事務室第6室


たのしい現代美術(1997.03.13)


 現代美術って聞くと、何となく難解で良く分からない抽象的なものを想像しがちだと思うんですが、中には仲々楽しい作品もあります。小さなアートスペースとか地方の美術館とか、探すといろんな作品に出会えます(それに、こういう処は写真撮影に関して比較的寛容なのもありがたいですね)。今回はそんな楽しい作品を2点ご紹介しましょう。



 まずは牛島達治氏の作品。真鍮やアルミ等の金属素材を多用した精巧な仕上りで、まさに機械仕掛けの驚異!って感じであります。一見しただけでは仕組が良く解らないかも知れませんが、メカニズム全体が無限運動を繰り返す様になってます。

1.リング状のレールの上を、砂を積んだ貨車が移動し、下のトロッコに順番に砂を積み込んで行きます。

2.トロッコは、リングの中心に向って突き出したレールの上を進み、先端で中央のすり鉢の中に砂を落します。

3.すり鉢が砂で一杯になると、鉢の下部の栓が開き、下に待機している別の貨車の中に砂が落ちます。貨車は左端の支柱まで移動すると、アームを伸ばして箱の中の砂を降ろします。

4.降ろされた砂は支柱の中のコンベアで頂上まで運び上げられ、再びレールの上の貨車に積み込まれます。

 この動きをゆっくりとしたリズムで延々と繰り返す訳ですが、これは観てて飽きないですね。かなり精巧な作品なんでメンテナンスが仲々大変みたいです。ちなみにここでの展示中も、何度か修理が入ってた模様です。



 次は吉田正人+いとう ともこ氏の作品。この方々の作品は、最近コンピューター雑誌の表紙になったりしてる様なんで、御覧になった方もいらっしゃるでしょう。アルミやステンレスを主材に造形されたロボット。メカはビデオデッキの部品が主になってるそうです。

 手前の棒の先端についたスイッチにタッチすると、スピーカーコーンの心臓をドキドキさせる愛らしいロボット君です。さすが本物の金属で作られてるだけあって、メタルの質感がたまりません。


2009/06/15 UPDATE! : 何と作者の吉田正人様からメールを頂きました!
ご自身のサイトを立ち上げたとの事で、素晴らしい作品の数々を美しい写真で存分に堪能できます!

o3 factory: http://www.k3.dion.ne.jp/~o3-f/

ぜひご訪問ください!

「獣人雪男」観ちゃった(1997.03.17)

 昨日、大井武蔵野館で「獣人雪男」を観てきました。噂には色々聞いていたんですが、実際にみるのは初めての作品だったんで、ちょっとワクワクしながら観てました。

 で、印象ですが、かなり地味ですけどいい雰囲気ですコレ。シチュエーションとかは全然違うんですけど、そこはかとなく「ウルトラQ」のワンエピソードみたいな雰囲気が漂ってます。山奥の隠れ部落の描写なんかは、まさにこの頃の日本映画ならではの説得力。特撮は技法の選び方に疑問が残る部分が数カ所(雪男が動物ブローカーの大場を担ぎ上げるシーンのトラベリングマットは違和感バリバリ。あれは絶対ピアノ線で吊った方がイイ)ありましたが、全体的にはそんなに稚拙な雰囲気ではなく、モノクロってコトもあって、自然に観てられました。やっぱりこの頃の日本映画の総合力って凄いですね。最近の日本の商業映画観てると、何となく頼りない、自主映画みたいな雰囲気があって、がっかりさせられる事が多いんですが、この頃の作品ってプロの仕事なんですよ、どこをとっても。

 雪男も仲々リアルな造形。着ぐるみの出来は後年の東宝コングよりずっといいですね。なんでもマスクの粘土原型製作だけで半年かけたそうです。それに雪男の子供が登場するのも、この頃の東宝特撮としては異例ですね。

 個人的には女優陣が良かったですね(いやはや…)。ワイルドな村娘、チカ(根岸明美)も良かったけど、ヒロイン武野道子役、河内桃子さんの貞淑な雰囲気がイチオシ。イラストみたいな格好で登山を楽しむ、いかにも良家のお嬢様って感じがピッタリなのだ。ヒロインの王道ってコトで、しっかり雪男にもさらわれてました(いやはや…)。

 ただ、噂によると河内さんは「怪獣映画ばっかり出さされる」のがイヤで東宝やめちゃったそうなんで(いやはや…)、ちょっぴり複雑ですが。