怪文書『共同声明の自分勝手』とブント機関紙「SENKI」の記事に対する反論



襲撃の事実をねじ曲げる

「ブント」の宣伝に反論します 




 7月16日、新宿のトーク居酒屋「ロフトプラスワン」において、その日の出演者であった佐藤悟志氏が、「ブント」(旧名「戦旗・共産主義者同盟」)の幹部を含む約10人の集団に待ち伏せされて暴行を受け、さらに出演の最中にも襲撃されるという事件がありました。これは佐藤氏が以前にロフトプラスワンでブントを批判するビラをまいたことへの報復でした。
 私たちは、ロフトプラスワンでの言動に対して組織的暴力を行使することは許されないという立場から「ロフトプラスワン襲撃を許さない共同声明」(以下『共同声明』)を呼びかけ、60人以上の人々の賛同を得ることができました。(詳しくは『共同声明』と『同・呼びかけ文』をご覧下さい。ご希望の方には郵送します。)言うまでもなく、私たちは何らかの党派的立場に立つものではありません。
 これに対してブントは機関紙「SENKI」紙上において、暴力を行使したのがブントのメンバーであることを認めましたが、先に手を出したのは佐藤氏の方であるといった事実に反する記述を多く交えて、自らの行為を正当化しています。一方でブントは「ファシストの暴力を許さない市民の会」という名前を使って、「『襲撃を許さない共同声明』の自分勝手」という文章を散布しています。これもまた、事実でないことを並べてブントの暴挙を正当化するものです。
 私たちはここに、事実をもって反論します。

「『襲撃を許さない共同声明』の自分勝手」への反論

 「『襲撃を許さない共同声明』の自分勝手」(以下『自分勝手』)は、新宿のミニコミ書店「模索舎」に持ち込まれたり、ロフトプラスワンにいつのまにか貼り出されたり、関係者のもとにファックスで送られたりしていました。この文章には連絡先が明記されておらず、手にした人がその内容の根拠や真偽について問い合わせることができません。製作者として書かれている「ファシストの暴力を許さない市民の会」がどのような団体なのかも、この文章には記されていません。
 私たちの『共同声明』のホームページにも、『自分勝手』は電子メールで送付されてきました。自己紹介もない人物から一方的に送られてきたものです。しかし、送信元アドレスとして記載されていた<f10163@peace1.co.jp>を検索したところ、埼玉県蕨市塚越1−13−3にある「(有)赤石印刷」のEmailアドレスであることが、「赤石印刷」のホームページ(http://www.peace1.co.jp/~f10163/)に記載されていました。「赤石印刷」はブントの組織内の印刷所であり、その住所もブントの本部である「せんき社」と同じです。またこの文書は、同じEmailアドレスから「みえない大学本舗 電脳分校」(http://www.exa.co.jp/~sato/memo/title1.html)のホームページの掲示板にも、10月25日付で投稿されています。発言番号は151、投稿者は「戦旗派」と名乗っています。他にも『自分勝手』は電子メールで送付されていますが、いずれの発信元も同じEmailアドレスでした。
 これらの事実から、ブントがこの『自分勝手』を散布していることは間違いないと思われます。

 『自分勝手』で主張されているのは、ブントに襲撃された佐藤氏と、『共同声明』の呼びかけ人であり7月16日の最初の襲撃の目撃者でもある玄田氏が、ロフトプラスワンにおいて数多くの暴力事件を引き起こしてきたということです。しかしそれは事実ではありません。
 『自分勝手』には、「5月31日のロフトプラスワンでの企画に来ていた塩見氏を、佐藤氏が『暴力による威嚇と恐怖』によって店から追い出した」「このとき佐藤氏はミュージシャンの喜納昌吉氏にも殴りかかっています」などと書かれていますが、佐藤氏は5月31日のイベントには参加しなかったので、このような事態は起こりようがありません。佐藤氏は喜納氏と会ったことさえないのです。
 店員たちにも確認しましたが、佐藤氏がロフトプラスワンで暴力を振るったことは一度もありません。佐藤氏と10年近い付き合いがある複数の友人たちも、佐藤氏が人を殴ったのを見たことがないと証言しています。

