一水会機関紙「レコンキスタ」97年8月号より



プラスワン暴力事件に想う




 去る七月十六日、鈴木会長もしばしば出演する新宿のトークライブハウス「ロフトプラスワン」にて暴力事件が起こった。当日出演予定の佐藤悟志氏が、プラスワン前にて待ちぶせていたとおぼしき数人によって暴行を受け、トーク終了間際にも、佐藤氏が有る左翼組織を批判した直後に、客席から何人かが氏に殴りかかったのだ。
 事件は佐藤氏が七月八日に同じプラスワンにて、左翼組織ならびにそのリーダーを批判、揶揄するビラを配布したことに端を発している。ビラ自体に対しては対象の組織メンバーであるならば反論もあろうし不愉快にもなるだろう。しかし、言論による攻撃には百パーセント言論で対抗するという姿勢は、多くの血が流れた政治運動の歴史から我々がやっと学びつつある大切な認識である。
 特にロフトプラスワンと言う場所は、左右両翼の政治団体を初めとし、現代社会において少数派の人々にタブーなき言論発表の場を提供してきた貴重な空間であった。今回の事件を残念に思うと共に、組織のメンツだの純粋な怒りだのと言った名のもとに、個人の言論への暴力的報復が正当化されるようなことがあってはならないことを銘記しておきたい。 [三浦 小太郎]




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