おおしまの毒牙はアニメも特撮も関係なく伸びる(いやはや…)!
なんでもありの偏見視聴記


10/10/1999:おおしま的この秋の注目新番組

 …っと言う訳で、しばらく沈黙していた私も、ようやっとモゾモゾ動き出しました。以前の様に週刊でというのはちょっとツラいかも知れませんが、気が向いたら書き足して行きたいと思います。

今回はようやく出そろい始めた秋の新番組からちょっと気になった作品を取り上げて、インプレッションなんぞを書いてみたいと思います。


【ブースカ!ブースカ!!】(テレビ東京・円谷プロダクション)
おおしま的印象:ギリギリの普通

 まぁブースカ、何でか根強い人気でしたし、仕方ないのかもしれないですけど、オリジナルの新キャラクターや新しい物語世界を創造して欲しかったです。やっぱりこう、どうしても初代と比較しちゃう訳ですよね。全体になんか非常に中途半端な感じ。どうせやるなら前作とのつながりなんか無視して全く新しいストーリーにして欲しかったって気はします。初回を観た限りでは、残念ながら初代の魅力には及ばないといった印象。「ミフチ」はちょっと違う気がする(いやはや…)。

 ブースカの造形も、なんか中途半端にリアルな筋肉表現があったりして、素直に可愛いと思えない処が残念ですね。初代の方が可愛かった気がするけど…今回の造形に関していえば、却って小さい時の方が、純粋にぬいぐるみチックで好き。それは声にしても一緒で、高戸靖広の声を原音が分からないほど加工してますけど、ここまでする意味ってあるのかな?かえって女性の声優にでも素直に演じてもらった方がキャラクターとしてももっと思い入れのしやすい雰囲気が出た様に思うんですが。

 ただ、ストーリー次第では魅力が出てくる可能性もあると思うんで、ちょっと様子を見たい作品ではあります。宮川一郎太の泡手警部にはちょっと期待(いやはや…)。


【地球防衛企業ダイ・ガード】(テレビ東京・創通映像・ビクターエンタテインメント)
おおしま的印象:ちょっと好きかも

 民間警備会社の社員達が巨大ロボで地球防衛してしまうという、まるで同人作品の様な設定が印象的な作品。「踊る大捜査線」にも影響されたのか、「サラリーマン兼正義の味方」の本音にもスポットが当てられている。シリーズ構成はサンライズ作品の脚本を多く手がけた志茂文彦が担当、アニメーション製作は「爆走兄弟レッツ&ゴー」で力をつけたXEBEC。

 全体的にはいかにも「エヴァ後」を象徴する様な設定、描写が続出。登場する謎の巨大生体兵器「ヘテロダイン」はまさに「使徒」であります(いやはや…)。荷重に耐えられず圧壊寸前のダイ・ガードの腕の描写やホテルニューアカオをバックにした戦闘等、かなり実写を意識したリアルな映像描写とデジタルエフェクトによるブレが印象的ですが、デジタルペイント製作ではない模様。ブレの方はちょっとうるさいかも。

 石原満によるキャラクターは、男性の顔面筋肉描写がかなりリアルでちょっと抵抗ありますけど、まぁ個性かなぁ?何となく話の展開は見えそうな気がしますけど、続きを観たい作品ですね。


【無限のリヴァイアス】(テレビ東京・読売広告社・サンライズ)
おおしま的印象:ちょっと様子見

 シリーズ構成に「プリティサミー」や「大運動会」の黒田洋介、監督に「ガオガイガー」での演出が印象的な谷口悟朗を据えたシリーズ。西暦2225年が舞台だそうです。

 航宙士の資格を取るために宇宙ステーションにやってきた少年と、彼をとりまく仲間達の物語って雰囲気ですが、果たして…なんかヘルマン・ヘッセとかが書きそうな世界みたい(いやはや…)。閉鎖世界での少年少女の葛藤ってヤツですかね?まぁスタッフの布陣を見ると仕方ないのかも知れませんが、結局最近のガンダム的世界が展開してます。仲間内だけ分かり合って楽しんでる「えせトミノ的」セリフとか展開って抵抗あるなぁ。作り手のマスターベーションには、そんなに長くつきあえないのが世の中の常(いやはや…)。例によって野崎透が「スペシャル・コンセプター」として名を連ねる細部の描写とかは結構面白いと思うんですが…平井久司のキャラはかなりあっさり味。音楽が服部克久ってのは、なんか解せんぞ(いやはや…)。


