S H O R T  C O M M E N T S

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若さはプラズマ!(意味不明。いやはや…)(1998.05.16)
第36話「滅びの微笑(後編)」(脚本:長谷川圭一 監督:村石宏實)

 う〜む、ちょっとテンションがダウンしちゃったかな?ストーリー展開は王道中の王道で、見方によっては「怪獣殿下」に対するオマージュとも受け取れる様なシーンも、あちこちに散見されましたし(…っていうか、基本的な展開が殆どおんなじってのは何故!)。ただそういう感じですと、ストーリー的なインパクトだとか、新鮮な驚きだとかは全然なくて、安心して観ていられはするんですけど、印象としてはどうにも凡庸な感が強くなっちゃうってのは、これは仕方ないですね。それにしても、前編であれだけ謎解きを期待させる様な展開をしておきながら、それを殆ど放棄してエンターテインメント側に突如方向転換してしまったのが、何とも納得出来ず、残念です。一応ジオモスの行動の背後には、何物かの意志が投影されてるってのがシリーズとしての伏線の様ですが、それなら、それをもうちょっと印象づけないとツラいのではないでしょうか?わずかセリフ一言で処理されちゃって、ちょっとあっさりし過ぎ。

 まぁ、旧GUTSの面々によるドラマだとか、スーパーGUTSとの共演とか、イベントとしては確かに見所は多かったんですけどね。

 特撮は結構頑張ってたし、出来としても繊細な合成カット横溢の仲々にハイクオリティな仕上り。…にもかかわらず、大阪市内に怪獣が出現したにもかかわらず、ビル一つさえ壊せない怪獣に、「オレェの怒りはバクハツすんぜん〜ッ!(串田アキラ声で歌ってネ!いやはや…)」都市破壊なくして、特撮怪獣TVになんの魅力があろうか!(ちょっと物騒かも知れんですが…)はっきりいって全然満足してません。これだけ大盤振舞いなんですけど、メインディッシュ抜かれちゃった様な、このお預け喰った様なフラストレーションは何?全部合成で済まそうなんて、いくらなんでもそりゃないよね。とりあえず今回はこの時点で冷静さを欠いてるかも(いやはや…)。

 ネオジオモスは後編に登場する怪獣としては明かに役不足です。着ぐるみもちょっとラインが細過ぎで、貧弱な感じが強すぎますね。デザイン的にもジオモスよりパワーダウンしちゃって、印象の薄い怪獣でした。

 そんな訳で、個人的にはちょっと不満の後編でした。でもまぁキャラ好きな人には結構いいプレゼントかも。次回はいよいよ「D坂の殺人事件」も公開されたジッソー君の登場らしいんで、またまた濃ゆい世界に期待致しましょう。


無常(深い意味はございません…いやはや)(1998.05.26)
第37話「ユメノカタマリ」(脚本:村井さだゆき 監督:服部光則)

 ちょっと忙しかったもんで、掲載が遅くなってすみません。ごめんなさいついでにもう一つ(いやはや…)。先週掲載のコメントで思わせぶりなコメント書いちゃいましたが、今回は監督、実相寺さんじゃありませんでしたね、これもゴメンナサイ。そんな訳で今回は監督の服部氏(「ティガ」の「花」、「夢」で特技監督を担当されてましたね)、美術の池谷仙克氏等、実相寺組関係の面々もお名前を拝見できた訳なんですけど、「ティガ」の時の様にコダイが制作を肩代するという形式じゃなかった様ですね。服部氏の映像は確かに実相寺監督の映像感覚に影響を受けてはいるみたいですけど、表現自体はかなりおとなしくって、結構標準的って印象。ちょっと意外な感じではあるんですけど。

 個人的にはこういう話結構好きですね。ただ、今回のスーパーGUTSの面々、遂にTPC首脳部をも巻き込んでボケぶりにますます磨きがかかっちゃって、なんかおかしいやら、哀しいやら(いやはや…)フカミ総監の「お習字」は、アレはいくら何でもやり過ぎでしょう。天田俊明氏なんか結構いい味出せる、「ダイナ」俳優陣の中では貴重な「演技派」なんですから、もうちょっと使い方考えてあげないと宝の持ち腐れですね。

 ストーリーのネタとしては、非常にステロタイプなエピソードだったんですけど、一応事件の前兆となる部分がちゃんと入れてあって、こういう構成って好きです。開巻当初の一見何の関係もない様な描写が、大事件の前兆だったって言う展開、実は最近めっきり減っちゃってます。でも、今回のエピソードの描き方も、かなりストレートであんまり趣があるとはいえないんですけど…

