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とりあえず何か感じた事をパパッと書ける場所が欲しかったんで、こんなコーナーを作ってみました。ここは感覚的な文章中心で軽く行きたいなぁとか思ってます。


がんばれダイナ怪獣(1997.09.27)
 第4話まで観てきましたが「ダイナ」の世界にも徐々に慣れてきて、それなりに肩の力を抜いて楽しめる様になってきました。ちょっとコミックタッチの登場人物も、それなりの個性を主張し始めているみたいだし、徐々に世界が固まりつつあるみたいです。

 ただ、怪獣は今のところどうも低調な感が強くて残念ですね。どうも皆んな足が太い恐竜型ばかりでシルエットが殆ど一緒だし、全体のイメージにも冴えが見られません。画面観てると「やられ役」としての役割は果たしているんですが、結局個々の怪獣のキャラクターが埋没してしまって、観終った後に殆ど印象に残りません。

 初期話数のデザインを担当されている山口修氏は「ウルトラマン80」での渋い怪獣デザインが好きだっただけに、結構残念です。「80」の頃は基本ラインに「カッコよさ」の追及があって、ガビシェール、ゴラ、ガモスなんかは好きでしたね。ダイナの怪獣はデザインの傾向が偏り過ぎているのと、どことなくちょっとおざなりな匂いがあって、今のところあんまり思い込めません。

 美術監督兼務って事で、基本的に時間がないんでしょうが、怪獣は「番組の顔」ですからね、こちらもデザインのフロンティアを目指しましょう。


CG至上主義(1997.09.28)
 ネット上では殆どバッシング状態のダイナ・タイプチェンジシーンのCGですが、確かに実写特撮で登場人物(ダイナ)が突然CG化してしまうのは、殆ど「カイザー!インッ!!(注)」状態なワケで、違和感ありますね(いやはや…)。

 まぁ、CGで人型の物体を見栄えよく動かそうとすると、それなりに覚悟(設備・時間・資金等々)がいる訳ですけど、「ダイナ」なんかは、そのあたりの条件がそんなに良くない中、結構果敢にトライしててその姿勢には好感持てます。多少クオリティは低くても、後は熱意で補えばいいんです。勢いのある画面からは、必ず意志が伝わるのです。要は作り手が、自分達の観たい映像を作っているかどうかがポイントです。

 ただ、現在の処、「ダイナ」ではその辺の「伝わる意志」がいささか弱い様で残念です。多分今回のシリーズは制作発表での「CG予算を前作の3倍に!」のコメントが象徴する様に、CG描写がシリーズの目玉なんでしょう。でも、CGはあくまでも表現手段の一つです。適材適所を忘れ、どこにでも無理矢理一つの表現を押し込んでしまっては、その良さを発揮させる事はできません。ちょっと「CG至上主義」的な感じがして、気になる処です。

(注)分からない良い子は、どっかで円谷プロ制作のプロレス変身ヒーロードラマ、「プロレスの星アステカイザー」を観てね。毎回、クライマックスでアステカイザーはアニメの世界に「カイザー・イン!」してしまうのだ!


「ダイナ」の道(1997.10.11)
 どうも特撮ファンダムの評判はあまり芳しくない「ダイナ」ですが、個人的には初回の前後編を除くと、実は結構楽しんで観てたりするんであります、私は。

 …っとここまで書いた処で一つ懺悔を(いやはや…)。実は先週(10/4)放送の第5話、私録画失敗しました(いやはや…)。思いっきり「にゅうすのもり」の吉川アナウンサーを熱烈録画してしまったのだ!(いやはや…)先週このコーナーが静かだったのには、こんな恐ろしい理由が…そんな訳で、折角のケンちゃん脚本家デビュウ作も、丸山ダイナ怪獣の第1弾も、全部未見なのでありますが(トホホ…)。

 …脱線しました。再び話題を本筋に戻して…

 思えば前作の「ティガ」は、実質のメインライターであった小中氏のカラーを色濃く反映して、どっちかっていうと理論が勝ってたシリーズだと思う訳です。それにシリーズ当初、右田氏が蒔いた「神話」的な側面もあって、番組としての視聴者の主体はあくまでも幼児層でありながら、その中にほんのちょっと大人のファン層を刺激するスパイスが混入されてた。…まぁ、言うなれば「セブン」で言うところの『「大人の鑑賞にも耐える」という点については今後とも力を注ぎたい』ってスタンスですね(いやはや…)。その辺りが、久々のウルトラ復活に注目した、そういうファン層にうまく共感してもらえたって感じじゃないかと思う訳です。