 関東では今週から「ティガ」のリピートも始まりましたが、久しぶりに観ると第一話の特撮、力が入ってます。あれだからこそ、みんな期待が高まったんでしょうね。

 それにしても特にテレ東系のアニメ作品のクオリティとか、軒並みかつてのOVA以上。良い時代になったもんです(いやはや…)。そんな訳で、今のところ個人的には「ダイ・ガード」が一歩リードなんですが、どうなりますか。



10/18/1999:ティガの怪獣

 こうやってネット上でグチャグチャと駄文を書き散らしてると、たまにはいいコトもあるもんで、「ティガ」の初期、東宝ビルトで怪獣のメンテナンスをしていたという、かのーさんからメールを頂きました。結構ぶしつけに質問とかしちゃう自分が、恥ずかしかったりするんですが(いやはや…)。興味深いお話もうかがえました。

 「ティガ」の怪獣は基本的に造形プロダクションである開米プロで造形されてるんですが、現場での着ぐるみの補修、改造や、ラストで木っ端微塵に吹っ飛ぶ爆破人形等、ゲスト的なプロップ造形なんかは東宝ビルトのキャラクターメンテナンスチームが行っていたそうです。

 こういう体制って「ウルトラQ」の頃から採られていた(造形の佐々木明氏や機電の倉方茂雄氏等が該当すると思います)様ですが、平成ウルトラでも健在だった様ですね。関東の再放送で先週登場したガクマは、現場でメンテナンスチームが角の部分を改造し、2体に見せたそうです。

 やっぱりというか、作業自体はかなりハードなスケジュールだったそうで、撮影スケジュールの都合で、納品直後の着ぐるみを徹夜で大改造する様な事もあったとか。スケジュール変更はかなり多かった様で、大分ご苦労されたみたいですね。ちなみに造形の素材は現在でもウレタンとラテックスが主材で、ラテックスはアンモニアで濃度調整しながら使うそうです。

 いやぁ、ラテックスとかは私も使った事ありますが、あのアンモニア臭は気絶しそうになりますね(いやはや…)。造形関係は結構キツい匂いの材料が多く、ラテックスとFRP用のポリエステル樹脂のクサさはその中でも双璧でしょう(でもあんまりいい例えじゃないから「双璧」とは言わないか…いやはや…)。そんな中、ハードなスケジュールで造形するスタッフの方々の努力と根性には頭が下がります。かのーさん、貴重なお話どうもありがとうございます!

 私なんか普段何気なくテレビ見て、言いたいこと言ってるワケですけど(いやはや…)、やっぱり現場は大変ッス。



11/03/1999:ワンダービートスクランブル

 いやぁずーっとどうしようかどうしようかと考えてたワンダービートS(スクランブル)のLD-BOXですが、遂に買っちゃいました(いやはや…)。本放送当時から結構好きな作品だったんですが、放送当時はウラにスタジオディーンの「めぞん一刻」があったりとか、番組自体もプロ野球の雨傘番組扱いになったりとかかなり不遇で、結局全26話中2本が未放映のまま打ち切りになっちゃいました。監督の出崎哲氏も2クール保たずに中盤で更迭(?)されちゃうし…手塚治虫監修作品として、かなり期待されて始まったのに、ラストは悲劇的でしたね。結局手塚氏の関わったテレビシリーズはこの作品が最後になりました。

 当時もファン層の認知度ってかなり低かったんじゃないかなぁ?90年代初期頃はNiftyで話題にしても、あんまり反応なかった記憶がありますし。ただ、最近になって当時の視聴者によるファン活動が活発になって来たのは嬉しいですね。遂にワンダービートスクランブルのサイトも誕生。LD-BOXの発売もそういう流れが根底にあるのかな?