 確かに、こういう伏線を張る様な構成が幼児層には分かりづらく、すぐに怪獣が出て来ないんで飽きちゃうっていう点は、まぁ分からんでもないですけど、だからってシンプルなストーリーばっかりじゃね。そんなんじゃ子供も成長しないよ(いやはや…)…たまには観る側に少し考えさせる様なエピソードも欲しいものです。

 ゲストの穂積ペペさんは古くは「丸出だめ夫」「スーパーロボットレッドバロン」での活躍が印象深い元名子役。最近ご自身の経営するラーメン屋か何かの紹介で、ちょこっとテレビに出てた記憶はあるんですけど、役者の方も引退されてたんではなかったみたいで、ちょっと嬉しい(いやはや…)。もう一人の寺田農氏も相変わらず炸裂しまくってるし、演技陣は結構充実のエピソードでした。

 それにしてもインテリアショップ彩!(いやはや…)実在のお店だったんでしょうか?いやぁ、一平クンやカナちゃんが出て来るんじゃないかと思っちゃいましたが。

 怪獣はまぁ、何とも池谷氏ならでは。丸山氏なら絶対こういう怪獣にはしないだろうなぁ(いやはや…)。良く言えば媚びてないんだけど、結構素っ気ないデザイン。もうちょっと、というか、かなりデザイン的なポイントが欲しい、そんな物足りなさがありますが…リアルなゴミ怪獣ではあるんですけどね。


「ウルトラ」を捨てよ!街へ出よう!(1998.05.31)
第38話「怪獣戯曲」(脚本:村井さだゆき 監督:実相寺昭雄)

 いよいよ放送された実相寺昭雄監督作品ですが、いやぁますますハイブロウに磨きがかかっちゃって、テーマが「戯曲」ですからね。しかもゲストに舞台俳優としても名高い久里虫太郎こと清水紘治氏、IBM、"e-business"のCMが身につまされる(いやはや…)堀内正美氏と来ては…

 取り敢えず今回も「ウルトラシリーズ」として観てしまうと、シリーズのフォーマットとか構成とかとは全く関係ない独自の世界ですし、題材の選び方も非常に疑問ではあるんですが、独立した作品として観ると、そこにはやっぱり蠱惑(こわく)的な不思議な魅力がある事は否定できません。あの繊細さと大胆さ、映像に対する貪欲な挑戦、興味というのは、若い監督陣にも見習うべき要素はまだまだあるんじゃないか?ってのが正直な印象でしたね(もう自分の映像に拘りを持てない、普通の風景を普通にしか撮れない監督が多過ぎるのだ!)。

 今回は最近の監督のテーマの一つとも言える、江戸川乱歩の作品を想わせる様な、幻想的で、どこか猟奇的な匂いのする世界を繰り広げてみせてくれました。「ティガ」「ダイナ」と観て来ると、この2作品に於ける実相寺作品っていうのは、「ウルトラ」を自分の欲求を充足させるための、手段として利用してる様にも思えます。何故そこまで「ウルトラ」に拘るのか…思うに監督にとって「ウルトラ」というのは、実験的な小品を作り得る、またとないシリーズなのかも知れません。多分、もうテレビ界で監督の欲求を受け容れるだけの幅を持てる、自由なシリーズというのは、「ウルトラ」位なんでしょうね。個人的には今回のエピソード、久しぶりに忘れかけていた「ウルトラ」のハード(これは作り手側の思想として、という意味で)な側面を思い出させてくれた(もう明確に子供相手のエピソードというのは、ごちそうさまだったのよ!)という点と、力量のあるスタッフと演技のできる役者が揃えば、まだまだ日本のテレビシリーズにも飛躍の可能性はある、そんな感じがしてちょっとほっとしたんですけどね。

 それにしても清水氏も堀内氏も、気持ち良さそうに演じてて、観てる側も結構引き込まれてましたね(いやはや…)。特に清水氏の熱演は、忘れかけていたテイスト。リー・ケフレン以来の悪の首領ぶりも、また画面で観たいものです。

 特撮も佐川監督の力を得て、今回はデジタル合成や特撮も凝ってましたし、そのカットの多いこと!おまけにビルも一杯壊してくれたし(いやはや…)。結構満足致しました。特にフェロタイプ板に写した様なダイナ(そう言えば、実相寺作品には権藤ウルトラマンしか登場しないのも、監督のウルトラマンへの拘りが現われてて興味深い)とブンダーの歪んだ映像を、実景に合成した様なシュールな映像や、ラストの非常に美しい爆発シーン等々、「ティガ」「ダイナ」の実相寺作品中でも最も完成度の高いエピソードに仕上がったと言えるでしょう。

