2003年11月5日渋谷・セルリアンタワー東京ホテルにて
質疑応答が始まると、自ら「ハイ、ドウゾ〜」と日本語で質問者を指名、笑いの絶えない会見になった。

チョウ・ユンファ(CY)「皆さん、こんにちは。今日はこんなに大勢集まって頂き、感謝しています。またこの場をお借りして、配給の東芝エンタテインメントさんにもお礼を申し上げます」


今回は役作りのために坊主頭にされましたが、抵抗はありましたか?

CY「私は短い髪が大好きなんです。ドライヤーしなくていいですから(笑)。他に役作りで何かしたかと言えば、何もしていません。現場に行けば監督が色々と指示をくれますから、私はそれに従うだけです」

今回はアクション映画でしたが、以前は『アンナと王様』のようなメロドラマ風の作品にも出演されています。ジェット・リーさんやジャッキー・チェンさんなど、アジアからハリウッドに進出した俳優はアクションをメインに活躍していますが、今後ユンファさんご自身はどのような展望をお持ちなのでしょうか?
CY「現在のところ、アジア系の俳優にとってハリウッドで仕事をする場は非常に限られています。以前はブルース・リーやジョン・ローンといった先輩がいらして、『ラスト・エンペラー』という素晴らしい作品がありました。ですがそうしたチャンスは、なかなかないわけです。我々がハリウッドに行けば、アクションという分野から離れることは難しいのです。送られてくる脚本を読んで出演作を決めますが、自分の演技をじっくり見せられるようなドラマにはなかなか出会えません。そういう点では、私にも不安もあります。ですから基本的にはアクションをやりながら、ドラマや文芸作品にも出る機会を待っています」


CY「皆さん、恥ずかしがらないで何でも質問して下さい。映画のことばかりじゃなくて、プライベートに関する質問はありませんか(会場笑)」


ではプライベートな質問です。お気に入りのラーメンのお店を教えて下さい。

CY「ここから近いんですが、あの原宿駅のそばの…、そうそう『じゃんがら』(会場笑)」


近頃の香港映画は元気がないので、ぜひまたユンファさんに香港映画に出演してもらって、盛り上げて欲しいのですが…。

CY「香港映画にも出たいという気持ちはあります。いい脚本があれば、どこの国の映画でも出るつもりです。ところであなたは、どうして香港映画に元気がないと思われるのですか?」


逆に質問された記者・「ここ10年くらい毎年香港に行ってますが、ユンファさんがご活躍されていた頃と比べ、友人に紹介したいと思える作品が減っています。それがとても淋しいんです」

CY「では、あなたに私の香港の自宅の電話番号をお教えしますので、今度香港にいらした時に電話を下さい。それで少しは淋しくなくなるでしょう(会場笑)」

写真を撮るのがご趣味だそうですが、撮られる側から撮る側に回るというのはどんな気持ちでしょう?

CY「私は人物の写真は撮りません。人物を撮るのは、本当に難しいからです。人間はひとりひとり表情が異なりますし、そうした微妙な部分をキャッチするには、私は未熟なのです。ですから、水や石、空、雲といった静物を撮っています。古いカメラを好んで使いるのですが、これらの器材は非常に重いので、撮影に行くのも一苦労です。セッティングしても一枚も撮れない場合もありますね」


ハリウッドの映画作りは、香港での映画作りとはどの辺りに違いがありますか?
CY「基本的には同じ作業ですが、一番の違いといえば、撮影のスケジュールでしょう。香港では撮影のスピードが非常に早く、また撮影時間も長いんです。1ヶ月で1本の作品を仕上げてしまうわけです。逆にハリウッドの場合は、準備期間にゆっくり時間をかけます。完成するまで3ヶ月ぐらいはかかるでしょう。でも映画において、スピードの問題はさして重要ではありません。肝心なことは、その作品が面白いのかどうかということです。私はまだハリウッドで4本の作品にしか出演しておりません。これからまだ道のりは長いと思っていますし、英語の勉強をはじめ、学ぶことはたくさんあります」