 『自分勝手』は『共同声明』の呼びかけ人である玄田生氏にも批判を行っていますが、ここにも事実に反する記述があります。4月11日の「だめ連のつどい」において、玄田氏が「反戦運動家の人たちと論争のすえ、……D氏などに殴りかか」ったと『自分勝手』には書かれています。実際にはこの企画において、激しい言い合いなど全く起きていません。ロフト店員や来店客、出演していたペペ長谷川氏や小倉虫太郎氏に確かめれば判ることです。イベントの終了後に個人的なことで、玄田氏は旧知の仲であるD氏とケンカになってしまったことはありましたが、その後玄田氏はD氏に謝り二人は和解しています。
 また4月16日の「右翼大同団結を求めて」のイベントにおいて「玄田氏が右翼団体メンバーに殴りかかった」(!)とありますが、この日玄田氏はお店に来ていないので、こうした事実はありません。しかし私たちは公正を期すためにこれに似通った事件について報告しておきます。5月31日のイベント終了後に、玄田氏が右翼団体のメンバー数人に暴行を受けたことがありましたが、そのとき玄田氏は一方的に殴られただけで、『自分勝手』が言うような「イスを振り上げて殴りかか」ったなどの事実はありません。それは当日の来店客や店員の証言でも明らかです。玄田氏は鼻や肋骨を折られるなどの被害を受けました。この事件では彼は暴力の被害者なのです。

 佐藤氏や玄田氏が「暴力による威嚇と恐怖を欲しいままにしてきた」として挙げられている例は、このように3つとも事実に反しています。二人が暴力を繰り返しているという「周知の事実」など、私たちは聞いたことすらないのです。また、ブントの襲撃をさして『自分勝手』は、この程度の暴力はロフトプラスワンでは日常的に繰り返されてきたと書いていますが、とんでもありません。出演者が店の前で襲われたり、机に飛び乗った襲撃者に足蹴にされたりしたことなど、今回が初めてなのです。

 テーブルが壊されただけだった。だからロフトプラスワンへの襲撃ではないと『自分勝手』は述べています。私たちとしても、襲撃者の目的がロフトプラスワンのお店の破壊そのものだったと考えているわけではありません。しかし7月16日の「北朝鮮と『よど号』の現実」は、ロフトプラスワンのイベントとして企画されたものです。佐藤悟志氏と高沢皓司氏が自らの考えを語り、多くの人がマイクを握ってこの二人に賛否や意見を堂々とぶつけていました。襲撃が破壊したのはこうした共同の営みです。テーブル一個の問題ではありません。

 「店が設置している監視カメラや衆人の目の前で、事件は公然と起きています。これはとても『組織的・計画的な襲撃』にはおもえません。計画的でないからそうなったのだというのが実状でしょう」と『自分勝手』は述べています。しかしテレビカメラの前で組織的・計画的な襲撃が発生し、全国に放送された例もあります。監視カメラや衆人環視の元で組織的・計画的な犯罪が行われることも珍しくはありません。この論法はあらかじめ破綻しており、反論の必要はないでしょう。
 店の名誉のためにも断っておけば、設置されているのは監視カメラではありません。演台の前に設置されているのは、お店のどこに座ったお客さんにも演台の様子が分かるようにモニターに画像を映したり、それを記録しておくためのものです。

 暴力を振るったことのない佐藤氏や、個人的なケンカをしてすでに相手に謝っている玄田氏に対して謝罪を求める『自分勝手』は、一方でブントの襲撃に対しては「抗議・糾弾」として肯定しています。しかし無言で地下室に引きずりこんで暴行を加えたり、発言の場である演台で暴行を加えたりする行為を、「抗議・糾弾」と呼ぶことができるでしょうか。
 また『自分勝手』は、私たちの『共同声明』に付された「注記」を引用していますが、そのやり方は賛同人の意図するところを歪曲したご都合主義的なものです。他者の言葉にはもう少し真摯に耳を傾けるべきではないでしょうか。