 他方、今の「ダイナ」に関しては、登場人物の描写やエピソードの世界観からして、そういう「ティガ」では多少なりとも意識のあった「大人の視聴者を意識した視点」っていうのが(恐らくは意図的に)ボッコリ欠落してて、単刀直入なストーリー、深読みの余地のないシンプルな性格の登場人物達等々…良くも悪くもこの辺りの「ライト感覚」が、「ティガ」と「ダイナ」を比較した際に、こうした大人のファン層に物足りなさを感じさせてしまうのは、或る意味仕方のない事かも知れません。

 でも、それが全く悪い事なのか?って言えば、そんな事はないと思う訳です。特に、ここ何話かのエピソードを観てて感じるストレートな「ワクワク」感って、「ティガ」のエピソードではあんまり感じられなかった「ダイナ」独自の感覚だと思うんです。今回の第6話にしても、何より観てて楽しかったですからね。理性で抑制を利かせてた「ティガ」と比較しても、こういう直接的に視聴者にアピールしようっていう「ダイナ」のスタンスには、徐々に独自なカラーが出てきてると思います。随所に挿入されるCGも、第6話は綺麗なイメージが続出で、宇宙のスケール感なんか、今迄の日本特撮の宇宙のイメージを大きく超えてる出来だったと思いましたし。それに何より地球の綺麗だった事!(いやはや…)

 「ダイナ」の魅力って、やはり元気さでしょうか?それに今回は「ティガ」ではあまり試みられなかった、シチュエーションを活かした作劇にもチャレンジしようという意志が感じられて、その意味でも私は今後のエピソードをとっても楽しみにしています。反面、現在一番の不満はシリーズとしてのテーマというか、訴えたいものがかなり不明確な事。これが弱いと、シリーズ迷走しちゃいますんで、この辺はシリーズ構成の江藤氏にもぜひ頑張って頂きたい処です。


外見と中味(1997.10.19)
第7話「箱の中のともだち」(脚本:川上英幸 監督:村石宏實)

 結構手堅いお話でしたね、今回も。ゲストキャラクターの善悪が実は逆だったっていうのも、仲々オイシイ設定でしたしね。物事はすべからく外見だけで判断しちゃいけないよってコトで(いやはや…)。今回の話観てて私、昔の「宇宙船」に、米田仁士氏のイラストで、セブンとイカルス星人が戦ってるのを、子供達が「がんばれイカルス星人〜ッ!!」とか応援してるなんてのが載ってたのを思い出しました(いやはや…)。現実には外見と善悪は全然一致しませんよみたいな事で(いやはや…)。そういえば、これを究極まで利用したのが、かの「悪魔と天使の間に…(帰ってきたウルトラマン)」に登場するゼラン星人だった訳ですが(「A」のサイモン星人なんかもね)。ただ今回のエピソードだと子供の視点を意識しすぎてるのか、話のキレが今一歩だったのはちょっと物足りなかったですが。

 特撮もUFOのCGは特撮で撮った方が良かったと思うけど、全体には手堅い仕上り。ちょっと手慣れた印象もあるけどね(いやはや…)。ただ最近何となく気になっているのは戦闘シーンの撮り方が、どうも完全に旧来のテクニックに戻ってしまっている事。確かにCGによるイフェクトは多用して、見かけの派手さはアップしてますが、市街地での戦闘になると、突如ビル街の中心に出現する巨大な広場!「ティガ」ではこの辺りにも気が配られていたのに、ちょっと残念ですね。折角底上げしている撮影手法を退歩させてしまうのは勿体ないですよ(いやはや…)。

 中村ダイナはボディのストライプが、丁度腹部の膨らみを強調する様なラインになっててちょっとかわいそう(いやはや…)。ストロングタイプだと全然気にならないのにね。着ぐるみを新調する時には足回りのライン処理共々、身体のラインの位置は見直しかけた方が良さそうですね。

 今回のエピソードでの特撮の目玉っていうと、やっぱりギャビッシュの巨大化シーンかな?テレビシリーズのゲスト怪獣としては、かなり丁寧な描き方をしててびっくり。数カットしか登場しない中間形態は、じつは最終形態よりも好き(いやはや…)。最終形態は身体と頭部のバランスがちょっと崩れているみたいで残念でした。全体的なスタイリングとか、最近目立って明快になってきたカラーリングとかは、仲々良かったんですけど…顔面のディテールも意外に甘めでしたね。

 ところで非常に気になったのが次週予告。次回のエピソードですが、実はとっても重要なエピソードになるんじゃないかと思います。予告編観てるとコミカル系の怪獣とドタバタ系のエピソードなんですが、このエピソードの扱い方如何で「ダイナ」というシリーズが子供から大人まで楽しめるエンターテインメントを指向してるのか、お手軽な「えせ子供番組」を目指してるのか、制作側の考えを図れると思います。もしここで見るのも恥ずかしいストーリーが展開される様なら、今後ちょっとツラいかも知れませんね(いやはや…)。でもまぁ脚本が太田愛さんですから、多分大丈夫だとは思いますけど…っと言う訳で、これもまた「外見と中味」の問題ではあるんですが…