 取り敢えずシリーズの流れとは完全に切り離れた、「大人の実相寺ファン」への監督からのプレゼントであります。


オイラにゃ「セイシュン」って言葉はマブし過ぎらァ!(いやはや…)(1998.06.07)
第39話「青春の光と影」(脚本:吉田 伸 監督:児玉高志)

 いやぁ平成ウルトラシリーズはかねてから「裏サイバーコップ」だと思ってたけど、遂に主人公まで登場してしまったという(いやはや…)。

 取り敢えず非常にオーソドックスなエピソードで、個人的にはあんまり評価高くないです。どうもあらゆる意味で標準作って感じで、まぁ悪くはないんだけど、かといって飛び抜けて燃える展開や目をみはる描写がある訳でもない…そもそも恩師の復讐から助手が悪事に走るって必然が、感じられなかったんですね、サッパリ。…っという訳でエピソードの基礎をなすべき設定で見事に乗り損ねてしまって(いやはや…)。あとは傍観するのみでございました。予告編観た時から予感はあったんですけど、こう言うのって苦手だワ(いやはや…)。ハタチ過ぎのヤロウども(失礼!)が演じる青春ドラマの変種とか、もうなんか身体が受け付けなくって…アスカがらみの話って、元々苦手な感じはあるんですけど、とにかく今回はノれませんでした私。

 エボリュウ細胞の件も、エピソードに深みを持たせる意味で使いたかったって脚本の意図も分からんではないですが、そもそもアレがまだ後生大事にTPC内部で保管されてる事の方が、よっぽど問題なんじゃないかな(いやはや…)。

 それにしても最近のダイナ怪獣、どうしてあんなに不細工で思い込みの出来ない奴ばっかりになっちゃったんだろう(しみじみ…)。再登場の怪獣しかり、エボリュウ似の怪獣しかり。もうちょっと頑張って欲しいものです。

 今回はそんな訳でちょっと短め。


なぜだ?!特撮番組メンデルの法則(1998.06.14)
第40話「ジャギラの樹」(脚本:六本木 学 監督:児玉高志)

 中島隊員活躍編。今回もストーリーの骨格はかなりのステロタイプではあったんですが。

 今回脚本初登場の六本木 学氏ってなんかかつて「宇宙船」の投稿で何度かお名前を拝見した記憶がありますが、果たして同一人物?だとすれば「ダイナ」では古怒田(ケンちゃん)氏に続いて「宇宙船」からの脚本進出第2陣になる訳なんですけどね。

 ストーリーに関してはあんまり言う事はないです。全体に平成ウルトラシリーズ・エピソードの「順列組合せ」って感じで、観ていて過去の作品とのデジャブーが一杯ありましたし、そもそもジャギラとギジェラが紛らわしくって(いやはや…)。どっちも百合みたいな花が咲いちゃうしね。でも今回は児玉監督の映像作りにちょっと拘りが感じられて、観ていてそんなに空虚な感じはしなかったです。

 けどやっぱり根本の部分で不満はありました。小野寺氏って基本的に結構器用な方だと思うんですよ、演技的な面でもね。そんな意味で今回の様に「ほら、オレって面白いだろ?」みたいな露骨な道化的演技を要求するやり方って、脚本的にもどうかな?って疑問に思いました。なんかアプローチの仕方があんまりストレート過ぎやしないかってね。何だか素材を活かし切れてない様な、勿体なさを感じました。…ちょっとした仕草や印象的なクセとか、そういうその人物独特の雰囲気…本人は極く真面目にやってるんだけど端からみるとそれが変に可笑しい…そんなのがやっぱりリアルな面白さなんじゃないかって気はするんですが…

 演出面では今回の児玉監督、結構実相寺監督の影響を受けたのか?はたまた脚本家デビュー(?)の六本木氏にエールを送る意味からか?いつもとは打って変わった(失礼)映像への拘り。かなり失礼な感想なんですけど、これまで「ダイナ」に於ける児玉監督作品の映像って、実はあんまり好きじゃなかったんですよ。なんかこうストレートに撮りすぎっていうか…でも今回は結構劇場映画的っていうか、構図やライティングにもかなり拘りが感じられて、なんか嬉しかったです。今回はこの部分で脚本の弱さって部分がかなりカバーされてたんじゃないかと思うんですが…でもまぁちょっと実相寺構図を意識しすぎって気もしますけどね(いやはや…)。