「7・16ロフトプラスワンの血気」への反論

 10月15日付のブント機関紙「SENKI」第920号に掲載された「7・16ロフトプラスワンの血気」(以下『血気』)と題した文章で、ブントは佐藤氏襲撃の事実を認めました。しかし事実に反した説明で、暴行を正当化しようとしています。待ちかまえていたブントのメンバーに対して、佐藤氏が「突如ナチス棒(特殊警棒)と催涙ガススプレーを取り出して、『なんだてめえら』と向かってきた」というのです。ブントのメンバーは「ひさしぶりだな、佐藤」と「穏やかに接した」のにと、その時に口にしたというセリフまで創作されています。
 あらかじめ断っておけば、特殊警棒と催涙ガススプレーを佐藤氏が所持していたのは事実です。この日の出演者である高沢皓司氏は「よど号赤軍」の内部問題を暴露する記事を書いており、身辺に危険を感じていました。不測の事態が起こった場合にゲストや自分自身を守るために、佐藤氏はそれを所持していたということです。しかしブントが襲撃してくることなど、彼はまるで予測していませんでした。ロフトプラスワンのお店の前にブントのメンバーを見つけたとき、彼らが討論に参加しにきたのだと思った佐藤氏は、「おつかれさん」と声をかけながらビルに入ろうとしました。
 現場を目撃した玄田氏によれば、ブントのメンバーが佐藤氏に話しかけたというのも、佐藤氏が武器を取りだして彼らに襲いかかったというのも事実ではありません。彼らはやってきた佐藤氏をいきなり取り囲み、羽交い締めにして地下室に連れ込んだのです。止めようとした玄田氏も羽交い締めにされて口を塞がれましたが、どうにか振りほどいて助けを呼びました。声を聴いて現場に駆けつけたロフトプラスワンの店員は、ビルの入り口で3、4人の男たちに取り押さえられた玄田氏と、地下の階段を下ったところで5、6人の男たちに床に転がされ暴行されている佐藤氏を目撃しています。動けなくなった佐藤氏の荷物に特殊警棒や催涙スプレーを見つけたことから、襲撃者たちはこのデマゴギーを思いついたのでしょう。

 現場にいなかった者にとっても、『血気』の文章はいかにも不自然です。ロフトプラスワンの前で待ちかまえていたブントのメンバーは約10名。このことは多くの来店客が目撃しています。しかもメンバーの中には「ブント格闘技大会」の優秀選手が複数含まれていました。「SENKI」の別の号に掲載された「大会」の記事によれば、身長180センチ以上のG氏などはそこで、「体重110キロ」で「某国立大・現役柔道部員を退け」「三回戦でも膝蹴りと肘打ちで」「重戦車のような進撃」を見せて準々決勝まで進んだと紹介されています。一方の佐藤氏は、身長160センチそこそこで小太り、腕力も人並み以下です。その彼が複数の格闘家を含む約10名の集団に、特殊警棒や催涙スプレーを振りかざして襲いかかったと『血気』は言うのです。
 『血気』の記述が本当だとしたら、特殊警棒や催涙スプレーはその場で振り払われているはずです。そこに駆けつけた人々は、路上に散乱する特殊警棒や催涙スプレーを目にすることになったでしょう。また催涙スプレーが使用されていれば、異臭が現場に立ちこめていたはずです。しかし、そのようなものを路上で目にしたり、臭いをかいだ人は誰一人いません。それに「向かってきた」佐藤氏に対して偶発的に暴行が起きたのだというなら、なぜ佐藤氏を地下室にまで連れ込んで、さらに逃走する必要があったのでしょうか。

