり 幼い私を教育してくれたのは、農村での生活そのものだった。改めて考えてみると私の母はとても賢い女性だった。まじめに よく働いたし文句を言ったことは1度もないし嫌なことも言わないし悪口も決して言わなかった。とても楽観的で明るい人だったんだ。仕事には本当にまじめに取り組んでいた。私はそんな母を見て育ち母は私の全てだった。今でも母と毎日 話すし学ぶことも多い。もう83歳だがとても元気でやっている。誰の手も借りずに1人で生活している。毎日 市場に行き週に3回は麻雀を楽しんでいる。非常に健康だし体も丈夫だ。母に勝る人はいないね。
I:人生のモットーを教えてください。
C:母だろうね。
I:格言のようなものはありますか?
C:世界のすばらしい人物たちやリーダーから学ぶことは多い。物語や歴史上の人物からも実在の人物からも影響を受けた。今でも色々な発見がある。
I:今回は22歳という若手の監督でしたが、彼から何か刺激を受けたこととかありますでしょうか?
C:彼はいい監督だし若くて勢いもある。1つ 気に入らない点は私を限界ギリギリまで追い詰めること。彼は全てが最高の状態でないと気が済まないんだ。共演のショーン・W・スコットはハリウッドの若手で元気一杯。彼がいたから私にも走る場面やケンカの場面が多かった。彼はエネルギーの塊だ。ワンカット終わるとすぐに、「次に行けますか?」と聞かれ、いつも「少し休ませろ」と答えた。監督のポール・ハンターも非常にパワフルな人物ダイアローグだろうとアクションの場面だろうと常に全力をかけて取り組んでいく。全員を限界まで追い詰めていくんだ。だから本当にいい監督だと思うが、私は好きじゃないね(笑)。
I:あなたが俳優になったのは友人の勧めからだとのことですが、自分自身が俳優になりたいと思い始めたのはいつのことですか?
C:私は1年間テレビに出て訓練を積んでいたが、深くは考えなかったね。すぐに3年間の出演契約を結んだ。1974年ぐらいから1986年まで14年ほどテレビの仕事をした。でも特に意識したことはない役者だって他の仕事と同じだよ。私はそれまでの仕事だったセールスマンを辞めて新しい仕事として役者を始めただけ、どうせ働くなら楽しい仕事の方がいい。
I:それでは演技をしていて感じる至福の時はありますでしょうか?
C:私が演技をしていて最も楽しいと思うのはセットで相手役の俳優と向かい合っている時だね。私は現場の雰囲気が好きなんだ。何千という人に囲まれてもいい。何百人に囲まれてもいいカメラの前には私たちだけの空間が存在する。それはクローズアップでもロングショットでも変わらない。あの静かな瞬間が好きだ。例え長いセリフを言う場面でも非常にいい気分になれる。感情的な場面でも同じだ。現場で私はすでに役に入り込んでいるんだ。俳優という仕事の楽しさはカメラを前にして立つこと。もちろんカメラは回った状態だ。どんな状況であろうとその瞬間は私のもの「カット」と言われれば現実に戻るが、それまでは自分が状況を支配しコントロールできる。自分の判断でセリフを言い自分の判断で感情を表現し、観客に訴えかける。監督の「カット」の声で普通の状態に、その後は大勢が寄って来て色々なことを聞いてきて、たくさんの情報が入ってくる。でも再びカメラが回ると私が全てを支配できる。それが本当に楽しいんだ。
I:日本にはもう何度もいらっしゃってると思いますが、来日時に楽しみにしていることを教えてください。
C:いつも日本に来ている時はホテルに閉じ込められて外に出してもらえない。でもインタビューなどの仕事の後はラーメン屋や他の都市に連れて行ってもらったりする。私は札幌も好きだし京都などの静かな街で過ごす時間を楽しみにしている。買い物などで街で過ごすのは嫌いだ。香港と東京はよく似ていると思う。とても忙しいし人や車が多い。私は仕事で大勢と接している。だからカメラが止まったら人も高層ビルも公害も何もない所に行きたい。海や山などの静かな場所でのんびり過ごしたいんだ。 都会の生活はあまり好きではない。香港の小さな島から来てるからかもね。美しい景色が見渡せる静かな田舎の生活が好きなんだ。
I:ラーメン屋が好きなんですね?
C:そうだ。特に九州ラーメン、チャーシューラーメンが好きだ。最高だよ!札幌ラーメンもいいね。
I:(笑)
I:ありがとうございました。では最後に、カメラに向かってWOWOWの視聴者にメッセージをお願いします。
C:WOWOW視聴者の皆さん。チョウ・ユンファです。コンニチハ