「ダイナ」ははたして「平成タロウ」か?(1997.10.26)
第8話「遥かなるバオーン」(脚本:太田 愛 監督:村石宏實)

 さてさて問題の第8話ですが、結構楽しんで観られました。エピソードとしての楽しさ、元気の良さは今迄のエピソードの中でも一歩抜きん出た仕上りだと思います。でも、このエピソードの路線は結構ギリギリのきわどいラインであった気もしますね。今回のエピソードは太田脚本の持ち味であるヒューマニズムに根底を支えられ、辛うじて「おちゃらけ」一歩手前で踏みとどまった感があります。このラインは脚本家を選ぶでしょうね。安易に作劇すると悲惨な結果を生む危険をはらんでます。

 今回、ダイナの戦いぶりは「やりすぎ」の感が強いです。ダイナはやっぱりヒーローですから、あくまでも正攻法で。しかしその「まじめさ」が端からみるとギャグになってるみたいな持って行き方の方が「らしい」気もします。今回の戦闘シーンを観てると「餅つきダイナ」もまんざら絵空事ではなさそうな(いやはや…)。

 今回のエピソードを観て、「ダイナ」の路線は根本の部分では「ウルトラマンタロウ」なんだって事が、段々明確になって来た気がします。「タロウ」の明るさ、元気良さってのはやっぱりヒーローに相応しいものですからね。ただ個人的な偏見を言わせてもらえば、「タロウ」はSFを捨て「怪奇」や「ファンタジー」に走ってしまってて、「ウルトラ」として見た時に、根本の部分が変異しちゃってると思うんです(まぁ、それを全否定するつもりはないですが)。やっぱり「ウルトラ」は基本的にSFなんだって事は忘れずにいて欲しい気がします。まぁシリーズとしての「ダイナ」が「タロウ」の路線を目指すのも、これはこれで一つの方向性だと思います。とりあえず根本の部分でSF的視点を忘れずにいてくれれば、これをとやかく言うつもりはありません。なにより楽しめるシリーズってのが第1ですからね。


ばお〜ん


がんばれ長谷川脚本!(1997.11.02)
第9話「二千匹の襲撃」(脚本:長谷川圭一 監督:石井てるよし) 

 久々の長谷川脚本。怪獣も一杯登場して、画面的には仲々豪華だったんですけど、内容的には何だかスカスカな印象が強くて残念でした。全体にすんなり流しちゃったっていうか…石井監督の持ち味とも言える、サラッとした演出も、その印象を一層強める結果になってしまってるのは、何とも皮肉。今回のストーリーなんかもエピソードの素材としては、話の組立て方や観せ方次第では緊迫感を盛り上げられそうな題材だっただけに、料理の仕方はちょっと勿体ない感じがしました。

 長谷川脚本って、デビュー作の「ティガ」から今迄のエピソードを見てくると、細部に凝ったライトホラーっぽいエピソードでその真価を発揮してる気がしますが、「ダイナ」はシリーズ自体がまるっきり正反対の方向性を見せていて、どうも長谷川脚本、どこか生彩がないというのが今のところの印象ですね。他の脚本陣の作品と比較してもテンションは決して高くないのです。これは元気の良さが身上の「ダイナ」というシリーズに於ては結構イタいです。確かに得意技を封じられている感も強くて、可愛そうな気もしますが、シリーズに沿ったエピソードを作りながら、なお且つその中にライターとしての個性を込めて行かなきゃならないのが、ライターの宿命ですからね。今後の奮起を期待したいところです。

 今回は特撮の佐川監督の演出がちょっと面白かったです。特に初回のダイナとギアクーダの戦闘シーンなんか、細かくカッティングが入ってて、シーンの流れに小気味よいリズムが付けられてました。こういう研究心っていうか、常に何か新しい試みを続ける姿勢って、やっぱり佐川監督の凄さなんでしょうね。さすがに全担当作が同じテンションを維持できないあたりは、シリーズ作品の制作の過酷さを感じさせてくれるのですが…

 それにしても最近の「ダイナ」では映画の「ガメラ2」を彷彿とさせるシーンに良くお目にかかります。先に放送された「史上最大の怪獣」での草体(そうたい)イメージの怪獣とか、今回の群体レギオンを彷彿とさせる怪獣の描写とか…やはりあの作品が現役の作り手達に与えた影響というのは、ファンの我々が感じる以上に大きいものなのでしょうか?確かに札幌地下鉄での攻防戦なんかは、近年の和製特撮作品の中では屈指の緊迫感でしたし、作品レベルとしては、相当に高いとは思うのですが、仙台壊滅以降はなんだかイメージが拡散し過ぎている感が強くて、ちょっと訴求力に欠けるかな?という感じですし、個人的には第一作目のギャオス編の方が思い込みとしては強いものですから…ちょっと意外な感じがしております。