当時中学生であった僕は1枚2,800円のLPレコードを買うわけにはいかず、なんとかFMで放送されないかと待っておりました。
ある日、NHK-FMで演奏会用序曲op.12と交響曲第2番op.19が同時にかかりました。タイマを駆使してエアチェック。それがシマノフスキとの最初の出会いでした。
なんとなくR.シュトラウス的ではあるが、豊かな管弦楽の響きがいいなぁと思いました。以来、シマノフスキの音楽に惹かれていきました。
一言で言うと「夜の息づかいを感じさせる詩情豊かな、繊細な音楽」というイメージでしょうか。どこか艶やかな感じがしつつ、しかし星々のささやきが感じられるような。
シマノフスキは創作時期の変遷も激しいのですが、概してそんな感じを受けます。民族主義的表現を持ち、やや野趣溢れる楽曲を作るようになった時期においても明るい日の当たる音楽というよりも月明かりにほんのりと輝く音楽というのか。不健康な陰鬱な音楽とういうものではありません。何よりも繊細な美学、そういったものが随所に感じられるのが素敵だなと思うのです。