事務室第11室



OVA版「ジャイアントロボ」のその後(1997.07.09)

だいさくくん

 毎回燃えまくりの濃ゆいドラマを展開しながら、1995年6月発売のEpisode6を最後に、ラスト1エピソードを残したまま資金難(と巷では言われている)を理由に発売がストップしてしまったOVA版ジャイアントロボ。一部では「アレだけ風呂敷を広げまくったまま未完では、某EVA以上の凄まじい展開ではないか?」との懸念の声もあがり、制作がストップしている間に、総監督の今川泰宏氏は「Gガンダム」は作るは、「ハーメルンのバイオリン弾き」のシリーズ構成は担当するはで「もうGロボの事なんか忘れちゃったのか?」というニンともカンともな状態に陥っていましたが、どうやら制作を再開している模様です。

 バンダイビジュアルの販促パンフによると1997年5月26日現在で全1,023カット中、原画は100%完了。作監は約90%、動画は約67%完了。既にアフレコも完了済との事。気になる発売ですが97年末か98年初旬の予定だそうであります。いやぁ良かった!結末が気になってたキミ、もうちょっとの辛抱だゾ!

 ああ、こうなるとやはり不遇な制作中断シリーズ「おいら宇宙の探鉱夫」(コレも濃ゆい傑作!)も何とか再開してもらいたいなぁ。


遊星より愛をこめて(1997.07.15)

 こちらにお越しの皆さんも、ひょっとするとどこかでこの話はお聞きになった事があるかも知れませんね。「ウルトラセブン」の第12話、現在欠番となっている「遊星より愛をこめて」(1967.12.17放送 脚本:佐々木守 特殊技術:大木淳 監督:実相寺昭雄)の事。一説によると、裏ルートではかなり昔にコピーされた不鮮明なビデオテープが6桁の金額で取り引きされているとも言われる、いわくつきの作品です。ムック等に中途半端な露出の仕方をしている為に、逆に興味を煽ってしまっている様で、かなり定期的にこの話って再燃してくるんですが、どうも最近の状況がその周期に当っている様で、再公開を求める動きや資料発掘の動き等、再びあちこちで12話に関する動きを見ます。

 一応御存知ない方に概略だけ述べておくと、12話は核兵器(スペリウム爆弾)によって血液障害に陥ったスペル星人が、腕時計に似せた装置を使って地球人(特に子供)の血液(白血球)を奪おうとする内容です。しかし、1970年の「ウルトラセブン」再放送時点に刊行されていた怪獣図鑑等で、このエピソードに登場する宇宙人、スペル星人の別名が、原子爆弾による放射能被害を受けた方々を連想させる様なものとして掲載されていた事から、星人の図版を掲載していた出版社、TBS、円谷プロが援護団体の方々から抗議を受ける事になったというものです。最終的に円谷プロと出版社が、このフィルムの公開と、星人の図版、別称等の掲載を今後一切行わないという事で謝罪をし、12話は欠番となりました。

 ただこの問題については、1979年頃TBS関東ローカルで放送されていた子供向け情報番組「夕焼けロンちゃん」が、その枠内で放送していた「ウルトラファイト」で、誤ってこれも欠番となっていた「遊星の悪魔スペル星人」を放送してしまい、円谷プロ、TBSが再度抗議を受けたという後日談があります。ちなみにこの放送は私も偶然観ました。当時は既にムック等で12話欠番の情報は伝わっていましたので、非常に驚いた記憶があります(夕暮れの原野で行われるセブンと星人の対決シーンは、実相寺作品らしい簡略化、様式化された映像でした。早く言っちゃうと良く見えない(いやはや…)。ただセブンでもこの回でしか見られない、ホーク1号の撃つ光線の軌跡が画面上に焼き付いたまま残る、という特異な演出は印象的ですが)。

 その後も何度か12話にまつわる文章は出版物に掲載されたりされた様ですが、宝島社から刊行された「怪獣学入門」初版に掲載されていた記事が、重版以降他の記事に差し替えられる等、この問題の根深さ、微妙さを象徴する出来事も起きています。

 個人的な感想ですが12話に関しては、クレームがついたという事実がある以上、封印やむなしという感覚でいます。やはりスペル星人のあのデザイン(白い肌に火傷の様な斑紋)と、直接的な別称では「怪獣扱いするな!」という声が出ても仕方がない処でしょう、非常に残念ではありますが。内容的には決して被害者の方々を弄ぶ様なストーリーではないと思うのですが、当事者の方々から見れば、題材として扱われるだけでも不快であるとか、そっとしておいて欲しいという様な感情は、他人事ながら理解できる気もします。一部では円谷プロは既に12話のネガをジャンクしてしまったという噂も流れていますが、できればネガだけは保管しておいて欲しいですね。いつか誤解が解ける日の来る事を信じて。