 LD-BOXは発売(99年5月)からそれなりに時間が経ってるので、手に入らないかな?とも思ったんですが、愛知のLD屋(詳しくはこちら)さんに在庫があって購入できました。いやぁ良かった良かった。解説書はちょっと突っ込みが足りない気もしますが、おまけのビオくんマウスパッドはナイスです。でも、これってもったいなくて使えないなぁ(いやはや…)。

 ただ残念な事にこのLD-BOX、完全収録じゃないのであります(いやはや…)。何と、オープニングのラスト、ハープの音色と共に星空に浮かび上がる「テルモファンタジーワールド」の文字から「提供テルモ」の字幕(字の下にビオが走り込んでくるアニメと「医療と歩むテルモの提供でお送りします」のナレーション付き)がカットされてます(エンディングでも同様の処置あり)。解説書の中でもテルモは伏せ字になってるし(いやはや…)。もともとLD-BOXってマニア向けなんだから、できるだけ放送当時の状態を再現して欲しかったです。LDのオープニングから本編が唐突なのはこの部分がカットされてるからなんですよね。

 …ってなワケで、どんだけ期待してらっしゃる方がいるかは分かんないですけど(いやはや…)、我が家のビデオアーカイブから発掘した本放送当時(!)のビデオ画像をお届けしましょう。LDに収録されなかった貴重映像ですよ(いやはや…)。ちなみに最後のブルーバックの画像がエンディングのカット部分です。

   

 そういえば、この作品、なんと35mmフィルムで撮影されてるそうです(当時は16mmフィルムでの製作が一般的)。アニメの35mm版ってテレビアニメ創世記の昭和40年前後までの東映動画作品とかは殆ど35mmマスターらしいんですが、35mmはフィルム、特にカラーフィルムが高価な事もあって、この時期の作品としては異例です(特撮ファンだと35mmで思い浮かぶのは、ウルトラQとかミラーマンの合成部分とかでしょうか?)。言われてみれば、テレビ放送時はかなりクリアな画質だった気がしますね。さすがにLDではフィルム自身の経年変化やテレシネの問題で、当時の雰囲気を伺う事は難しい様ですが…

【おまけ】
ワンダービートを動く映像で見たい方には、こちらでオープニングが見られます。(要RealPlayerG2)



11/14/1999:復活間近の和風ゴジラあるいは「がんばれ!東宝特撮」

 いよいよ東宝謹製本家ゴジラ「ゴジラ2000ミレニアム」の公開も迫り、メディアへの露出も徐々に進んで来ましたが、個人的には今回のゴジラ、かなり疑問です。以前「ガメラ」が復活した時には、公開前に断片露出する特撮カットのヴァージョンアップぶりに、非常に期待が高まったんですが、今回のゴジラにはそれが殆どない。紹介される特撮カットも、あいも変わらずライトタッチの平成ゴジラシリーズそのもの。特撮監督は川北氏から「モスラ3 キングギドラ来襲(1998)」を担当した鈴木健二氏に変わってる様ですが…

 確かに予算がないとか、スケジュールがタイトだとか、スタッフサイドからすれば色々言いたい事はあるんだと思います、でも、十分な予算と期間があれば、東宝特撮の映像はもっと我々のハートを掴む様な、強いヒキのある映像になるのか?と言われれば、どうもそうじゃない気がしますね。これは川北監督の頃からずっと感じてる事なんですが、東宝のスタッフには最早特撮映像に対する執着(…もっと言えば「愛」だ!)が失われつつあるんじゃないか?って疑念(いやはや…)です。

 怪獣やミニチュアに対する愛情や執着、作り物の世界の中に現実を見つけだそうという視点、そんなものが近年の東宝特撮には殆ど感じられないのです。一例ですけど、特撮が好きな人なら平成ゴジラシリーズの特撮プールの映像は決して許せないと思いますよ。あれはどうみても等身大の怪獣がプールで暴れてるのを、そのまま撮った映像にしか見えませんからね。ああいう映像を撮ってそれで良しとするのは、やっぱり特撮に対する拘りを捨ててしまった証拠だと、私は思うのです。

右は円谷英二が撮る特撮プール。外洋を航行する観測船「ふじ」。
ミニチュアは全長13メートル余の鉄製。「緯度0大作戦」(1969)より。

 色々言われたエメリッヒのゴジラも、特撮に対する「愛」は本家ゴジラよりずっとピュアなものだと思います。テクニックよりもっと根本的なマインドの部分では、本家ゴジラはとっくの昔に屍と化していたのではないでしょうか?個人的には特撮としてのワクワク度では、最早円谷プロの劇場作の方が本家東宝の映像を凌駕していると思います。映像的な完成度としても上ですしね。

