事務室第15室


しのびよる増築カイジュウの魔手(1997.10.25)

 セカンド・プロバイダーと契約しました。そろそろこちらのプロバイダのディスク容量を使いきりそうだってのもあるんですが、ホントはお手軽に高速通信がしたくてX-JACK付きの56Kカードモデムを奮発しちゃったから(いやはや…)。

 相変わらずなんとも気まぐれな店主に、お店をガードするエンジェルも大あわて。何しろ宿敵増築カイジュウが大挙して押し寄せそうな気配なんであります…「モー!てんちょー!!なんてコトするんですかぁ!そんなコトしたらアタシ、あっちもこっちもモぉ大変なんですからぁ!」などとアセってます。

 とりあえず様子をみながら徐々に相互乗り入れして行こうかな?などと考えております。 


 最近の愉しみ。PB1400のCD-ROMドライブは音楽CD再生用としても大活躍。ポコポコとエディタを打ちながら、ヘッドホンでBGMを聞けるのはCD-ROM内蔵機種ならではの悦楽と再認識してます。

 CD-ROMドライブの音楽CD再生は、倍速ドライブの頃の音質の悪さに、全然期待してなかったんですが、凄くちゃんとした音が出せるんでビックリ。外部出力するとちゃんとステレオになるのも嬉しい処。Apple謹製のCD再生ソフトも多機能で使えます。


隠れ家(1997.11.07)

photo:ohshima

 人間、どっかに隠れ家を求める習性があるらしい。かくいう店主もあちこちに他の人には秘密の場所を作っている。そういうのは、なんだかまるで野性動物の様だ。それはある時は旨いコーヒーのある大きな木製テーブルの喫茶店だったり、しゃれたランチのある料理店だったり、夜の特急電車のシートだったり、ラジコン飛行機が気持ちよく飛ぶ河原の堤防だったりする。

 別に人の目に触れないばかりが、店主の隠れ家ではない。要は自分が心地よいと思える場所、そんな場所が店主の隠れ家の目録に加えられるのだ。

 今日もまたひとつ、目録に見出しが増えた。素敵な陶器のカップに、一杯毎銀のポットでコーヒーを注いでくれる店。一緒に頼んだチョコレートケーキもまた美味なり。


Newton SPIRITS (1997.11.13)

 店主も愛用する「メカの相棒」Newton。その中核をなすNewtonテクノロジーとは何か?を、開発にまつわるエピソードと共に分かりやすく紹介した一冊。所有者にしか分からない、謎に包まれたNewtonの実態に迫ります(いやはや…)。ハデハデ表紙の「Newton徹底活用術!」とか「○○でも分かるNewton!」とかじゃない辺りが「らしい」です(いやはや…)。

 Newtonはメモリの限り、フレキシブルに情報を溜め込む電子のメモです。スケジュール管理や住所録、果てはトホホの名刺管理をしたいだけなら、迷わず電子手帳を買いなさい。定形化された情報を重要視する方にNewtonは不要です。不定型なアイディアや情報を書き留め、整理し、更に新しいアイディアや行動に結び付ける…持主をアシストするプライベートコンピューター…「ちょっとだけ未来」、それがNewtonの魅力です。

NewtonSPIRITS
プライベートコンピューターの誕生
大谷和利・中川裕一著 NTT出版 刊
\2,200(税別)


宿題ひきうけ株式会社(1997.11.30)


photo: ohshima

 今朝の新聞に、古田足日【ふるた・たるひ】氏の傑作童話「宿題ひきうけ株式会社」が、内容の問題から一部リライトされ、「新版」として出版されているという記事が出ていました。やっぱり小学生の頃、この童話を読んで共感した店主としては、現在でもこの作品が読みつがれているという事に嬉しさを覚える反面、現在出版されている作品が、もはや自分が読んだ作品とは違うのだという事実に、ちょっと複雑な心境でした。

 リライトの理由は、作品の内容そのものという訳ではなく、「作品中に引用されている童話の内容が、アイヌ民族に対して誤解を与える様な描写を含んでいるため」との事。出版後30年を経た自作に筆を入れ、事態に正面から対処した古田氏の、真摯な姿勢には確かに頭が下がるのですが、過敏な「言葉狩り」にも少々うんざり。結構不謹慎な発言かも知れないですが、作品の本意はそんな処にはないのです。そんな事は作品を読んでさえいれば、子供達にもちゃんと伝わる事だと思うのですが…

古田足日「宿題ひきうけ株式会社(1966理論社刊 1996年より新版)」


レンズ道楽(1997.12.07)


photo: ohshima

 写真好きの店主、普段使う店主の35mmカメラは、気がつくとみんなCarlZeiss【カールツァイス: ドイツの光学器機メーカー】のレンズになっております。最近、SONYのリミテッド版HandyCamにも搭載されているこのメーカーのレンズ、一体何でこんなに特別扱いされるのか不審に思われる方もおられるでしょう。その秘密はこのメーカーのレンズが持つ「色」にあります。

 一般に国産メーカーのレンズは解像度を優先し、シャープに写る事を第一にチューンされてるそうなんですが、ヨーロッパのレンズは解像度よりも、色の再現性、その美しさに重点をおいて作られるのだとか…中でもCarlZeissレンズの持つ「色」の特性は素晴らしく、瑞々しい気品溢れる画面を撮影者に与えてくれるのであります。以前、16mmシネカメラでこの国産レンズとヨーロッパレンズの方向性の違いを、身をもって体験した店主(このお話はまた、別の機会に…)、表現する道具としてのカメラに、このCarlZeissのレンズが欲しくなったのでありました(もっとも、現在のCarlZeissは、民生用は一部の超広角レンズを除くと、日本の京セラが製造を担当しているのですが…)。

 そういえば、この日本とヨーロッパのレンズの方向性ですが、映画版「スタートレック(1980)」の特撮をロバート・エイブルから引き継いだ、かのダグラス・トランブルが、総てをコンピュータライズしたシステムで特撮を撮ろうとしたエイブルのやり方に対して、「特殊効果のショットというものは結局、特定の美的魅力をひき出すために、精密なライティングの下で適切な焦点距離のレンズを通して、実際に模型を見ながらの、非常に複雑な審美的判断の結果なのだ」とコメント(注)していたのと、ある種、共通点があるかも知れません。ちょっと強引ですが(いやはや…)。

(注)日本版シネフェックス第4号(1984/バンダイ刊)より