1997.07.22補足:
 第12話が、一体どんなストーリーだったのか知りたい方には、第12話のシナリオが掲載された書籍がありますのでご紹介しておきます。1995年に三一書房から刊行された、佐々木守氏のシナリオ集『故郷は地球』がそれです。図書館のシナリオ関係を集めたコーナーには、大抵あると思いますので、現在でも比較的簡単に読むことが出来ますが、これを読むとシナリオ段階のスペル星人が、実はカブト虫の様な昆虫型宇宙人であった事が分かります。このままの姿で映像化されていれば、あるいは…とも思えますが、今となっては仕方がありません。一応、この本には実相寺監督の文章や、元TBSプロデューサー、橋本洋二氏と佐々木氏の対談も掲載されていますが、12話に関する言及は殆どありません。


ゴジラVSスペースゴジラ(1997.07.20)


 こちらでは昨日の夜、テレビで放送してたんで、今頃になって初めて観ました(いやはや…)。いやぁ、話には聞いてましたが、動いてるベビーゴジラ、なんか妙にカワイイですね(いやはや…)。ドラッドの1億倍位カワイイなぁ(いやはや…)。でもあの世界に生を受けるには、やっぱり余りにデザインラインが異質で、観ててとっても勿体ない気がしましたね。いっその事、完全子供向きであんなデザインのアンギラス君かなんかとコンビ組ませて、「にこにこぷん」みたいなほのぼのなストーリーにすれば、凄く楽しかったのにぃ。かなり中途半端な扱いで、もう「もったいないオバケ」が出そうでした(いやはや…)。

 柄本さんは、なんか合ってましたね。仲々いいカンジであります。

 特撮は、ああ川北監督は「やっぱりミニチュアへの愛がないんだ」って見せつけられて結構ガッカリ。怪獣バトルと合成には力が注がれてるのに、格納庫から発進するモゲラは重量感を全然感じさせずにスイスイ変形して反動もなくヒョイと飛び上がるし、プールでのシーンは、どうみてもプールで撮った様にしか見えないし…円谷英二時代の撮影技術が、こうも完全に捨て去られてしまっているとは…これが正統な継承者たる、東宝特殊技術陣による仕事というのはちょっとツラいなぁ…ミニチュアに関しては、非常におざなりな感じが強かったですね。今年の「モスラ2」は今特撮も撮影真っ最中でしょうけど、もうちょっと愛を見せて欲しいですね。東宝特撮映画に今、もっとも必要なのはストーリーよりも何よりも「特撮への愛」です!…なんてね(いやはや…)。


テープ・ディスペンサー(1997.07.22)

photo and digital effect: ohshima

 店主が愛用する日用品。これは六本木、AXISビルの中にあるリビング・モティーフという生活雑貨店で買ったテープ・ディスペンサー。半透明のプラスティック製で、使う時はテープホルダーをスタンドから外して使います。

 正直にいってしまうと、多分使い勝手は従来のディスペンサーの方がいいんでしょうが、まぁ物事はすべからく気分が大事ですからね(いやはや…)。ちょっとメカメカしたスタイルと、使わない時でも、それなりにサマになるデザインがイカしてます。

 サイズは使うテープの種類に合わせて大小2種類あったんですが、店主は小サイズの方を使ってます。テープホルダーはテープの軸受部分に磁石がセットされていて、テープを交換する時には左右に真っ二つになるという、仲々大胆な構造です。

 デザインはどこか外国のデザイナーの方が担当されてた様ですが…忘れちゃいました(いやはや…)。


時をかける少女(1997.07.23)

 いやぁ久しぶりに観ちゃいました、大林宣彦版「時をかける少女」。大林映画って、どの作品も高校映研の作品みたいな無邪気な、どこか郷愁めいた雰囲気があって、独特なんですけど、それだけにこういう淡い初恋系のストーリーってピッタリですね。例によって、折角のいい雰囲気を思いきりぶち壊す、無邪気な合成もバリバリですけど(いやはや…)。多分、この辺りのアクの強さは好き嫌いの別れる処だと思いますが。

 個人的にはこの映画、エンディングの楽しいスタッフロールのシーン(映画の各場面をバックに、知世チャンがいきなり主題歌を歌っちゃうというアレですね)が、一番好きだったんで、久しぶりにこのシーンがカットされなかったのはなんかとっても嬉しかったですねぇ。

 ちなみに深町家のお婆さんを演じてた入江たか子さんは、その昔大映かどっかで化け猫役として、怪談映画のスターだった方です。芳山家のお母さん役、入江若葉さんは実の娘さんです。

 そういえば、この映画で、後日談として10年後の世界が描かれてるんですが、1994年なんですよね。なんか時の流れの早さを感じちゃって、感慨深いものがありましたね。