 東宝特撮が往年の輝きを取り戻すには、まず「本物っぽく見える映像」に対する拘りが不可欠だと思います。拘りのない映像を「作品」とは言わないのです。

【おまけ】
 いわゆる「特撮情報誌」でない処にも濃ゆい情報は存在します。発売中のデザイン誌「AXIS」(アクシスパブリッシング刊)の最新号(82号)では、ゴジラ2000の造形を担当した造形会社モンスターズの若狭新一氏へのインタビューとモンスターズでのゴジラ造形スナップ等が掲載されています。特撮系の雑誌でも掲載されない様なゴジラの皮膚のアップ等、非常にコアな写真が掲載されてる辺りはさすがデザイン誌ですね。



11/27/1999:ライダー復活…and more

 前々から話のあったライダー復活ですが、先日マスコミ向けの撮影会が行われたみたいですね。枠はどうやらロボコンの後みたいで、関東では来年1月30日からの放送だとか。今度は「クウガ」ってネーミングらしいです。

 結局ロボコンも思った程の盛り上がりにはならなかった様で、玩具もあんまり出てなかったのではないかな?東映としてはついに伝家の宝刀を抜いちゃった訳ですけど…

 クウガのキャラクター、どっかストロンガーとかジライヤの面影がありますね。ライダーとしては結構傍系のデザインライン。スチルみると、下半身全体がBlackと同様の伸縮レザー素材みたいですが…それってアクション用コスチュームだと、ただのタイツになっちゃうってコト?なんかちょっとヤだなぁ(いやはや…)。個人的にRXがああいうデザイン・造形だったのは、Blackの時のアップ用とアクション用のイメージギャップを埋める為だったって気がするんですが。

 話によると場面に応じて戦闘形態を変えるそうですが、またロボライダーとかバイオライダーとかになるんッスか(いやはや…)?もうちょっと意味のある変態して欲しい気もするけどね。

 最近仲々こういう作品でヒットが生まれないのは、やっぱり「格好良さ」の概念がかなりブレてきてるからかも知れないですね。昔だとそういう概念ってある程度共通認識が成立してたと思うんですけど、これだけ価値観が多様化してくると、仲々万人に受けるキャラクターを生み出すというのは難しいのかも知れません。

 その一方、一足お先に復活したブースカはこんなコトになってました(いやはや…)。→
 焼き芋をむさぼるブースカの図。

 宿敵、松戸最円開発の「冠ブー」を被せられ、凶暴になっちゃうってお話だったんですが、凶悪メイクが非常にコワイです(いやはや…)。暴走族とツルんで飲食店荒らしとかするんですが、この顔で腹にサラシ巻いて半纏着てるブースカって夢見そう(いやはや…)。初代の牧歌的な世界は遙か彼方なり。



 まぁ、世界観はもう完全に別でしょうね。実写ギャグ系のシリーズとしては赤星昇一郎氏の登場で一気に弾みがついた感はあるんですが、ちょっと影響が大きかった様で、すっかりアヤシイ番組になってる気が(いやはや…)。各キャラが比較的立ってる辺りは、久しぶりの感覚ですね。みんなそれぞれ思い入れを込めてるんでしょうね。どこまで脱線していくか、ちょっと見物になってます(いやはや…)。




12/31/1999:1999年を振り返る

 今年も遂にどんづまり。このコーナーも結局12月は忙しさにかまけて更新なしになっちゃいました(いやはや…)。そんなワケで、駆け込み更新で今年のワタクシ的偏見視聴を総括するなんていう、月並みな企画をひねり出したんですが…果たして…

【特撮編】
 とりあえず今年は「ガイア」の後半がありましたんで、個人的には平成ウルトラの最後の恩恵にあずかれたって処ですかね。

 ただ「ガイア」は「大河ドラマ」と「ライターの自主性を尊重した作劇」(まぁ、元々この2者って対極的存在だと思いますが…)って要素が見事に分離してて、結局、個々のドラマは結構良い線行ってるのに、シリーズ全体としてみると、「なんじゃコレ?」って位タコになっちゃう二面性が凄かったですね。しかもシリーズ指向で個々のドラマも明確に完結している訳ではないという食い足りなさ。結構新しい事をしようとしているみたいだったのですが、つまるところ先人の作り上げた「ウルトラの呪縛」からは逃れようがなかったって結末が、かなり残念でした。

