■釈明と謝罪を求める申し入れ■





 さる7月16日、新宿のロフトプラスワンにおいて行われた襲撃に対して、私たち常連客有志は「ロフトプラスワン襲撃を許さない共同声明」を公にするに至りました。事件の概略は、声明に記されているとおりです。襲撃者の中に「ブント」の幹部メンバーが含まれていたことなどから、この襲撃は「ブント」関係者による組織的犯行であると考えられます。

 ロフトプラスワンの出演者を標的にして、店の内外で襲撃は行われました。そして、この襲撃暴行は、「ブント」へ批判的発言をした者への報復であると考えられます。言葉に対して暴力が行使されたのです。

 マスコミから無視されがちな小さな意見や、世間の常識から考えれば異端と思える発言にも耳を傾けたいと考えて、私たちはロフトプラスワンに集ってきました。このような襲撃を看過するならば、私たちがロフトプラスワンに集ってきた意味は失われます。
 たとえ自分にとってどれほど不快な発言であったとしても、言葉で反論するのが市民社会のルールです。このルールが確立されるには、血をともなった連綿たる人民の闘いがありました。わずか半世紀前には、天皇制批判を口にしただけで人々は投獄されていたのです。今回の襲撃は、このような人々の営為に唾を吐きかける行為です。一つの居酒屋で起きた小さな暴力事件と見なすわけにはいきません。

 明確な犯罪である今回の襲撃に対して、私たちは告訴することを留保しました。犯罪として裁かれることで、むしろ問題が矮小化されることを恐れたからです。私たちは賛同者を募って共同声明を発する道を選びました。批判者に対して暴力で報いる集団に、名前を明らかにして抗議の声を上げるのは、私たちにとって、とても勇気のいることです。新たな暴力が佐藤氏や呼びかけ人・賛同者に向けられるという強い懸念さえ私たちは抱きます。それでも問題の本質を明らかにするために、現時点では刑事告発の権利を留保します。

 その上で私たちは、襲撃を行った「ブント」が、釈明と謝罪を公にすることを要求します。「ブント」の専従活動家である幹部メンバーが襲撃に加わっている以上、組織は関係が無いなどという醜い言い逃れは通用しません。
 「ブント」の主宰者である荒岱介氏、襲撃を指揮した幹部メンバーである通称名G氏、通称名M氏、その他襲撃暴行に加わった者は、ただちに釈明と謝罪を行うべきです。

 チェコの作家ミラン・クンデラは「権力に対する闘いは忘却との闘いだ」と言いました。釈明と謝罪がない限り、今回の襲撃暴行は永遠に記憶されるでしょう。

                    1997年10月10日

   荒 岱介  殿

大田リョウ
鹿島拾市
玄田 生
他、襲撃を許さないロフトプラスワン常連客有志

連絡先   〒160 東京都新宿区西新宿7-12-1 トガワビル3-346
鹿島方「共同声明」宛




(注1 同じ文面の手紙を、通称名G氏及びM氏にも送付しました)
(注2 連絡先は現在のものではありません)