にんげんとしての矜持 


 樋口 大二 




 「声明」さいごの文章はなかなか格調高くてよろしいですね。こういうのをクサイといって嫌う人もいるでしょうが、大切なことですから。

 それにしてもSENKIの記事をよむにつけ、共産主義のオソロシサを感じます。主張の正しさによって、謀略もウソも許されるというのは、まさに「角丸主義」。トロツキーの赤色テロルがうんぬんと言及していますが、この人たちは、クロンシュタットに対する「赤色テロル」もやはり賛美するのでしょうか。ドイツのスパイだとか、ファシストの巣窟だとかいって。
 これは佐藤君が実は真に革命的だ、などというつもりではない。ようするに、ファシストと認定さえすれば(殴られる前に)殴ってもいいのか? ファシスト相手ならウソついてもいいのか? 何をやってもいいのか? ということです−−「ファシスト」の所には、反党分子・○○派・××主義者などムゲンに代入可−−。案外カンタンに「その通り」と答える人も多いのかもしんないですが。

  「左翼の矜持」も結構ですが、にんげんとしての矜持も大切にしていただきたい。左翼の矜持ばかりが人一倍強くて、にんげんとしての矜持を持ち合わせない人びとによって、ウンザリするような悲劇が繰り返されてきたというのに。
 階級を離れた人間一般などというものはない、というのかな。殴るのはカイキュウの方にして、にんげんの方は殴らない、というのがこの場合論理的に正しいやり方だ。




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