 特撮も佐川監督が結構手をかけて丁寧に撮ってましたね。ただいつもの悪いクセか、ワルノリしすぎてドラマ部分と特撮部分の雰囲気が乖離(かいり)しちゃってましたが(某社懐かしの「パンチキック」にされちゃうダイナは、あれは完全にやり過ぎでしょう)。やっぱり巨大特撮は重厚さを基本カラーにしないとね。

★その後の展開★
 …っという具合に、例の如く好き放題書いておりますと、六本木氏ご本人よりメールを頂戴してしまいました。いやぁご本人にコレ読まれちゃうと、なんだかアレですが(いやはや…)、自分なりに素直に書いてるつもりなんで許してね(いやはや…)。なんかもう店主は円谷プロのブラックリスト筆頭にリスティングされてるんだろうなぁ(いやはや…)。


帰ってきたウルトラマン第1話「カワサキ総進撃」(いやはや…)(1998.06.21)
第41話「ぼくたちの地球が見たい」(脚本:太田 愛 監督:川崎郷太)

 遂に登場した川崎郷太監督作品。特撮とかこういう作品が好きな人って、出来上がった作品を観るとやっぱり違うなっていう気がしました。観る側をグッと引っ張り込む様な勢いが画面から感じられましたね。

 宇宙空間をゆく大型宇宙船内という舞台設定は、何だかアメリカのテレビSFシリーズ(懐かしの「宇宙空母ギャラクチカ」(蛇足ですがテレビシリーズ版は「チカ」なんですよ、なぜか)とか。船長はなんかローン・グリーンの雰囲気があるしね…)みたいで、国産特撮としては結構異色。

 ただ宇宙船内でのサスペンスがモロ「エイリアン」シリーズのパクリなのはなんかアレです(いやはや…)。こういう処ってエピソードの核になる部分だから、オマージュとは別に、やっぱりオリジナリティを出して行かなきゃならないと思うんですがね。

 でも太田脚本、今回も泣かせます。ドラマ的にも危機感を盛り上げる展開や、苦しい決断を迫られる中でのギリギリの人間模様等、本来は「ウルトラ」の重要な要素だった部分を、久しぶりに見せてもらえて嬉しかったですね。毎回意表を突く変化球を繰り出しながら、確実にシリーズのポイントを狙っている辺り、多分現在の太田脚本は、かつての佐々木守脚本に近い位置付けにあるのかも知れません。

 川崎監督、久々の登場ですが、今回もテンポの良い演出が光ります。問題の「お習字(しかしネオフロンティア時代の人々は温故知新の念に富むのか、なんでこうもお習字好きなのか?)」も小気味良いカッティングでギリギリ、ギャグとして踏みとどまってましたし。ヒビキ隊長のカッコいい面をうまく引き出せたのは、実は今回のエピソードが初めてかも知れません。それに「スーパーガン」に対するコダワリはさすが川崎監督。なんで光線の形まで完全再現するかねキミは(いやはや…)番外的に嬉しいシーンでしたよ、此処は。

 特撮は今回ちょっと地味。ダイオリウスは羽ばたくモデルが少し小さすぎるのか、スケール感が欠如していて残念でしたね。こういうポイントを押さえないと、観る側のテンションって微妙に下がっちゃいますよ。

 でもまぁそんなこんなで、全体としては久々登場を感じさせない好編でした。


「ダイナ」を蹴ちらせ(1998.06.28)
第42話「うたかたの空夢」(脚本/監督:川崎郷太)

 川崎監督による「ダイナ」第2作目。今回は脚本も監督自らが手掛けるという「うたかたの…」以来の作品だった訳ですが…

 個人的には今回のエピソード、残念ながらエピソードとしての評価は低いです。前回の「うたかたの…」の場合、未消化ながらも強い問題意識が根底にあって、その骨太な部分が目をみはる特撮描写によって支えられ、「ティガ」というシリーズ全体を通じても屈指のエピソードとして成立していた訳です。ところが今回の場合、シリーズという枠を「夢オチ」の荒技ですべて取っ払い、ひたすら「自分の観たい映像」を作る事に走ってしまった。確かに特撮カットの瑞々しい感性というのは、川崎監督の得難い才能ではある訳なんですが、実相寺御大に続いて川崎監督までもが、自らの映像を完成させるために「悪魔に魂を売り渡した」(いやはや…)行動に出てしまったのは、何とも残念でした。確かに自分の好きな映像を撮りたいという根本的な欲求というのは、私にも充分理解できるのですが、みんながこういうスタンスを取り始めるとシリーズ作品というのは、もはや存在し得なくなってしまう。そんな危機感をも感じさせる作品でしたね。

 「ダイナ」では上原正三脚本も登場が予定されているという話ですし、既に「ウルトラ」を「卒業」してしまった氏の事ですから、あまりシリーズにコミットする様なエピソードを書くとも思えないのですが…こうやって次々とシリーズの方向性を拡散させる様なエピソードが登場してくるというのは、「ダイナ」というシリーズの存在を危うくしかねない流れの様な気がします。いっその事「ウルトラQ」時代のアンソロジー形式にしてしまった方がアツいエピソードが増えるんじゃないでしょうか?

