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マイ姫七変化?(1997.12.14)
第15話「優しい標的」(脚本:長谷川圭一 監督:村石宏實)

 劇場版も一段落したのか、久々の長谷川脚本ですが仲々魅せてくれました。今回みたいにキャラクターの心情にウェイトを置いたドラマっていうのは、「ダイナ」の中でも今迄あんまり描かれていなかった分野なんで興味深いです。

 全体的には制作側の思い入れ的な部分が、観てる側にも感じられて嬉しかったし、ストーリー的にも盛り上がりましたが、長谷川氏のキャラクターの捉え方に関してはちょっと気になる部分もありました。マイやアスカの妙に軽いノリって、最近すっかり描かれる事がなかった事もあって違和感バリバリ(いやはや…)。長谷川氏にとってのアスカやマイのイメージって、やっぱりこんな感じなのかなぁ?って気がして、ちょっとがっかり。最近結構いい雰囲気でキャラクターが出来上りつつあったマイが、グイッと初期話数に戻されたみたいで、その後のマイともギャップがある様な気がしますしね。こういうエピソードの時ってマイの女性的な部分を強調する事で、ストーリーはより盛り上がる気がするんですけどね。まぁこの辺は一ファンのグチという事で(いやはや…)。

 ゲストの宍戸マサルさんは「超力戦隊…」以来の特撮作品出演。特撮テレビの王道をゆく演技はこのエピソードを盛り上げるに充分。徹底的なワルぶりもなんか良く似合ってたりして(いやはや…)。とっても気持ち良さそうに演じてました。あの雰囲気ならスーパーGUTSのメンバーでも良かったですね。

 特撮では久々に「ウルトラ水流」が復活してましたが、古株特撮ファンへのサービスだったんでしょうか?でも、ダイナの水流なら、CGで効果をつけるなりパワーアップした方がそれらしかった気もします。チョロチョロッと出る水じゃ山火事は消せないゾ(いやはや…)。物語の流れとしてもオマケ感が強かったですしね。


君はパペット怪獣を見たくないかい?(1997.12.23)
第16話「激闘!怪獣島」(脚本:川上英幸 監督:村石宏實)

 再生怪獣登場のサービス編。昔から再生怪獣対決が目玉のエピソードって、ドラマ的にはあんまり面白くないんですが、今回は結構いい感じでまとまってました。マッドサイエンティストの雰囲気漂う博士も良かったしね。しかし、再生すると弱くなるってウルトラ怪獣の法則は今回も健在。再生したシルドロンとシルバゴンの弱いこと(いやはや…)。特にシルバゴンのシッポで叩かれて絶命するシルドロン君の雄姿には涙涙でごさいます(いやはや…)。しかし、何でこの2体が再生に選ばれたんでしょうね?共通点って言えばケンちゃんしかないゾ(いやはや…)、この奇妙なセレクションはなんか「ケンちゃんシフト」みたいであります。

 ドラマ的には怪獣対決に時間を裂かなければならない関係から、かえってうまく刈り込めた感があって、テンポ良く物語が進んで行きましたね。この辺は怪我の功名って感じでしょうか?ただ、相変わらずハネジローのデザインラインの違いは凄く気になりましたが…やっぱり異質すぎですね、デザインが。今回もエピソードとしては良い出来なのに、人形然としたハネジローの姿に、結構テンションがさがってしまう場面があって残念です。やっぱり作品の世界って考えないとね…

 でもまぁ、今回の目玉はやっぱりネオザルスでしょう。丸山デザインには、ストレートなカッコよさを追及したデザインの怪獣が少なく、キャラクターとしての魅力という点からみると、多少弱い印象を持たざるを得なかったんですが、「ダイナ」ではその辺りも変えて行こうって意識が感じられます。今回のネオザルスもまさにそんな意識を感じさせるデザイン。怪獣デザインって、生物学的なリアリティってのとは別に、キャラクターとしての魅力って側面があると思う訳です。ワタシ、怪獣にはそういうキャラクターとしてのカッコよさが必要だと常々感じてましたんで、ネオザルスみたいなデザインが出てくると、とっても嬉しいですね。村石監督の演出、良く見るとネオザルスが極力逆光になる様にライティングしてます。深い陰影がネオザルスの強さを上手く表現していました。この辺りの嬉しいこだわりが、更にキャラクターを魅力的にするんですね。