 「ウルトラ」に関しては、今後もし新作を制作して行こうと考えるなら、シリーズとして向かうべき方向性は何処なのか?それを制作サイドがしっかり見極めた上で、企画なり制作なりをスタートさせて欲しいですね。ドラマを期待させておきながら迷走するって展開はもう限界だと思いますよ。最近のリメイクものに共通してるんですが、惰性で作るのなら新作など不要です(お気楽に「ウルトラマンナイス」でも作ってる方が罪がない)。

 「ゴジラ2000」は結局劇場に行ってません(いやはや…)。どうもエメリッヒの「ゴジラ」の後が、なぜコレなのか?って疑問には今もって誰も答えてくれないんですが(いやはや…)。エメリッヒ版は日本のコアなゴジラファンには圧倒的に不評だった様ですが、映像の力は今までの平成ゴジラの遠く及ばないイメージを確立してたと思います。ではその後に登場した今回のゴジラ2000は何でしょう?…ゴジラは今や完全に特撮ファンのマスターベーションの道具と化してる気がして仕方ないんですよ。特撮ファンの為の「寅さん映画」みたいなね。「職人の腕は落ちちゃったけど、昔ながらの手法で作ってみましたよ、最近流行の手法もちょっとブレンドしてみました。どう?懐かしいでしょ」って感じが何とも救われないです。今回のゴジラ、外見的には平成ゴジラシリーズの進化しないリメイクって気がしてどうにも納得できません。東宝の特撮映画は完全に死んでしまったんでしょうか?良い意味で何とかこういう状況を裏切って欲しい。「どーせまたタコな脚本としょーもないドラマとかるーい特撮なんでしょ」っていう期待(っていうのか、この場合?)に見事に応えちゃうなんて屈辱に、いつまでも甘んじていてはいけないのですッ!!

 「ガメラ3」も圧倒的な「救われなさ」が世紀末の世相を象徴してるみたいです。怪獣の理不尽な力に対する怒りみたいなものが強調されたガメラの渋谷破壊シーンなんかは、従来の娯楽指向の都市破壊シーンとは一線を画すものだったですね。その意味では、まだこちらの方が、前に進もうとする意欲みたいなものは感じられたんですが、行く先の不透明感みたいな感覚に全編が貫かれていたのは、個人的にはちょっと不満。

 洋画系も殆ど観てないです(いやはや…)。結局劇場で観たのって「マトリックス」位でしたからね。「マトリックス」は事前にテレビでクライマックスシーンとか流してるのを観ちゃったのが災いしてか、物語全体としてみるとかなり地味な感じだったのは意外でした。もうハデハデな映画って印象があったんですが。でも映像のセンスオブワンダーって点では、印象深い作品ですね。特にアクションとワイヤーワークの融合なんて、まだまだ突っ込んでいける余地があるみたいでワクワクしました。

【アニメ編】
 アニメに関してもなんか低調な1年でした。テレビの新作も結局コレという1本は登場せず。世間的にはまぁ「ポケモン」があるからいいのかな(いやはや…)?個人的に、さすがにテレビシリーズは観るに耐えないんですが(いやはや…)。劇場版の「ミューツーの逆襲」とかは、結構凝った演出(あのオーソドックス感ってなんか新鮮な懐かしさがありましたね)と、市村正親氏の渋い声が仲々でした。

 とりあえず今年は1年遅れながら「さくら」で楽しめてるから、テレビはいいかな(いやはや…)?深夜アニメも結構な本数の作品が制作されたみたいですが、どうも自己満足の域に入ってる作品が多かったみたいで残念ですね。まぁ、自分が楽しめないと作品として魅力のないものになっちゃうっていうのは、もっともな事なんですけど、かと言って自分だけ楽しけりゃいいって言うのは、それはそれで次元の違う話なワケで(いやはや…)。やっぱり視聴者を楽しませてナンボってのが基本でしょう。