 今回登場するマウンテンガリバー5号(MG5)ですが、仲々いい顔をしていて、実写版ロボットとしては出色の出来。アニメ系のデザインラインを持ち込んだロボットとしては、かなり成功した部類じゃないでしょうか?ちゃんと爪先に「MG5(*1)」カラーの黒と銀の格子模様が入ってる辺りには監督のジェネレーション的コダワリを感じました(いやはや…)。できる事ならゲストに団時朗氏(*2)がいれば、完璧だったのですが(いやはや…)。

 ドラマ的にはちょっとワルノリしすぎかも。「宇宙海賊」はさすがにやり過ぎじゃないでしょうか?まぁ「夢オチ」ですから、基本的に何でもアリなんでしょうけど。ひたすら監督の好きな要素をブチ込んで、ごった煮にした印象ですね。確かにそういう要素がエピソードに独自のカラーを与え、輝きを作るエネルギーとなるのは事実なんですが、それだけじゃ足りないと思うんです。

 今回の作品がどういう意図で制作されたのかってウラ話は、ちょっと聞いてみたい気もします。

(*1)1970年代初頭に発売され、現在も販売されている資生堂の男性用化粧品のブランド。デザインのポイントは黒と銀の格子模様。

(*2)ご存じ「帰ってきたウルトラマン」の郷秀樹。それ以前、氏はモデルでMG5のイメージキャラクターであった(パイロット版スペクトルマンの蒲生譲二でもあった訳だが…)。現在でもテレビ東京系でゴジラの人形劇(?)に出演中。特撮(?)には縁の深い御仁である。


物語(ストーリー)氷河期(1998.07.05)
第43話「あしなが隊長」(原案:満留浩昌 脚本:右田昌万 監督:村石宏實)

 ゴルザ再登場、満留特技監督デビューのイベント編。

 ストーリー的にはまたもやステロな一編ではあるんですが、本編・特撮の派手な爆破シーンとゴルザの貫禄でもって、画的には結構楽しめた一編。

 しかしながら、やっぱり「ダイナ」はストーリーがかなり弱い感じがしますね。またもやこの展開ですか?なんとも…いっつも教訓垂れてもねぇ、観てる方だってゲンナリしちゃうよ(いやはや…)。御説教でフムフムと視聴者を納得させても、それはちょっと違うでしょう。同じテーマを扱うにしても、もうちょっと何か…

 でも、結構思う事が多いんですが、「ダイナ」に於ける各エピソードのストーリーって一体何でしょう?はっきり言っちゃいますが、今回のエピソードにしても、脚本読んで面白いですか?どうも「こういう風に書けばいい」って方法論の方が先に来ちゃってる感が強くて、ストーリー自身に輝きや魅力が感じられないんですよね。まるで出来合いのパーツを組み立てたキットの様な感覚です。やっぱり脚本書いてる人が、まず自分の作品に想いを込める事。そこからエピソードは始まって行くんだと思いますが(…まぁ私個人の意見ですけどね)。

 こういう教訓ドラマって「80」で付いてしまった「国際放映系ジュブナイル・ドラマカラー」の影響が今だに尾を引いてる様な気がしてます。

 特撮はさすがデビュー作だけあって満留監督力が入ってましたね。いきなり噴火、火災、陥没、爆発とフィジカルな特撮描写全開。最近CG合成の影に隠れてこういう描写って随分減ってしまいましたが、CGにはない魅力ってのも大事にして欲しいですね。

 ゴルザIIはどうやら新造形の模様。やっぱりアトラク地獄は現代に於ても相当なものなのでしょうか(いやはや…)?新造のゴルザは益々頭が小さくなり、益々足が太くなって、カッコイイ。ダイナとの余裕の戦い振りもイカしてます(いやはや…)。今回やられちゃったのが結構残念です。

戦闘シーンの演出は結構重厚な感じがあって良かったですね。落し気味のライティングが不気味な雰囲気を醸し出していたのもイイです。苦戦しているにも関わらず、タイプチェンジすらせず気絶しちゃうダイナの戦い振りがかなり疑問ですが…

 そんな訳で満足不満足相半ば。評価の難しい一作でした。