海城どん、こりゃぁ空飛ぶゆうれい船じゃい!(1997.12.28)
第17話「幽霊宇宙船」(脚本:右田昌万 監督:石井てるよし)

 なんか「スーパーGUTSのオバケ退治」みたいなカンジのエピソードでしたね(いやはや…)。とりあえずあんまりテーマらしいものもなく、かといってストーリー的な見せ場や工夫もそんなに感じられなかったし、なんかサラッと流してしまった感が強かったですね。どうも旧ティガの主力ライター陣は今だに「ダイナ」での自分なりのスタンスが見いだせず、苦戦してる気がします。どうも観ててちょっと中途半端というか、どこか居心地の良くない感じがしてしまうのです。

 とりあえず、ストーリー的にはあんまり述べる事もないです。いくら科学考証的なセリフを登場人物に吐かせた処で、タイトルが「幽霊」じゃ、元も子もないし(いやはや…)。劇中での捉え方も「幽霊」そのまんまでしたしね。宇宙船まで「オバケ屋敷」と来ちゃ(いやはや…)。なんか今回の様な物語だと、右田氏も書いててノッてないんじゃ?って勘ぐりたくなります。「グリッドマン」での活躍を私は忘れない!右田氏にはいたずらに与えられたテーマの「まとめ」に走らず、多少脱線しても良いから自分の想いを込めたエピソードを書いて欲しいです。

 特撮は佐川監督が楽しんでましたね(いやはや…)。以前のエピソードでも試みた細かなカッティングを今回はさらにエスカレートさせ、コマ落しも併用してアップテンポなリズムを生み出してました。コマ落しに関しては、ちょっとやりすぎな感はありますが、遠近感を強調した構図やダイナミックな構図の空中シーン等、戦闘シーンのヴィジュアルは仲々楽しめました。

 怪獣は只のヒョーキン怪獣かと思えば(いやはや…)、実は2人で入るドドンゴやジャンボキングの様な大型怪獣。今迄の怪獣達とはかなり雰囲気も違いますが、ちょっと面白い試みですね。

 …っと言う訳で、年内の放送はここまで。このところようやく調子が上がりつつある「ダイナ」だけに、このまま来年もテンションを上げていって欲しいものです。ではでは良いお年を。


あなたはだあれ?(1998.01.11)
第18話「闇を呼ぶ少女たち」(脚本:長谷川圭一 監督:石井てるよし)

 最近流行のジュブナイルホラーをテーマにしたエピソード。こういう題材が好き(そう)な長谷川氏の脚本だけに、エピソードとしての仕上りは仲々いい雰囲気でありました。石井監督の凝った映像もちょっと映画的でしたしね。観ていて、きっとこういう雰囲気のエピソードを好まれる方もいるだろうなとは思えました。ただ、根本的な部分で非常に疑問に思ったのですが、こういう題材をあえて「ダイナ」でやらなければならない必然ってなんでしょう?こういう題材って、過去の「日本の民話シリーズ」とか「怪談XXXX」とかと一緒で、基本的にウルトラマンの世界とは相容れないものの様に思えます。今回のエピソードも視点が完全に「オカルト、ホラー」といった部分にシフトしてしまっているのがとっても気になりました。こういう書き方をすると、非常に偏狭な物言いに思えるかも知れないですが、そもそも「ウルトラマンダイナ」というシリーズの根本は何なのか?と思う訳です。幽霊オッケー、悪霊オッケー、しかもSFオッケーの「都合の良い」世界なら、それはもうお手軽な発想の「お子様番組」ではないでしょうか?私としては初回から観続けてきた中で「ダイナ」の世界観はSF的な発想をベースにしたものだと思って来ましたので、この処の題材のセレクションの仕方は非常に疑問です。