 一方で『血気』は、7月16日のブントの襲撃を、「ブントには多少血の気の多い若者も多い」「素手のブントの若者がちょっとだけ血気にはやったのである」などと、「純な若者の怒りの爆発」として描き出そうとしています。しかしその説明の不自然さは、『血気』の文章自身が証明しています。『血気』は、現場に居たのは「予備校生のときの佐藤を知っている有志メンバー」だったと書いています。しかし1965年生まれの佐藤氏は、現在32歳。予備校生時代といえば13年前、19歳の時です。その頃すでにブントの活動家だった人間なら、最も若くても現在は30歳前後になっているはずです。
 実際には、襲撃メンバーのうちのG氏は30歳、M氏に至っては40歳を越えています。ブントでの活動歴もそれぞれ10年、20年を上回っており、現在では党幹部としてブントの中枢を担っています。『血気』は組織の責任を逃れるために、40代の人間まで「純な若者」にしたてているのです。これはあまりに恥ずかしいことではないでしょうか。

 『血気』は襲撃者たちが「素手」であったことを強調しています。しかし武道をたしなむ者が、試合以外で、しかも素人を相手に技を使うこと自体、きわめて恥ずべきことであるのは言うまでもありません。

 お店の前での待ち伏せ以外に、この日は2度目の暴行がありました。 襲撃での負傷をおしてイベントに出演した佐藤氏が、その終わり際にブントへの批判を口にしたとたん、二人の男が壇上に駆け上がり、佐藤氏に暴行を加えて逃走したのです。しかし『血気』では、2度目の暴行について一切言及されていません。(一方でこの『血気』の筆者は、なぜか「壇上 登」と名乗っていることを付け加えておきます。)
 2度目の暴行は、店内に設置されたもの、来店客が所持していたものの2台のビデオカメラによってその様子がとらえられています。私たちはすでに『共同声明』のホームページ上で、それを公開しています。その映像を見ていただければ、襲撃者たちが佐藤氏に一方的に暴行を加えていることは疑問の余地がないところです。(インターネットに接続されていない方は、ご連絡いただければビデオテープをお見せします。)目撃者の少なかった1度目の暴行については嘘を並べ、明白な証拠の残っている2度目の暴行については黙殺する。こうした態度からも『血気』が事実を伝えようとするものではなく、自らを正当化するためだけに書かれた文章であることは明らかです。

 『血気』は佐藤氏のビラに対して「根拠のない誹謗中傷だ!」「侮辱されたのはわれわれブントであり、正義を希求し、人間的自由を実現しようというわれわれの思想性だ」と怒っています。佐藤氏のビラが言論の範囲を超えており、暴力による報復にも値すると主張したいのでしょう。それだけでは多くの人々を説得できないと考えて、佐藤氏が手を出したなる嘘を交えているわけです。
 確かに佐藤氏のビラには、ブントの人々が怒らざるを得ないような内容が含まれています。しかし一般の社会では、出版物の中などに自分に対する誹謗中傷と感じる記述を見つけた時に、抗議や撤回の申し入れなど話し合いで解決しようとするのが普通です。「他者の人権を侵害するような言論は自由ではない」としても、それに対して判断を下し報復の暴力を組織的に行使することがブントの人々にだけ認められていると、どうして考えられるのでしょうか。
 『血気』は、「若者に正義を守る気持ちがなくなり、ファシストの言いなりになるようならこの世は闇だ」と結ばれています。しかし言論に暴力でやり返さなければ、「言いなりになった」ことになってしまうのでしょうか。あまりに短絡的です。