 そういやこないだ「サザエさん」のスペシャルとかやってましたが、昭和44年放送の第1話をオープニングノーカットで放送してたのが凄かったです。ちゃんと東芝提供まで放送したのはご立派でした。(「ワンダービートS」のLD-BOXとか、カットしちゃって悲しいゾ!)それより驚きだったのが1話の演出(ちなみに脚本は辻 真先氏)を担当してた村山 徹氏がその後の新作エピソードでも演出を担当されてた事(いやはや…)。なんか凄いです。今でもそうなのかは知りませんが、少し前までは技術保存の意味合いも兼ねたハンドトレス(注)だったんですよね、「サザエさん」って。2、3年前までは昭和40年頃のTCJ作品で原画を描いてた志村福司氏とかのお名前も原画で拝見できました。現在でも昭和40年代初期から活躍されている国保 誠氏(氏は確か東映動画[現東映アニメーション]のご出身だったと思いますが…)のお名前を拝見出来ます。

 まぁ、そんなこんなでちょっと停滞感のあった1999年。来年はぼくらの胸を熱くするような素敵な作品が登場してくれる事を期待しましょう。

注:【ハンドトレス】原画をセルに転写する際、カーボンコピーの様なトレスマシン(その昔はゼロトレスとかゼログラフとか呼ばれていた)を使わず、付けペンで輪郭をセルに転写する手法。トレスマシンに比べて滑らかな線が特徴。ちなみに現在でも陰つけ用の色付き輪郭線等はこの手法で付けられている。



02/20/2000:2000年のワタクシ的注目番組

 さてさて、すっかりご無沙汰してしまいましたが、2000年も東映勢の番組改変が出揃って、ようやく本格的に新番組たちが動き始めました。時期的にはどうこう言うにはちょっと早いのは承知の上ながらも、ここいら辺でワタクシ的注目番組なんかを語ってみたいんですが、果たして…

【仮面ライダークウガ】
 いやぁ結構いい雰囲気ではないでしょうか?クウガ。HDVS(ハイビジョン)による撮影がVTR撮影のメリットである臨場感にうまく結びついて、仲々いい雰囲気を醸し出してます。ここまでの展開とか番組自体の雰囲気とか、個人的には今までのライダーの中でも一番好きだったりします(いやはや…)。等身大ヒーローって、実はVTRと仲がいいんじゃないか?なんて、コレ観ると思ったりもしますね。

 制作側も初めての連続ハイビジョンドラマって事で気合が入ってるのか、カット割とか構図とか、従来の東映シリーズに比べると格段の凝り具合で、結構ハイブロウな雰囲気。日本語の喋れない怪人も、なんか妙な説得力があっていいですね。脚本の荒川稔久氏、かなり独自の世界観で物語世界を構築しようとしている節があって、その辺りにも期待してしまいます。

 クウガ、アクション用コスチュームも心配した程アップ用とギャップがなくて何より。確かにボディ部分はタイツなんですけど(いやはや…)、素材が随分と改良されてるみたいですね。アップ用は意外やアンダースーツがウェットスーツ地でした(いやはや…)。怪人造型も結構リアル志向で今日出てたヒョウ種怪人とか、ボディなんか何の素材でできてるんだろう(いやはや…)?なかなかいい感じ。

【未来戦隊タイムレンジャー】
 戦隊も今回はかなりイレギュラーな設定みたいで、結構ひねってる感はあるんですが、どうも近年の戦隊コスチューム、オーレンジャー位からずっと素直にカッコいいと思えない様なデザインが続いていて、今回もまぁちょっとは改善されたみたいですけど、やっぱりそんな感じ(いやはや…)。そろそろバンダイさんもデザイン考えた方が良いんではなかろうか(いやはや…)?怪人デザインも結構食傷気味なんですが…

 まぁ、ドラマ的には色々仕掛けも用意されてるんでしょうから、展開については今後に期待って処でしょうか?特撮は結構地味な雰囲気でしたね。30世紀の未来都市の俯瞰描写なんかは、国産特撮TVとしては非常に久しぶりに登場するイメージで、ちょっと嬉しかったんですが…変身や合体はほとんどCGになってるみたいでクルクル動くこと動くこと(いやはや…)。

【やなせたかしのニャンダー仮面】
実は今年最もヒーローの王道を行ってるのが、関東だとタイムレンジャーの前にやってる「ニャンダー仮面」だったりします(いやはや…)。ニャンダーの宿敵、ニャオーンをひたむきに慕う白狐のコーンちゃんが結構良かったりするのだが(いやはや…)。