昨日、大井武蔵野館で「獣人雪男」を観てきました。噂には色々聞いていたんですが、実際にみるのは初めての作品だったんで、ちょっとワクワクしながら観てました。
で、印象ですが、かなり地味ですけどいい雰囲気ですコレ。シチュエーションとかは全然違うんですけど、そこはかとなく「ウルトラQ」のワンエピソードみたいな雰囲気が漂ってます。山奥の隠れ部落の描写なんかは、まさにこの頃の日本映画ならではの説得力。特撮は技法の選び方に疑問が残る部分が数カ所(雪男が動物ブローカーの大場を担ぎ上げるシーンのトラベリングマットは違和感バリバリ。あれは絶対ピアノ線で吊った方がイイ)ありましたが、全体的にはそんなに稚拙な雰囲気ではなく、モノクロってコトもあって、自然に観てられました。やっぱりこの頃の日本映画の総合力って凄いですね。最近の日本の商業映画観てると、何となく頼りない、自主映画みたいな雰囲気があって、がっかりさせられる事が多いんですが、この頃の作品ってプロの仕事なんですよ、どこをとっても。
雪男も仲々リアルな造形。着ぐるみの出来は後年の東宝コングよりずっといいですね。なんでもマスクの粘土原型製作だけで半年かけたそうです。それに雪男の子供が登場するのも、この頃の東宝特撮としては異例ですね。
個人的には女優陣が良かったですね(いやはや…)。ワイルドな村娘、チカ(根岸明美)も良かったけど、ヒロイン武野道子役、河内桃子さんの貞淑な雰囲気がイチオシ。イラストみたいな格好で登山を楽しむ、いかにも良家のお嬢様って感じがピッタリなのだ。ヒロインの王道ってコトで、しっかり雪男にもさらわれてました(いやはや…)。
ただ、噂によると河内さんは「怪獣映画ばっかり出さされる」のがイヤで東宝やめちゃったそうなんで(いやはや…)、ちょっぴり複雑ですが。 |