「7・8ロフトプラスワンの幕開け」への反論

 10月25日付の「SENKI」第921号には、「7・8ロフトプラスワンの幕開け」(以下『幕開け』)と題する文章が掲載されました。ここではまた、新たな嘘が付け加えられています。7月8日の荒岱介氏と鈴木邦男氏の対談の時に、ブントの学生メンバーである「H氏」に対して、佐藤氏が平手打ちを喰わせて、「H氏」の頬はミミズ腫れになったと言うのです。前号の『血気』でも7月8日のことは触れられていて「この日ロフトにいったブントのメンバーは、腐りきった佐藤の無責任な言動に対し、本当に怒りに肩をふるわせたのである」と書かれています。しかし不思議なことに佐藤氏の「平手打ち」については一言も書かれていませんでした。10月15日を過ぎてから突然思い出したとでも言うのでしょうか。
 当日のロフトプラスワン店内には、全都動員とも関東一円の動員ともいわれる100名近いブントのメンバーがひしめきあっていました。その中で一人でビラをまいていた佐藤氏にブントのメンバーが詰め寄って怒鳴り合いになり、店員が割って入るという場面はありました。
 しかしその店員は、『幕開け』が書くような「警察に通報する」などというセリフは言っていませんし、佐藤氏の平手打ちも見ていません。開幕前のもめ事を膨らませて「力一杯の平手打ち」を創作したのでしょうが、そんな事実が存在しないことは、何より当日居合わせたブントの人々がよく知っているはずです。

 『幕開け』は「その後の調査」によって、佐藤氏や呼びかけ人の玄田氏が、「暴力行為によってしばしばロフトプラスワンを制圧して支配していたことがわかってきた」と書いています。しかしこの文章のどこを探してもその調査内容というのは書かれていません。調査内容は『自分勝手』のことを指すのでしょうか。『幕開け』の筆者は、『自分勝手』はブント以外の市民が書いたことになっていたのを忘却してしまったようです。『自分勝手』の内容が事実に反していることは前述した通りです。

 ところでこの『幕開け』では、塩見孝也氏(元赤軍派議長)の聞いた「風評」と彼の「見解」という形で、私たちの『共同声明』の賛同人のひとりである李英和(リ・ヨンファ)氏に対して誹謗中傷を行っています。李氏が佐藤氏と一緒になってロフトプラスワンに出演する塩見氏を襲撃するという「風評」を、塩見氏が聞いたというのです。あるいは塩見氏の「見解」として、李氏を「韓国安企部(韓国版CIA)の手先」と根拠なく決めつけています。
 李氏は関西大学の助教授で、在日外国人の参政権を求める運動(「在日党」)や、北朝鮮の民主化を掲げた運動(「RENK」)を続けている方です。佐藤氏とは集会で二度ほど顔を合わせたことがあるだけです。その李氏が大阪から上京して佐藤氏と一緒に塩見氏を襲撃するなどとは、荒唐無稽にも程があります。風評だから、誰かの「見解」だからといって垂れ流してよい話とは思えません。そもそもそのような風評自体、ロフト関係者の誰も聞いたことがないのです。こうしたいい加減な話を掲載したことについて、李氏に謝罪することがない限り、これはブントの見解でもあると考えざるを得ません。(11月1日のロフトプラスワンでのイベントで私たちが塩見氏に質問したところ、この件について「SENKI」の取材を受けたことはないと塩見氏は答えました。)
 私たちは『共同声明』に賛同して頂いた方への、このような誹謗中傷に抗議します。

「ロフトプラスワンの波紋」への反論

 11月5日付けの「SENKI」第922号には「ロフトプラスワンの波紋」(以下『波紋』)が掲載されました。そこでは、私たちの『共同声明』に対して「デマゴギーを流布するファシスト運動」という決め付けが行われています。そして「われわれの知らないところで、『匿名』のファックスや電子メールで」声明がまかれたと主張しています。しかし、『共同声明』には呼びかけ人や連絡先が明記されているのですから、「匿名」というのはおかしな話です。『波紋』にも書かれているように「共同声明」と「申し入れ」はブント本部にも発送しているのですから、「われわれの知らないところで」というのは意味がわかりません。
 私たちは匿名のファックスや電子メールなど一度も送ったことはありません。先述したように匿名のファックスや電子メールで送られてきたのは、ブントを擁護する立場の『自分勝手』です。