 今回のエピソードでも申し訳の様に黒幕の宇宙人が登場する訳ですが、多分脚本の捉え方はあくまでも「悪霊」なんだと思います。どうも、「ダイナ」というシリーズが何を描きたいのか?ここに及んでも私にはどうもピンと来ないのですが…18話を経てのこの「ふらつき」は完全にシリーズ構成の問題だと思います。ホンネ言ってしまうと、もう何を「構成」しているのかと(怒)!シリーズ構成の江藤氏にはもうちょっと頑張って欲しいですね。あんまり各ライターの自主性にまかせず、言うべき事、シリーズとして統括すべき事はビシッとやるべきでは?

 特撮は光線技の合成が見所でしょうか?最近多用される「まぶしい」光線描写って、個人的には結構好みです。綺麗ですからね(いやはや…)。取り敢えず今回の戦闘シーンに関してはこの位で…

 今回も結構キツイ事書いちゃいましたが、愛する「ウルトラ」を思えばこそという事で、ご容赦を。


恐れていたツブラヤキングの復活宣言(失礼!)(1998.01.18)
第19話「夢幻の鳥」(原案:円谷一夫 脚本:武上純希 監督:原田昌樹)

 思い出した様に登場する「幻の疾走」の後日談。どうも年末からの「幽霊オカルト3連発」はさすがに私も疲れてきました。今回もシリーズの本筋とはおよそかけ離れた傍系のエピソード。まるで個人的な問題に絡んでくる様な、コカクチョウの存在(殆ど対マユミちゃん用怪獣みたいな…)といい、ストーリー全体がキャラ主体にねじ曲がった作りになっていて、この作品はまるで、マユミちゃんとタクマさんのファン以外の人間を全く対象外にしてるみたい。何ともなぁって感じです。社長自ら「ダイナ」の混乱に油注いでどーすんですかぁ(いやはや…)。個人的に「ティガ」の頃から社長原案のエピソードって完全に個人的趣味で作ってる様な感があって、正直あんまりいい印象ないですが、今回も同様の感想でございます。でもマユミちゃんもすっかり影のある女性に変貌してしまってて、なんだかかわいそうな感じですね。これからも一生、失った人間の思い出を背負いながら、寂しく歩いていくんでしょうか?もうちょっと現実世界での「救い」がないとね。「魂=プラズマ説」もこう繰返し、常套句の様に聞かされると「ダイナ」って「タロウ」の「空想怪奇シリーズ」の向こうを張った「空想心霊シリーズ」なのか?って勘ぐりたくもなりますって。

 コカクチョウは雨宮慶太氏辺りがデザインしそうな、ちょっとエロティックで異形の人面を持つ生理的嫌悪感のある(結構「イヤ〜ンな感じ(いやはや…)」でしょ、あの顔)面白いデザインですね。ウルトラ怪獣の中でもかなり異色なデザインの怪獣です。ちょっと全体に身体が硬い感じなのが残念ですけど、仲々意欲的な怪獣ですね。人面に関しては、脚本であれだけしゃべくるシーンがあるならパペット作るなり特殊メークで処理するなりすべきでしょうね。いっその事、無理してCGで口を動かさない方が不気味で良かったかも。今回もキラリと光るCGシーンはあるのに、アレはどうにもセンスないゾ!

 本編映像は良く観てると結構凝った画面構成のカットがあって、原田監督の思い入れを感じます。レインボーブリッジを背景に望遠気味でマユミ達を捉えたカットは結構好き。エンディングのバイクにまたがった青木兄弟とアスカにグーッっとカメラが移動で寄ってくカットなんか凄いカッコいいゾ!ただエンディングの芝居、結構マユミちゃんが気ばってキメてるんですけど、如何せん無粋なスタッフクレジットが顔面直撃(いやはや…)。もうちょっと気を使った方が。

 そんなこんなで、今回も辛口、ゴメンナサイです。