 『共同声明』のホームページからモルモットの写真が削除されたことを以て『波紋』は、「賛同人を勝手に増やしたり削ったり出来る運動のようだ」と飛躍しています。しかし実際には、賛同人は増えてはいますが、「削られて」などいません。『波紋』の書き方は、賛同された方の主体的な意志を侮辱するものです。

 この文章も含めて、「SENKI」や『自分勝手』は、呼びかけ人の一人である玄田生氏の戸籍名を必要もなく掲載しています。「玄田生」は彼が漫画家として使っている名前です。この名前での単行本も三冊出ていますし、ロフトプラスワンに出演するときにもこの名前を使っています。人々が戸籍名以外の名前で自己を表現することは一般に認められているし、どのような言論の場でもそのような自由は尊重されています。
 玄田氏が右翼メンバーから集団暴行を受けたことは、『波紋』にも書かれています。再び彼らから暴行を受けるかもしれない玄田氏の戸籍名を、機関紙などに何度も掲載しているブントが、「左翼の矜持」などという言葉で『波紋』を飾っているのはそらぞらしいかぎりです。
 私たちの『共同声明』においては、襲撃実行者たちの本名を伏せることはもちろん、活動上の通称名もイニシャルで表記しています。公開する必要がないからです。批判に対して暴力で答える彼らが、玄田氏の戸籍名を繰り返し書くのは、次の襲撃の標的はおまえだという恫喝にも感じられ、とても不愉快です。

 また『波紋』の作者はロフトプラスワンを「乱闘酒場」などと揶揄しています。玄田氏が右翼の人々に暴行を受けたことまで、その論証に使われています。しかしロフトで最大の暴力事件を起こしておきながら、他人事のようにこうした評判を広めるのは無責任ではないでしょうか。

 『波紋』では佐藤氏のビラへの批判が繰り返されています。私たちは、佐藤氏の言動やビラに賛同するから襲撃に抗議しているのではありません。彼の言動の内容がどうであれ、ロフトプラスワンでの発言に対して組織的暴力を行使することは許されないと考えるのです。実際、佐藤氏のビラに眉をひそめながらも賛同してくれた方もいるのです。「あなたの意見には反対だ。しかし、あなたが発言する権利については徹底してそれを擁護する」こうした本質的な自由の問題について私たちは提起しているのです。

 明らかにしてきたように、ブントの文章は事実でないことで埋め尽くされています。その発想の根本にあるのは、佐藤氏や呼びかけ人のよくない行状をあらわせば、自分たちの襲撃が免罪されるという考えです。確かに佐藤氏や呼びかけ人は聖人君子でもなければ高潔な人格者でもありません。失敗もすれば過ちも犯します。必要なときには話し合い謝罪もします。しかし私たちは、こうしたことがらについて嘘をついたりはしないし、嘘をつく必要もありません。何よりも、組織もなく少人数で身分を明らかにしている私たちが、実際に襲撃をやって見せた数百人規模の政治組織に向かって抗議しようとすれば、私たちの武器は事実だけです。
 私たちは、これまで読んで頂いたように、第三者が検証できるよう可能な限りの証人や証拠を提示しています。私たちの判断で、名前を出さずに「店員」「来店客」と表記したところもありますが、多くの人々が名前を出して証言してもよいと言ってくれています。

 今回の問題について、ブントが嘘をついたということをもっともよく知っているのは、ブントのメンバーの人たち自身でしょう。もしかしたら、正義のためには嘘も必要だとでも考えているのかもしれません。何か高尚な理論でそうした欺瞞を美化しているのでしょうか。人間としてもっとも大事なものが、そうやって壊れていくのです。それで満足できるなら、ずっと嘘をつき続けていたらいいでしょう。ロフトプラスワンにあらわれたブントという集団がどんな人々だったか、私たちは永遠に記憶しておきます。

   1997年11月26日


大田リョウ  鹿島拾市  玄田 生

ほか、襲撃を許さないロフトプラスワン常連客有志